無人機には」重大な欠陥がある‥‥?

 「中国はX-47Bをどう見ているか」で紹介した記事はアメリカの最新無人機を非常に高く評価していましたが、それに疑問を呈する意見もありました。

http://mil.eastday.com/m/20120819/u1a6795331.html


韓国メディア、無人機には重大な欠陥があり慎重に発展させるべきであると中国を戒める

韓国の軍事ウェブサイト「新羅空軍フォーラム」2012年8月16日発表の文章は、アメリカ海軍がX-47B型無人機が2013年に空母上で自主離発着を行うと宣言したとの情報に対し分析を行っている。文章は、現在世界で技術性能最良の無人機として、X-47Bは世界の無人実戦機の発展をリードするだけでなく、多くの現有の無人実戦機に共通する欠点をも体現しており、例えばレーダー、機動性、機能開拓展開方面の限界である、と考えている。急速に勃興する国家として、中国は無人機を慎重に発展させるべきであるだけでなく、アメリカが無人機を道具として中国を先端軍備競争に引きずり込むことにも警戒しなければならない。

まず、現在の無人実戦機の欠陥は明白で、有人実戦機を抑える力はない。

アメリカ軍の多くの現役および研究中の装備の中で、X-47B無人機はずっと1つの花形装備である。この機は初の、実際段階から立脚して有人実戦機に取って代わる無人機であり、しかもこの無人機はさらにアメリカが中国の対艦弾道ミサイルを抑える有効な手段の1つと見なされている。アメリカ海軍の想定によれば、新世代の「フォード」級原子力空母上で、X-47Bは主力艦載機の1つとして装備されることになる。この機は伝統的な「スーパーホーネット」系列艦載機に完全に取って代わることはできないが、その効果の高いステルス性能と超越的に長い航続距離は、アメリカ空母戦闘群の打撃効果と打撃距離に本質的な向上を獲得させる。しかし、現在のX-47B無人機が体現する多くの技術的ディテールから見て、この無人機は自身のレーダー、機動性、機能開拓展開方面の限界に制限され、有人実戦機に有効に取って代って就役することが難しいだけでなく、将来の空戦の中で有人実戦機に対し脅威を構成することも難しい。

ロシア製ミグ-21戦闘機は第3世代戦闘機の中の優秀作品として、かつて多くの国で就役しただけでなく、今日に至るもこの型の戦闘機の技術グレードアップ版はずっと次々現れ尽きることがない。だが技術人員は新型の主翼やエンジンの採用によりこの型の戦闘機の機動性を向上させることはできるが、機首整流コーンの狭小なスペースは、この型の戦闘機を極めて大きなレーダーグレードアップの限界に直面させている。一方この種の限界はX-47B無人機にも同様に存在する。アメリカの第5世代実戦機研究開発計画に似て、X-47B型無人機はその開始からすぐステルス性能が極めて重視され、このためこの機はB-2戦略爆撃機に類似した全翼式空力レイアウトを採用した。だが、全翼レイアウトの過度に扁平な構造、およびX-47BのB-2に比べての体積上の巨大な隔たりに制限され、X-47B無人機の機首スペースの、レーダー搭載に供することができる空間もまるでミグ-21戦闘機の整流コーンのように狭い。アメリカはずっと、未来の無人機のカギとなる重要な技術性能の1つは自主的な探知計測と攻撃であると標榜してきた。だが狭小な機首スペースがもたらすレーダー性能の低下は、疑いなくこの想定をX-47B型無人機で実現することを難しくさせる。

B-2戦略爆撃機の全翼空力レイアウトの直接的継承者として、X-47B型無人機は最初から一種超強力な機動性能を備えている印象を与えているようだ。しかし事実はあるいはそうではないかもしれない。現在、X-47B型無人機が採用しているのはプラット&ホイットニー社のF100-220U、アフターバーナーなしのターボファンエンジンである。このため、X-47Bは実際に超音速巡航どころか超音速飛行能力すら持っておらず、その戦力の発揮は完全に自身のステルス性能、比較的高い飛行高度、アメリカ軍がこの機のために専用に研究開発した多種の新型弾薬に頼っている。この発展スタイルはアメリカのF-117ステルス戦闘機と極めて似ているが、過度に効能、利益に偏った発展思想はすでに「ナイトホーク」戦闘機に重大な損失を与えている。「ナイトホーク」と似ているのは、現段階において新型実戦機としてのX-47Bが性能が単一の無人戦闘機に充当される他に、「スーパーホーネット」が「グラウラー」にグレードアップされたようなその他の作戦任務を引き受けることができるか否か、人々にとって想像することが難しいところである(頑住吉注:F-117ナイトホークはステルス性のみを過度に追求したために汎用性がなくなり、すでに退役しましたが、X-47Bも似たようなことになるのではないか、ということですね)。これにかんがみれば、レーダー、動力装置、機能開拓、展開方面の重大な限界は、あるいはX-47Bを「ラプター」戦闘機と比べてもさらに難産にさせ、実戦における作用をさらに限られたものにするかもしれない。

次に、中国はX-47Bに類似した先端無人実戦機を慎重に発展させるべきである。

現在、明確な証拠がはっきり示されてはいないものの、中国はすでにアメリカ製の「プレデター」あるいは「グローバルホーク」に類似した先端無人機を装備済みで(頑住吉注:って証拠ないんでしょ)、中国が無人機方面で取得した技術的成果はだれの目にもはっきりしている。現在、中国はすでに無人機技術方面でロシアを全面的に超越し(頑住吉注:ああ、そう言やロシアの無人機ってあんまり話題になんないですね)、ヨーロッパやイスラエルと並んでアメリカに次ぐ第2グループにいる。このため、アメリカのX-47B無人機デビュー後、国際的な多くの視点は、中国にも類似の先端無人機開発の必要があるに違いない、というだけでなく、中国が自ら明るみに出した若干の無人機の初期技術模型も、中国がX-47Bに類似した全翼式無人機の基本性能データを探索しているところだということをはっきり示している、と考えている。だが、こうしたことはいずれも、中国がすでにX-47Bに類似した先端無人機研究開発を決心したことを証明することは難しい。実際、先端無人機は中国が最も慎重に発展させる必要のある装備の1つである。

X-47B型無人機は現在の無人機領域における最高の技術的成果を代表するものではあるが、無人実戦機の全体的発展から見て、X-47Bは初期の検証機型と見なすことができる。周知のように、有人機に比べての無人機最大のメリットは機に搭乗する飛行員の除去である。これに利益を得て、無人機は巨大な生命維持システムを省略し、これまで有人実戦機が適応することが難しかった区域や環境で任務を執行する能力を具備した。しかし、この改変は技術的メリットをもたらした以外に、飛行機の構造方面の巨大な改変ももたらした。無人機は搭乗する飛行員を除去したがゆえに体積が大きく減少したのと同時に、残しておくべきグレードアップの余地を合わせ配慮することも難しくした。事実、人々はまだ無人機が将来、一体どんな方式で発展することになるのか確定させていない。将来のどんな技術が無人機の性能のグレードアップに使えるのか? こうした問題は、アメリカのような無人機技術の覇者であっても解決が難しい。このため、現段階で無人機は実際上、生むことができる効果に極めて不相応な大きな投資と引き換えに象徴的成功を手にしているのであって、引き換えに得られるのはほとんどグレードアップの余地のない「使い捨て装備」である。この種の発展思想は疑いなく正しい実戦機の発展思想に逆行するものである。

現在、中国は殲-20戦闘機に一段と力を入れて研究開発しているところで、しかもいわゆる「ちまき機」が明るみに出たことも外界に、中国があるいは同時に2種のステルス戦闘機を研究開発しているところではないかと推測させている。だが否定できないのは、中国は実戦機の空力外形設計でもステルス技術研究開発などの方面でも、アメリカやヨーロッパなどの国々と比べると一定の隔たりがあることである。こうした状況下で、中国が新世代空力レイアウトを第5世代戦闘機に熟練して応用することがまだ難しいという時に、軽率に先端無人機のような未知のものに投資し、技術的リスクも高い「夢の装備」を研究開発することは、疑いなく中国の一貫して慎重で理知的な軍備発展思想に相反する。戦略レベルから言えば、アメリカがX-47Bを研究開発するのは本国海軍の進攻能力向上のためである。一方中国に関して言えば、海軍だけでなく、本国全体の戦略も、予見できる時期にはずっと防御作戦がメインとなり、X-47Bのような種類の過度に濃厚な進攻性を持った功利的装備の需要は不明確である。このため、中国は先端無人機を慎重に発展させるべきである。現在X-47Bを模倣した関連技術が研究開発されているようだが、カギとなる重要技術の向上が獲得され、また国家戦略が転向される前には、できる限り初級技術研究開発と技術蓄積のレベルに留まるべきである。

第3に、中国はアメリカが無人機をもって両国の軍備競争を開始することを警戒すべきである。

軍事装備発展史上、1つの古来から不変の真理は、ある装備が成功するか否かはその装備が需要を満足させられるか否かで完全に決まる、というものである。多くの視点は先入観を持って、ここに言う需要は戦場の需要であると考える。だが、冷戦中にアメリカとソ連は再三空母方面のニセ情報を流し、例えば初の原子力空母「エンタープライズ」号就役後、この空母に対する頻繁な技術的改良によって(多くの技術的改良は性能向上に無益)、ソ連を止むを得ず、必然的にアメリカが優位に立つことになる軍備競争に身を置かせただけでなく、アメリカが示した事実でない空母技術性能情報はソ連空母の発展に多くの曲折をも起こさせた。アメリカはこの種の、装備を手段とする欺瞞行為によって、ソ連を軍備競争に引きずり込んだだけでなく、軍事費に力を入れた軍備発展を経た後、ソ連が獲得する成果を相当に限られたものにもした。これにかんがみれば、アメリカが空母の価値の誇大宣伝によってはすでに中国を釣れないと徐々に認識するに至った後、それを無人機領域に転じた可能性が極めて高い。これにより現実世界の中で、中米両国の中にいずれも大きな市場があるこの種の装備は、必ずや中国を自身にとって不利な軍備競争に引きずり込むことになる。

装備の技術構成から言うと、無人機は間違いなく空母に比べより容易に潜在的敵を軍備競争の舞台に上らせる曲者である。原因は簡単で、空母に関して言えば、空母開発自体も、空母を中心とする特別混成艦隊の建設も、いずれも大量の投資を必要とする。このため、空母への経費投入は、空母建造とこれとセットにする艦艇という2つの、金額的に基本的に同等の膨大な費用から構成され、賢明な国家に関して言えば比較的ひっかかりにくい。だが無人機は違う。無人機自体に関してだけ言えば、その研究開発費用は空母に比べ疑いなくずっと安い。だが重要なカギは、新しい軍事体系という鎖の中で、無人機は決定的意義を持つ新たな1ピースであるというところにある。これは、先端無人機が到来し、大量に応用されるにつれ、これに関係するほとんどあらゆる装備にシステムの技術的グレードアップを行うことが必要になることを意味している。この種のグレードアップを行う技術的難度も、投入される経費の金額も、1つの新たな艦隊の建設に比べてさえやや及ばない、という程度になる。このため、もし中国が充分な資金と現実の需要による支持が欠乏した状況下で、軽々しくアメリカに挑発された、無人機を核心とする軍備競争に投資すれば、中国はあるいは当時のソ連に比べより重大な損失をこうむるかもしれない。

当時のソ連に似て、今日の中国は同様のジレンマに直面している。すなわち空母も無人機も、いずれも本国が切迫して必要とする装備であり、本国の装備研究開発体系の中で重要な位置を占めるのは必然である。だがこれと同時に、本国はこの種の装備を研究開発する技術的基礎を欠いており、研究開発過程で他意ある競争相手によって間違った道に引き込まれる可能性が高い。だが異なるのは、今日の中国は当時のソ連が持たなかった重要な有利な条件を持っていることだ。それは中国が冷戦を自ら体験した国であり、ソ連の冷戦中の失敗という教訓の中から経験を吸収できることである。さらに重要なのは、中国はずっと明確な国防発展の道と本国の利益を世界中で発展させる具体的計画を持ち、かつこうしたルートの中で、中国とアメリカの競合度は当時の米ソよりずっと低いことである。このため、中国は当時のソ連に比べより容易にアメリカが挑発する軍備競争の企図を看破でき、本国の重要に真に符合する武器装備をより理知的に発展させることができる。このため、アメリカが先端的無人機を道具として中国を軍備競争に引き込む難度はより高くなる。だが中国は疑いなく、常に理知的に無人機を発展させる基礎の上で、充分な警戒心を保持すべきである。


 最近日本でも似たような報道がありましたが、私は個人的に「アメリカが中国を故意に軍備競争に引き込んで疲弊させようとしている」といった陰謀論には真剣に考える価値はないと思っています。

 この記事は、「韓国メディア、中国が過度に先端技術を追求することを戒める‥‥?」と筆者が同一と思われ、構造的に非常によく似ています。「韓国が言っている」というスタイルの共通はどうでもいいとして、まずアメリカの先端兵器に問題があることを指摘して、安易に中国が追及することを戒める、という論ですね。私はあの記事を読んで、「最先端を追求しようにもまだいろいろな分野で力不足の中国が、『これでいいんだ』と自分を納得させるために一部の韓国人の意見を大きく取り上げた、『酸っぱい葡萄』っぽい臭いを感じます」と書きましたが、「韓国が言っている」がたぶん嘘であるのに気付いた以外、今回の記事にも同じような感想を持ちました。










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