ドイツ語版「Wikipedia」によるH&K UCPの説明

 詳しい情報がなかなか出てこないH&K UCPに関し、しばらく前までドイツ語版「Wikipedia」にもごく簡単な内容しかなかったんですが、最近いくらか中身が増えたので紹介します。

http://de.wikipedia.org/wiki/HK_UCP


HK UCP

 UCP(Ultimate Combat Pistol)、別名P46は4.6mmx30弾薬仕様のヘッケラー&コックによるミリタリーピストルである。

全般的情報
軍における名称 HKUCP、P46
開発者/生産者 ヘッケラー&コック
開発年 2002〜2004年
生産国 ドイツ
銃器カテゴリー セルフローディングピストル/PDW
寸法
全長 200mm
全高 135mm
全幅 30mm
重量(空マガジン込み) 0.85kg
重量(21発フル装填) 〜1kg
照準長 約195mm
銃身長 130mm
テクニカルデータ
口径 4.6mmx30
可能なマガジン充填 20発
発射方式 ダブルアクションオンリー
サイト フロントおよびリアサイト

(頑住吉注:)目次省略します

開発

 UCPの開発は4.6mmx30弾薬仕様、つまり同様にヘッケラー&コックの銃であり新たに採用されたMP7と同じ弾薬を使用するハンドガンに向けたドイツ連邦国防軍の要求に起源が求められる。

 UCPはこの新弾薬を用いての卓越した経験に基づき、採用から長い年月が経過していないP8(伝統的弾薬9mmx19仕様)に取って代わることが求められている。

 UCPがドイツ連邦国防軍に採用されるのか、またそれがいつかは(2007年8月現在)まだ分かっていない。

目的

 UCPは4.6mmx30弾薬仕様のピストルを提供すること、そしてこれによりMP7を補完することを意図している。つまり特に、すでにMP7の使用が決まっているユーザー用に提供される意図である。

 これによりMP7/UCPコンビネーションは、ベルギーのFN HerstalによるFN P90とその「枝」であるファイブセブンの直接的ライバルとなっている。5.7mmx28弾薬仕様のこれらの銃はヘッケラー&コックの銃と同じもくろみを追い求めたものである。

 こうした新弾薬は、従来型のサブマシンガンあるいはピストルのように軽量でコンパクトな銃に、同時により高い命中精度、射程、貫通力をもたらすことを可能にすることを意図している。

弾薬

 新弾薬4.6mmx30は5.7mmx28同様、ほっそりしたボトルネック弾薬としてのその構造方式に基づき、例えば9mmx19、.40S&W、.45ACPのような丸い、あるいは先端をフラットにされた弾丸と、短いが太い薬莢を持つ従来型のピストル弾薬と比較して、いくつかのメリットを提供し、しかしデメリットも提供する。

 この弾丸の弾道は低進し、これにより射程は重要な程度に伸長する。それだけでなくこの弾丸はよろめき(頑住吉注:辞書にはこう載っていますが、経験上この分野ではいわゆるみそすり運動を指すようです)がより少なく、つまりはるかに命中精度が高い(頑住吉注:何度か触れていますが、原則としてバレル内に接する弾丸の前後長が長いほど命中精度が高くなる傾向にあります)。従来型のサブマシンガンやピストルを使うと、訓練を受けた射手でも50〜60mより遠い距離ではほとんど正確な命中が得られないが、4.6mmx30弾薬は200m以上でもなお精度が高く、つまりほとんどアサルトライフルのような射程を提供する。

 さらなるメリットは高い貫通力である。ピストル弾薬がたいていいわゆる「ハードターゲット」(つまり実際上は防御ベスト)によって傷害を引き起こすことなく簡単に跳ね返される(頑住吉注:説明不要でしょうがこれは適切な表現ではありません)一方、ハードコアを持つ4.6mmx30弾薬(いわゆるペネトレーターDM11)はCRISAT防御(1.6mmチタンと20層のケブラー)をするりと貫通する。

 さらに各弾薬につき6.8g、また各弾丸につき2.0〜2.6gという4.6mmx30の軽い重量を指摘する。これにより銃は小さなリコイルショックを持つ。9mmx19弾薬は2倍以上重い。

 構造から来る4.6mmx30唯一のデメリットは、「ソフトターゲット」に対する小さなマンストップ効果である(特に装甲破りのペネトレーターDM11の場合)。4.6mmx30は先端が尖っているので、フラットな、あるいは丸い弾丸よりもターゲットをより簡単に貫通する。そしてわずかなエネルギーしか伝達しない。特にそれがDM11のようにターゲット内で変形しなかった場合は。

 フルメタルソフトコア弾4.6mmx30ボールはこのデメリットを完全には埋め合わせることができない。この弾丸はターゲット内部で、たとえば7.62mmx51NATOのようには変形するが、マンストッピング効果をフルに発揮するには小さすぎる。

 しかしとりわけ不利なのは4.6mmx30がNATOスタンダードではなく、その上5.7mmx28という直接的な、地位を確立したライバル製品が存在することである。

技術

 マガジンは従来型のピストルのようにグリップフレーム内に収納される。ヘッケラー&コックのスタッフは遅延された後座を伴う新種の閉鎖機構を採用している。

ディテール
●右利き同様左利き用の操作エレメント
●モジュール形式のトリガー
●バレル下に追加器具受け入れ用のピカティニーレール

トリビア

●この銃のデザインはHK P30を強く想起させる。UCPの方がより長かったにせよ。

●ウルティメイトコンバットピストルの名には軍用であることを示す意図がある。

●別名のP46は、ファイブセブン(その名は使用弾薬5.7mmx28を暗示している)の場合と似て使用弾薬4.6mmx30を指摘することを意図している。

●間違って伝えられている噂とは異なり、UCPにはMP7の20もしくは40連マガジンは使用できない。

展望

 UCPの未来は現在(2007年8月時点)まだ未定である。ドイツ連邦国防軍での採用はありそうなことだが、保証されてはいない。

 民間マーケットでの大きな成功はありそうにない。4.6mmx30弾薬は高価で入手困難である。その上重要なアメリカマーケットではペネトレーターDM11は入手できない。そこでは徹甲弾薬を民間人に販売することは許されない。このDM11なしではUCPは防御ベストを貫通することができず、このため「シビルディフェンス」分野のためには魅力的でない。

 異なるトリガーグループおよびセーフティグループを持つUCPのさらなる諸バージョンが開発中である。


 一部のデータ、2007年8月現在まだドイツ軍ですら採用を決めていないという事実、ドイツでもストッピングパワーが疑問視され、また先行の強力なライバル製品の存在や民間での成功が見込めないことから先行きがさほど明るくないと見られているらしいこと、などには情報価値があると思いますが、やはりまだ詳しい内容は出てきていません。ただ、「Wikipedia」の性格からして、採用が決まれば比較的短時間で内容が変更されると考えられ、逆に言えばそれがなければ未定のままと見ていいでしょう。というわけで時々見てみようと思います。







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