極超音速兵器は未来の切り札か その2
http://military.china.com/kangzhan70/zhjw/11173869/20160422/22498179_2.html
(頑住吉注:これより3ページ目)
極超音速の路線図
上述の難点に基づき、極超音速飛行体の武器化の路線図をも我々は大体において描き出すことができる。
最も早く実用化を実現するのは、疑いなくアメリカのAHWに似たような「ブースト-滑空」原理の極超音速飛行体である。ある外国メディアの報道は、中国も2年前に連続して何度もの「長征2」号運搬ロケットを運搬ツールとする極超音速飛行体の試験を行った、とする。ロシアも積極的に類似の試験を行いつつある。このことは、この種の武器の実用化がすでに間違いなくもはやSF小説の中の事柄ではないことを示している。今後5〜10年内にはもう極超音速滑空弾頭を搭載した中距離ないし大陸間ミサイルが出現する可能性が高い。
同時に、比較的低いマッハ数をもって高空を飛行する、ラムジェットエンジンを動力とする巡航ミサイルや偵察機も未来の一定の時間内に出現する可能性がある。
冷戦の期間アメリカとソ連はいずれもすでに飛行速度マッハ3の飛行機を研究開発したことがある。つまりミグー25とSR-71である。この技術を基礎に改良、向上してできた新世代高速飛行機が、もし速度がマッハ4.5〜5に到達できても、決して特別不思議がるには値しない。この前「中国航空報」は、我が国もこの種の飛行機の研究開発を行っている、と明らかにした。
ロシアが最近試験した「ジルコン」対艦ミサイルもこの種の飛行体に属するかもしれない。「ジルコン」ミサイルはかつて航空展で展示されたロシア・インド合同研究開発の「ブラームス2」ミサイルだとされ、その外形はいささかソ連が昔試験したことのある極超音速飛行体に近いとされる。だがそれは決してスクラムジェット動力は使用しておらず、その飛行速度がマッハ5以上に達することはあまりありそうにない。当然「ジルコン」をめぐってはまだ非常に多くの人を不可解にさせる問題があり、例えばその制御誘導方式、コントロール方式、命中精度等々である。だが、現在のロシアの新型武器装備研究開発の慣例からすれば、「ジルコン」がもし10年の時間を用いることを要して国家試験を完成することも、決して想像し難いことではない。
一方より遠い時点の未来、極超音速飛行技術試験経験の増加と共に、やっと真にスクラムジェットエンジン動力を採用した、飛行速度がマッハ5〜10の区間に達する「真の」極超音速飛行機の開発が可能になり始めるかもしれず、しかもこの種の武器の出現初期でも、まず小型検証飛行機が実現し、その後やっと大型化を開始するという可能性が高い。
歴史的に見て、人類が最も早く「音速の壁」を突破した飛行機は、X-1検証機で、これは小型ロケット試験機だった。1947年10月14日、この機は初めて音速の壁を突破し、飛行速度はマッハ1.06に達した。
一方世界で最も早かった超音速爆撃機はB-58「ハスラー」で、それは1960年にやっと就役に入った。もし極超音速飛行機と現在の通常の飛行機との間の技術的隔たりが、当初の亜音速飛行機から超音速飛行機に至るのよりはるかに大きいことを考慮すれば、現在のX-51から未来の実用化された極超音速大型飛行機までの間に必要とされる時間は、おそらくまだ14年だけでは止まらないだろう。
この角度から見て、現在ロッキード・マーティン社が大きな力を入れて吹聴する飛行速度がマッハ6〜7に到達可能な大型有人遠距離偵察機SR-72方案は、しかもさらにそのコストは制御可能と言明しているが、この法螺話は当初JSF(F-35プロジェクトの初期の名称)研究開発開始の時に比べてもずっと大きいだろう。
さらに、SR-72方案が現在まだ偵察機として設計されているからなおさらである。空軍が議会に提出した文書が言うような打撃能力を持つ極超音速飛行機を真に実現しようとすれば、さらにまず極超音速下で弾薬コンパートメントを開く、武器を発射することを実現しなければならず、これはまた1つの重大な技術的難題である。
だが、前述したのは単に短期間内の概念である。もし比較的長い歴史的時期に目を向ければ(例えば10年から20年内)、SR-72に似たような概念の極超音速飛行機、AHWに似た概念の極超音速戦略ミサイル、「ジルコン」のような概念の極超音速巡航ミサイルは、逆にほとんどきっと出現し、かつ主要な大国の新たな「切り札」となるだろう。
ならば、極超音速武器は「難攻不落」の、対抗し得ない「究極武器」なのか? 答えは当然ノーである。
極超音速武器の防御
矛があれば盾がある。人類の技術が極超音速武器を研究開発できる以上、当然それに対抗する技術も出現するだろう。
まさに我々が前述したように、最も早く実用段階に入る極超音速武器は戦略戦役クラスの弾道ミサイルを基礎に研究開発される「ブースト-滑空」式飛行体のはずで、この種の飛行体の飛行の前半段階は依然通常の弾道ミサイルである。
現有の中段迎撃手段とブースト段階迎撃は、この段階の来襲する極超音速ミサイルを完全に撃墜できる。
だが極超音速ミサイルが真にミサイル迎撃手段を失効させる部分は飛行体が弾道ミサイルから分離し、大気圏に入り滑空を開始した後で、この飛行段階は、その極めて高い飛行速度に頼り、現有の対ミサイルおよび対空ミサイルを、いずれも反応速度不充分などの原因により追跡および迎撃し難くさせる。
また、ロシアのRS-26に似た種類の新型ミサイルは弾道の中段でもう極超音速滑空を開始するとされ、ひとたびこのようになると弾道の高度は純弾道ミサイルに比べ大幅に下がり、大幅に現有の対ミサイル早期警戒レーダーの探知計測距離を短縮することができる。だが大気高層で極超音速滑空する弾頭はあいにくと赤外線偵察の絶好の目標となることも見ておくべきで、このため実際には1つ得るものがあれば必ず1つ失うものがあるわけで、真の「ステルス武器」ではないのである。
だが、極超音速ミサイルは結局のところ敵サイドの迎撃反応時間を極めて大きく短縮でき、もし初期の極超音速武器の技術が相対的に荒削りでも、1つの付帯するメリットを持ち、それは敵サイドにこの種の武器に対応できるミサイル防衛システムの研究開発を迫り、したがって軍備競争を次の段階に引き入れることである。すでに弾道ミサイルや巡航ミサイルに照準を合わせたミサイル防衛システムを配備済みの国にとって、極超音速武器に対抗するためには、自らの迎撃システムの全面更新が必須で、これは非常に大きな出費と言える。
未来の更新された世代の極超音速武器システムに対しては、対抗の状況はより複雑かもしれず、スクラムジェット動力の極超音速飛行体に直面しては、「ブースト-滑空」目標に対抗するために研究開発された迎撃ミサイルはまた迎撃能力を失うことになる。
時間の上から見ると、吸気動力の極超音速飛行体が出現する時、大出力レーザー、レールガンなども実用できる状態に近く、それらの間でまた新たな対抗が開始されることになる。
もしちょっと総括する必要があるならば、あるいはこのように言うべきかもしれない。極超音速武器は歴史上のあらゆる軍事技術の進歩同様、決して全てを一手に引き受ける「無敵金剛」ではない。軍事科学技術領域の競争は、突き詰めて言えば経済、科学技術の総合的実力の対抗なのである。
だが短期的な角度から言えば、武器装備の発展は技術の進歩の一般的な規律に符合することが必須であって、ロッキード・マーティン社のSR-72のように、1つのプロジェクトによって技術の進歩を推し動かし、かつ圧倒的な技術の優勢の取得を期待する「洋躍進」(頑住吉注:ここでは無謀に躍進を図ること?)は、あるいは我々の立場に立って言えば、やはり希望美国越多越好。(作者:席亜州)
最後いきなり砕けた話し言葉になって意味不明ですが、アメリカよ幸多かれみたいな皮肉でしょうか。「武器装備の発展は技術の進歩の一般的な規律に符合する」ならば、中国がいきなりアメリカを飛び越えたスーパー兵器を作り出す可能性もないことになるのでは。莫大な金をかけてミサイル防衛システムを構築しても極超音速兵器で無効化され、また莫大な金をかけて極超音速兵器を作ってもレーザー兵器によって瞬時に破壊できるようになる可能性もあり、先を読み違えると大変な無駄金を使うことになりそうですね。