タイプW モデル1ピストル製作記

これはタイプWモデル1ピストルのの製作情況をリアルタイムでお知らせしたものです。なお、他のページと重複する画像は削除しました。


 ワルサー モデル1ピストルはカール ワルサー社初のオートピストルで、大ヒット作であるブローニングM1906(コルトポケットのFN版、ただし発売はこちらが先)に対抗して1908年に発売されたドイツ初のベストポケットピストルです。口径.25ACP、ストレートブローバックといった特徴は普通ですが、パテントを取得した独特の分解方法、クロスボルトセーフティなどユニークな特徴も持ち、これもヒット作となりました。ただしその特徴は以後のモデルにほとんど受け継がれておらず、この1作で終わっています。有名ピストルメーカーの事実上のデビュー作であり、注目すべき特徴を持ちながら後に影響をあまり及ぼさず、詳しく知られてもいないといった性格に惹かれ、以前から作ってみたいと思っていた機種です。



 今こんな状態で、マガジンキャッチ以外の機能はほぼ出揃っています。今回も擬似ブローバックモデルですが、ベストポケットサイズは初であり、最小モデルということになります(ちなみに今までの最小はPSM)。

http://www.mek-schuetzen.de/Blueprints/walther_modell1.jpg

 実銃の構造に関してはここを参照してください。この銃はほぼ垂直に上下動するシアを持ち、トリガーを引くとトリガー、トリガーバー、シアレバー、シアと力が伝達されてシアが下降し、ストライカーを解放するシステムになっています。今回はスライドを固定するシアを実銃におけるシアと置き換え、実銃と極めて近いトリガーメカニズムにしてみました。シアの下降をブロックするクロスボルト式セーフティも実銃とほぼ同じになっています。分解方法は鉄で精密に作った実銃でもやや問題があったシステムなのでアレンジせざるを得ませんが、大筋実銃に近いものにするつもりです。また今回は初めてプランジャー式エジェクターを再現する予定です。実銃ではエキストラクターにリムをかまれた薬莢が中央をファイアリングピンに押され、バレルから出たところでエキストラクター側にひねられて排出されるという、ファイアリングピンがプランジャー式エジェクターを兼用するブローニングM1910等と同じシステムになっています。製品ではコックされないストライカーを設け、カート底部の中央でなく下部を押して排出するようにしています(エキストラクター、排莢方向は真上)。プランジャー式エジェクターは固定されたエジェクターにぶつける通常の形式より難易度が高いと思われるので避けてきましたが、今回試してみると意外にうまくいきました。実物ダミーカートも一応排出されますし、PSMのカートなら「飛ぶ」と言える程度に勢い良く排出されます。

 この銃も製品独自の固有名詞を持たないので製品名が難しいですが、国内でワルサーの商標権を持っているメーカーに敬意を表して(笑)、「タイプW モデル1ピストル」なんてのはどうかと考えています。

 マカロフの交換グリップと同時進行なので最初多少遅くなると思いますが、進行はこのコーナーで随時お伝えしていく予定です。

2月17日



 今こんな感じです。マガジンキャッチ等も含め銃の機能は完全に出揃い、後は細部の造形だけです。コクサイのコルトポケットとほぼ同サイズですが、全体にかなりエキゾチックなデザインであるのが分かります。

2月22日



 造形が大筋終わり、間もなく型取りに入ります。

3月7日

 非常に複雑な型にならざるを得なかったのでちょっと時間がかかりましたが、昨日試作第一号が完成しました。ということで、

 排莢は非常に快調で、ちょっと不安だったプランジャー式エジェクターには全く問題がないことが分かりました。排莢の確実性にさえ問題なければ、この方式はエキストラクターの爪でかんだリムをエジェクターにぶつける通常の方式より爪やリムの欠け等の破損が起きる可能性がずっと小さいはずです。
 またかと言われそうですが、カール ワルサーのイニシャル入りプラスチック製グリップの再現には問題がありそうなのでプレーンの木製風にしました。ちなみに実銃は長期にわたって大量に生産されているので木製、パール、アイボリーなどのグリップがあったと想像されますが、実際の写真等は見たことがなく、手持ちの資料にも言及がありません。

 発売はたぶん今月下旬、価格は完成品15,000円、キット8,000円程度を予定しています。





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