ドイツ語版「Wikipedia」によるモデルガンの説明

 ドイツ語版「Wikipedia」に、「Modellwaffe」という項目がありました。モデルガンのことです。

http://de.wikipedia.org/wiki/Modellwaffe


Modellwaffe

 Modellwaffen(国際的にはModelgunsとも呼ぶ 頑住吉注:お尻に「n」がついていないのは単数形、ついているのは複数形です)は一般に、本物の手で持って撃つ銃(ピストル、リボルバー、ライフル、アサルトライフル、サブマシンガン、マシンガン)の、さまざまな縮尺で、非常に多様なディテール処理で、いろいろな素材で製造された模造品である。最も普通に使われている縮尺は1/1である。

 Modellwaffe(Airsoftgunではない)は最小のディテールに至るまでオリジナルにならって作られ、だが弾丸は発射できないことによって特徴付けられる。

 追加的にModellwaffenはその射撃シミュレーション上の性質によってさらに区別される。いわゆるBlowbackバリエーション(つまりリコイルショックをシミュレーションするモデル)が存在するが、これは本物の弾薬のような外観の特殊なカートリッジの助けを得、いわゆるFirecap(必要な運動エネルギーを供給する)を使用することによって発射時の機械的プロセスを体感するものである。

 第2のバリエーションは見せかけの弾薬(いわゆるDummys)を装填するが、射撃シミュレーションを可能にはしないModellwaffenである。こうしたモデルの場合、リピーター機能を学ぶにはマニュアルの装填が必要である。Modellwaffen領域における例外的存在は、例えばスイスの小規模量産メーカーLeon Crottetによって設計された1/2縮尺のモデルである。これはオリジナル銃器の、完全な射撃能力を持つバリエーションとして生産されている。

(頑住吉注:目次省略します)

歴史と発展

 Modellwaffenは、その起源を日本に持つ開発品である。そこでは第二次大戦終戦後、個人所有の銃器が厳重に禁止されているからである。

 最初のModellwaffenは日本において1950年代半ばに市場に現れた。だがこの時点で生産された実銃の模造品は非常に本物らしいとは言えず、ディテールにおいてオリジナルと一致していなかった。この結果需要は限度内に留まっていた。

 メーカーはオリジナルへの精密な適合に売上拡大の可能性を見た。こうして1960年代半ばから末、Modellwaffenはそのオリジナルにどんどん似ていった。これはモデルの多数がスチール薄板、真鍮、亜鉛・アルミニウム合金のようなソリッドなマテリアルで生産されるほどまでに進んだ。

 こうした状況を、このアジアの島(頑住吉注:単数形です)の機転の効く素人細工が趣味の人々が利用した。Modellwaffenを発射機能のあるものに改造するためにである。この結果これらは本物の弾薬を問題なく発射できた。

 政府が反応するのに長い時間はかからなかった。こうした産業部門にそのような改造を妨げさせる、法的な措置が企てられた。自主規制の枠組内で、Modellwaffen諸メーカー(例えばMarushin、MGC、Hudson、Tanaka、Shoei)は法的全面禁止に先手を打つことを試みた。この中で彼らは彼らのModellwaffenを、視覚的に明瞭に本物の銃から区別できるようにすることを決心した。彼らは彼らの製品をシルバー、ゴールド、あるいはクローム色にコーティングした。追加的にそれらには硬化処理されたスチール棒製のインサートが銃のバレル内に設けられ、またバレルは亜鉛から鋳造された。

 だが政府はスチール薄板やスチール材から作られた全てのModellwaffenを禁止した。これは特にMGC社製のMP40およびステンに該当したが、他のメーカの諸モデルも同様だった。その上所有者にはそのようなModellwaffenを売却あるいは譲渡することが禁止され、警察に渡すことだけが許された。

 この新規則は、Modellwaffenメーカーが製品の切り替えを行うことに寄与し、モデル群はますますプラスチックおよび亜鉛で製造されるようになった。つまりハイブリッドマテリアルが使用され、以後もなお問題なく市場に残ったのである。その上そうしたマテリアルはモデル群をできる限りリアルに維持し続けることを可能にした。

 しかし今日も、そのモデルを金属から製造するメーカーが存在する。例えばMarushin、Hudson、Tanakaである。

 今日Modellwaffenの需要はひどく落ち込んでいる。これは主にAirsoft-Waffenのブームに原因がある。と言うのは、ModellwaffenはAirsoftgunsとは異なり、弾丸を発射することは決してなく、単にそれぞれの本物の銃の機能をシミュレーションするのである。他方において、そのようなシミュレーションは実に印象的な見た目と音である。特にそれが例えばマシーネンピストーレの機能であった時には。

 はっきり示されたトレンドにもかかわらず、この分野の大手(Marushin、Hudson、New MGC)は再三にわたって大量生産されたモデル群を市場にもたらしているし、それだけでなくShoeiのような特殊化されたメーカーもである。

 Marushinはつい最近MP40、UZI、M16A1、XM177をABSおよび亜鉛構造方式で組み立てキットおよび完成モデルとして登場させた。Hudsonの代表機種はロシア製PPSH41の金属バリエーションである。支払い不能状態となったMGCの後継者New MGCは特にマシーネンピストーレMAC-10とM3グリースガンをミックス構造方式で提供している。ファミリー企業SHOEIは高品質のマテリアル(ほとんど金属のみ)製の最高級Modellwaffenを提供している。目下その品揃えはFG42、MP44、MG42、ゲベール43(G43)である。

 今日、過去に生産されたいくつかのModellwaffenは極度のレア品目である。特にこれにはMGCのMP40が挙げられる。これはそのスチール構造方式によりオリジナルに非常に近いものとなっている。一般的に、1970年代末から1980年代初めまでに市場にもたらされたModellwaffenは切望されるコレクター品目であると言うことができる。

 しかしModellwaffenはコレクターおよび技術に強い興味を持つ人々の間だけで切望される品物ではない。映画産業もそれらを、安価で面倒が非常に少ない(特に法的制約の観点から)映画用の代替品であると気付いている。例えば映画「フルメタルジャケット」には大量のMGC製M16A1が使用された。

Modellwaffenのタイプと機能

 いろいろなModellwaffenは前述のように次のようなグループに分類できる。

●Dummy弾薬、つまり見せかけの弾薬を使用するモデル群。

●Blowback機能を持つモデル群。これは弱い装薬によって本物の銃の機械的機能をシミュレーションするModellwaffenを言っている。

●正確な縮尺で小型化された本物の弾薬を使用するモデル群。いくらか財力のある人のみのためのもの。

 最後に挙げたバリエーションは新しいものであり、さらなる進路はこれ以上論じない。これについてさらに情報が欲しい人は、メーカー、Leon Crottetのウェブサイトに注意を(頑住吉注: http://www.waffen-crottet.ch/ 率直に言って発射機能があるミニチュアはいわゆるモデルガンとは全く別物でしょう)。

 全てのModellwaffenはファイアリングピンを持たない。このため誤って本物の弾薬を使用した場合でも問題はない。

 DummyModellwaffeはオリジナルと非常に近い。このタイプのモデルは、弾薬を表現したものを装填できるように設計されている。送弾、トリガーの引き、マニュアルによる排莢も可能である(操作者自身によって行われる連発)。このタイプには最小まで分解できるモデルが存在する。

 ブローバックバージョンはおそらくModellwaffenの中で最も広く普及したバリエーションである。一般にこうしたモデルも同様にオリジナルに似ている。しかし、しばしばメーカーは安全上の理由から最小限本物の銃の寸法から逸脱させている。部品の交換を妨げるためである。このため、例えばHudsonのPPSH41の閉鎖機構は約2mm本物のそれより幅が大きい。他の例はMarushinの金属製MP40である。この場合マガジン収納部がオリジナルのエルマによるマシーネンピストーレより大きい。これは例えばオリジナルのマガジンを挿入しようとした時すぐに気付く。

 しかしDummyバージョンとの最大の差は、このバージョンは銃の機能をシミュレーションするということである。これは1970年代末までに、いわゆるPapercapsの使用によって達成された。これは紙で作られた器に黒色火薬が充填されたものだった。このもろい、そして非常に信頼性の低い装薬はどんどんMarushin社のいわゆるPFC(Plugged Fire Cartridges)、そしてMGC社のCP(Cap Plug)Cartridgesに取って代わられていった。

 構造に制約されてこの最後に挙げたカートリッジバリエーションを使用するModellwaffen群は、オリジナルに比して非常に本質的な変更点を示す。すなわち、チャンバー内にスパイク(デトネーターまたはファイアリングピンとも言う構造部品)が組み込まれている。これはノーマルな射撃方向とは逆に取り付けられている。このピンはカートリッジ内の装薬(Firecapとも言う)を発火させる。

Blowbackカートリッジ諸タイプ

 全てのModellwaffen、特にオートマチックは同じ技術に基づいている。それぞれは他と似ている。それらは得ようと務められる銃の機能をシミュレーションするために力を必要とする。この力は1981年以来、カートリッジ内にセットされるPlastic CapであるいわゆるFirecapによって生み出されている。

 そういうわけで、Modellwaffen諸メーカーはその製品の最適化のため、この時代からカートリッジの改良に対する関心を強めてきた。彼らの開発作業の前面にあったのは特にフラッシュの強さ、良好な力の発揮、装填障害の回避、より少ないメンテナンス、クリーニングの手間といったファクターだった。

 最もポピュラーなカートリッジシステムは次のメーカー製である。

●Tanaka(Tanaka Parallel Division Cartridge)
●Marushin(New Marushin Plugged Fire Cartridge=PFC)
●MGC(Cap Piston Heavy Weight Slide Cartridge=CP-HW)

Tanaka Parallel Division Cartridge

 このersonnene(頑住吉注:辞書に載っていません。語の成り立ちからして「日の当たる」、あるいは転じて「ハッピーな」といった意味ではないかと思われます)システムはCP-HWと非常に似ているが、Tanakaによって改良されている。この5mmFirecap用に作られたカートリッジは、6つの個別部品からなっている。唯一の可働部品は弁であり、これはFirecapが位置する包底面方向に動く。

 このカートリッジのメリットは、1つには良好な力の発揮、また1つには良好な騒音の発散である。その上このTanakaシステムはクリーニングが容易である。

 不利なのは手間のかかるロード手順と、使用後このカートリッジを時間を置かずにクリーニングする必要性である。

Marushin New Plugged Fire Cartridge

 このシステムの場合、Firecapは弁の下側に位置する。弁の動きによってFirecapは包底面方向に共に動く。これが本質的な構造的差異である。Marushin New PFCには5mmおよび7mmFirecap用がある。Tanakaカートリッジ同様このカートリッジも6つの部品からなっている。

 このカートリッジもTanakaのそれ同様に良好なものだが、装填障害が起きる可能性がある。構造上Firecapがカートリッジ内を移動しなければならないからである。これは機能障害の元である。さらにこのカートリッジもクリーニングが難儀である。使用されている気密リング(O-Ring)が組み込みにくいからである。

MGC CP-HW Cartridge

 このMGCによるカートリッジはMGC(今日はNew MGC)とならんで、Tanaka、Hudson、Kokusaiによっても使用されている。このシステムの場合、Firecapは包底面上に位置している。弁はCapに向けて動き、これに点火する。このCP-HWには5mmおよび7mmFirecap用の型がある。このシステムはその高い信頼性によって際立っている。このカートリッジは気密のためにO-Ringを使用することにより非常にパワフルである。そういうわけでHWという概念も加わっている(このカートリッジは重いスライド/閉鎖機構を動かすためのもの)。このMGCによるカートリッジは部品が5つのみとなっており、これはクリーニングの手間を減らしている。

Firecaps

 今日使用されているFirecapは小さな帽子のような外観のプラスチック製キャリアからなっている。この上部がオープンな構造体内に火薬(赤燐らしい)が固定されて位置している。

 Firecapは直径5mmおよび7mmでMarushinおよびMGC両社によって提供されている。1つのパッケージ内にはそれぞれ50または100個があり、これらはフレキシブルな枝状のものに固定されている。性質のクリアな判別のため(装薬のパワー、音の強さ、効果)、Firecapはゴールドあるいはシルバー色とされている。

メーカー

Marushin、MGC、New MGC、Hudson、Shoei、Crottet

法的位置

 ドイツ連邦共和国における銃器法改正以来(この改正では重要な点としていわゆる外観パラグラフがなくなった)、特に軍用銃(戦争銃)の模造が可能になった。これはDummy弾薬と共に供給されるModellwaffenの全てのケースに該当する。

 フルオートマチックで作動するBlowback模造品の場合、目下まだグレーゾーン内で行われている。これは次のような理由からである。こうしたモデルは1.その外観、2.その弾丸発射機能の欠如に基づき、もはや銃器法の範囲内にはない。しかしこれまでのところ、それらがそれでも銃器法の範囲内にないのかどうかには異論の余地がある。それらがフルオートマチックで機能するからである。こうした論は、Firecapと組み合わせたカートリッジは弾薬として銃器法のi.S.(頑住吉注:意味不明です)に該当し、そしてこれによりブランクガンと同一視される、というところから来ている。そのようなケースではフルオートマチックのBlowback Modellwaffenは本来禁止される。しかしFirecapの装薬量は法的な境界値を下回っており(15mg)、そしてそれにより銃器法の範囲内にはない。これは常識的には恐るべきものではない。


 まさかこんなに詳しい内容だとは思いませんでした。しかしお気づきでしょうが間違いも非常に多いようです。

1.「日本〜では第二次大戦終戦後、個人所有の銃器が厳重に禁止されている」:以前紹介した「スイス銃器マガジン」の記事にも「Visier」の記事にも同様の記述がありましたが、これでは知識のない人は全面禁止と誤解するでしょう。なお、どの程度民間用の銃が存在するのか見当がつかなかったので検索したところ、「平成11年末における都道府県公安委員会の所持許可を受けた銃砲の数は45万3,666丁であり,このうち猟銃及び空気銃が40万8,201丁と全体の90.0%を占めている。」(平成12年警察白書)という記述が見つかりました。意外に多いですね。空気銃は実銃と見なさない国が多いようですが、猟銃のみでも無視してかまわない数ではないはずです。

2.「最初のModellwaffenは日本において1950年代半ばに市場に現れた。だがこの時点で生産された実銃の模造品は非常に本物らしいとは言えず、ディテールにおいてオリジナルと一致していなかった。この結果需要は限度内に留まっていた」:初期の、現在の基準からすればリアルとはとうてい言えない、また貨幣価値からすれば高価だったモデルガンが、当時は非常によく売れた、という話を聞いたことがあるんですが、あるいはこれはもう少し後のことかも知れません。

3.「モデルの多数がスチール薄板、真鍮、亜鉛・アルミニウム合金のようなソリッドなマテリアルで生産されるほどまでに進んだ。」:うーん、「亜鉛・アルミニウム合金」なんて当時使われていないと思うんですが。

4.「自主規制の枠組内で、Modellwaffen諸メーカー(例えばMarushin、MGC、Hudson、Tanaka、Shoei)は法的全面禁止に先手を打つことを試みた。」:松栄は当時存在していなかったでしょう(一時期のみブランド名を出した「スズキ」など、ブランド名を出さずに活動するメーカーもあるので断言はできませんが)。またCMCなど、現存しない重要メーカーに対する言及が一切ありません。

5.「彼らは彼らの製品をシルバー、ゴールド、あるいはクローム色にコーティングした。」:金属製モデルガン(ハンドガン)は銀色では許されないという解釈になっているはずです。また筆者はどういう種類が金属でも許されているのか理解していないようです。

6.「Marushinはつい最近MP40、UZI、M16A1、XM177をABSおよび亜鉛構造方式で組み立てキットおよび完成モデルとして登場させた。」:終わりの方の記述にあるようにドイツで軍用銃の模造品が許されるようになったのは最近らしいので、これら非常に古いモデルがドイツではつい最近登場した、ということでしょう。細かいことですがXM177ではなくXM177E2、亜鉛ではなくアルミが正しいと思われます。

7.「New MGCは特にマシーネンピストーレMAC-10とM3グリースガンをミックス構造方式で提供している。」:前者はM11、後者はハドソンの間違いでしょう。

8.「全てのModellwaffenはファイアリングピンを持たない。このため誤って本物の弾薬を使用した場合でも問題はない。」:センターファイアのハンドガンもあるので前半は間違いでしょう。しかしそれも先端は尖っていないので後半は正しいと思われます。

9.「しばしばメーカーは安全上の理由から最小限本物の銃の寸法から逸脱させている。部品の交換を妨げるためである。」:これは意図的なものではないでしょう。挙げられた2機種は設計が比較的古く、一方ダミーモデルは比較的新しい設計のものが多くて正確な寸法になっているものが多い、というだけの話だと思われます。

10.「装填障害が起きる可能性がある。構造上Firecapがカートリッジ内を移動しなければならないからである。これは機能障害の元である。」:少なくともマルシン製キャップを使用する限り装弾不良を目立って増加させるとは思えません。私は使用するキャップ自体をパッキングに使用し、いわば自動的に毎回交換されるこのアイデアは非常に優れたものだと思っています。ちなみに「気密リング(O-Ring)が組み込みにくい」ともありますが、あれって普通クリーニング時には着脱しないのでは。

11.「このMGCによるカートリッジはMGC(今日はNew MGC)とならんで、Tanaka、Hudson、Kokusaiによっても使用されている。」:コクサイは使っていないと思いますが、まあブローニングM1910に使われたカートは非常に近いものでしたね。ただし出現はCPより前でした。タナカ、ハドソンもCPと称しては使っていないのでは(あまり自信ないですが)。

 私はいい年ですが、それでも初めてモデルガンを買った中学生時代にはすでに黒い金属製ハンドガンはなく、それ以前の時代の歴史についてはあまり詳しくありません。これ以外にも間違いはあるかもしれませんが、そんなわけで指摘はできないです。









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