武直-10に対する批判

 武直-10は中国が期待をかける本格的武装攻撃ヘリですが、使用しようとしたプラット&ホイットニー社製エンジンが使えなくなり、低性能の国産エンジンを使わざるを得なくなったことで急遽武直-19というピンチヒッターが登場しました。しかし武直-10自体にも問題があるという批判の意見が出ています。

http://bbs.tiexue.net/post2_5988988_1.html


武直-10、あるいは鶏肋となり中国の大型武装ヘリの重任に耐え難いか (頑住吉注:以前も出てきましたが「鶏肋」とは「たいして役には立たないが捨てるのには惜しいもの」という意味です)

(頑住吉注:原ページにはここに武直-10の画像2枚がありますがキャプションはありません)

ずっと以前からロシアの軍事メディアは中国の主力装備が、中国がロシアから軍需品を購入することを衰えさせているきらいがあると唱えてきた。だが我々は現在中国の武直-10という人気者がその名に値する重任に耐え難いことも見るべきである(頑住吉注:「武直」は武装ヘリの略です)。何故ならこの機の、ヘリの全体構造、後日のグレードアップポテンシャル、武器装備搭載方面には間違いなく一定の限界が存在するからである。アメリカ、ロシアの現役主力武装ヘリと比べてほとんどいかなる技術的優位性もないだけでなく、ハードウェア自体の本質的隔たりは、あるいは後日武直-10が中国陸軍の総合戦力向上を引き起こす大黒柱たりえない結果をもたらすかもしれない。

武直-10にどんな数点の問題があり、武装ヘリとして致命的鶏肋に他ならないかということを分析しよう。

まず、武直-10の機体構造の形式選択ミスが武直-10を短期間内で実戦任務に耐え難くする。

武直-10は我が国が1990年代末に研究開発した専用型武装ヘリである。中国は世界最大規模の陸軍部隊を持つ国として、専用型武装ヘリを持つことは必要でもあり、必須でもある。工業的基礎が薄弱であるなど種々の要素の制限を受けて、また1980年代に西側ヘリの技術導入方面に若干のミスがあった(これは止むを得ないことでもあった。西側諸国の我が国に対する武器封鎖にもかかわらず1国だけ比較的状況が良かったフランスがドルフィンを提供できたのである)(頑住吉注:AS365。武装ヘリどころか軍用ヘリですらない一般のヘリです)ため、直接的結果として中国のヘリ技術はアジアにおいてということで言えばまあまあだが、世界中でということで言えば、特に陸軍大国としては遅れていた。だが最先端の専用型武装ヘリが研究開発、使用できないことは、疑いなく現在武装ヘリが大陸軍の先鋒であるという状況下では、中国陸軍の戦力による脅威を非常に大きく削減する! アメリカ軍が装備する「アパッチ」系列武装ヘリが湾岸戦争および1990年代中、前期の各局地戦争で天下無双だった時、表情にはできるだけ出さないようにしてはいても、その誘惑はすでに中国を耐え難くさせていた。中国は自分の専用武装ヘリ研究開発を決心した。20年余りが過ぎ、武直-10の実物も公開されてすでに久しいが、この極めて伝奇性に富み、近代化の息吹が散見される武装ヘリは、多くの技術的限界を覆い隠すことが難しく、その中で最も代表的な弱点は、構造形式の選定方面のミスに他ならない。

中国の武直-10研究開発の初め、世界にはすでに異なる2種の武装ヘリの機体設計理念が存在し始めていた。すなわちアメリカ、ロシアに代表される伝統的材料に立脚して研究開発された大型武装ヘリと、ヨーロッパに代表される新型複合材料に立脚して研究開発された中型武装ヘリである。前者の代表作はアメリカの「アパッチ」武装ヘリであり、後者の代表作は「タイガー」(頑住吉注:フランス・ドイツ共同開発)と「マングース」(頑住吉注:イタリア)武装ヘリである。現在公表されている武直-10の写真によれば、外部機体構造から見て、この機が見習ったのは疑いなくヨーロッパの武装ヘリの風格であり、中型武装ヘリ研究開発の道を行った。だが中国の実際の出発点からして、この選択は疑いなくミスである。

改革解放から今に至るまで、我が国は不断に極めて大きな数量の陸軍部隊に対し簡素化を行ってきた。だが中国陸軍の「大陸軍」発展モデルは短期的には改変できない。このため、もし陸軍が参与する小規模武装衝突の中で武装ヘリは全て、敵の比較的大規模な装甲部隊の破壊任務を引き受ける能力を持つべきである。そしてこの任務を完成させる主要な条件は、武装ヘリの充分堅固な機体構造と搭載能力なのである。ヨーロッパの武装ヘリに比べ、アメリカとロシアの武装ヘリでは搭載能力が極めて強調されている。まさに「アパッチ」は16発という武装ヘリ最良最大の搭載を確定させ、これはアパッチに比類のない対費用効果をも持たせ、その強大な弾薬搭載量はその脅威を激増させている。しかしこれは全てアメリカ、ロシア流武装ヘリの堅固な機体構造という基礎の上に建立されたものである。これに比べ、中国の武直-10もヨーロッパのタイガー、マングースの類の中型武装ヘリも、皆比較的脆弱な機体構造の制限を受けて、その最大の搭載能力はいずれもたった8発のミサイルと2基の中型ロケットランチャーに限られている。このことから、武直-10の機体構造は疑いなく、この機が後日の実戦任務を有効に引き受けることを非常に大きく制限し、その火力など総合能力の発揮に深刻に影響する!

(頑住吉注:原ページにはここにピンチヒッターである武直-19の画像があります)

次にグレードアップポテンシャルが限られている

グレードアップポテンシャルが限られていることは、武直-10が中国陸軍の作戦任務に持続的に適応することを難しくする。

我々はしばらくアメリカが開発するステルス武装ヘリ、すなわち「コマンチ」計画のことは置いておき言及しない(頑住吉注:と言うかそれもうとっくに中止されてます)。初の武装ヘリの誕生から今まで、最大の技術的進歩はアメリカがAH-64Aを基礎に、「ロングボウ」ミリ波レーダーを追加装備することによって、AH-64D「ロングボウ・アパッチ」武装ヘリの研究開発に成功したことだと評価される。これにより武装ヘリが初めて探知計測と攻撃の一体化を実現したことが示された。その後、ロシアとヨーロッパそれぞれの武装ヘリプロジェクトの中に、いずれも類似のグレードアップ方案が出現した。だが疑う余地がないのは、グレードアップの成功度でも実際の使用効果でも、アメリカの「ロングボウ・アパッチ」が最良の武装ヘリ高級グレードアップのお手本だということだ。だが比較すると、武直-10はあるいは自身のグレードアップポテンシャルが限られているため、この種の最先端かつ必要なグレードアップを行うのが難しいかもしれない。機体の型選定ミスゆえにもたらされた(頑住吉注:搭載量不足以外の)もう1つの悪い結果は、武装ヘリ自身のグレードアップポテンシャルが相当に限られていることである。アメリカの「ロングボウ」ミリ波レーダーを例に取ると、このレーダーの重量は300kg前後にもなり、本来機体構造がすでに重い負担に耐えない武直-10は、この重量を受け入れる必要があるだけでなく、さらにヘリのローター上方にこの装置を追加装備するため、機全体の設備を調整して重心のバランスを回復しなければならない。これは大量に複合材料を採用した武直-10武装ヘリに関して言えば泣きっ面に蜂である。これも明確に知られていることだが、武直-10が真似た原型である「タイガー」式武装ヘリは、ミリ波レーダー設備の実験後、効果が顕著だったにもかかわらず現在まで依然大量装備されないままである。我々が再度武直-10がさらにエンジンの性能に制限を受け、ずっと搭載能力不足というまずい状況にあることを考慮すれば、その限られたグレードアップポテンシャルは推して知るべしであり、そのグレードアップの妥協点を探し出すのも難しい!

(頑住吉注:原ページにはここに武直-10の画像があります)

第3、武器搭載の制限

その武器搭載の制限は武直-10に中国陸軍航空戦力の総合的向上を阻害させる。

最近、武直-10がそれぞれの大きな軍事フォーラムに登場したが、このようにひどくにぎやかになった原因の1つはこの武装ヘリの主力ミサイル、つまりレーザー制御誘導の紅箭10対戦車ミサイルのデビューである。紅箭10は技術性能上アメリカ製の「ヘルファイア」ミサイルと基本的に同一レベルにあり、現在の世界の対戦車ミサイルの最高技術レベルを代表するものだ。疑いなく中国の武装ヘリのためにその他の方面のいくつかの欠陥を補う。だが別の角度から見れば、紅箭10ミサイルの高いペースの発展と鮮明なコントラストを形成するのは、武直-10のその他の機載弾薬の研究に関してほとんど全く情報がないことだ。このことも我々を心配にさせる。想定の中では、紅箭10と「天燕」90以外、武直-10のために配備するこれ以上の制御誘導兵器の予定はない可能性がある。これに比べ、アメリカの「アパッチ」武装ヘリの武器庫には恐るべきAIM-9「サイドワインダー」ミサイルがある。これだけではなく、通常の空対空ミサイルの他に、アメリカ陸軍はAIM-9ミサイルを基礎に、「HARM」ミサイルの技術を結合させ、、「アパッチ」のために専用型の対輻射(頑住吉注:敵のレーダーが発射する電波をたどって命中する)ミサイルをオーダーメイドで作り上げた。このため、「アパッチ」は敵サイドの武装ヘリに直面している時に限らずより有効性の高い空戦武器を持っているのである。1つの鮮明な例はイラン・イラク戦争の中にあった。イランが装備したアメリカ製AH-1系列武装ヘリは止むを得ず機関砲だけに頼ってイラクの粗削りでごついミル-24との空戦に陥り、最終的に10対6のキルレシオで敗北した(頑住吉注:いまいちよく分かりません。「『アパッチ』は敵サイドの武装ヘリに直面している時に限らずより有効性の高い空戦武器を持っているのである。」というのは戦闘機にも対抗手段があるということかと思いましたが、そうではなく機関砲とは違い見える範囲にない敵も倒せる、という意味で、そういうミサイルをミル-24側は持っていたということでしょうか。それで10対6にしか差が開かないものなんでしょうか)。

これと同時に、中国がすでに発表している画像から見て、「天燕」-90ミサイルは武直-10上で、極めてスペースを浪費するフルラック搭載方式を採用している。これは極めて大きく武直-10が同時にその他の武器を搭載する能力を制約するだけでなく、元々搭載能力が不足している武直-10に関して言えば、疑いなくこれも1つの災難である。「天燕」-90は改造ポテンシャルが極めて限られ、疑いなく対輻射型は誕生し得ない。これにかんがみれば、武器搭載上の限界に制約され、武直-10は比較的長い一定期間内、依然伝統的な武装ヘリに相当することになり、これは疑いなく中国陸軍の切迫した需要とは符合しない。

このため見たところ武直-10は武装ヘリの中の大黒柱の作用に耐えるか心配される。これは我々が直-9(頑住吉注:直-19の原型となった多用途ヘリ)の生産と探求を決して停止していない理由でもある。武直-15(頑住吉注:ユーロコプターとの共同開発による直-15の武装ヘリバージョンということのようですが詳細はよく分かりません)に似た武装ヘリの頭頂に小さな帽子状のものも出現しており、アメリカが先に行った発展の道をたどる可能性も極めて高い。すなわち初期のアパッチは「ロングボウ」ミリ波レーダーを搭載する前、アパッチとリトルバード(頑住吉注:AH/MH-6)を組み合わせてアパッチの不足のところを補った。我々もこの方法をもって武直-10の不足のところを補う可能性が極めて高い。武直-15を加えれば武直-10は疑いなくアパッチにリトルバードを加えるよりずっと強力である。これは中国陸軍航空隊の中国独特の道でもある! 乞うご期待。

(頑住吉注:原ページのここにある画像は、キャプションがないですがたぶん「武直-15に似た武装ヘリの頭頂に小さな帽子状のもの」が出現した、というものだと思われます)


 最後にちょっとフォローが入ってますが、全体的には厳しい評価です。ミサイルの発達が遅れているというのはそもそも武直-10の問題ではなく、搭載量の問題は低性能のエンジンが改善されればある程度改善されるはずです(戦闘機用最先端のエンジンのように長期にわたり問題が解決されない可能性もありますが)が、本来的に機体構造が脆弱だというのは事実とすれば抜本的解決は無理そうです。











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