ロシア製戦闘機エンジンの動向

 「中国製エンジンに欠陥」というタイトルに興味をそそられて読んでみたんですが、一番興味深い部分はそこではありませんでした。

http://military.china.com/top01/11053250/20121212/17577145.html


ロシア:WS-10Aには多くの設計および技術の欠陥があり、今に至るもまだ消し去られていない

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「中国国産の太行エンジン(尾部噴射口)。中国軍事画像センター 記者喬天富撮影」)

【グローバルネット総合報道】 ロシアの週刊「軍工信使」12月12日の報道によれば、ロシア軍事航空工業の永久不変のエンジンとして、40年余り前に第4世代戦闘機のために研究開発されたAL-31Fの潜在能力は無尽蔵であり、その技術的パラメータは今に至るも依然トップレベルにあり、その技術的潜在能力は依然持続的グレードアップ改良の需要を満たすことを保証できる。AL-31Fファミリーはすでにロシアエンジン製造業の安定した性能の象徴となっており、ここ2年における中ロの新段階の軍事技術協力の基礎となり、しかもその最新の成果はさらに第5世代戦闘機に使用される推力がより大きく、比重がより小さい全く新しいエンジンの研究開発プロジェクトにも応用されている。

ロシアメディアは言う。ロシアの新任の国防大臣ショイグが初めての外国訪問に中国を選択したのは完全に人情や道理にかなっている。中ロ軍事技術協力は20世紀末に一度非常に活発だったが、21世紀初めに深刻な低下に遭い、ここ2年になってやっと新たに活力が戻った。中ロ軍事技術協力の新段階の基礎はまずAL-31F系列航空エンジンの輸出、供給である。1990年代、ロシアの国防工業システムにとって極めて壊滅的な時期において、まさにAL-31Fエンジンが非常に大きな程度上スホーイ-27、スホーイ-30系列多機能戦闘機の国外市場における商業的成功を保証し、したがってロシア軍事航空工業を救っただけでなく、エンジン製造業界全体も救ったのである。現在AL-31F研究開発者はまだ長年累積してきた経験と成果を利用し、第5世代戦闘機T-50のために原則的には新型のエンジンを生産している。

モスクワの「サターン」機器製造工場(現在は「サターン」科学生産連合体グループ社傘下にある)が研究開発したAL-31Fエンジンは当時第4世代戦闘機スホーイ-27の動力装置に選定された。主要な任務はロシア製戦闘機に、アメリカの同類戦闘機F-15に対する優勢を獲得させることだった。ソ連中央航空エンジン製造研究所は、AL-31F、Dー30F-9、R-59F-300という3種のエンジンの作動分析結果を根拠に、1971年にAL-31Fエンジンを重点的に研究開発する決定をした。プロジェクト検証機T-10-1は1977年5月20日から試験が開始され、1982年までに全部で9機のこのような試験サンプル機が製造され、全てにこの1世代前のエンジンAL-21F-3が装備された。将来航空エンジンの研究開発作業は1974年から開始され、最初のタイプのAL-31Fエンジンは高、低圧2段階タービンと低圧圧縮機を使用し、技術性能は戦術任務要求に符合しなかった。その後新型のダブル回転子ターボジェットアフターバーナーエンジンが研究開発され、同時に徹底的にT-10C戦闘機の構造が設計し直され、大幅に空力性能が改善され、変速機ケースとあらゆる部品が全て上にあるもう1種の航空エンジンレイアウトが採用された。1985年8月6日、AL-31Fエンジンは国家試験受理文書に正式に署名された。新エンジンは最大推力12.5トン、1段階の高・低圧タービンと高圧圧縮機、およびサイクロン渦流タービンブレードを使用し、大幅にエンジンの寿命を延長した。これまでのエンジンの使用寿命は70時間を超えず、当時ロシア空軍は少なくとも300時間に達することを要求していた。エンジンの寿命延長はずっと主要な作業の方向性で、現在この指標はすでに1,000時間に達している。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「ロシアのAL-31型エンジンの尾部噴射口の特写」です。)

ロシアメディアは言う。当時確定したAL-31Fエンジンの主要なメーカーはウファ市エンジン製造生産連合体で、後にやっとモスクワ市の「礼砲」機器製造工場(現在は「礼砲」ガスタービンエンジン製造科学生産センター傘下にある)の加入を引き込み、当初は個別の部品だけを生産していた。後に労働分業に基づき、ウファ企業はエンジンの冷却システムを専門に生産し、「礼砲」企業は燃焼発熱システムを担当した。新型のAL-31FP回転ノズルエンジンは1989年に初めて試験が行われ、その後の推力ベクトルエンジンの検証サンプル品は1996年4月にスホーイ-35戦闘機によって飛行試験が行われた。この期間、エンジンノズルの有効なコントロールが特別に重視された。しかもエンジンの活動と固定部分の信頼性を緊密に結合させる目標を実現する中で最も複雑な任務が解決され、最終的に定型に至った製品はスホーイ重戦闘機の世界的に有名な機動性と信頼性を保証した。量産型のALー31FPエンジンはスホーイ-30戦闘機に装備されて使用され、初の輸出型機が使用したAL-31FPエンジンはウファ企業によって製造され、1996年に署名された契約に基づき、インド空軍に供給される40機のスホーイ-30MKI機のために80台のエンジンが生産された。1990年代を通じAL-31Fエンジンの生産は輸出対象を根拠に定められ、このうちインド向け輸出機のエンジンはウファ企業によって生産され、対中国輸出機のエンジンは「礼砲」企業によって生産された。アルジェリアとマレーシアが輸入したスホーイ-30はウファ企業製のエンジンを使用している。ベトナムとインドネシアはモスクワ企業の生産したエンジンを使用している。ベネズエラの24機のスホーイ-30MKV2が使用するエンジンはモスクワおよびウファ企業によってそれぞれ半分ずつ生産された。

ロシアメディアは言う。1989年6月の事件(頑住吉注:天安門事件)の後、西側は中国に対し武器と軍事装備の禁輸制裁を実施し、中国国産殲-10単発軽戦闘機の研究開発プロジェクトは生きるか死ぬかの危機に遭遇した。殲-10の研究開発の基礎はイスラエルの「クフィル」式戦術戦闘機で、この機はアメリカの圧力下で1986年に停止が迫られ、F-16戦闘機の共同生産に改められた。だが、「クフィル」式戦闘機の研究開発の成果はイスラエルによって国際合同プロジェクトに応用され、中国に提供された。殲-10は当初アメリカのプラット&ホイットニー社がわざわざ生産するPW-1120エンジンを装備するはずだったが、禁輸後代替方案を探すことが迫られた。中国軍の最高指導者は最終的にロシアのAL-31Fの改良型であるAL-31FNを選択した。「サターン」企業はその後1992〜1994年に中国サイドが前払いした資金を使用して中国の殲-10プロジェクトのために最初の14台のエンジンを研究開発し、ソ連解体後のロシアエンジン企業が初めて新しいものを作り出す試みとなった。その後ロシア航空宇宙局はモスクワの「礼砲」企業によって中国のためにAL-31FNを大量生産することを決定し、同社は直ちに「サターン」企業と技術移転と引き替えに金を払う協議を成立させ、エンジン技術研究開発サイドは対中国エンジン輸出の収入の8%を得、これはおよそ1台あたり25〜30万アメリカドルに相当した。後に販売価格は250万アメリカドルから徐々に350万アメリカドルまで上昇した。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「中国の殲-10戦闘機もAL-31Fエンジンを使用中である」です。)

実際にはALー31F系列エンジンの輸出はとっくに戦闘機販売の影響を受けない独立自主の性質を備え、これは中ロの軍事技術協力という背景下では当別にはっきりする。AL-31Fは中国航空エンジン製造業の状況の独特な試金石となっている。もし中国国防工業がしばしば多くの方向における重大な研究開発上の成就を見せていると言うなら、エンジン製造方面において中国はしばらくはまだ国産戦闘機のために比較的信頼製の高いエンジンを大量生産する能力はない。まさにこのために中国は今に至るも依然殲-10、殲-11B/BS戦闘機のためにAL-31F系列エンジンを購入し続けている。1996年、中国は200機のスホーイ-27SKのライセンス技術を得て、2007年末までに全部でこのうちの105機を組み立てた。その後このプロジェクトを放棄し、重点的に殲-11を研究開発し始めた。中国は殲-10、殲-11のためにわざわざWS-10A「太行」国産ターボジェットエンジンを研究開発し、しかも広く宣伝したが、その寿命は非常に長いとは言えず、しかも多くの設計および技術的欠陥があり、今に至るも依然完全に消し去られてはいない。このため中国はまだロシアのエンジンを購入中なのである。中国当局の情報によれば、WS-10Aエンジンは2015年末までに大量生産に入るべきであるが、この期限は明らかに楽観的に過ぎるようだ。中国のロシアエンジンに対する依存から脱する努力がしばらくの間挫折した後、2009年に中国はAL-31F/FNエンジンの購入を再開し、しかも中国の発注規模は大きくて、「礼砲」企業の生産能力のやりくりがつかず、ほとんど要求を満足させられない結果がもたらされた。2009〜2011年に双方は400台近いエンジンの供給契約に署名し、しかも関連のエンジンの発注総量は1,000台に近づいている。2011年の契約に基づき、ウファ企業はさらにこの他に140台のALー31FNエンジンを供給中で、もって殲-11多機能戦闘機に使用される寿命がすでに来たエンジンを交換している。

ロシアメディアは言う。近年ロシア企業は依然AL-31F系列エンジンの性能を改良し続けている。「礼砲」企業社長マサロフは、AL-31Fの動力性能は現在すでにロシア空軍が装備を計画するスホーイ戦闘機の技術任務要求を完全に満足させられず、特に新型の量産型スホーイ-34前線爆撃機と大規模改良型スホーイ-27SM多機能戦闘機に関してはそうだ、とする。現在「礼砲」企業が生産するAL-31F-M1(42系)新型エンジンの推力はさらに大きく、しかも寸法を変えずに推力を13.5トンにまで高めている。現在このエンジンは量産中で、装備対象はスホーイ-27SMで、この他さらにスホーイ-27、スホーイ-30に用いられることになり、さらに19機のスホーイ-33艦載戦闘機の維持修理に用いられる可能性もある。次の段階の任務は来年AL-31F-M2エンジンの大量生産を開始することで、試験結果はすでにその最大推力が、燃料消耗が低下し、アフターバーナーを使わない状況下で14.5トン、規定寿命は3,000時間にまで増加することが確認されている。しかもその装備対象のスホーイ-27SMあるいはスホーイ-34には機体構造あるいはエンジンルームにいかなる改変も行う必要はなく、直接部隊に装備し、使用できる。

これと同時に、長時間の論争と争奪を経て、第5世代戦闘機T-50のために新型エンジンを研究開発する任務はすでにロシア連邦エンジン連合製造グループによって内部で分配され、しかも「礼砲」企業の参加も呼び込む。2大競争相手として、「サターン」企業は「イエニサイスク-A」エンジンの研究開発を担当し、「礼砲」企業は「イエニサイスク-B」を研究開発する。ロシア当局はまだ正式にどの企業の製品が最終的に勝利したか言明していない。現在T-50はしばらくの間「サターン」企業、ウファ企業、スホーイ設計局が合同研究開発したAL-41F1エンジンを使用している。すなわち117S製品であり、その基礎はAL-31Fであり、同時に第4++世代戦闘機スホーイ-35のために研究開発されたAL-41F1Sエンジンの成果を部分的に参考にしている。現在T-50研究開発の第1段階のためのエンジンの推力は15トンに達し、タービンの直径はやや増加し、推力ベクトルは全方向にコントロールでき、自動化されたデジタル制御システムを採用している。第2段階の正真正銘の第5世代エンジンはより大きな推力、より小さな比重を持つことになる。新型エンジンの正確なパラメータ、および製品研究開発過程自体に関しては、いずれもまだ厳重な秘密保持状態にある。


 中国が現行のエンジンのコピー生産で苦しみ続ける中、ロシアはこのようにどんどん先に進んでいるわけで、これでは殲-20がT-50にかなうはずがないのではないでしょうか。当然将来中国がインドに対抗する上で不利になりますし、パキスタン(殲-31を売ってもらったとしても)がインドに対抗する上でも不利になります。ロシアがそう簡単に最先端のエンジンを機組み込み状態でなく単体で中国に売るとは思えませんし。











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