日本の新型機開発に関する評価

 イギリスメディアがこう言っている、というスタイルですが、中国人である筆者自身の見解と見ていいでしょう。

http://military.china.com/news2/569/20121010/17468150.html


イギリスメディア:日本がステルス戦闘機を開発するのは全く無意味 F-35での協力のチャンスを逃す

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「日本が展示した新世代先進技術検証機「心神」の実物大模型」)

イギリスの「飛行国際」10月8日発表の文章は、日本の空中戦力に対し分析を行っている。文章は次のように考えている。日本サイドは実質的な威嚇力を保持しているが、中国空軍は日増しに強大化している。ひとたび戦火が再燃すれば、あえて日本が中国との対抗の中で勝機を握っていることを肯定しない。その「心神」ステルス戦闘機が飛べても、全く意味はない。

文章は、科学技術でも、軍の命令、規則でも、日本の航空自衛隊(JASDF)はずっとアジア空軍の優秀者である、と考える。1980年代、日本の航空自衛隊はマグダネルダグラス社のF-15戦闘機を導入したが、この年代においてはアメリカとイスラエルしかF-15戦闘機を装備していなかった。また、日本の航空自衛隊は日本の三菱重工が生産したF-1戦闘機、およびロッキード・マーティン社のF-16C/Dを基礎としたF-2戦闘機を装備している。日本製戦闘機にかかった資金の消耗は膨大だが、日本の科学技術的実力はこの2機種の日本製戦闘機がいずれも信頼できる作戦プラットフォームであることを確保している。日本軍は4機のボーイングE-767早期警戒機を装備し、その機の早期警戒コントロール能力はアジアナンバーワンだと堂々と公言している。

だが、現在日本はまさに力の限り空中の優勢を維持しようとする状態に陥っている。アメリカは日本に向けF-22ステルス戦闘機を輸出することを毅然として拒絶し、これはさらに一歩防空戦闘力を向上させねばと考える日本にとって疑いなく深刻な打撃である。日本のF-22に対するラブコールは再三無視され、甚だしきに至ってはアメリカ空軍すらすでにF-22を生産停止にしている。1960年代の日本軍の主力戦闘機だったアメリカ製のF-4E「ファントム」式戦闘機はすでに淘汰され、一方重戦闘機のF-15Jも徐々に時代遅れになりつつある。同時に、中国空軍の戦力が2000年以後猛烈な勢いで向上し、日本の航空自衛隊に対する圧力も増えるばかりである。12年前、中国空軍は少数のスホーイ-27だけからなり、軍備は古く、戦闘力は薄弱だった。台湾問題、あるいは中国の東海の争いのある島嶼で最も戦争が引き起こされる可能性があったが、当時の中国空軍の戦闘力は日本の自衛隊にはるかに及ばなかった。さらに自衛隊の頼りとする強大な軍備、戦力を持つアメリカ空軍および海軍があればなおさらだった。

この形勢はすでに全く変わっている。中国空軍は不断に古い戦闘機を退役させ、かつ400〜500機の先進的戦闘機を導入し(例えばスホーイ-30、殲-11、殲-10)、しかも核心的支援能力に向上が見られ、例えば作戦機の滞空時間を延長する空中給油機や機載早期警戒コントロールシステムである。北京がまさに配備中の近代的軍艦もまた日本の航空自衛隊の感じる圧力を倍加させている。近距離弾道ミサイルの備蓄もまた日本の空軍基地およびアメリカ駐日空軍基地に対し圧力を形成している。

シンガポールの南洋理工国際関係学院軍事モデルチェンジプロジェクト高級研究員Richard Bitzingerは言う。「日本が直面する最大の挑戦は中国空軍の第3世代戦闘機の改良型である。10年前、中国空軍の制空権は微々たるものだった。だが今は、その配備する戦闘機の数量および質はいずれも大いに飛躍している。第3世代戦闘機の数量は日本の航空自衛隊の戦闘機の数量との比較に耐える。日本は実質的威嚇能力を保持しているが、日増しに強大化する中国空軍がもたらす圧力は非常に重い。問題は、日本がいかにこの現状に直面するかにある。ひとたび導火線に点火されれば、日本は中国に対抗できるのか否か? 私はあえて日本が勝機を握っていることを肯定しない。」

2011年1月における成都の殲-20初飛行成功は、中国空軍の軍備の実力が徐々に増強されていることを明らかにした。我々が殲-20のレーダー断面、航空設備、予定される用途(戦闘機としてだけなのか、あるいは遠距離攻撃システムを搭載するのか)などの情報に対し知るところははなはだ乏しいが、殲-20は中国が2018年に信頼性の高いステルス戦闘機を配備する可能性を高めた。9月中旬、枕陽飛行機の飛行場に姿を表した先進機種はステルス戦闘機に極めて似ている。殲-21、殲-31、殲-60のうちどのように命名されようとも、我々はまだ殲-20と同歩調で研究開発されているのか否か知らない。これらの研究開発プロジェクトは疑いなく中国が空軍を向上させる決心と実力を証明している。中国の全体的実力の向上および殲-20の登場に直面し、日本は2011年12月に行動を起こし、42機のF-35Aの購入を決定し、一方ボーイングのスーパーホーネットおよびタイフーン戦闘機を否決し、もってF-X計画の必要を満足させた。しかも6月には正式に契約に署名し、2012年度財務計画の中で4機のF-35、2機の模擬機を購入した。

日本の防衛省関係者は、中期防衛調達計画では2015年3月までにさらに8機のF-35A戦闘機を購入することが計画されているが、具体的数量はF-4の退役状況と財政状況によって決まることになる、とする。あらゆる主要な軍事協議同様、日本のF-35購入は多種の必要を満足させる必要がある。タイフーン戦闘機は空戦能力は極めて強いが、今回日本がF-35を選択したのは、主に対地攻撃に焦点を合わせてのことである。

経費は限られているが、それでも日本はスーパーホーネットの選択を拒絶した。この機種は対費用効果が高く、柔軟性が強く、アメリカ海軍の数十年にわたる主力機種である。日米関係を考慮すれば、F-X計画は政治的要素をかなぐり捨てることはできない。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「F-15J戦闘機は日本の航空自衛隊の主力として就役してすでに長年になり、未来の空戦の必要性を満足させることは難しい。」です)

イギリス国際戦略研究所防空作戦分析者のDouglas Barrieは語る。「日本にはその現在における戦闘機入札を利用してヨーロッパと連略的協力関係を建立するチャンスがある。だが彼らはF-35の購入をもって米国との間の関係を強化することを選択した。本来の需要は空中での優勢を選択する傾向だったが、F-35は主に対地攻撃に焦点を合わせ、同時に空戦能力も備える、というものである。」 日本はF-22に類似のステルス戦闘機を持つことをより望んだ。同時に、2011年におけるF-2戦闘機の生産停止につれ、日本は戦闘機生産能力喪失の危険に直面しており、数十年来で日本は初めて国産戦闘機がない状況に直面している。このため、F-X計画で納入される42機のF-35戦闘機のうち日本で38機が生産されることになるというのは理解できる。日本の防衛省の官僚は言う。「我々はアメリカ政府およびメーカーと、日本国内で共同生産することに関する件を折衝中であり、これには生産の異なる部分が必要とする周期、生産開始に必要な周期、および経費などが含まれる。我々は最終組み立てと検査を除き、まずどの部分を生産開始するかに関しても協議を行っている。今年の年末には合意に達することが有望だ。」

しかし、Bitzingerは日本人がF-35プロジェクトの中から得ることのできる産業上の効果と利益に対し懐疑的な態度で、日本はF-4、F-15ライセンス生産の中から教訓を吸収すべきだと考える。彼らはF-35生産の中で最低級の参与者となるかもしれず、すなわち組み立て許可を獲得するだけということである。日本がF-35への加入を選択した時期は不適当で、彼らは実際上その中からいかなる利益も獲得できない。

もしF-35がもたらし得る利益を考慮しないとすると、日本にはその他の主力戦闘機、例えばF-15JやF-2の戦闘力を向上させる必要もある。日本と同じか、倍も圧力を感じている台湾、韓国はいずれもすでにそのF-16の航空電子設備およびレーダーをグレードアップしている。グレードアップされたアクティブフェイズドアレイレーダー(AESA)は伝統的レーダーに比べ維持メンテナンスの頻度が非常に大きく低下している。AESAレーダーは空対空、空対地捜索模式を交錯して行うことができ、1機の飛行機にかつて多くの機が執行した任務を執行可能にする。日本には現在F-2のレーダーををAESAレーダーシステムにグレードアップする計画はない。

日本はすでにF-15Jのグレードアップに着手しているが、関連の情報はそれが依然AESAレーダーにグレードアップされていないとしている。日本は積極的な改良を選択し、Raytheon社製APG-63(V3)あるいはAPG-82レーダーを採用してRaytheon社製APG-63(V1)レーダーに取って代わらせることになる。APG-63(V3)は主にシンガポールが装備するF-15SG戦闘機に応用されており、一方APG-82は韓国のF-X III計画の中のボーイングF-15「サイレントイーグル」戦闘機に応用されている。

北アジア地域の各国はここ数十年来ずっと平和に共存してきた。アメリカの演じる役割は各国の平穏と経済的繁栄発展の保証に有力である。しかし、戦争の可能性は確実に存在している。目下中国と日本は中国の東海の争いのある島嶼をめぐってにらみ合い、朝鮮問題も全く解決してはいない。もし外交問題がエスカレートし続けることをもはや望まないなら、日本はその航空自衛隊の戦闘力を増強し続けることが必須である。

日本の国産戦闘機製造能力に比肩し得る者は少ない。日本が製造した零式艦上戦闘機は第二次大戦中の強大な主力戦闘機だった。1970年代、日本はF-1戦闘機を研究開発、製造した。1990年代にはF-2戦闘機を製造した。

日本はさらにC-1輸送機を研究開発、製造している。ストックホルム国際平和研究所の分析員Siemon Wezemanは次のように語る。「日本人は航空機研究開発方面において強烈な民族的誇りを持っている。だが軍事装備輸出制限の影響を受けて、実戦機の輸出量は非常に少ない。」 

日本の限られた国内市場および阻害された輸出能力は日本の国産軍用機の資金消耗を膨大にし、世界首位としている。こうではあるが、日本は2つのプロジェクトへの投資を開始した。川崎重工のXP-1対潜機とXC-2大型輸送機である。同時に、川崎重工のATD-X「心神」試験機プロジェクトも依然継続して展開されている。XP-1対潜機は日本の既存の80機余りのP-3C「オライオン」対潜機に取って代わることになる。石川島播磨重工のF7-10ターボファンエンジンを装備し、2011年に地上試験を行い、結果として主翼燃料タンクと機体に故障が起きた。日本の防衛省スポークスマンは故障はすでに排除され、強度は要求に符合し、2013年には厚木海上自衛隊航空基地に6機が配備されることになる、としている。

日本は、P-3Cに比べXP-1は多方面に改良が行われ、これには探知計測および識別能力、飛行性能、情報処理能力、作戦性能方面が含まれる、としている。しかも連続して情報整理が行え、有効に早期警戒監視能力が高められた。

日本の防衛省は、もう1つの重点プロジェクトC-2の最後の研究開発段階は12カ月遅延するが、現在依然スムーズに進行している、とする。汎用のCF6ターボファンエンジンを装備し、C-2は最終的に現役のC-130Hおよび川崎C-1に取って代わることになる。配備計画の遅延は、集められた2機の原型機の試験飛行データに基づいて決定された。防衛省は実験で得られたデータによる再度の機の強度計算に基づき、一部の部位の構造強度にまだ強化の必要がある、とする。

2つのプロジェクトはいずれも少量生産ゆえに批判されている、また日本のC-2の調達数は40機まで、一方P-1はたった65機に減らされる可能性がある。批判者は、ボーイング737をベースとしたP-8A「ネプチューン」は対潜機としてかけがえがなく、一方ロッキード・マーティンの新世代C-130Jは輸送機としてかけがえがないと考えている。この2つのプロジェクトの資金消耗は膨大すぎる、と。一方外務省は言う。「C-2とP-1の調達に関して言えば、国外の実戦機は性能上の要求を満足させられず、しかも期日通りの引き渡しが不能の可能性がある。このため、日本は外国の実戦機の生産ライセンス取得ではなく、実戦機を自主的に研究開発、生産する必要がある。」

しかし、実戦機研究開発の巨大な資金消耗は、日本に歯を食いしばらざるを得なくさせている。日産エンジンを装備したATD-Xステルス戦闘機試験機は2014年に初飛行が計画されている。シンガポールの南洋理工国際関係学院のRichard Bitzingerは疑問を呈する。「この機がもし飛べても、それはこの機が戦闘機になれることを意味しない。もし40機や50機しか調達しないと、経済的角度からも軍事的角度からも、研究開発に費やされる大きな経費は全く無意味である。私は日本はATD-Xを、アメリカとのロッキード・マーティンF-35プロジェクト合同生産の談判の道具として利用しているのかもしれないと考える。」


 その通りでしょう。「心神」最大の意義は実用性ではなく、いざとなれば国産で行く、というポーズを見せることによってF-35の価格上昇を抑制することにあるのだと思います。しかしその役割を十分に果たすには現実味が薄い感じですね。もう一つの意義は高度科学技術の塊である戦闘機を開発することで各分野に波及効果を生むことでしょうが、これに関する実際の利益がどれだけなのかは分かりません。いずれにせよ「心神」自体の算盤勘定だけで是非が語れないのは確かです。











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