中国の潜水艦、タイの競争入札に勝利

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http://military.china.com/important/11132797/20150629/19920794.html


中国の潜水艦、タイで高価格をもって勝利を得る 「百年の老舗」ドイツ潜水艦を打ち破る

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「S-26Tは中国の輸出型潜水艦S20系列の製品である」)

タイの潜水艦は中国製

今週金曜日の「バンコクポスト」は、タイ海軍はすでに中国の潜水艦購入を確定している、とした。報道によれば、タイ海軍調達委員会内部の情報源は、海軍はすでに中国製潜水艦の購入を決定しており、3隻の潜水艦の1隻あたりの価格は120億タイバーツで、約3.55億アメリカドルに相当するとしている。

中国が今回打ち破った主な相手は韓国およびドイツである。韓国が提供した潜水艦方案はドイツ製209型の改良型「張保皐」型潜水艦を提供するものであるため、今回の競争は中国・ドイツ両国の潜水艦の間の競争と見なすこともできる。1960年代末にやっと潜水艦完全国産能力を具備した中国にとって、「百年の老舗」ドイツ潜水艦を打ち破ったことだけでもう中国潜水艦工業を誇るに足りる。

タイメディアの説明によれば、ドイツの209/1400型のオファー価格は2.9億アメリカドルで、210型潜水艦の価格は不詳である。韓国の「張保皐」級の建造価格は3.3億アメリカドルで、中国のS-26T型潜水艦の交渉成立価格は3.55億アメリカドルだった。中国の潜水艦の価格は最高で、それにもかかわらずタイ海軍の歓迎を受けた。この中の秘密を解くためには、さらにこの3種の潜水艦の中から分析しなければならない。

この何種かの潜水艦の中で、結果に最も懸念がなかったのは当然韓国の「張保皐」級潜水艦である(頑住吉注:勝利の希望がない、という意味のようで、中国にとってライバルとして不安がない、という意味でしょうか)。この潜水艦はドイツ製209/1200型潜水艦をベースに発展してできたもので、韓国のこれに対し行った改良は主に武器システムと探知計測システムをグレードアップしたことである。比較するとドイツ製209/1400型のトン数はより大きく、武器および探知計測システムの差もいくらもなく、さらに価格は4千万アメリカドル安く、加えて原産国であり、当然韓国の「パクリ品」に比べ魅力を持つだろう。ドイツ製210型はより先進的だがこの潜水艦のトン数はより小さく、1,100トンあまりしかなく、性能はずば抜けているが、水中持続作戦能力は明らかにより大きな潜水艦に及ばない。

中国が提供するS-26T型に関しては、排水量2,000トンを超える大型通常潜水艦で、かつAIP動力システムを配備し、水中をより長く航行できる。比較するとより大きな潜水艦はより多くの武器を搭載でき、より長い自力持久力をも持ち、潜水艦を購入してベトナムの「キロ級」に対抗することを希望するタイにとって、最も適した選択と評価される。中国の潜水艦は価格が最高だが、トン数の大きさはその他2者の方案をはるかに超え、20万のSUVが使いやすくありさえすれば、明らかに18万のセダンよりもより高いコストパフォーマンスを備えているわけである。

(頑住吉注:これより2ページ目。なお以後のページのキャプションは本文の一部を切り取ったものなので省略します。)

この点はタイサイドの態度表明からも見て取れる。情報源は、中国が勝利を獲得した原因は彼らの提供する潜水艦がよりずば抜けた武器と技術を持っていることだ、とする。また中国の潜水艦は水中により長い時間留まることができる。しかもタイ海軍当局者は、中国は軍事技術移転を提供し、かつ艦員の訓練サービスを提供することを希望している、と語る。

中国の潜水艦は高い価格をもって勝ちを得たが、この潜水艦は国際市場の普通の価格に照らせばそれでも非常に安いと言える。この前パキスタンは中国から8隻の潜水艦を購入し、トン数はS-26Tに近いかもしれないが、価格はタイのS-26T型をはるかに超え、8隻の潜水艦の総額は50億アメリカドル近く、1隻あたり平均の潜水艦の価格は6億アメリカドルである。中国・パキスタンの友好関係を考慮すれば、中国が対パキスタン兵器販売の上であまり大きく金額を水増しするはずは決してなく、唯一合理的な解釈はタイに授与するS-26T潜水艦が低ランク配置で、多くの有線誘導魚雷、対艦ミサイルなどの高級製品を含まない、というものである。国際的に類似の等級の通常潜水艦の価格も皆5億アメリカドル以上である。このように見ると、外界が推測するいわゆるタイの潜水艦が国産「魚-6」熱動力有線誘導魚雷を装備する可能性は決して高くない。結局のところこの種の高性能魚雷の価格は非常に高く、1発ごとに数百万アメリカドルにも達し、すでに3.5億アメリカドルにまで「価格破壊」された潜水艦上に出現するのは、実際のところあまり現実的ではない。

中国とタイの軍事協力の基礎は堅実で、タイ海軍の少なからぬ主力艦艇は「中国製」である。1988年、タイ海軍は中国から4隻の053HT型「江湖」級(タイは「昭披耶」級と命名)護衛艦を購入した。タイ海軍は、「江湖」級の作戦効能はドイツの「メイコー-200」型護衛艦の85〜90%だが、価格はドイツの軍艦の1/4でしかなく、このため非常に割に合う、とする。1991年、タイ海軍はまた中国から2隻の全く新しい設計を採用した「納来頌恩」級護衛艦を購入した。この級の艦はアメリカ製艦砲、「ハープーン」対艦ミサイル、MK-41ミサイル垂直発射モジュールを配備し、きわめて強い「兼用能力」をはっきり示した。加えてタイはその後2隻の「北大年」型巡視艦を購入し、タイ海軍の主戦護衛艦はほとんど全部中国由来である。護衛艦の導入後、続けて中国が研究開発した潜水艦を購入するのは、タイ海軍にとって明らかに理の当然と言える。

タイ海軍はアジアで比較的早く潜水艦を持った国の1つで、第二次世界大戦前に早くも日本製の小型潜水艦を装備した。だがその後タイ海軍はもはや潜水艦を持つことはなかった。タイの1980年代における国防戦略の重点は陸上国境で、ベトナムがカンボジアから軍を撤退させるのと共に、タイの戦略の重点は海上に転じ始め、したがって海軍建設を加速した。潜水艦の装備も当然考慮の1つとなった。

東南アジア諸国もここ何年か潜水艦部隊の建設速度を加速しており、現在東南アジア地域ではすでにシンガポール、ベトナム、マレーシア、インドネシアが潜水艦を装備し、タイ、バングラディシュも潜水艦を装備することになり、もしフィリピンが計画中の潜水艦を算入すれば、将来この地域の潜水艦の数は30隻を超える可能性がある。東南アジア地域の「水中の競技」がいかに発展するのかは、明らかに関心を注ぐに値する1つの問題である。


http://military.china.com/news/568/20150630/19927646.html


ロシアメディア、中国の新型潜水艦はロシア、日本に遜色があるとする ロシアの最新技術を欲しがる

「バンコクポスト」の報道によれば、タイは中国から3隻の総額10億アメリカドルを超える041型潜水艦を購入することを決定した。これに対しロシア衛星ネットは6月29日に戦略・技術分析センターの専門家ワシーリ コーシンの文章を掲載し、この交易がひとたび成功裏に実施されれば、中国の武器輸出に対してだけではなく、さらには中国のASEAN地域における外交政策に対しても重要な意義を持つ、とした。

コーシンは衛星ネットのために執筆した文章の中で、この前中国はすでに成功裏にパキスタン向け潜水艦供給の大口契約を締結済みであると指摘した。通常、パキスタンが中国から重要な武器を購入するのでない限り、必ずインドの阻止を受け、インドはパキスタンに武器を販売する供給商とは一切の関係を断絶すると威嚇する。インドは世界の重要な武器市場の1つであるため、このリスクを冒したがる人は非常に少ない。

だがタイはそれとは違い武器メーカー相互の競争が相当に激烈な市場である。タイにとってロシア、フランス、あるいはドイツの潜水艦購入という方面において、いかなる政治的障害も存在しない。だがタイはそれでも中国の潜水艦を選択した。この選択は政治、技術、金融の要素が総合的に作用した結果であるという可能性が高い。

第1に、中国人はディーゼル・電池潜水艦建造技術領域で長足の進歩を取得している。中国の新型潜水艦は某いくつかの方面であるいはロシア、日本あるいはドイツの潜水艦に遜色があるだろうが、その作戦性能について言えばこうした国の潜水艦と優劣はない。中国は依然ロシア潜水艦建設の最新技術獲得を希望しているが、中国人自ら建造する潜水艦は世界のいかなる艦隊に対しても脅威を構成し得る。

第2に、もう1つの重要な要素は売り手が買い手の支払延期を許すことである。強大な銀行体系と強大な資金備蓄は、中国が顧客に対し優遇された金融条件を提供し得ることを保証する。これはまさに中国の武器輸出の優勢の在処でもある。

しかし、特別に重要な要素は政治的要素に属する。中国のタイに対する影響力は長年来ずっと直線的上昇の趨勢を呈している。タイの軍事政変後、この点の表れは特に突出している。タイが中国の潜水艦の購入を決定したことは、まさにASEANのその他のいくつかの国の中国との南海の島嶼をめぐる争いが激化している時であるため、重大な政治的影響を生じさせるだろう。

最近アメリカは不断にASEAN諸国が統一戦線を建立し、もって中国の南海政策に対抗するようアピールしている。これまで人々はこの種の「統一」が実現し得るか否かに対しもう非常に大きな懐疑を表明していた。しかもASEAN内の影響力ある大国が、ASEANのその他のいくつかの国が中国との矛盾をこのように激化させている背景の下で中国の潜水艦を購入した後では、人に1つのはっきりした結論を出させることが完全にできる。すなわち、「統一戦線」は全く論外だ、である。

タイ軍指導者はとっくに潜水艦を利用して本国海軍の実力を向上させる方案の考慮を開始していた。これと同時に、ASEANのその他の国も自らの潜水艦艦隊を建立しまた拡大しており、このことは中国の不安を引き起こす。中国人は、ひとたび危機が勃発したら、潜水艦は南海とマラッカ海峡の貿易ルートを遮断するのに用いられる可能性があると心配しており、このことは必ずや中国の経済に深刻な結果をもたらすことになる。あるいはタイは、一方において本地域のベトナム、シンガポールといったような国に立ち後れることを望まず、他方においては中国に不安を感じさせることも望まないのかもしれない。そこでタイは北京に疑いを生じさせないため、中国の潜水艦の購入を決定したわけである。このことから、この交易が、中国のASEANに対する影響力の増強および中国を包囲あるいは孤立させる企図に全く前途がない重要な証拠と見なし得る、ということが見て取れる。


 タイがごく少数の潜水艦を装備すること自体は日本にとって直接の影響はあまりないですが、こうして見るといろいろな間接的影響がありそうですね。まあ中国の潜水艦を買ったにしても有事において中国の敵に回る可能性はなくならないですけど。

















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