アメリカの無人機が太平洋地区の戦力バランスを変える‥‥?

 無人機というと撃墜されてもかまわない作りの補助兵器というイメージですが、空母関係の記事では比較的近い将来艦載機の主力が無人機になるような予測が書かれてましたし、こんな記事もありました。

http://mil.eastday.com/m/20120514/u1a6554835.html


アメリカのX-47B無人機が太平洋地区の戦力バランスを変える

(頑住吉注:原ページの最初の画像のキャプションです。「アメリカの無人機の空中給油テスト」)

ニュースの提示

アメリカの「空軍」3月号(頑住吉注:「Airforce-Magazine」でしょう)はアメリカ軍がこの夏、無人機の空中給油テストを行うと報じた。これはアメリカ国防部高級研究計画局がちょうど今行っている新プロジェクトであるという。1機の「グローバルホーク」式無人偵察機1機を給油機とし、高空において別の「グローバルホーク」式無人偵察機1機に給油させるのである。このプロジェクトの責任者ジム マコーミックは、これは空中給油技術に根底から覆すような変化をもたらすと話している。

現在における無人機空中自主給油技術の難点、発展の趨勢、応用の前途等の問題に関し、記者は空軍装備研究院の某所研究室主任で、無人機研究の専門家である王剣にインタビューした。

無人機の自主空中給油はエポックメイキングな技術である

質問:無人機研究の専門家として、あなたはアメリカ軍がこの夏、無人機空中給油テストを行うことをどう見ますか?

回答:無人機空中給油というと、私はアメリカの大作映画、「ステルス」の中の場面を連想するのを禁じ得ません。空中浮遊機が給油プラットフォームとして空中に固定して浮かび、有人および無人の作戦航空機の遠距離作戦を有力に支援していました。無人機の自主空中給油技術の試験飛行検証はエポックメイキングな技術です。無人システム、センサー、空気動力学的チャレンジへの対応が必須であり、その価値は空中給油が有人機にもたらした影響に劣りません。一方では無人機の航続距離、飛行時および配置時の柔軟性を非常に大きく向上させ、前身基地への依存度を減らし、作戦機能を倍増させるものとなります。他方では無人機にも有人機同様の空中編隊飛行能力を具備させ、したがって現在の無人機の個々に戦闘する使用方式を変えます。これは未来における無人機と有人機の共同使用による作戦モデル探求に対して道を切り開く意義があります。

質問:有人機と比べて、無人機の自主空中給油のメリットと価値はどこにあるのですか?

回答:アメリカ軍の「グローバルホーク」無人機を例にすると、空中給油により航続時間と航続距離が3倍に向上でき、単機飛行作戦の効率が倍にアップし、さらに一歩このタイプの無人機の用途が深化拡大します。さらに素早い配置と特定地域に対する全天候定点偵察により、無人機は衛星の定軌道運航がもたらす偵察範囲および時間が制限を受けるという不足も補うことができます。しかもスパイ衛星が破壊あるいは妨害された時、衛星に代わって偵察任務を遂行することができます。

有人機は空中給油能力を備えていますが、運航時にはそれでも飛行員が疲労に耐えられる時間の影響を受けることになります。例えば、海軍の「スーパーホーネット」F/A-18艦載戦闘機は毎回の出撃での飛行距離が通常450マイル(頑住吉注:約724km)を超えず、数時間の任務しか執行できません。このため、アメリカ海軍はノースロップ・グラマン社が開発中の2機ペアのX-47B無人作戦機のために空中給油設備とソフトウェアを追加しています。この変化は海軍の原子力空母の有効打撃距離を数千マイル延長します。すなわち遠く安全な海域から太平洋地区の任意の目標に対する打撃が実施でき、したがって太平洋地区の戦力バランスを変えることになります。

この他、無人機の自主空中給油技術は有人機でも重要な作用を発揮できます。飛行員にとって、1回が10〜30時間の長さに達する飛行任務(B-2爆撃機がアメリカ中西部からイラクまで飛ぶのに相当)は小さからぬチャレンジである。特に離陸、着陸、爆撃、そして空中給油の段階は、飛行員が最も緊張する時です。もし自動編隊と自主給油技術を採用すれば、飛行員の長距離飛行および劣悪な天候の中での飛行の負担軽減を助けることができます。

有人から無人まで 飛行コントロールシステム等核心的技術の飛躍が必要

質問:無人機の空中自主給油にはどんな技術的難点があるのですか?

回答:正確なナビゲーション、正確な測量、追跡、正確な飛行コントロールという3つの方面の技術的難題を解決する必要があります。

現在アメリカの研究機構が開発している自主空中給油検証システムの中で、ナビゲーションシステムが採用しているのは「GPS+慣性ナビゲーション」を組み合わせたナビゲーション方式です。しかも測量を通じて給油機と受油機の相対位置、速度、加速度などの関係するデータを計算して解き、受油機が比較的遠距離から給油機に接近するのを導き、正確な給油編隊を形成します。

正確な測量、追跡の実現には、主に受油無人機に光学測量追跡システムを搭載することが行われます。デジタル画像の解析を経て、給油機のテーパースリーブを識別、確定し、テーパースリーブの相対位置、角度、距離、速度などのデータを追跡、測量し、給油管とテーパースリーブの最終的な正確なドッキングを導くのです(頑住吉注:「テーパースリーブ」というのは給油管を受け入れる漏斗状の部分のことでしょう)。

最も核心的なのは飛行コントロールシステムです。まず、組み合わせによるナビゲーションと光学測量追跡システムが提供するデータを根拠に、無人機が空中給油の要求を満足させる飛行編隊を形成することを正確にコントロールし、さらにはドッキングを完成させる必要があります。次に、給油機と受油機の間の複雑な気流および給油過程での重量、重心の変化がもたらす影響を打ち消し、給油編隊と無人機プラットフォームの安定を保持する必要があります。さらに、突発的な気流が無人機プラットフォームに対してもたらす影響を克服し、かつ給油編隊が標準的な旋回機動を行う時に有効なコントロールを実施する必要があります。

この他、さらに完全な自動保護モデルを持つべきです。ひとたびドッキング過程で異常が起きたら、飛行コントロールシステムは受油機の自動システムと給油機の離脱をコントロールできるということです。まさにこうしたカギとなる重要技術の飛躍と総合的応用のおかげで、空中給油の有人から無人への技術的乗り越えが実現したのです。

質問:アメリカ軍の無人機の空中自主給油技術はいくつの発展段階を経たのですか? 

回答:無人機の自主空中給油技術に照準を合わせ、アメリカ空軍研究実験室は、段階に分けて実現される発展路線図を制定しました。第1段階では有人機による模擬無人機プラットフォームの試験飛行検証が行われ、第2段階ではF-16 VISTA variable stability 機を利用してアメリカ軍の典型的無人機(例えば「グローバルホーク」、「プレデター」など)の飛行特性の試験飛行検証シミュレーションが行われ、第3段階では無人機による無人機に対する試験飛行の検証が行われました。こうして空中給油技術の有人から無人への乗り越えが実現したのです。

どんどん多くなる無人機は未来の空の戦場を占拠する

質問:現在アメリカの無人機空中自主給油技術の進展はどうなっているのですか? 全部でどんな機構が研究中なのですか?

回答:2006年8月15日、ボーイング社は改装した「リール」機を使い、硬式給油方式を採用してKC-135R給油機で無人機空中給油位置自動保持技術を成功裏に検証しました。

同年8月30日、ドライデン飛行研究センターは改装したF/A-18機を使ってボーイング707-300給油機と初めて完全自主空中軟式給油ドッキング飛行の実現に成功しました(頑住吉注:硬式、軟式というのは給油に使うのが硬いパイプか柔らかいホースかということでしょうか)。

RQ-4「グローバルホーク」無人機を開発したノースロップ・グラマン社はずっと、空中給油技術を利用してこのタイプの無人機の航続能力を向上させる研究を行っていました。アメリカ空軍研究実験室の発展路線図とのマッチングのため、この会社はアメリカ航空宇宙局の支持のもとに、2機の「グローバルホーク」の間で行われる自主空中パートナー給油技術の技術研究開発を展開しました。アメリカ航空宇宙局は2機の「グローバルホーク」無人機を購入し、軟式給油システムを装備し、それぞれを無人給油機と無人受油機とし、今年の夏に無人機空中自主給油の試験飛行検証を計画しています。

質問:無人機自主空中給油技術の未来における発展の趨勢と実戦への応用について語っていただけますか?

回答:アメリカ空軍は無人機の空中給油能力の発展を非常に重視しています。最新の「2009〜2047年無人機システム飛行計画」の中では、中型無人機MQ-9「リーパー」の後継機であるMQ-Xが2030年に空中給油機能を具備し、かつ小型給油機としてその他のタイプの機の任務執行の拡大を助け得るべきものとされています。また大型無人機RQ-4「グローバルホーク」の後継機であるMQ-Lは2030年より前に空中給油能力を具備するよう要求されています。アメリカ空軍が現在論証を行っている新型爆撃機「次世代遠距離攻撃システム」(NGLRS-II)が採用しているのは自主空中給油ができる無人爆撃機に他なりません。

現在アメリカ空軍が最優先の調達プロジェクトとしているのはもはやF-22「ラプター」戦闘機ではなく、空軍に対し重要な影響を持つ空中給油機なのです。無人空中給油技術の発展と成熟につれ、どんどん多くの無人機が未来の空の戦場を占拠し、有人作戦機の強力、有力な支援となることが予想できます。

この夏にアメリカ軍が計画している組織的テストは、まさに無人機の自主空中給油飛行検証の開始に過ぎず、無人機の時代は間もなく加速、離陸するのです。


 これに比べ中国の無人機の状況はどうか、というところが知りたかったんですが、言及がありませんでした。秘密なのか、アメリカと比較するレベルに達していないのか、どうなんでしょう。

 予算さえつけばこの分野は日本が世界でトップクラスのシステムを開発できそうでもあります。第一線を離れた旧型戦闘機を無人で飛ばす実験などはやってみる価値があるんではないでしょうか。












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