陸上対潜ロケットブースト魚雷って?

 以前は基本的に週1回のペースで更新していた「軍情視界」ですが、最近更新がなくなり、やっと新しい記事が出たんですが‥‥

http://military.china.com/topic/vision/11138177/20140930/18830657.html


軍情視界:陸上対潜ロケットブースト魚雷を語る

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「2014年のアフリカ航空安全保障業務展で、中国の保利集団のWS-3 400mm遠距離ロケット砲が明るみに出た。このロケット砲は射程100kmのロケット魚雷が発射できる。ロケット弾はGPS・慣性制御誘導で、グロナスシステムとの互換性があり、最大射程は400kmである。(画像のソース:新華ネット)」)

周知のように、厳格な秘密保持審査制度があるため、普通の人は平時ほとんど国産の最新型武器装備を見ることが非常に難しく、増してやその技術レベルに対しては理解することができない。この種の状況下で、中国メーカーが参加するいくつかの武器展示会は、我が国の装備技術レベルを理解する1つの重要な窓口となっている。今年南ア共和国で行われた「アフリカ航空宇宙安全保障業務展」で、保利集団が展示した「陸上対潜ロケットブースト魚雷」の模型は、設計思想が独特であるがゆえに、一時人々の多くの推測を引き起こした。

ロケット弾かそれともミサイルか

「陸上対潜ロケットブースト魚雷」の説明および画像が各大ウェブサイトにひとたび掲載されるや、すぐに多くのネット仲間の関心を引きつけ、多くの疑問をも引き起こした。展示パネルの説明によれば、これは対潜武器の一種で、戦闘部は小型対潜魚雷であり、「衛士」系列遠距離ロケット砲を使用して陸上から発射できる。このためある人はそれを「対潜ロケット弾」と称し、一方この武器を発射するロケット砲も当然「対潜ロケット砲」と呼ばれる。だが、ロケット弾は遠距離対潜打撃が実現できるのだろうか?

我々は、小型対潜魚雷が主にアクティブ/パッシブソナー誘導弾頭に頼って目標を捜索することを知っている。だが体積などの原因ゆえに、その誘導弾頭のソナーアレイ面の面積には限りがあり、魚雷自身の探知計測距離は決して長くなく、このため対潜機あるいは対潜ミサイル(すなわちロケットブースト魚雷)が魚雷を投下する時は必ずできる限り潜水艦に接近し、もって魚雷の誘導弾頭がロックオンを完成し得ることを保証するのである。

このディテールを確定した後、我々はさらに振り返ってこのいわゆる「対潜ロケット弾」を見てもよい。理論上の対潜の有効性を確保するには、充分な末端精度を持つことが必要で、これは明らかに簡易制御誘導装置で満足できるものではない。このため、このいわゆる「ロケット弾」にはきっと高精度の初期段階および中期段階制御誘導システムが装備されている、と断定できる。だが制御誘導システムの有無は、まさにロケット弾とミサイルの根本的な違いであり、どんな種類の発射搭載具を使用するかは逆に決して重要ではないのである。このため、この武器の実質は陸上基地対潜ミサイルであって、そのロケットブースト段+小型対潜魚雷というコンビネーションは、まさに現在の対潜ミサイルの主流たる配置でもある。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ロシア海軍大型対潜艦上には対潜ミサイルが装備される」)

いったいどう使うのか

対潜ミサイルは主に水上艦艇、潜水艦、甚だしきに至っては対潜機に搭載され、使用時は本艦(艇)あるいは艦載ヘリを利用して目標の方位を提供し、潜水艦に対し打撃を行う。この全武器システムは1つの完備された指揮・探知計測・通信・攻撃というチェーン状の連なりを含み、ミサイル発射は最後に打撃を行う手段に過ぎない。これに比べると、潜水艦の位置を正確に探知計測できるか否かがより重要である。

今回の南ア共和国安全保障業務展に出現したこの陸上対潜ロケットブースト魚雷に関して言えば、それ自体はやはり明らかに攻撃手段に過ぎない。対潜攻撃手段として、この対潜ミサイルは陸上に配備されるが、依然完備された指揮・探知計測・通信というチェーン状の連なりの支持を必要とし、しかも陸海協同という背景の下に、このチェーン状の連なりはより複雑で大規模なものになるだろう。

対潜に関して言えば、まず解決を必要とするのは目標発見の問題である。特に陸上基地の武器は、潜水艦を有効に探知計測しようと思えば、第三者プラットフォームの支持に頼るしかない。現在見たところ、対潜ヘリ、対潜哨戒機、水上艦艇、ないし水中の固定されたソナーアレイはいずれもその探知計測手段となり得る。甚だしきに至っては多種の潜水艦捜索方式を総合的に運用することができる。目標発見後は、リアルタイムにロケット砲に向け目標の座標データを伝えてくることが必要になる。これはまさに陸上基地対潜ミサイルを使用する最も核心的な部分で、高速、大容量のデータリンクの支持があることを必須とし、それでやっと攻撃を有効に完成させることができる。全攻撃過程の中で、指揮コントロールも軽視されやすいが、やはり非常に重要な一部分である。第三者による作戦誘導、探知計測と攻撃が2つの地に分かれて属し、各方の情報の有効な整合があってこそ、全面的な戦場の態勢を形成し、各部分の有効なコントロールを実現することができるのである。

中国にとってどんな意義があるのか

我が国の伝統によれば、ある武器が輸出領域に出現するには、国内の現有の機種の輸出型であるか、競争入札に敗北した方案の再利用かである。国内にはまだ同類武器の情報の流出がないため、基本的に現有の機種の輸出版という状況は排除できる。現在見たところ、南ア共和国の安全保障業務展に出現したこの武器は、国内の関連の武器競争入札の落選方案の可能性が高い。上の文によって、この陸上基地対潜武器を有効に使用したければ、相応のC4ISR能力を具備することが必須であると知ることができる。特に高い効果の戦場通信およびデータ転送システムである。しかもこの種の能力は、まさに今流行の「ネットワーク中心戦」の核心の在処である。中国の伝統的軍事貿易市場の中にはこの能力を持つ国は決してなく、その輸出の前途の見通しは決して楽観できない、ということはごくはっきりしている。このため装備展にこの武器を登場させたのは、きっとこの機を借りて研究開発の実力をデモンストレーションするという意味があるのだろう。

この武器の作戦方式から我々は、我が国の近海および周辺地域において、我が軍の情報、通信、指揮保障が実際上すでに非常に高いレベルに達し、一定の規模の「ネットワーク中心戦」を行う能力を完全に具備していることに気付くことができる。そしてこの武器が出現し、かつ国際市場にプッシュすることから、流れ伝わってすでに久しい中国の対潜ミサイルの性能が必然的にすでに成熟しそして完備されていると判断することができ、甚だしきに至ってはすでに複数世代の製品に発展している可能性も排除されない。

実は、この武器は我が軍にとっても一定の潜在的価値がある。ちょっと仮想してみてもいいが、我が国の重要な海域あるいは海軍基地沿岸に、陸上対潜ミサイルを配備し、さらに水中固定ソナーアレイを配せば(関連のニュースによれば、水中固定ソナーアレイ敷設の作業はすでに進行中である)、偵察・打撃が結合した近海対潜体系を形成し、したがって関連の艦艇や飛行機の任務を減らしてより重要な任務を行わせることができる。もしさらに一歩連想を展開するなら、台湾海峡および台湾島南、北部水域もこの武器のカバー範囲に含まれることになりはしないか?

結びの言葉

長期にわたり、対潜作戦はずっと我が国の弱点たる項目で、防空問題が徐々に解決した後、この問題はより突出する。上述のこの武器に対する分析から我々は、我が軍の対潜能力の建設は全くおろそかにされたことはなく、さらに相応の装備技術がすでに徐々に掌握されていることを見いだすことができる。我が国の科研能力の不断の発展と共に、我々はきっとどんどん多くの新型対潜装備を見ることができると信じる。


 「軍情視界」独特のスタイルがなくなっちゃいましたね。ただこの陸上のロケット砲から発射される事実上の対潜ミサイルは当然その性能によっては日米の潜水艦の脅威にもなり得るはずです。


















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