大気汚染の軍事的メリット?

 これに関しては数日前トンデモ記事が掲載され非難されて削除されたという話題がありましたが、今回紹介するのはそれとは別の真面目な記事です。

http://military.china.com/important/11132797/20131209/18203954.html


グローバル時報:中国のスモッグは軍事防御に対し2大メリットあり

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「スモッグは大部分の可視光による偵察の意義を失わせる」)

【グローバル時報特約記者 章節】 最近中国の大部分の地域に出現するスモッグが人々の広範な関心を引き起こした。スモッグは人体の健康と正常な外出に影響するだけでなく、同様に作戦行動にも影響する。スモッグは非常に多くの偵察装備の効果を大幅に割引にし、一部のミサイルに正確に目標を照準できなくさせ、空に頼って飯を食う航空隊にとってスモッグはさらに大敵と言える。だが、戦場においてスモッグは防衛側の軍事行動に有利でもある。

可視光偵察、全くダメに

スモッグは霧と靄の混合物である。霧は地面に近い空気中に大量に浮かぶ微小な水滴あるいは氷の結晶からなるエアゾルの系統で、靄は微小な個体の顆粒物からなる。霧と靄の共同作用は視界の急激な悪化をもたらし、これの軍事に対する最も直接的な影響は偵察の効果が悪化することである。

現在、地上目標に対する偵察には主には可視光カメラ偵察(あるいはビデオ偵察)、赤外線偵察、合成開口レーダー成像偵察が含まれる。このうち可視光カメラ偵察は受けるスモッグの影響が最も大きい。カメラ偵察は発展が最も早く、使用が最も広範な偵察方式である。現在、カメラ偵察の使用は依然非常に広範で、上は衛星から下は低空を飛行する無人機および地上の偵察車まで全てが使用している。それは目標のディテールを非常にクリアに見せる。アメリカの「スキャンイーグル」無人機は、地上のコーヒーカップ内から立つ湯気をクリアに見ることができるとされる。だが、スモッグの面前ではこうした偵察装備は全て機能を失う。スモッグがもたらす視界が1,000mの時、大多数の可視光偵察は意味を失う。増してや現在頻繁に出現している視界何十mかのスモッグなら、可視光カメラ偵察の機能を全て失わせる。

これに比べ、合成開口レーダーが受けるスモッグの影響は大きくない。スモッグの中の微小な顆粒と水蒸気は電磁波に対しても一定の吸収および遮る作用を持つが、可視光の周波数帯と比べるとこうした影響は軽視して計算に入れないことができる程度である。だが、現在合成開口レーダー偵察の解像度はまだ可視光偵察に及ばない。つまり目標のディテールに対する再現があまり精細ではない。一方赤外線偵察の受けるスモッグの影響は、レーダーと可視光の間である。湾岸戦争の時期、砂嵐の中の米軍のM1A1メインバトルタンクは、サーモグラフィー装置に頼って800m離れたイラク軍戦車を識別できた(砂嵐がない時は2,500m離れた戦車を識別できる)。一方当時イラク軍が装備していた昼間光照準装置はほとんど役に立たなかった。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「スモッグは人体の健康と正常な外出に影響するだけでなく、同様に作戦行動にも影響する」です。)

ミサイル攻撃、正確さを失う

スモッグは同様に制御誘導武器の制御誘導ヘッドにも影響する。現在、地上目標に対し正確打撃を実施する正確制御誘導武器は主にテレビ、赤外線成像、レーザー、GPS制御誘導を採用する。GPS制御誘導のみスモッグの影響を軽視して計算に入れないことができ、前の三種の制御誘導方式はいずれも異なる程度でスモッグの影響を受ける。テレビ制御誘導は可視光偵察とやや似ており、特に「ロックオン後発射」のテレビ制御誘導爆弾は、操縦人員が確実に目標を見てこそ照準、ロックオン、攻撃実施ができるのであり、見えない目標は当然照準できず、命中させることはできない。

レーザーセミアクティブ制御誘導の原理は、まず目標に向けレーザー束を照射し、ミサイルあるいは爆弾の誘導ヘッドが目標の乱反射するレーザーをキャッチすると攻撃できる、というものだ。レーザーは元々大気中の損耗が比較的大きく、さらにスモッグの中の微小な顆粒の影響が加わると、さらに一歩レーザー照射の距離の非常に大幅な短縮がもたらされ、甚だしきに至っては全くキャッチできなくなる。赤外線成像制御誘導は目標自身が発する熱量をキャッチすることに頼って外形を識別し、比較的良好な雲を貫き霧を破る能力があるが、霧の中の水蒸気であろうと靄の中の微小な顆粒であろうと、熱成像システムの探知計測距離に一定の影響をもたらす可能性がある。

巡航ミサイルの作戦もスモッグの影響を受ける可能性がある。初期の巡航ミサイルは地形マッチング+末端光景マッチングの制御誘導方式を採用した。地形マッチングは無線電信を使用して行われ、このため影響が比較的小さい。だが最終的に正確な一撃を行う時、目標に対する撮影を行い、その後ミサイル内に貯蔵されている目標の衛星写真と対比、マッチングを行う。もしスモッグによって目標がカバーされていたら、目標を発見し識別できず、最後の最後で失敗に終わってしまう可能性が大いにある。当然、これは防御側にとっては良いことである。コソボ戦争の中で、ユーゴスラビア軍は古タイヤなどを燃やし、人工的にスモッグを作り出す方式によってNATOの爆撃をかわした。

航空隊の作戦、影響を受ける

スモッグは航空隊が実戦機を発着させることに対する影響も非常に大きい。今最も先進的な計器降着システムは、手を伸ばしても五本の指が見えない状況下で盲目降着が行える。だがこの技術はまだ普及しておらず、しかも一定の安全上のリスクが存在する。このため飛行場にスモッグがある状況下では一般にできる限り飛行せず、さもないと危険が発生する可能性が高い。1995年12月12日、ロシア空軍の著名な飛行デモンストレーション隊「ロシアの勇士」がマレーシア国際航空展に参加し終わった後、1機のイリューシンー76、5機のスホーイー27からなる混成編隊で帰投した。機群が中継基地であるベトナムのカムラン湾飛行場に降着しようとした時、3機のスホーイー27が山に衝突して墜落損壊した。後の調査は、1つの重要な原因はまさに当時濃霧などの影響を受けて視界が極度に低下していたことだと明らかにした。

(頑住吉注:以下のページのキャプションは本文の一部を切り取ったものなので省略します。)


 引用文を見ると削除された記事というのはよりトンデモ度が高い記事だったようですが重複部分も見られ、この記事を参考に悪乗りして書かれたものではないですかね。そんなにメリットがあるなら対策取らずにずっとスモッグの中で暮らせよとは思いますが、実際の作戦に影響する可能性があるというのは基本的に間違っていないはずです。ただ、スモッグは基本的に比較的低空において影響が大きいと思われますから高空を飛ぶ攻撃側より地上から発進する防御側により不利な影響を与えたり、イラクとアメリカの戦車の例のように装備が高度だったり実際の砂嵐の経験などから対策しているアメリカの装備の方が中国の装備より有利になるという可能性もあるのでは。








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