国際関係に関する中国人の意識調査

 先日毛沢東をどう評価するかという調査の結果に関する記事を紹介しましたが、今回はより日本に深く関係する内容です。

http://military.china.com/news/568/20131231/18255630.html


釣魚島の争い、2013年に中国人の最も関心を集めた事件となる

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「釣魚島」)

【グローバル時報記者 馬晴燕】 2013年、中国は「穏の中に進を求める」の総基調をもって時代を切り開く意義を持つカギとなる重要な1年を通り過ぎ、政治、経済、科学技術など多くの領域の発展と進歩が世界の関心を引き起こした。中国の外交上の日増しに強まる能動性、強硬さは、中国の大国関係により多くのチャンスをもたらし、同時により多くの挑戦と試練をももたらした。中国の民衆はいかに外部環境を見、今後1年の発展の趨勢にどんな態度を持っているのか? 「グローバル時報」特別委託委員会傘下のグローバル世論調査センターは、「中国人の見る世界」に対する第8回年度民意調査を行った。今回の調査は12月6日〜12月19日に、電話調査の方式をもって展開され、対象は北京、上海、広州、長沙、成都、西安、沈陽という7つの都市の15歳以上の普通の民衆で、全部で有効回答1,512件が回収された。

アメリカの重要性は下降中

調査は、中国の民衆の印象の中で、世界を範囲とする中国に対する影響が最大の相互関係は次の順であることをはっきり示している。中米関係(74.5%)、中日関係(38.6%)、中ロ関係(25.6%)、中国とヨーロッパとの関係(6.7%)、中国と朝鮮半島との関係(5.2%)、中国と東南アジア諸国との関係(4.6%)、中国とアフリカとの関係(2.1%)、中印関係(2.0%)、中国とラテンアメリカ諸国との関係(1.4%)(頑住吉注:「鉄の盟友パキスタン」とか「初めて文書による核の保護を承諾したウクライナ」とかは入らないんですか。しかし日本の重要性は意外に高いんですね)。

「グローバル時報」の2006年からの連続8年の調査データは、中米関係と中日関係がずっと民衆の印象の中での中国に対する影響が最大の相互関係であることをはっきり示している。この中で、アメリカの影響力の変動の幅は大きくなく、しかもずっと74%以上を維持している。だが注意するに値するのは、中米関係を挙げた率は2010年から2013年まで連続4年下降の趨勢を呈し、それぞれ76.8%、76.6%、74.6%、74.5%だということだ(頑住吉注:ほとんど誤差の範囲では)。

中国と周辺諸国との関係の中では、中ロ、中日関係が最も重要な相互関係と考えられており、それぞれ62.0%および36.5%の被調査者がこの2項目を選択した(頑住吉注:ちょっと首を傾げましたが、上に挙げられた「世界を範囲とする中国に対する影響が最大の相互関係」とは別に「中国と周辺諸国との関係の中で」ならどれが一番重要か、という調査も行った、ということでしょう。しかし世界範囲とすると日本との関係がより重要とする人が多いのに、周辺諸国に限るとロシアが上になるというのはちょっとおかしい気もしますが)。2012年(53.9%)と比べ、2013年の中ロ関係の重要性には大幅な上昇があった。中国と朝鮮半島の関係は2013年には中国と東南アジア諸国との関係の重要性を超越し、第3位に位置し、14.9%の人がこの選択肢を選択した。

「あなたは中米関係の未来の発展の趨勢を楽観視していますか」と問われた時、57.6%の被調査者は「楽観視している」とし、30.3%の人は「楽観視していない」とした。残る12.1%は「うまく言えない」とした。2012年の調査結果と比べると、中米関係の未来の発展を「楽観視」している被調査者の比率は4.8%上昇し、「楽観視していない」の比率は6.6%低下し、楽観的予想が上昇している(頑住吉注:いろいろ問題もありましたけど、オバマ・習近平会談などの影響でしょうね)。調査はさらに、「アメリカが戦略上中国を抑止している」が、依然被調査者の印象の中で「釣魚島問題」を除き、中米関係に影響する最大の問題であるということを発見している。

中国人民大学国際関係学院副院長金燦栄は「グローバル時報」記者に対し、中米関係の中国人の印象の中での重要性は連続して何年か小幅に低下し、このことは中国の自信が高まっていることを示す、と語る。彼は中米関係は何年か前に比べ安定していると考える。最近、中国が画定した東海防空識別圏に対するアメリカの反応、および中米の両艦の南海での衝突のリスクに対する処理は、一貫性も保持しているし、また比較的柔軟で、双方は全体的に比較的抑制的である。これはまさに中米関係が意外なことに遭遇することに対する中国人の受け入れ力が増加しつつあることをはっきり示している。突き詰めればやはり中国自身がうまく発展し、皆がアメリカはすぐに落ち着くと見ているからである。

釣魚島は最も関心を集めた国際的事件

「2013年にはどんな国際的事件があなたに最も深い印象を与えましたか」と問われた時、「中日の釣魚島をめぐる争いの常態化が全世界の関心を引きつけた」が被調査者に与えた印象が最も深く、挙げられた率は6割近かった(58.5%)。49.9%の人は「中国が東海防空識別圏を設立し、日本などの国の強烈な反発を引き起こした」を挙げた(頑住吉注:上位2位は共に日本に直接、また深く関係する問題ですね)。「『スノーデン事件』がアメリカの盗聴スキャンダルを明るみに出した」の挙げられた率は47.8%に達した。「中国国家主席習近平とアメリカ大統領オバマがアメリカのカリフォルニア州で初の会談を行った」の挙げられた率は36.6%だった。また「アメリカ議会両院が新予算案について一致を達成させず、政府が閉鎖された」、「シリアの化学兵器問題が各国の関心を引き起こした」、「朴槿恵が韓国の歴史上初の女性大統領となった」の三大事件の関心度も比較的高く、それぞれ23.7%、23.4%、22.0%だった。

(頑住吉注:これより2ページ目)

全体的に見て、民衆は中日関係の今後1年の発展に対し楽観していない。36.0%の被調査者は今後1年中日関係は「基本的に現状維持」と考えている。32.7%の人は「悪化する可能性がある」と考え、10.1%は「さらに一歩悪化するだろう」とした。13.1%は「いくらかの改善があるだろう」と考え、2.0%だけが両国関係には「はっきりした改善があるだろう」と考え、6.1%ははっきり言えないとした(頑住吉注:調査は首相による靖国参拝以前なので、今調査すればより悲観的になる可能性があるでしょう)。

「2013年に最も中国の国際的地位を向上させることができた事件は何ですか」と問われた時、「釣魚島問題の上で日本に対し強硬な立場を取り、東海防空識別圏を設立して国家主権を維持保護した」の挙げられた率が最高で、48.1%に達した。これは「神舟十号有人宇宙船と嫦娥三号月探査機の発射成功」(41.3%)を超えている。「中国共産党第十八中央委員会第三次全体会議が一連の改革を深化させる政策を打ち出した」と「中国経済が持続して健全に発展し、日増しに全世界の注目の焦点となる」の挙げられた率はそれぞれ28.6%および21.9%だった。

中央テレビ特約評論員宋暁軍は30日「グローバル時報」記者のインタビューを受けた時、自分はこのランキングに同意しない、と語った。もし自分に選ばせるなら、第1位が神舟と嫦娥、第2位が三中全会の改革で、防空識別圏問題はベスト3にも入らないかもしれない、と。彼は、釣魚島の波風は小さくないが、亡国の危機から救い国家の生存を企図する時代は中国にとってすでに過去だと言え、現段階で中国が最も関心を集めるのは近代化への道の上での猪突猛進ぶりのはずで、メディアと社会はより多く中国の変化に関心を注ぎ、中国の運行に影響する重要な要素に関心を注ぐべきだ、と考える。

だが、中国人民大学国際関係学院教授ワンイーウェイは、被調査者が「東海防空識別圏設立」を、最も中国の国際的地位を高め得た事件の第1位に列するのは、新政府の外交の方式が中国民衆の同意を得ていることを反映している、と考える。

調査はさらに、49.1%の被調査者が現在の中国の周辺環境は「中国の平和的発展に不利である」と考えていることをはっきり示している。一方未来の中国が置かれる国際環境は「どんどん良くなるだろう」(28.0%)および「全体的に改善が得られるが、摩擦はまだ非常に多いだろう」(54.5%)と考える被調査者を合わせると、全部で82.5%を占めるに至り、全体的に言えば中国の民衆の今後置かれる国際環境に対する予想は良好なものである。

6割余りの被調査者が最も中国が好きとする

「あなたはどの国が最も好きですか」と問われた時、61.6%の被調査者が中国を選択した(頑住吉注:低!)。その他の国を最も好きだとした人はいずれも1割に満たず、例えばアメリカ(6.9%)、フランス(3.3%)、カナダ(2.8%)である。被調査者の選択の比率から見て、もっとも中国が好きな被調査者の比率は2012年に低下が出現し、2013年には再度上昇し、しかも選択率は史上最高水準に到達した(頑住吉注:普通はもっと低いわけですね)。

「BRICS諸国(頑住吉注:発展著しいとされるブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字を取ったもの)の中でどの国の発展が后勁更足ですか(頑住吉注:検索すると無数にヒットするのに意味を説明したページは見つからない慣用句ですが、「力強い」くらいの意味ですかね)」と問われた時、中国の挙げられた率が最高で48.2%に達した。その次はロシア(18.9%)、インド(12.5%)である。「2013年、ロシアがあなたに残した最も印象深いことは何ですか」と問われた時、「スノーデンのロシアにおける臨時避難に同意」がトップとなり、39.2%の人がこの項目を選択した。38.3%の人はロシアが「シリア、イラン問題の上で西側と激烈に矛を交えた」ことに対する印象が最も深かった。

「中国はすでに世界的な強国か否か」との問いに対し、16.5%の被調査者は「はい」を選択し、去年の調査に比べ0.9%下降した。中国は世界的強国では「ない」、と「まだ不完全にはそうでない」と考える被調査者の比率はそれぞれ30.9%および51.7%である。この問題に対する差異分析は、被調査者の学歴が低いほど、中国の世界的強国の地位に同意し、学歴が高いほど中国は世界的強国ではないと考える傾向があることを発見している。「中国はすでに世界的強国のどういった条件を具備していますか」と問われた時、「経済的実力」の挙げられた率が最高で51.2%、次が「政治および外交的影響力」と「軍事的実力」で、挙げられた率はそれぞれ36.2%および34.5%だった。「文化的影響力」の挙げられた率は27.1%だった。

ワンイーウェイは、16.5%の中国人しか自分の国が強国だと思っていないが、これは中国人の謙虚な習慣と関係があり、中国人はいつも自らがよりやや強くなることに期待しており、中国人の自信はある程度強まっているが、依然弱者の心的態度もあり、さらに一歩の発展の余地もある、とする。

調査は、「どんな種類の行為が中国の国際的イメージを損ないますか」と問われた時、「一部の官僚の汚職腐敗」の挙げられた率が最高で57.3%に達したことをはっきり示している。だがこの比率は2012年に比べて8.2%低下した。被調査者の、「環境汚染」が中国の国際的イメージを損なっているとして挙げた率は42.9%に達し、2012年に比べ19%増加した。その次は「製品の劣った質と偽造の現象が深刻」(34.4%)、「国の人の非文明的行為」(27.6%)だった。


 中国で行われる世論調査自体の問題については基本的に毛沢東の時に書いたものと同じなので繰り返しません。日本ではそもそも自国を含めて「どの国が一番好きですか」なんていう調査を行おうという発想自体が浮かびにくいと思われますが、もしやったら間違いなく61.6%ははるかに超えるでしょうね。学歴が低い人ほど中国がすでに大国だと思っている、という調査結果にはちょっと笑っちゃいました。

















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