スペインのテレビ局による「中国人侮辱」事件をめぐる論争

 1月11日のコラムで「スペインのテレビ局の年越し娯楽番組、中国人のイメージを馬鹿にし、悪し様に描く」という記事を紹介しましたが、あの事件の関連です。

http://military.china.com/news/568/20140113/18283269.html


中国侮辱事件その後 スペイン第5テレビウェブサイトコメント欄で激烈な論戦勃発

中新ネット1月13日電 スペインEulamの報道によれば、スペイン第5テレビが年またぎ娯楽番組の中で中国を侮辱したとの情報が伝えられて以後、広大な中国人同胞の強烈な関心および極めて大きな憤慨を引き起こすのと同時に、多くのスペイン人にもこのことに注意を向けさせ始めている。ここ何日か、多くの中国・スペインネットユーザーが次々に第5テレビの関連の番組のウェブページの評論コーナーに書き込みを残し、自らの中国侮辱出し物に対する見方を表明している。

多くの書き込みの中には、スペインを旅行する中国人に対し支持や同情を表明するものもあれば、中国人の種々の問題を列挙して中国を侮辱するやり方に対する賛同を表明するスペイン人もいる。このため、ネットユーザー双方はきな臭さの濃厚な激烈な論戦を展開している。

論戦始まる

ある自分はスペインのセビリアで生まれたとする若い中国人ソニア張は(頑住吉注:読んでいくとはっきりしますが中国系スペイン人です)、最初に評論欄に書き込みした。彼女は自分はいつもしばしば第5テレビの番組を見ているが、このテレビ局が元旦前夜に放送した喜劇出し物は自分に非常な憤慨を感じさせた、と語る。何故なら第5テレビはわざわざ中国に照準を合わせて侮辱を行い、中国人は白痴だと罵ったのである。このネットユーザーは、「我々中国人もスペイン人と同じで、尊重されることを希望する。皆民族は異なるが、皆平等なのだ。中国で生活するスペイン人に対し、中国人は皆友好的に対応しているし、甚だしきに至っては自らの同胞に比べてさらにずっとよい対応をしている。我々はその他の民族を悪意をもって笑い物にしたことは全くない(頑住吉注:それはちょっと信じられませんね)。今、中国侮辱番組のためにあなた方テレビ局はすでに中国人視聴者を失っている。あなた方が再びその他の民族を傷つけることがないよう希望する。」と語った。書き込みの最後に、この中国系ネットユーザーは、中国では俗に「人のすることを天は見ている」と言い、人は遅かれ早かれ自らの行為のために代価を支払う必要があるのだ、とした。

中国系ネットユーザーの書き込みがあってほどなく、スペイン人の回答が刺激により引き起こされた。ローラという署名のスペインのネットユーザーは書き込みを行い、「ソニア、まずあなたは自らの立場に対しアイデンティティを持つ必要がある。自分はセビリア人だと言おうが、スペイン人だと言おうが、あるいは中国人だと言おうが、あなたがもしセビリアで生まれればスペイン人なのだ。だからスペイン式のユーモアを理解する必要もある。もしあなたが理解しないのであれば、スペイン文化を勉強してみることだ。何故ならあなたが生まれ、生活するのはスペインなのだから。簡単に言って、第5テレビの小品は誰かを尊重していないというわけではなく、あれはただのユーモアだ。もしあなたが逆の理解をしたなら、それはあなたがこの種のスペイン式のユーモアを真に理解していないせいだ。最後に、繰り返しておく必要があるが、あなたは我々の文化を学ぶ必要がある。何故なら我々はあなたをスペイン人のうちと見なしているからだ。」

ローラの書き込みに対し、あるスペインのネットユーザーエンリケが答え、「私はあなたの見方に全く不同意だ。あなたは第5テレビの番組はスペイン式ユーモアだと言い、かつ中国人が理解しないのはそれまでに学んできていないせいだと言う。だが私はあなたに言う必要がある。決してあらゆる文化、あるいは思想、理念が全世界の範囲で受け入れられ、あるいは実際に実行可能であるわけではない。これに対し、私はあなたに問いたいが、あなたは民族を差別視するこのような文化を理解できるのか否か? また、この出し物番組は中国人は犬猫を食べると風刺しているが、これにはいかなる根拠もない。根本から言って、一部のスペイン人も侮辱した。何故なら出し物の中で、我々は一部のスペイン人も中華レストランで食事していたのを見たが、中華レストランは別の一部の「紳士」然としたスペイン人に言わせれば、決して清潔な場所ではないからだ。実際に第5テレビのこの出し物の中の創作された人員は無根拠に公衆に向けて中国人に関するマイナス面の影響を伝達したのである。このため、この種の行為は一種の侮蔑である。中国人には完全に法によって彼らを告発する権利がある。最後に、私はああしたメディアに一言忠告する。言葉に出す前にまずちょっと考えろ、相手の立場に立って考えてみろ、と。なお、私のこの忠告はああした無知で愚かな人にしてやっているわけではない。」と語った。

この他、tele5DOGDAYという署名のネットユーザーも続けて書き込みを行い、ローラの評論に対し次のように語った。「ローラ、あなたは馬鹿者だ。私はこの言葉をあなたに向けて言っているのではなく、あなたと冗談を言っているのだ。この冗談はあなたの言うところのユーモアだ。だが注意してほしい。このユーモアはあなたが思っているユーモアに過ぎず、決してスペイン人のものではないのだ。私の理解によれば、あなたの言うスペイン式ユーモアは1920〜30年代に留まったままだ。だからここでスペイン人のメンツを潰すようなことはするな。私が今あなたに言いたいのは、あなたの言うユーモアはちっともスペイン式ユーモアではない、ということだ。もし第5テレビの番組があなたに真のユーモア劇を見せないと言うのなら、私はあなたに彼らのものより百倍以上ものいい番組を見に行くことをお願いすることができる。ソニアに対しては、私はあなたに向けて言ったようには語れない。私はあえて、彼女の受けた教育はきっとあなたのそれよりもずっといいものだったということを肯定する。何故なら、ソニアが現在受けている教育は、文明的なスペインが提供する教育だからだ。今スペイン文化を学ぶ必要があるのはソニアではなく、ローラあなただ。あるいはより正確に言えば、あなたのユーモアに対する認識を改める必要がある。何故なら我々は現在すでに以前のような時代にいるのではないからだ。最後に私はあなたにスペイン文化を学び直すよう提案する。いやスペインだけではなく、さらに全世界の文化を学ぶべきだ。」 書き込みの最後に、このネットユーザーはさらに逆説的に諷刺した。「もし私が何か間違ったなら、私を許してほしい。何故なら私は1年365日常にスペインにいるからだ。だが以後は良くなってくるだろう。」(頑住吉注:ごめんなさい、意味分かりませんわ)tele5DOGDAYのこの言葉が、ローラの外部の世界に対する認識の欠乏、視野の狭さを諷刺していることはごくはっきりしている。

(頑住吉注:これより2ページ目)

その後、「第5テレビは馬鹿者」との署名の中国のネットユーザーもスペイン語で書き込みを残した。「私はここに来てすでに7年になる。私はスペインの文化と言語が好きだ。同時にスペイン人に誠意があり友好的だと感じている。だが経済危機以後、スペイン人は不正常に変わり、民族蔑視等々の問題が出現している。まさかスペイン文化は死なんとしているのか?」

きな臭さ徐々に濃厚に

多くのネットユーザーがローラに対し一斉に非難を行っている時、スペインのネットユーザーPatriciatorは、書き込みの中でローラの視点を支持するだけでなく、その言辞はさらにこの論戦がきな臭さに満ちたものであることを際だたせた。彼は次のように語った。「これらの中国人は侮辱する必要もないが、尊重する必要もない。中国人は毎日どこでも痰を吐き、大声で話し、営業時間を守らない。全体的に見て、彼らは自分たちの内部で相互に搾取し、さらにマネーロンダリングを行っている。彼らはいかなるその他の民族とも相互に融合することは全くなく、病院、学校、幼稚園内には全く中国人の姿は見かけられない。歴史上、スペインはかつて3つの民族の侵入を受けたことがある。ドイツ人、ムーア人、フランス人である。我々が次に侵入するのを見るのは中国人である。このためあなた方中国人は以後もう少しおとなしくしなさい。何故ならスペイン人はすでにあなた方が至る所で店を開き、しかも商業規則を遵守しないことに嫌気がさしているからだ。今あなたたちが来たら、周囲のスペイン人はすぐ行ってしまう。このため、今スペイン人はすでに団結している。もうすぐ一家総出であなた方を追い返す人が出る。今あなた方がスペインを良くないと思うなら出て行けばいいのだ。あなた方の中国に帰れ。だが恐らく中国もあなた方を必要とはせず、あなた方を搾取するだろう。あらゆるスペインを旅行する中国人は、ここで稼いだ金を全部中国に持って帰ってしまう。こうして我々を貧乏にするのだ。我々にちょっと試させてくれ。我々スペイン人に、あなた方のここでの生活の道を断つ能力があるか否か見てみるがいい。」

Patriciatorの書き込みに対し、ネットユーザーtele5DOGDAYが直ちに逐一反撃を行った。彼は次のように語った。「あなたは中国人の話し声が大きいと言うが、ならばああしたスペインのジプシーの話し声がどれだけ大きいか見てみなさい(頑住吉注:いやそれもどうかと)。次にあなたがいくつかの場所で中国人を見かけないのは、あなたが可愛いネズミのように自分の世界の中に閉じこもっているからだ。現在、スペインには5,500名の中国の留学生がいて、ここで生活し学んでいる。もしあなたが中国人を見たければ部屋のドアから出ることだ。政府、銀行などの場所に行って自分の目を見開いて見てみなさい。第3に、スペインがもし外国人を追い出したら、その良いところも見えなくなる。第4に、スペインというこの地には、誰かの生活のつてを奪うものは誰もいない。もしあなたが中国人の店に行って買い物をしたくなければ、カルフールに行って買えばいい。あれはフランスの会社だ。かつてスペインを侵略したことがあるフランス人の会社だ。第5に、中国人は税金を納めている。これに対し、あなたは税務部門と統計部門に行って調べてみると良い。最後に、私の書き込みは仕事がしたくない、不勉強な、何とかして生計を立てようとすることのない失業者に書いてやったわけではない。最後に、私はあなたにスペインの歴史と文化を学んでみることを提案する。私のこの提案はあなたを蔑視しているわけではなく、あなたに良かれと思ってのことだ。」

強烈な反中国のPatriciatorが劣勢に立たされているのを見てのことらしいが、Pablovelecとの署名のネットユーザーが直ちに反撃して次のように言った。「匿名の中国人よ、詭弁を弄するな。あなた方は毎日痰を吐く。特にスペインのこうした中国人は皆ごく汚い。しかも話し声が大きくてつんぼのようだ(頑住吉注:最もニュアンスに忠実にに訳すとこうなると思うんでよろしく)。私は中国が多くの留学生を派遣してスペインで彼らに学ばせているのを見ている。だからあなた方が以後痰を吐かず、ちょっとは先進的なものを学ぶことを希望する。中国が留学生を派遣してヨーロッパで学ばせるのは実際には良いことだ。何故ならあなた方には文化と教育がないからだ。中国人は分かち合うことを学ぶ必要がある。もうマネーロンダリングをするな。今生活している国を尊重せよ。あなた方は真人間になること、その他の文化との共存を学ぶ必要がある。これこそが尊重だ。また、中国人はさらに適応を学ぶ必要がある。何故ならあなた方は他国の中にいることを知る必要があるからだ。これに対し、あなた方はちょっと注意する必要がある。何故なら我々スペイン人は中国人に対しすでにどんどん嫌気がさしているからだ。最後に、スペイン人との対抗は、我々に現在のあなた方に対するネガティブな見方を堅固にさせることにしかならない。」

Pablovelecの中国人に対する再度の強い調子での攻撃に対し、最初に書き込みした中国系のソニアが次のように質問した。「あなたはどんな証拠があって我々が汚いと言うのか。あなたはレイシストだ。もし我々が、あなたが中国人に対応するようにしたら、あなたはどのように感じるだろうか。あなたは1人の中国人がマネーロンダリングをしたからといって、直ちにあらゆる中国人がマネーロンダリングしていると考えてはいけない。スペインでは、人民党の高官であるBarcenaもマネーロンダリングの罪を犯している。まさかこれによって直ちにあらゆるスペイン人もマネーロンダリングしていると言うのだろうか? 最後に、スペインは中国にあなた方の国債を買うよう要求している。中国のテレビ局もスペインのテレビ局の番組の版権を買っている。これこそがあなた方が中国人に対しいとわしく感じる原因ではないのか? 私はあなた方が悪い人だと言うのではない。だが経済危機以後、スペイン人は愚かにも、また民族主義的にも変わり始めている。最後に、あなたが判断を下す前に、他人の立場に立って考えてみることをお勧めする。」

また、PatriciatorとPablovelecのほしいままに中国人を攻撃する言辞は、明らかに先に書き込みを残したスペインのネットユーザーエンリケをも激怒させた。彼は怒った様子で次のように書き込んだ。「あなた方は自らの移民に対応する態度に気をつける必要がある。今、マドリードの大通りには、至る所にスペイン人の国外移民を招く広告がある。また、今ドイツにも多数のスペイン移民がいる。あなたの言い方に基づけば、ドイツはかつてスペインを侵略したことがあり、今後は中国がそうするだろうという。ならば私はあなたに問う。以後ドイツ人と中国人にはスペインの「侵略者」も追い出す権利があるのか否か。何故なら現在すでにどんどん多くの国内に生活のつてがないスペイン人が国外に行ってチャンスを探し求め始めているからだ。私の知るところによれば、現在中国人も中国で仕事と生活をするスペイン人を非常に歓迎し、特別に彼らを尊重している。だがスペイン第5テレビの中国侮辱事件発生後、多くの中国人は中国にいるスペイン人に対する見方を変えることになる。これこそが第5テレビが今もたらしている悪い結果なのだ。」

その後、怒りがいまだ消えやらぬエンリケがまた次のような書き込みを行った。「私はさらにあなたのいくつかの視点を正したい。スペインは現在貧乏になっている。これは腐敗した政治のせいであり、例えばBarcenaのような収賄案件だ。また、さらにスペイン人の怠惰さのせいだ。多くの人は2ヶ月働いた後、2ヶ月分の失業手当を受け取り、休暇に行く。さらに一部の人は野蛮な動物のように街頭でがやがや騒ぐ。地下鉄にみだりに落書きする。街頭で大酒を飲み、どこでも大小便をする。我々スペイン人は忘れてはいけない。街頭で大酒を飲むなどの非文明的な現象が外国の観光客のスペインのイメージに影響するのを恐れるために、さらにわざわざ関連の立法が強化されていることを。このため我々は他人を批判する前に、まず自らを反省してみるべきなのだ。また、中国人は皆税金を払っている。これに関してはスペインにも統計の記録がある。だがスペインに来る移民の中で、中国人の人数は比較的少ないのだ。もしあなたが1日中中国人を見つめているのなら、それはあなた方の心理と視野に問題があるからだ。今、あなた方だけではなく全スペイン社会にもこのような問題がある。このため、私はあなた方に精神科医に行って見てもらい、さらに視力を矯正しにいくことをお勧めする。」

以上のネットユーザーの他、さらに多くのその他のネットユーザーも討論に参加し、かつ非常に多くの人が中国人を支持した。例えばCarlosdemayorというネットユーザーは、ああした中国人を攻撃するスペインのネットユーザーに次のように反問した。もし中国人が春節の夜の番組でスペインテレビ第5同様の番組を放送し、かの三枚目のウェイターをスペイン人に置き換え、「このスペイン人の馬鹿者」と大声で言わせたら、スペイン人は見た後どんな感想を持つだろうか?


 たぶん日本人でこの事件に関心を持つ人は少なかろうなあと思いつつ個人的に興味があるので、専門分野でなく、また慣れない話し言葉に近くて大変でしたけど訳してみました。私の考えはコラムに書いたように、この作品が馬鹿にしたのは中国人自体ではなく無茶苦茶なイメージの中国人に化けたスペイン人であり、「そんなアホな」と突っ込んで笑う、というものであって、そもそも事実に忠実な中国人像だったらお笑いとして成立しないだろう、というものですが、実際の論争はちょっと違う方向に展開したようで、これはこれで面白かったです。「相手の立場に立って考える」は私も常々心がけたいと思っていることですが、私はスペインの喜劇の中で浮気がばれそうになった男が日本人に化けて同じようなドタバタを演じ、馬鹿呼ばわりされるのを想像しても腹が立つとは思えません。「1人の〜人がそうだからといって全員がそうだと思うな」というのはもっともなんですが、そういう強い傾向がある、という場合が実際にあるのも確かなことです。ちなみに「スペインは中国にあなた方の国債を買うよう要求している。中国のテレビ局もスペインのテレビ局の番組の版権を買っている。これこそがあなた方が中国人に対しいとわしく感じる原因ではないのか?」というのは、中国人が批判されるとすぐ「中国の繁栄を嫉妬している」というのと同じで、中国人的なメンタリティーがスペインで生まれ育った人にも色濃く残っているということなんでしょうね。
















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