VT-4とT-14の優劣に関する論争止まず

 かなり感情的な議論が多くなっていますが。

http://military.china.com/important/11132797/20150717/20029687.html


中国のVT-4の砲口の下にロシア技術人員の鮮血があることを希望せず

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ロシアはすでに努力してロシア軍がまだ装備していないT-14アーマタ戦車のセールスを開始している」)

14日、中国軍代表団はロシアに出発し、去年の「戦車両項目」競技から拡張展開されてできた国際軍事競技に参加する。だが軍事マニアたちが中ロ戦車の「武闘」を待望している時、両国メディアの間では戦車の性能に関する「文闘」がとっくに持続すること数ヶ月である。

この前、中国北方工業社および「兵器」誌が掲載した何編かの業界内の人物の執筆した文章は、中国のVT-4輸出戦車とロシアのT-14戦車との比較をひとしきり行った。比較の結果に対し不満なため、多くのロシアメディアがその後「喧嘩腰スタイル」に入ってきて、大きな紙面を割いて長々と文章を発表し、猛烈にVT-4に代表される中国戦車を攻撃した。エンジンの欠陥、火力コントロールが輸入品、価格が非常に高い‥‥事実がどうであろうと、中国戦車はロシアメディアの眼中ではまさにダメダメなのである。

冷戦後西側がソ連戦車をけなしたことを除けば、メディア間の装備に関する論戦がこんなにも強い「きな臭さ」を有したことはまだなかったかもしれない。ロシアメディアがこのようである原因は非常に簡単である。ロシアはT-14戦車に対し大きな期待を寄せ、この戦車が大売れする事を希望するだけでなく、さらにこれに頼って世界戦車強国グループに返り咲き得ることを希望している。T-14が明るみに出てほどなく、研究開発作業がまもなく完成し、ウラル工場が積極的にロビイ活動して発注を勝ち取ろうとしている重要な時、過多なT-14戦車に対するネガティブな言論は当然ロシアメディアに喜ばれはしない。

これは決してロシアメディアが初めてこうなったわけではなく、過去20年あまりのロシア戦車対外貿易の歴史の中で、ロシアメディアが本国の戦車を維持保護するため、対外的に論戦をしかけたことは無数である。だが真にロシア戦車のイメージをアップさせた、あるいはロシア戦車貿易を促進した宣伝戦はなかった。T-80Uがこけ、T-90Sがこけ、T-14がしっかり立って倒れずにいられるか、我々は刮目して見る。

いったいどちらの動力が不足なのか?

時今日に至り、ロシアメディアは依然「中国輸出戦車の動力はボトルネック」、「戦車対外貿易の正否はウクライナの顔色を見て」などの話を口にし、疲れを知らないかのようである。この古典的話の起源は2010年のペルーによるメインバトルタンク機種選定にある。当時中国のVT-1A、ポーランドのPT-91E、ウクライナのT-84「堡塁」、ロシアのT-90S、オランダの中古レオパルドIIA6が競争入札に参加した。最終的に中国のVT-1A戦車がペルー軍の支持を勝ち取り、意向契約を達成した。しかしペルーは政局不安定および財政逼迫ゆえに、契約が履行できていない。結果としてこの事情はロシアメディアの言い方では、中国戦車がウクライナの動力の「首絞め」に遭い、対外貿易商売の流産がもたらされた、に変わった。

ロシアメディアがこのように事実を歪曲する原因は、中国のVT-1AとウクライナのT-84が国際市場で本国のT-90S戦車の生存の空間を圧迫していると考え、恨みを抱いていることである。中国・ウクライナ間の不愉快事はエンジンとは全く無関係であり、中国のVT-1系列戦車はパキスタン、ミャンマー、モロッコなどの国に輸出されており、必要とされるエンジンは長期にわたりウクライナのマレイシェフ工場だけにある安定した商売である。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「南北スーダン戦争の中で、VT-2によって正面装甲を撃ち抜かれたT-72AV戦車。車体前部左側のAPFSDSによる穴に注意」です。反応装甲ごと車体前面装甲を貫通し、例によって車内の弾薬が誘爆して砲塔が吹き飛んだようですね。)

ロシアメディアのこの件でのパフォーマンスは、自らの戦車が国外ユーザーの歓迎を勝ち取れるか否かに対するロシア戦車工業の自信の欠乏を真に体現している。ロシアの戦車動力も何ら良くはなく、国外戦車競技に参加しての何度もの敗北は非常に大きな程度上全て動力システムに足を引っ張られたからである。

1990年代初め、T-72戦車は神殿から引きずりおろされ、現代戦車の安全性の反面教師となった。ロシアはT-80U戦車の対外貿易が破産の瀬戸際にあるロシア戦車工業を救うことに期待を寄せるしかなかった。1993年から、T-80Uは相次いでスウェーデン、ギリシャ、トルコなどの国の戦車機種選定に参加した。戦術技術性能は西方の国の認可を得ることができたが、GTD-1250ガスタービンエンジンの燃料消費量は多く、環境適応能力が劣り、T-80Uを正真正銘の短足王とさせ、最大航続距離、平均行進速度方面ではこの戦車に比べずっと立ち後れているT-72M戦車にさえ遠く及ばなかった。結果としてT-80Uは韓国に輸出され借金の穴埋めに用いられたことを除き、対外貿易上全く実績を上げていない。T-80Uの生産工場であるエムスク工場は最終的に破産し吸収合併される災厄から逃れられなかった。

1990年代末期、ロシアはT-72のグレードアップ版をベースにしたT-90戦車の生産を開始し、かつ対外貿易専門に供するT-90Sを登場させた。T-90S戦車は機動性方面でT-72に比べ少なからず向上していたようだが、両者のエンジンはいずれもソ連が第二次世界大戦前に研究開発したB-2エンジンから発展してできたものである。一言を用いてその70年の発展の歴史的過程を概括すれば、基本的な寸法は変わらず、シリンダー圧力を不断に高める、構造を強化することによって、より大きな出力を獲得してきたのである。このようにすれば戦車のエンジン室を最小化し、かつ重量を軽減することができるが、出力が大きくなるほどエンジンの熱負荷は高くなり、高温あるいは高原環境下でより容易にエンジンの過熱、出力不足の問題が出現するようになる。

T-90Sはインドの砂漠地域でのまずいパフォーマンスゆえにインド陸軍を非常に立腹させ、以前承諾した1,000両コピー生産の契約が今日までずっと完成できない結果をもたらしている。2010年の中国・ペルーによるVT-1A戦車対外貿易契約棚上げ後、ロシアはかつて連続2年ペルーに向けT-90Sをセールスしたが、ペルーはT-90Sの高原での機動性に直面して深く憂慮を感じた。不完全な統計によれば、T-90Sはインドとアルジェリアを除き、基本的にちゃんとした発注は勝ち取れていない。その中の相当に重要な原因は、目標たるユーザーがそのエンジンの高温、多湿、高原、砂漠環境におけるパフォーマンスに自信がないことに他ならない。

20年後に20年前の戦車を売りさばく?

過去20年あまりの中で、ロシア戦車に言及する人はいつも問うただろう。T-72、T-80、T-90戦車のあんなに多くのタイプをどうやって識別するのか? 良い言い方をすれば、T-80はハイエンド戦車、T-72はローエンド戦車、T-90は両者の間で、T-72戦車を基礎にT-80戦車の優勢な技術を結合してできた全く新しい戦車である。だがあまり聞こえの良くない言い方に換えれば、安いT-72戦車は信頼できないと考えられ、一方信頼できるT-80U戦車はまた高すぎ、かつ足が短すぎ、ロシアは両者のメリットをこね合わせるしかなかったのである。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「ウクライナのT-84『堡塁』戦車もロシアの商売を奪いに来た」です。)

確かに1990年代、第3世代戦車の威力がまだ2,000mで400〜500mmRHA(視察者ネット注:すなわち2,000mの距離で400〜500mmのローラー圧延均質装甲が撃ち抜けることを指す。以下同じ)に留まっていた時、T-90Sは間違いなくいい戦車だった。だがそれが国際市場に進入してほどなく、各国はもう2,000mで600mmRHAの時代に入った。アメリカ、ドイツ、中国はいずれも本国戦車のためにより強大な徹甲弾を提供し始めた。それらに直面し、T-90Sがロシアが承諾したオリジナル版装甲抗弾材料を装備していても、その530mmの貫通に抗する性能を超えない裸車での防御は顕著に不足し、もし砲塔正面および車体前面の反応装甲の妨害作用を算入しても、依然有効な防御を保証できない。

中国とウクライナの技術の不断の成熟につれ、VT-1AとT-84「堡塁」はT-90S最大のライバルとなった。西側メディアがロシアの戦車は防御が良くないと非難する時、ロシアメディアはいつも自らの戦車は背が低く、エンジン室が短小で車両重量が軽く、防御はいかなる西側第3世代戦車にも負けないとの言い訳で反撃する。しかしVT-1A、T-84「堡塁」、T-90Sは一様に背が低く、エンジン室は短小で、それにもかかわらず車両重量はそれぞれ48トン、51トンで、いずれもT-90Sの46.5トンより大きく、防御もこのため顕著にT-90Sを超越している。もしその他の要素が同じでも、単に防御性という1点に頼れば、T-90Sは完全に劣勢に立たされる。

ロシアは相当に長い一定の時期内T-90Sの夜視照準具の環境コントロール設計を改良せず、装備したフランスのサーモグラフィー装置がインドの砂漠地域でずっと高温ゆえに正常な作動を持続できず、早朝サーモグラフィーが曇る結果さえもたらした。ロシアメディアはかつて、「輸出されるT-90S戦車はフランスのトリーズのサーモグラフィー装置を採用しているが、我々は今日より先進的な製品を持った」と宣伝した。国際市場では発見距離4〜5km、識別距離3〜4km、識別力がなかなかな高級サーモグラフィー装置が楽に買える。だがロシアが持つ先進製品のコストパフォーマンス、信頼性が一体どうなのか、いつ量産できるのか、皆全く知り得ないのである。

サーモグラフィーはまだ戦車の火力コントロールシステムの優劣を完全には反映できない。T-90戦車は2010年のT-90MS/AMになるまで、ずっと使用していたのは昼間、夜視、レーザー距離測定、砲から発射するミサイル制御誘導が分けて置かれた形式の砲手照準具で、かつ車長上反周視照準具はなく、一方同時期のT-84「堡塁」とVT-1Aが使用したのはいずれも多機能合一で、かつ車長上反周視照準具を持つ猟-殲火力コントロールシステムで、これはすでに明らかに同じランクにないのである。

砲弾も大問題である。ロシアの戦車徹甲弾の命名はずっと人に混乱の極みと感じさせ、同一の大きなタイプの下に、異なる徹甲弾が、弾丸、薬筒の微細な差異ゆえにそれぞれまだ若干の小さな名前を持つ。ロシアのT-90S戦車が提供する徹甲弾は本国自ら用いるのと同じファミリーに属するが、性能はそれにもかかわらず大違いである。インドのT-90Sが本国で徹甲弾の実験を行った時に出た威力は、ロシア本国でのデモンストレーション時とは全く違っていた。しかもロシア製弾薬は湿気の多い熱帯での保存に不利で、インドが購入した徹甲弾はすでに何度も大規模廃棄されている。ロシアの回答は、2014年にはインドに向け大幅に価格の上がった合格の砲弾を販売した、というものである。

(頑住吉注:これより4ページ目。画像のキャプションは「VT-4戦車は珠海航空展に参加したことがある」です。)

T-90系列の「究極型」(このT-90AM/MSの性能はT-90Sに比べ大幅な向上がある)であっても依然人を満足させることはできない。2011年、当時陸軍総司令の任にあったボスニコフは、T-90戦車は価格は高くて質は劣り、単なるT-72戦車の第17回改良型で、同様の価格で西側のより良い戦車が買える、と語った。同年ロシア国防省はもはやT-90戦車を発注せず、精力をT-72のグレードアップと「アーマタ」の研究開発に振り向ける、と決定した。この後T-90の対外販売は停滞に陥った。自国の軍隊さえも嫌って放棄した戦車が、どうして国際市場で良い成績を作り出せるだろうか?

T-14はあんなにも高いが、本当にその価値はあるのか?

中国には古い言葉がある。「鉄を打つなら自身はもっと固くある必要がある。」 もしT-14戦車の自国内での成功が充分堅実でなかったら、大規模な販売を獲得したいというのは容易なことではない。

輸出戦車に不可避な性能のダウングレードを考慮すれば、T-14はさらに人を安心させなくなる。本来ロシアもT-14戦車の車体前面部分の基本装甲は600mm+RHAの貫通を防ぐ能力を持つと言明しているだけで、「化石」大型反応装甲を加えれば中国、アメリカ、ドイツのものを除く現在市場にある大部分の徹甲弾をかろうじて防ぎ止めることができる。もし輸出型の指標がダウングレードされたら、あるいは現有の2000mで600mm+の徹甲弾でもう貫通できるかもしれない。ためしに問うがこのような性能で本当に中国のVT-4戦の打撃に耐えることができるだろうか? もし耐えられなければ、どうして1両のT-14で一個中隊のVT-4を防げるという言い方になるのだろうか?

価格は「ハードな指標」でもある。ウラル機械車両工場のある2015年の文書は、2S35自走砲の砲塔1つの購入価格は1億ルーブルにも達することをはっきり示している。T-14と同時時期に登場した2S35は、ロシア新世代地上武器の中の重要装備であり、T-14同様無人砲塔を装備している。2S35の無人砲塔はT-14のそれに比べやや大きく、自動装填システムはやや複雑である。だがT-14にはアクティブ防御システムがあり、我々にはT-14の無人砲塔の購入価格は1億ルーブルよりずっと高いと信じる理由がある。さらに同様に複雑なシャーシを加えれば、T-14戦車全体の価格は2億ルーブルあるいはさらに高い価格に到達する可能性がある。1.2億ルーブルのT-90MSさえ非常に高価だと嫌うロシアにとっては、T-14戦車も疑いなく「高くて消費できない」の類型に属する。その他の潜在的顧客が受け入れられるか否かも推して知るべしである。

これまでのロシア系戦車は輸出時、往々にしてサービスを軽視してきた。T-72戦車が戦闘中爆発によって廃品になった非常に大きな一部分の原因は、戦車の自動消火爆発抑制システムと自動装填装置がメンテナンス期を超えたのにもかかわらずあるべき維持修理を得ず、故障が発生したことである。戦闘を完成させるため、乗員はやむを得ず戦闘室内の至る所に弾薬を積んでいた。

この問題には今に至るも妥当な解決が得られていない。ロシアとインドはT-90Sの導入と生産に関する契約を締結したが、ロシアサイドは遅々としてT-90S戦車の技術資料を提供せず、インドのT-90S戦車導入、生産の節目となるポイントが数年の長きにわたって遅延する結果をもたらしている。T-14の複雑さの程度はT-72に比べ何倍も高く、ひとたび販売したらいかにして技術的維持保護の問題を解決するのか? おそらくは使用国の軍隊に多くのロシア国籍の技術人員を派遣駐留させて戦争発生時前線についていかせるしかなく、それでやっと解決できる。

中ロは口喧嘩し、市場を争っているが、結局のところ利益は高度に接近しており、我々も将来VT-4の砲口の下にロシア技術人員の鮮血があることを希望しないのである。


 まあしかしそもそもの発端は中国側がロシアの画期的とされる戦車は自国の製品に及ばないと宣伝したことなわけで、普通に考えれば新たな技術を多く盛り込んだ新世代戦車が前の世代の戦車に及ばないとするには相当説得力のある事実を提示しなければならず、いまのところそれはできていない感じなんですが。ちなみにペルーに対する戦車輸出がダメになったのはウクライナがエンジンがらみでストップをかけたからだというのは私も中国の記事で読みましたし、見た範囲でそれに反論したり訂正したりする記事は当時なく、何故今さらこんなことを言いだすのか不可解です。














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