アメリカと中国の軍事力を比較する

 比較したのはアメリカの専門家で、それをロシアの専門家が評するという体裁の記事です。

http://military.china.com/important/11132797/20150920/20428870.html


ランド社のレポート:台湾海でもし開戦したら、アメリカは40%の中国上陸艦を破壊できる

ロシアの「視点報」ウェブサイトは9月18日「アメリカ、中国軍を真剣に相手にし始める」との題の文章を発表した。作者はウェイロマン ケリェチュワである。以下のように編集翻訳する。

アメリカの分析家は仮想される中米軍事衝突に対しシミュレーションを行った。最終的に、もし1990年代のアメリカならばどうであろうと勝利は確実だったが、ならば今はといえばもし一連の指標の上で、結果はいずれもあまり明朗ではない、ということに気付いた。しかもさらに10〜15年たてば、力量の対比はさらにもう一歩変わるだろう。

ランド社の分析家は1990年代初め以来の中国人民解放軍の変化の状況に関するレポートを起草した。作者は10の方面からそれぞれ1996年、2003年、2020年、2017年の中米の軍事力の対比を行い、潜在的軍事衝突の結果を予測した。彼らは2種のあり得る対抗方案を研究した。中国に近い区域で、すなわち台湾を争奪する場合。中国を遠く離れた区域で、すなわち戦略上重要なスプラトリー諸島(すなわち我が南沙諸島である 本ネット注)を争奪する場合である。

最終的に彼らは次のように指摘した。二十年来解放軍はモデルチェンジを実現してきた。人数は多いが装備は古い武装力量から、戦闘力ある近代化された軍隊へ、である。以下は対比された10の方面である。

中国のアメリカ空軍基地を襲撃する能力:中国は短距離弾道ミサイルをもって最も近いアメリカ空軍基地を攻撃できる。彼らには約1400発のこのようなミサイルがあり、そのうちの小さな一部分でもう米軍基地を数週間麻痺させるのに足りる。このためアメリカの飛行機は止むを得ずアラスカ、ハワイ、グアム島基地から出発してより遠い距離を飛行する。この方面で、中国は付近区域の衝突の中でやや優位を占め、遠く離れた領域の衝突ではアメリカと互角である。

両軍の空中の優勢:現在中国の半数の戦闘航空兵は第4世代戦闘機を配備している。このこと自体両国の軍事力の隔たりを縮めている。付近空域で双方が戦えば引き分けで、遠く離れた距離ではアメリカが微弱な優勢を占める。

アメリカの中国領空への浸透能力:中国の防空システムの発展は、(アメリカの)中国領空あるいはその付近での活動をずっと困難なものに変えた。1996年、中国の地対空ミサイルは主にソ連の古いミサイルに対するコピー品だった。2010年になると、中国は約200セットのより複雑な追跡システムを持つ、射程が200kmに達する装置を投入した。アメリカ空軍は依然としてステルス技術に頼って中国の領空に浸透できる。だがもしも1990年代にまだ米軍の優勢を語ることができたとするならば、現在では付近区域で双方は互角の状況を呈し、遠く離れた区域ではアメリカがわずかに優勢を占める。

アメリカが中国の空軍基地を襲撃する能力:高精度武器の発展はアメリカに、ひとたび台湾の争奪が勃発したら利用できる一連の優勢と能力を賦与した。このためこの方面においてアメリカは付近区域に優勢を持ち、遠く離れた区域では優勢が顕著である。

中国とアメリカの水上艦船の作戦能力:中国武装力量の作戦能力はすでに、対艦弾道ミサイルを用いてアメリカの空母に脅威を与える程度に達している。こうしたミサイルは対ミサイルシステムの面前ではまだ一撃にも堪えないが、アメリカの将官が今正視することが必須な一点は、中国には空母攻撃能力があり、かつこの能力は増長するばかりだということである。また、中国サイドの偵察(衛星偵察手段を含め)はより先進的になっている。レポートの作者は、対艦弾道ミサイル以外にアメリカ司令部はさらに巡航ミサイルや魚雷を配備した中国潜水艦も完備されつつあることを考慮する必要があると考える。このため、中国は付近区域でやや優勢を占め、遠く離れた区域では中米には優劣はない。

アメリカが中国の軍艦を襲撃する能力:米軍は極力中国の海兵隊が台湾に上陸するのを防止する。レポートによれば、アメリカの潜水艦、飛行機や地上力量は40%の中国の上陸艦を破壊できる。このような損失を受けた後、上陸後の集群は完全性と統一した指揮を保持することができない。だが中国は不断に対潜ヘリや艦船を完備させ、継続して上陸艦集群を拡大させつつある。1996年以後、中国の上陸能力は倍に向上した。しかし、ひとたび台湾海で衝突が勃発したら優勢はアメリカに属し、遠く離れた区域ではこの優勢はより大きくなるだろう。

中国の宇宙システムに対応するアメリカの能力:中国は日増しに衛星に依存し、かつ中国が宇宙機材を破壊できる武器を研究開発しているとの情報が伝えられている。これと同時に、アメリカは2002年から対衛星武器研究開発のための予算割り当てを開始している。また報道によれば、アメリカは中国の衛星の光学感応コントロール設備の機能を失わせる高エネルギーレーザーシステム、およびこうした衛星の撃墜に用いる弾道ミサイルを開発中である。

アメリカの宇宙システムに対応する中国の能力:中国は若干回の「運動エネルギー」対衛星ミサイル試験を展開している。また中国は衛星設備を破壊できるレーザーシステムを研究開発中である。レポートはアメリカの衛星が直面する脅威は非常に大きいと評価する。レポートの作者は、この2方面で双方の実力は同等に近い、と考える。

ネットワーク戦:アメリカの国家機構は一度ならず中国が支持するハッカーの重大な攻撃を受けているが、レポートはひとたび衝突が発生したらアメリカのコンピュータネットワークは特別な面倒事には遭遇しないだろうことをはっきり示している。中国も同様である。アメリカが一定の優勢を占めることになるにしても。

核の安定性:この指標が計るのは国家の核力量が核打撃を受けた状況下での生存能力および反撃能力である。中国はずっと核力量を発展させ、部隊は新型大陸間弾道ミサイルを装備済みである。これには東風-31/31Aおよび改良後の東風-5が含まれる。中国海軍は巨浪ー2海上基地弾道ミサイルを獲得している。こうではあっても、米中の核弾頭の数の比は13:1であり、このため中国には相手方に反撃の力をなくさせる打撃を実施するいかなる能力もない。

報告はさらに、現在の事態の発展に照らせば、さらに5から15年経てば、アメリカのアジアにおける影響力は低下することになる、と提示する。中国の指導者は、アメリカは中国と某隣国の衝突に手を出すことはないだろう、との結論を得る可能性がある。

ロシアの軍事分析家はどう見るか:ロシアの隔月刊「モスクワ安全保障業務簡易レポート」編集長のワシーリ コーシンは次のように語る。「私の見たところこれはわざと大げさなことを言って世間の耳目を騒がせるものだ。アメリカと日本およびフィリピンは正式な同盟を結成しており、しかも「台湾との関係に関する法律」は、ひとたび中国大陸が武力をもって同島を解放することを企図したら、アメリカは戦局に介入できると規定している。だが同法は全部でどういった行動方案があるのか、アメリカは自ら介入を決定するのか否か、まだ決して明確に提示していない。つまり、この中に戦略の不確定性がある。アメリカは他国に対し明確な義務はない。だがアメリカが日本救援に駆けつけるか否か疑う必要はない。何故ならこれはカギとなる重要な盟友で、これを捨ててかえりみないことは、全世界の指導権および日本に対するいかなる野心も放棄することを意味するからである。フィリピンに対しては、一切はそんなに簡単ではなく、行動の等級もまた異なるだろう。だが、現在東アジアがアメリカにとって重点地域だということは火を見るよりも明らかである。私は、アメリカの決意を見くびるべきではなく、北京もまたこれに対し内心よく知っていると考える。中国がアメリカに処置が間に合わなくさせる快速局地戦役を発動することは非常に大きな冒険である。だが10年後のある時、両国の関係が悪化し、力量の比率に変化が起きた時、この挙は決してあり得ないことではなくなる。」

またコーシンは報告者の、中国の軍事力が長足の進歩を取得しているとの視点に賛同し、彼は某いくつかの方面でアメリカを超越したと考えるに至っている。

この専門家は次のように言う。「もしスプラトリー諸島地域においてであっても中国はすでにその優勢を有し、何故なら中国は長期にわたってこの地域に存在し、一方アメリカは全世界からここに向け兵力を移動集結させる必要があるからである。また、中国はその数が膨大な近代化された高精度陸上基地ミサイルがもたらす非対称能力を持つ。この地域において中国は間違いなくアメリカの極めて危険な相手であり、対抗の結果はを予測することは極めて困難である。アメリカは全世界の雄と呼ぶことができるが、自らの周辺で中国は一切に挑戦することができる。」


 アメリカの分析は例によって本気でそう思っているのか危機感を煽って予算をより多く獲得しようとしているのか判別し難いところがありますが、ロシアの専門家と見解が一致しているところの信憑性は高いかもしれません。

















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