殲ー20、いまだロシア製エンジンを使用

 すでに国産エンジンを使用しているという説もありましたが。

http://military.china.com/important/11132797/20170321/30344861_all.html#page_2


「心臓」の争い:殲ー20戦闘機はいつ国産エンジンを装備するのか

最近、中国航空エンジン材料専門家で、中国工程院院士である陳祥宝の、殲ー20ステルス戦闘機に用いられるエンジンに関する話は、国の人の広範な関心を引き起こした。その中からは3つの比較的重要な情報を了解することができる。すなわち、第1の情報はいささか人を気落ちさせるもので、それは現在すでに空軍部隊の中で就役する殲ー20は決して国産エンジンを装備してはおらず、ロシア製AL-31F系列エンジンに違いない、というものである。これにより、国内ネット上の殲ー20のエンジンが一体国産なのかそれともロシア製なのかの論争は一段落を告げることができる。

第2の情報は喜びと不安が半々と言えるもので、それは少し後には国産エンジンが殲ー20に装備されて試験を行うことになる、というものである。具体的にはいつなのか、陳祥宝院士は決してまだ明らかにしていないが、少なくとも希望を見ることができる。第3の情報は比較的人心を興奮させるもので、それは次世代航空エンジンの研究開発がすでに始動しているというものである。もし現在の中国戦闘機の世代区分に照らせば、このエンジンは第5世代戦闘機に配備するために研究開発されるものに他ならない。

ちょっと言及する必要があるのは、ここ何日かネット上に、陳祥宝院士は決して航空エンジン設計専業の人物ではなく、彼の話は決して信じることはできない、と考えるいくつかの言論が出現していることである。事実としては、現在の先進航空エンジンの発展について言えば、工程と材料の進歩が極めて重要な作用を果たしている。もしこの両者の支持がなかったら、どんなに良いエンジンの設計も図面上に横たわっているしかない。陳祥宝院士は中国航空エンジン北京航空材料院の副院長で、彼の話はやはり非常に高い権威性を持っている。

殲ー20は何故ロシア製エンジンを装備して就役するのか?

中航工業611所が研究開発する新型戦闘機がロシア製エンジンを採用する伝統の由来はすでに久しく、最も早くはやはり殲ー10から語り始める必要がある。1986年に殲ー10が正式にプロジェクト立ち上げされた後、ソンウェンツォンが総設計師として、最も関心があったのはセットするエンジンの問題だった。以前、彼は殲ー9戦闘機の研究開発に参加したが、この機が最終的に中止を迫られたのは設計指標が頻繁に変更されたなどの要素の他、最も重要だったのは用いることのできるエンジンがなかったことだった。当時自ら研究開発していた渦扇-6も、導入したイギリスのスペイMk202をコピー生産した渦扇-9も、いずれも殲ー9の性能の要求に到達できなかった。このため、ソンウェンツォンはセットされるエンジンが戦闘機プロジェクト研究開発の中で果たす生死を決定する作用を肝に銘じたのである。

ちょうどこの時中ソ関係が改善され、両国はソ連製の先進的な戦闘機を導入する件の商談を開始した。公開の資料によれば、ソンウェンツォンは1989年に中国軍事代表団に伴ってソ連に赴き実地調査した。この期間、彼はスホーイー27戦闘機が配備するAL-31F大推力ターボファンエンジンの性能の状況を詳細に理解した。帰国後、ソンウェンツォンは当時中央軍事委員会副主席の任にあった劉華清に向けあらゆる希望を全てすでに研究開発プロジェクトが立ち上げられていた国産のセットになるエンジンである渦扇-10「太行」に賭けるのではなく、AL-31Fエンジンを購入して殲ー10に装備することを提案した。この提案はすぐに上級の批准を得た。だが殲ー10が採用するのは単発の設計のため、現有のAL-31Fエンジンを直接装備することはできず、このため中国は1992年に解体後独立したロシアと協議を達成させ、中国サイドによって出資され、リューリカ-サターン設計局が殲ー10専用のAL-31F単発バージョンの研究開発を担当し、これこそ我々が熟知するAL-31FNである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「AL-31FNの導入は殲ー10が成功できた重要な要素の1つだった。澎湃新聞記者 謝瑞強撮影」)

1992〜1994年、リューリカ-サターン設計局はAL-31FNの研究開発作業を完成させ、1995年にはもう中国に向け第1台目のエンジンを引き渡し、殲ー10初の原型機に装備された。まさにエンジン方面の後顧の憂いがなかったがゆえにこそ、殲ー10にスムーズに設計定型を完成させ、しかも試験飛行中いかなる原型機もエンジンの故障ゆえに事故を発生させなかった、と言うことができる。もし殲ー10が渦扇-10「太行」を待って機に装備しさらに初飛行や試験飛行を行ったら、おそらくまた殲ー9や殲ー8IIの悲劇を再演しただろう。また、中国から来る大量のAL-31FN生産の発注は、伝説のように勃興したロシアの航空エンジン企業、礼砲エンジン製造連合体も成就させた。

1998年、リューリカ-サターン設計局は礼砲エンジン製造連合体に向けAL-31FNの生産パテントと技術資料を譲った。これを基礎に、礼砲エンジン製造連合体はそれ自身の技術的実力を利用し、中国サイドの発注を円満に完成させただけでなく、さらにAL-31Fの改良型であるAL-31F-M1/2/3を研究開発した。このうち、AL-31F-M1はすでに2006年にロシア国家鑑定試験を通過し、2007年にロシア空軍に引き渡され、正式コードナンバーはAL-31F-42で、スホーイー27SMなどの機種に装備されている。礼砲エンジン製造連合体が航空展で発表した情報によれば、AL-31F-42は同時に中国にも大量輸出されている。殲ー20は2001号機の初飛行から現在の少数部隊装備まで、装備しているのは全てこのエンジンである。

AL-31Fに比べ、L-31F-42は空気取り入れ口の直径が924mmまで拡大され、空気取り入れ流量が増加し、アフターバーナー使用時の推力も130キロニュートンまで向上し、推力:重量比は8.5以上に到達し、初リニューアルまでの寿命は750時間で、FADECデジタル制御システムを採用している。このエンジンの全体性能は第3世代改良型の水準にしかないが、殲ー20というこの進度の節目となるポイントが厳格に要求され、甚だしきに至っては前倒しの引き渡しが希望される重点機種に関して言えば、技術が成熟し信頼できるAL-31F-42エンジンは唯一の賢い選択である。当然、このやり方は殲ー10研究開発成功の経験を参考にした結果でもある。2台のAL-31F-42エンジンに推進され、殲ー20は出色のステルス性能、空力レイアウト設計および先進的な航空電子設備の強大な性能に頼り、それでも世界で一二を争う「戦闘機の王」である。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「WS-10発展の歴史的過程は異常に苦しみに満ちたものだった。画像は珠海航空展に展示されたWS-10の模型。澎湃新聞記者 謝瑞強撮影」)

殲ー20が国産第4世代エンジンに換装するにはまだ時間が必要

陳祥宝院士は決して具体的に殲ー20が装備して試験しようとする国産エンジンの機種に言及していない。筆者は2つの可能性があると考える。1つ目は「太行」エンジンの大改造推力増強型で、もう1つは元々殲ー20とセットにするために研究開発された渦扇-15である。この両者を比較して言うと、渦扇-15の可能性がより高く、何故ならこれこそが真に第4世代水準を備えた先進的なターボファンエンジンだからである。渦扇-15を装備した後でのみ、殲ー20はやっと真の意味で第4世代戦闘機と呼ばれ、予想された完全な設計上の状態に到達することができる。

陳祥宝院士の話からは、渦扇-15はすでに、あるいはまもなく高空プラットフォーム長時間持久試運転を完成させるはずだと判断できる。ならば続いては研究開発のプロセスに照らすと、中国航空エンジンの技術人員は高空プラットフォーム長時間試験で暴露された問題に照準を合わせて最適化と改良設計を行うことになるだろう。しかる後に渦扇-15は殲ー20原型機上に装備されて技術検証試験飛行を行うことになる。当初の「太行」エンジンがスホーイー27SKを試験飛行プラットフォームとしたやり方を参考に、中国航空エンジンはまず殲ー20原型機にAL-31F-42および渦扇-15を同時に装備し、しかる後に状況を見て徐々に全部に渦扇-15を装備した試験飛行に移行する方法を採用する可能性が高い。

事実、ある新型エンジンの試験で最も時間を消耗する段階は、全研究開発プロセスの中で基本的に「設計-製造-試験-改修設計-製造-再試験」というこの反復して行われる過程に他ならない。最終的に改修が完成したエンジンが予想された設計指標、信頼性と維持保護可能性に到達して、やっと設計定型審査を通過しかつ技術状態を凍結する可能性が生じるのである。しかる後、継続して生産企業はさらに生産定型を行い、エンジンの大量生産に必ず必要とされる製造加工工程規範、組立治具、組立設備などの準備を整え、かつそれぞれの部品の加工に必要とされる時間を計算し制定する。その後、材料を投入し生産段階に入る。新たに生産されるエンジンが組立ラインを降りた後、さらにまず工場内試運転台での試験を経る必要があり、もし性能パラメータが指標に到達しなければさらに工場への差し戻し等々を行う必要がある。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「初期に就役する殲ー20は依然ロシア製エンジンを使用することになる。中国軍網の画像」)

しかし、渦扇-15を機に装備しての試験飛行は単に全研究開発・生産プロセスの1/2、甚だしきに至っては1/3の段階に到達しただけである。「太行」エンジン研究開発の歴史的過程を参考にすると、2001年に1台を装備する形式をもって1機のスホーイー27SKサンプル機上で試験飛行を行い、2012年以後になって基本的に信頼性問題が解決され、かつ殲ー11B戦闘機に大量装備され、時間のスパンは10年の長きに及んだ。ならば、もし渦扇-15が最も早くて今年にはもう機に装備して試験飛行できても、全体の研究開発過程の技術的難度を考慮すれば、筆者は少なくとも5年の時間を必要とし、それでやっと第1ロットの量産型エンジンが生産ラインを降りるのを実現でき、殲ー20戦闘機に装備して戦闘力を形成するにはさらに2〜3年の時間を必要とする、と考える。その前、殲ー20は依然ロシア製AL-31F-42エンジンあるいはより先進的なAL-41F-M3を継続して装備する必要がある。

要するに、中国の先進的な戦闘機のエンジン使用は多角的模式を採用し、一方においては性能が先進的で、成熟して信頼できるロシア製エンジンを購入して現役戦闘機に装備する。もう一方では国産の「太行」エンジンの性能と信頼性をも徐々に向上させ、かつ一部の双発実戦機上に配備し、同時に一段と力を入れて渦扇-15を研究開発し、将来殲ー20を換装するために準備をする。任務重くして道遠し、時は我を待たず、だが新たに成立した中国航空エンジンは使命に恥じず、徹底して長期にわたる「心臓病」の魔鬼を打破し、早期に中国航空エンジンの全面国産化を実現することを願う。


 中国の国産エンジン技術が実際どこまで進んでいるのかは依然よく分かりませんが、少なくとも次世代エンジンとなると真の戦力化にはかなりの時間を必要とするということでしょうかね。
















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