何故フィリピンの提起した仲裁を拒否するのか

 予想通り中国は国際的な法手続きによる問題解決を拒否しました。

http://military.china.com/important/11132797/20141207/19067313.html


中国、立場に関する文書を発表 法律からフィリピンの理由のない主張に反駁

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「アメリカ・フィリピン合同軍事演習(資料画像)」 なおこの記事の画像のキャプションは全てこれと同じです。)

2014年12月7日、外交部は権限を与えられてフィリピンが提起した南海仲裁案件の管轄権問題に関する中国政府の立場に関する文書を発表した。外交部条約法律局局長の徐宏はこれにつき新華社記者の特別インタビューを受けた。

記者:何故我が国政府はフィリピンが提起した南海仲裁案件に対し、管轄権問題について立場に関する文書を発表したのですか?

徐宏:2013年1月22日、フィリピンは一方的に中国・フィリピンの南海に関する問題につき国際仲裁を提起しました。中国政府はこれに対しきっぱりと反対し、再三中国は受け入れず、仲裁に参加しない厳正な立場を表明しています。

フィリピンは中国の強烈な反対をかえりみず、頑として仲裁プロセスを推進しています。一部の人は真相が分からず、中国が仲裁を受け入れない、参加しないことに対し疑問を表明しています。さらにある人は別の下心を持って、関連の国際法の規則を一面的に、あるいは歪曲して解読し、これにより中国が国際法を遵守しないと非難あるいはほのめかし、中国を国際的規則に対する「挑戦者」としてみだりに言い立てています。

こうした状況に対し、中国政府は立場に関する文書を発表し、法律の上から中国が仲裁法廷には管轄権がないと考える立場と理論的根拠を詳しく述べ、中国がこの仲裁を受け入れず、参加しないのには充分な国際法の根拠があることを明らかにし、もって耳目を正すのです。

記者:我が国政府の立場に関する文書は、仲裁法廷にはフィリピンが提起した仲裁に対し管轄権がないと明確に指摘しています。この立場の主な根拠は何ですか?

徐宏:仲裁法廷にはフィリピンが提起した仲裁に対し管轄権がない、このことは非常にはっきりしています。立場に関する文書は主に3つの方面から論述を行っています。

(頑住吉注:これより2ページ目)

1つ目はフィリピンが提起し申請した仲裁事項の実質から分析しています。フィリピンが提出した仲裁事項は本質の上で領土主権問題であり、領土主権問題は「国連海洋法条約」(以下「条約」とする)の範疇を超えています。「条約」の枠組みの下での強制的な争いの解決プロセスは、「条約」の解釈あるいは適用に関する争いの処理のみに限られ、「条約」以外の事項を処理する権限はないのです。

2つ目は中国・フィリピンの間ですでに達成されている協議から分析しています。中国・フィリピン両国間には一連の二国間および多国間の文書を通じ、すでに友好的な話し合いと談判という方式によって南海における争いを解決することにつき共通認識が達成されており、その他の方式は排除されています。これは双方の間の国際法上の義務です。フィリピンは一方的に関連の争いにつき仲裁を提起しており、両国間の協議に違反し、国際法に違反しています。

3つ目は「条約」自体の争いの解決に関する条項から分析しています。あるいはフィリピンが提出した仲裁事項は某いくつかの方面において「条約」の解釈あるいは適用に関する問題に関わると考えられるかもしれませんが、それも中国・フィリピンの海域画定の不可分な組成部分であり、中国はすでに2006年に「条約」第298条を根拠に声明をなし、海域画定などの事項に関わる争いは、仲裁など強制的な争いの解決プロセスの適用から排除するとしています。

上述の3つの方面から、仲裁法廷はフィリピンが提出した仲裁事項に対し明らかに管轄権がないことがはっきり見て取れます。

(頑住吉注:これより3ページ目)

記者:ある視点は次のように考えます。フィリピンの仲裁提起は「条約」の規定に依拠しており、仲裁自体も争いの平和的解決の方式である。中国は「条約」の締結国であり、国際的な争いの平和的解決を一貫して主張してもいるが、それにもかかわらずこの仲裁を受け入れず、参加しないことは人を信じ難くさせる。 これに対しどんな評論がおありですか?

徐宏:国家の間での争いの平和的解決の方式には非常に多くのものがあります。その中で最も主要な、最も優先される方式は当事国の直接の談判であって、仲裁ではありません。

国際法によれば、どんな種類の方式を選択して争いを解決するかは当事国の主権であり権利です。国際仲裁はその中の1つの形式でしかなく、しかもこの方式は「国家の同意」原則を遵守し、もって当事各国の同意の基礎とすることが必須です。ある二国間の争いの中で、もし一方が受け入れず、仲裁に参加しなかったら、もう一方が仲裁の提起を強行してはならないのです。

「条約」は強制仲裁など強制的に争いを解決するプロセスを規定していますが、この種のプロセスの適用には条件と制限があるのです。この種のプロセスは「条約」の解釈あるいは適用に関する争いの処理のみに用いることができるのです。もし当事国間で自らその他の争いの解決方式を選択しても、この種の強制プロセスが優先します。一方当事国はさらに「条約」を根拠に声明を出し、特定の事項を強制的な争いの解決プロセスから排除することができます。

フィリピンが提起した仲裁に関しては、前に述べたように仲裁事項の実質が全く「条約」の調整範囲に属さない領土主権問題なのです。中国・フィリピン間ではすでに談判を通じて関連の争いを解決する協議が達成されてます。しかも中国は関連の争いにつき強制プロセスを受け入れた事は全くありません。このため、フィリピンの一方的な強制仲裁提起は明らかに「条約」が規定する強制的な争い解決のプロセスを濫用しています。国際的にこの種のやり方を提唱するべきではありません。中国がフィリピンが提起した仲裁を受け入れず、参加しないのは、争い解決の方式を自主的に選択する主権、権利の防衛であり、国際法が賦与する権利の行使であって、充分な国際法上の根拠があります。

(頑住吉注:これより4ページ目)

記者:フィリピンの核心的な訴えは、中国が南海断続線に依拠して主張している権利に関わり、国際的に中国が国際法に依拠して南海断続線に含まれる意味をはっきりさせることを希望する一部の声もあり、立場に関する文書はこうした問題に決して回答してはいません。これをいかに考慮されていますか?

徐宏:1948年、中国政府は公式な地図上に南海断続線を表記しました。立場に関する文書は南海問題に関する歴史的経緯を叙述する時にこの史実に言及しています。

中国のこの問題に関する立場は一貫しており、明確です。中国は南海の諸島およびその付近海域に対し争い得ない主権を持ち、中国の南海における主権と権益は長期的な歴史の過程の中で形成され発展してきたものであり、充分な歴史および法的な根拠があり、ずっと中国政府が堅持してきたものです。

フィリピンが提起した仲裁を受け入れない、参加しないという前提の下で、中国政府の立場に関する文書は、仲裁法廷には仲裁案件に対し管轄権がないことを詳しく述べ、一方仲裁事項に関わる実体的問題については回答していません。この点は立場に関する文書の導入部分ではっきりと説明を行っています。

記者:理解されているところによれば、仲裁法廷は中国が今年12月15日までに弁明状を提出するよう要求しています。我が国政府が立場に関する文書の発表にこの時機を選択したのは、仲裁法廷のこの要求に対する回答と理解してよいのでしょうか? 立場に関する文書の発表は仲裁法廷に対しいかなる種類の作用を発揮するのですか?

徐宏:中国政府の立場に関する文書は仲裁案件に関する弁明状ではありませんし、仲裁法廷の要求に対し回答をなしたのでもありません。政府の立場に関する文書の発表は、フィリピンの提起する仲裁を中国が受け入れる、あるいは参加することを意味しません。中国がこの仲裁を受け入れず、参加しない立場が変わることはありません。

(頑住吉注:これより5ページ目)

中国政府の立場に関する文書の発表は、仲裁案件の管轄権の問題に対し法的視点と理論的根拠を詳しく述べ、法律上フィリピンの理由のない主張に反駁し、中国が国際的な法治を維持保護しまた促進するイメージを明らかに示しています。私は、真に法治の精神を持ついかなる機構や人物も、中国政府の立場を尊重し理解すると信じます。

記者:我が国政府の立場に関する文書の発表には、南海の関連の争い、南海の平和と安定の維持保護に対しどんなポジティブな意義があるのですか?

徐宏:立場に関する文書は法律の上で、何故仲裁法廷にフィリピンが一方的に提起した強制仲裁に対し管轄権がないか、なぜ中国が仲裁を受け入れず、参加しないかに法により根拠があることを詳しく述べています。立場に関する文書は同時に、談判は終始国際法が認可する国際的争いを平和的に解決する最も直接的で、最も有効で、最も普遍的な方式であると強調しています。文書は国際社会に向けある情報を伝達しています。すなわち、関連する国は南海の争いを妥当に解決する必要があり、無理強いは通用せず、協議・談判が正道である、と。

まさに立場に関する文書が指摘しているように、談判を通じ、中国はすでに絶対多数の陸上の隣国と国境問題を完全に解決済みであり、ベトナムとも両国の北部湾における海上の境界を画定済みです。事実は、食い違いの存在は恐るべきことではなく、問題が複雑なことも恐るべきことではなく、関連国が善意を持ち、平等という基礎の上に友好的な協議と談判を行えば、相互信頼を増進し、共通認識を累積し、徐々に領土の争いや海域画定問題を妥当に解決できるのだということを証明しています。南海問題の処理はこのようであるべきです。

中国はフィリピンに、できる限り早く談判を通じて争いを解決するという正しい軌道に戻るよう懇切に促します。中国は関連の各国と共に、歴史的事実の尊重と国際法という基礎の上に、談判を通じて食い違いを妥当に処理し、共同で南海の平和と安定を維持保護することをも望みます。


 「争いの平和的解決の方式〜の中で最も主要な、最も優先される方式は当事国の直接の談判」、「談判は終始国際法が認可する国際的争いを平和的に解決する最も直接的で、最も有効で、最も普遍的な方式である」に関しては「最も有効」に疑問を感じるものの一応その通りだろうと思います。しかしそれで問題が解決できない時には最悪戦争になってしまう恐れがあり、それを避けるメカニズムとして中立な国際法的機関に双方が主張をぶつけて判定してもらう、というのは非常に有効な手段であり、談判で結論が出せなかったら提訴するというのが間違った方法とは思えません。もちろん仲裁法廷の判定が絶対に正しいという保証はなく、また一方がその判定は間違っているから受け入れないと言い張ったら強制的に従わせることはできないわけですが、国際的に当然無法者イメージになるというリスクを負いますし、その上で戦争になったら当然国際社会は主張が正しいと判定された側に傾くでしょう。中国の主張は表面的にはもっともらしいですが、本当に仲裁法廷に管轄権がないなら法廷がフィリピンの請求を却下するはずであって、それをせず中国に弁明を求めたのなら堂々と反論を展開するべきであり、参加を拒絶すれば都合が悪いから逃げたと見られて当然です。15日以降仲裁法廷がどのような判断をするかが注目されます。












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