中国の地面効果飛行機

 「カスピ海の怪物」は外形が異様だったためにそう呼ばれたわけで、この中国版は外観が普通過ぎていまいち面白みがないですけど。

http://military.china.com/important/11132797/20140404/18432356.html


中国版カスピ海の怪物が明るみに:翔洲1号地面効果翼船、航海試験を完成

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「翔洲一号機航海試験を完成、中国船級社の認証をパス」 「中国船級社」は国営の船舶技術検証機構です。)

中国の民間用「カスピ海の怪物」がやって来た! 昨日、中央テレビニュースは、我が国の中船重工702所が研究開発した「翔洲1号」地面効果飛行機が海南省で航海試験を完成させ、中国船級社の認証をパスした、と報道した。このことは、この船と飛行機の間を介する特殊な交通ツールが間もなく商業運行に投入されることを意味している。これはまず三沙市の各島礁と大陸との間の旅客、貨物の輸送業務に投入され、元々数日だった航程を1、2時間まで短縮することになる、とされる。同類装備はとっく我が軍の国境防衛部隊で運用され、我が国の南北国境防衛ラインでパトロール任務を執行し、技術は成熟し信頼性が高いとされる。

何故「空中飛船」と呼ばれるのか

中央テレビと国内主要メディアでは、「翔洲1号」飛行機は「空中飛船」と呼ばれ、これは決して正式な科学技術専門用語ではないが(正式名称は「地面効果飛行機」あるいは「地面効果翼船」)、非常にぴったり地面効果飛行機の特性を説明している。国際海事組織の規定によれば、この種の交通ツールの中で、正常な飛行高度が150mを超えるものが飛行機の範疇に属し、150mより低いものは船舶に属する。民間用領域において、この両者の主要な差異は、異なる管理機構によってその航行適性が認証されることを必要とすることにある。すなわちその商業運用への投入の許可である。我が国においては、飛行機は民間航空管理機構の認証をパスする必要があり、一方船舶は船級社の批准を必要とするのである。

国際的には地面効果飛行機は1960年代に研究開発が開始され、その設計の当初におけるインスパイアは初期の水上機から来た。水上機が水面上を非常に低い高度で水平飛行する時、空気が主翼と水面の間で「プレス」され、正常な飛行状態より大きな揚力が生み出され、これこそ「地面効果」である。同じ離陸重量の地面効果飛行機と普通の固定翼機を比べると、その燃料消費は半分に節約でき、有効搭載重量係数比は25〜50%以上高く、航続距離は50%前後増加させることができる。

(頑住吉注:これより ページ目。画像のキャプションは「水面上に停泊する『翔洲1号』」です。)

「翔洲1号」地面効果翼船を使って何ができるのか?

「翔洲1号」は中船重工702所傘下の中船重工(南海)飛行機開発有限会社によって研究開発され、組み合わせ翼全体レイアウトを採用し、単一のエンジンで推力プロペラを駆動し、船体には水密キャビンが設けられ、キャビン内には7名の乗員が座れ、かつダブル操縦レイアウトである。

説明によれば、「翔洲1号」は全長12.7m、全幅11m、全高3.9m、最大離陸重量2.5トン、巡航速度140〜160km/h、最高速度210km/h、さらに150mを超えない高度まで上昇して飛行し、展望あるいは障害を避ける目的を達成でき、中国の現在運行速度が最も速い地面効果翼船である。

中国は1967年から地面効果翼船の研究開発を開始し、現在すでに一連のカギとなる重要技術問題を解決し、自主知的財産権を持つ設計技術を形成し、相次いで若干種の小型地面効果翼船の試験船を研究開発した。例えば「DXF100」型、「アホウドリ」、「天翼一型」などである。このうち、1999年に「天翼一型」は中国船級社の入級検証をパスし、中国初の内陸河川地面効果翼船である。だが種々の原因により、商業化された運営は決して実現していない。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「航海試験中の『翔洲1号』」です。)

中国船級社責任者は、「翔洲1号」は相次いで水面航行、発進、降着、地面効果飛行、地面効果なしの飛行、上昇飛び越え、旋回などの試験科目の航海試験を行い、その結果はこの船が航行適性、入級の要求を完全に満足させることを示した。この船の研究開発の成功は、地面効果翼船の設計、建造、検証技術体系を完備させ、中国がすでに地面効果翼船の科研成果関連の転化作業を完成させ、公務および民間用市場の急速な発展を推進することになる、ということを示している。

「翔洲1号」副総設計師石亜軍の説明によれば、航海試験中「翔洲1号」はまず船の「スタイル」をもって加速して航行し、これは「暖機」と称する。船は主に低速排水状態で航行し、操縦員は船上で操作コントロールシステムが正常か否かをテストし、各項目のメーターの作動状態を検査し、同時に最良の飛行方向を探求したが、風に逆らい波に逆らうのが最も有利な飛行だった。

海面を滑走すること約3分前後で、「翔洲1号」の航行速度は加速し、船体は徐々に水面から躍り出、地面効果飛行に適した高度を探し、平穏な飛行を保持し、速度は徐々に時速160kmまで上昇した。

(頑住吉注:これより4ページ目。画像のキャプションは「『翔洲1号』飛行機」です。)

10分余りの飛翔試験の後、操縦員は「翔洲1号」の速度を緩め、ゆっくりと水面に降着し、着水後船のスタイルをもって航行を継続した。

「地面効果翼船が最も私を安心させたのは、滑走路が永遠に我々の足の下にあることだった。」 「翔洲1号」操縦員の王暁東は、飛行機と異なるのは、地面効果翼船は専用の滑走路を探す必要がなく、400mの海域の中からすぐ快速で発進できることであり、飛行を終えた後も随時海域に降着できることだ、とする。また、池沼の区域、氷や雪の地域、砂浜などの地いずれでも、地面効果翼船は大いに腕前を見せ、各種の需要を満足させることができる。

新華社の報道によれば、地面効果翼船は非常に大きく人類の海上における航行速度を向上させた。「翔洲1号」の速度は140〜160km/h、最高速度は210km/hで、トン数が徐々に増大するにつれ、地面効果翼船の飛行速度は500km/h以上に達し得る。

(頑住吉注:これより5ページ目。画像のキャプションは「我が国の地面効果翼船の原型機」です。これは「カスピ海の怪物」ほどじゃないですがいい感じに変な形してますね。)

外観から見て、地面効果翼船は飛行機に似ているが、飛行機とは比較できない優勢を持つ。中国人民解放軍海軍工程大学教授の董祖舜は、平静な水域さえあれば地面効果翼船は発進でき、飛行場を建設する大量の土地や資源が省かれ、その通信、ナビゲーション、空地勤務保障条件はへの要求も比較的低く、飛行機に比べより便利で安全だろう、とする。

地面効果翼船のさらなる一歩の研究開発と普及につれ、これは民間用領域でより貢献することになる。

海南省の三亜から西沙の永興島までは、普通の公務船に乗ると15時間かかる。もし地面効果翼船「翔洲1号」に乗れば、1時間50分でもう到着できると見られる。

三沙市の海の島の管理は中国の非常に広い海域の管理の1つの縮図である。東海と南海において、多数の島嶼は比較的小さく、飛行場は設置できない。同時にまた大陸からは距離がはるか遠くてヘリを飛行に動員することはできない。地面効果翼船は海上の条件が劣る、費やす費用がごく小さい状況下で上陸、人員や物資の輸送が実施できる。

中船重工702所党委員会書記蔡大明は説明し、将来は「翔洲1号」を基礎に研究開発に入れる力の度合いを強化し、中国の島と島との間の人員、物資供給の問題を解決し、さらに中国と他国との間の境界の湖などの地で広範な応用が達成できるよう推進する、とする。

(頑住吉注:これより6ページ目。画像のキャプションは「興凱湖国境防衛部隊が装備する地面効果翼船」です。)

董祖舜の説明によれば、地面効果翼船は未来の造船業の1つの方向であるという。近年来中国はどんどん海洋の保護と発展を重視し、地面効果翼船の研究を強化しようとしており、一方においては海洋権益の維持保護に支持を提供するためであり、他方においては海洋経済の発展加速に便宜を提供するためである。海上風力発電、海上石油プラットフォームなどにひとたび故障や事故が出現したら、地面効果翼船を利用してより快速、有効に維持修理人員や設備を現場に運ぶことができ、特に海上風力発電施設に対しては、ヘリではこの項目の任務は執行できない。

(頑住吉注:これより7ページ目。画像のキャプションは「黒竜江国境防衛部隊が装備する地面効果翼船」です。)

解読を拡張

一、中国の国境防衛部隊は地面効果飛行機を装備する


我が国の地面効果飛行機研究開発は1960、70年代に始まったが、ずっと大型化された地面効果飛行機は作り出すことができず、しかも地面効果飛行機には旋回が困難などの欠陥も存在し、その使用範囲を制限した。21世紀に入り、ロシアから地面効果飛行機関連の技術が導入されると、我が国はこの領域において長足の進歩を取得した。2004年、中央テレビ局は、黒竜江、興凱湖国境防衛部隊が国産地面効果飛行機を装備済みであり、国境防衛パトロール任務執行に用いられていると報道した。

二、ロシアの「カスピ海の怪物」とアメリカの「ペリカン」大型地面効果飛行機

ロシアは世界で最も地面効果飛行機の実用を重視している国であり、この国はバルト海、黒海、カスピ海いずれにおいても地面効果飛行機を運用して輸送、救援、対潜、甚だしきに至っては対艦攻撃任務が執行できる。このうちカスピ海で試験飛行した時にアメリカの重視を引き起こしたKM型、すぐ後に続いた903、904型など大型地面効果飛行機が最も有名で、「カスピ海の怪物」と呼ばれる。

(頑住吉注:これより8ページ目。画像のキャプションは「『カスピ海の怪物』 KM型技術検証船」です。)

「カスピ海の怪物」の中で、904型大型地面効果飛行機は上陸に用いる輸送機で、装輪式歩兵輸送車以下の車両と人員、物資を搭載できる。当時NATOは、ソ連軍はこの飛行機を用いてバルト海を飛び越え、ドイツ北部沿岸に上陸を実施し、NATOの防衛ライン突破を補助する計画であると推測した。また、ソ連はさらに903型地面効果ミサイル艇を研究開発し、この艇上には6発の「サンバーン」対艦ミサイルが装備され、威力は非常に大きかった。だがこの種のミサイル艇の問題は旋回が非常に難しく、狭い海域内での使用が敏捷でないことであり、このためソ連軍も単に実験的に1隻を建造しただけだった。ソ連のベリコフ設計局はかつてさらに外形がより独特で、クッションリフトアップエンジンを利用して海上でホバリングできる対潜地面効果翼船を研究開発し、1隻のサンプル機を建造したが、実用には決して投入されなかった。

(頑住吉注:これより9ページ目。画像のキャプションは「ミサイルを発射しつつある903型地面効果翼ミサイル艇。大型地面効果翼船は方向転換が極めて困難なので、この型の船は1隻建造されただけだった」です。)

ソ連解体後、ロシアは大型地面効果飛行機方面においてかつて多くの異なる研究開発方案を提出したが、いずれも新たな進展を取得することはなかった。

アメリカのボーイング社はかつて世界最大の地面効果飛行機「ペリカン」を研究開発する方案を提出した。その飛行高度は150mを超えることができ、このため巨大輸送機に区分けされ、この機の離陸重量は2,700トンにも達する。だがこの機は今までいかなるサンプル機も作り出されてはいない。

中国は大型地面効果飛行機方面において現在まだ成果を公表していない。


 個人的には地面効果飛行しかできないものを地面効果飛行機と呼ぶべきなのではと思いますが、この機はそれ以上の高度に到達できるが定義上は地面効果飛行機に含まれるわけですね。しかし150m以上上昇できないってのはどうやって証明するんでしょうか。自己申告ですかね。いずれにせよこれはほぼ飛行艇と同じものであって、「飛行機とは比較できない優勢」もほとんど飛行艇と共通する特徴ですわな。しかし国境防衛部隊が使用しているのはいかにもな形の地面効果飛行機ですね。
























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