SIGザウエルX−Six
「Visier」2005年4月号に、SIGザウエルP226のターゲットバリエーションであるX−Sixに関する記事が掲載されていました。この銃はすでに発売されている5インチバレルのターゲットモデル、X−Fiveの6インチバレルバージョンです。
今ここまで来た
P226X−Fiveから1年後、SIGザウエルはもうひとつ追加した。この新しいロングスライドバージョンのX−Sixは、9mmターゲットチャンピオンおよびP210−5LSと競合する。
そのエッケルンフォルデの会社(頑住吉注:SIGザウエル)がP226X−FiveをIWA2004向けに紹介したとき、そのカテゴリー内におけるテストでクオリティ、装備、射撃成績で喝采を浴びた(VISIER2004年10月号)。だが、25mスポーツシューターの視点からすると、1つの問題があった。すなわち、IPSCスタンダードクラスの制限枠(225x45x150mm)用にデザインされたX−Fiveは、規則に制約されて5インチバレルに留めざるを得なかった。しかし現在少なくとも我が国では、たいていの大口径ピストルシューターは静的な種目用に、重い重量、前に移動した重心、長くなったサイトラインを持つ6インチバレル用のロングスライドモデルを好んでいる(頑住吉注:ちょっと変ですが、煩雑なので以後「〜インチスライド」とします)。そこでJ.P.ザウエル&ゾーンは今、さらに1つのモデルを加え、6インチロングスライド銃の生産を開始した。すなわちX−Sixである。
より重い銃
このニューモデルは技術的にはより短いX−Fiveと違わない。構造は基本的に公用ピストルSIGザウエルP226をベースとしているが、X−スポーツバージョン(頑住吉注:複数形で、X−FiveとX−Sixのこと)はマガジンを除けばいくつかの小パーツしか226系公用ピストルと交換できない。スポーツバリエーションでは特に重量がアルミまたはスチールフレームを持つノーマルなP226に比べて追加されている。すでに5インチスライドを持つX−Fiveでも1320g強の重量があった。Bund Deutscher Sportschutzen(頑住吉注:最後の「u」はウムラウト。「ドイツスポーツシューター連盟」。以後「BDS」と略されています)においてX−Fiveを9mm口径仕様の25m銃として使用したいと考える人は、すでに重量削減措置を取らざるを得なかった。銃をBDSの重量リミットである1300g以下に圧縮するためにである。この場合例えばグリップに取り付けられたマグウェルを取り外したり、大型化されたアルミ製マガジンバンパーを断念することなどが勧められた。
そのような措置はX−Sixの場合もはや助けにならない。すなわち、この銃は未装填状態で1400gあり、このためBDSの9mmピストル競技におけるスポーツライクな使用には問題外である(頑住吉注:X−Fiveは20g減らせばよかったので、必ずしも必須でないパーツを外せば使えたが、X−Sixは100g超過しているのでどうやっても使えないということです)。その代わり多くのDeutschen Schutzenbundes(DSB 頑住吉注:真ん中の「u」はウムラウト。「ドイツシューター連盟」)の実用ピストルシューターは、この満ち足りた重量から利益を得る。このロングスライド銃は射撃姿勢において極度に安定する。その上マズル領域における70gの重量追加は、リコイルショックとマズルジャンプを明らかに減らす。そしてDSBの競技「実用ピストル9mm」用にこのロングステンレス銃は重量に関してなおルールに適合する範囲内である。BDMP(頑住吉注:何の略か書いてませんが、これもドイツのスポーツ射撃団体でしょう)内の1500/PPCファン用としても同様に重量問題はない。その上メーカー自身のカスタムショップはX−Six用として約350ユーロの追加料金で1500系Aristocrat複数ポジションサイトも提供している(頑住吉注:銃は違いますがこんなサイトらしいです http://www.lesbaer.de/detail/6pistolen/primier_tri_set.htm )。
テスト銃は内部、外部とも申し分ない加工がなされていた。はめあいもどんな批判のきっかけをも与えないものだった。すなわち、閉鎖状態でバレルはマズルでもエジェクションポート内でもぴっちりしたすわりだった。スライドはフレームのレール上できちきちの走行をした。場合によっては閉鎖状態の銃において最小限の、かろうじて感じられるくらいの縦方向の遊びに気付くことができる程度だった。
特別装備
グリップフレーム前面の細かく平たいチェッカリングは、残念ながら滑らないグリッピングよりも装飾に役立っていた。しかしこれを除けばSIGザウエルはこの銃に上質なコンプリート装備を与えている。これは他の場合、9mmルガー仕様のいろいろな純GK(頑住吉注:大口径の略だと思います)スポーツピストルよりもむしろ高価な1911系に見られるようなものである。その上マグウェルとならんで、Karl Nill製のRhomlasチェッカリング(頑住吉注:この定義はよく分かりませんがこんなのです http://www.triebel.de/suche2.php3?bes=&artikelnr=245461&begriff=wgr&value=WGR )を持つウォールナットグリップ、スライド前部の滑り止めミゾ、中指用に特別ワイドにミゾが彫られたグリップフレームも装備に含まれている。ミクロメーターサイトは対応するフライス加工されたスライドに深く設置されており、側面は一部スライドでカバーされている。
アンビのサムセーフティは楽に操作でき、スライドストップも同様である。延長されたマガジンキャッチはグリップの他サイドに差し替えることができる。あるいは短いスタンダード押しボタンと交換もできる。だが、構造上の圧巻はトリガーデザインにある。トリガーの位置は射手の手に個人的に適合させることができる。そのためにこのトリガーはドライバーを使って約8mm前後方向に調節できるのである。同様にトリガーストップもネジによって外部から調節できる。最後に、トリガープルもドライバーで1000から1500gの間で調節できる。
シューティングレンジにて
メーカーは用心深く、弱い弾薬種類用としてテスト銃に第2のよりライトなリコイルスプリングを添えてきた。だが、この見本品はスタンダードスプリングでもテスト弾薬を問題なく受け入れた。ランサムレストにセットされたX−Sixは命中精度に関しても伊達ではないところを見せ、ペーパーターゲット上に良好な10発グルーピングを多数作った。テスト銃はラプアCEPPおよびHaendler&Natermann製127グレイン銅メッキ弾を使ったリロード弾薬とベストの調和をした。これらはそれぞれ30mm弱のグルーピングになった。
勘定書きをどうぞ
編集締切時点でX−Sixの推奨する販売価格はまだ正確に確定していない。メーカーの言によれば、このロングスライド銃はたぶん推奨価格2149ユーロのX−Fiveよりいくらか高くなる。(見積もられた)2250〜2350ユーロになれば、この新しいSIGザウエルはS&Wパフォーマンスセンター製の9mmターゲットチャンピオンロングスライド(2437ユーロ)よりいくらか安くなる。エクセレントなSAN Swiss Arms製P210−5LSは目下明らかにより高く、Kettner(頑住吉注:たぶんドイツへの輸入業者だと思います)の場合、現在カタログ内で2695ユーロで紹介されている(頑住吉注: http://www.sigarms.ch/ )。この長いSIGザウエルは、命中精度に関してターゲットチャンピオンおよびP210に完全に手が届くレベルである。そして全体重量はその両方に勝る。S&Wは1300g、P210は「たった」1100gである。J.P.ザウエル&ゾーンは加工と特別装備でも倹約していないから、Oberligaのすでに地位を確立した9mmパラロングスライドたちはX−Six出現によってシリアスなライバルを抱えたように思われる。
モデル:SIGザウエルP226X−Six
価格:まだ不明
口径:9mmルガー
装弾数:19+1発
寸法:248x44x149mm
バレル:152mm、ライフリングピッチ250mm
重量:1400g
型:ステンレススチール。延長された操作エレメント。サムセーフティはアンビ。シングルアクショントリガー(レットオフ後のストローク、トリガープル、トリガーポジションは調節可)。ミクロメーターサイト。マグウェル。Nill製ウォールナットグリップ。
SIGザウエルP226X−Six:9mmルガー(9mmx19)
弾丸メーカー・重量・タイプ | グルーピング(mm) |
Sellier&Bellot 115grs JHP | 38 |
IMI 115grs VM Match Ultra | 44 |
UMC 115grs JHP | 43 |
Speer Lawman 115grs VM | 56 |
Lapua 120grs CEPP | 29 |
Magtech 124grs JHP Gold | 36 |
Geco 124grs VM | 46 |
Federal 124grs EFMJ | 34 |
H&N 127grs KSHS .357 | 28※ |
Federal 124grs Gold Medal | 30 |
Magtech 147grs VM-TC | 47 |
Samson 158grs VM | 62 |
略称/注釈:VM=フルメタルジャケット。JHP=ジャケッテドホローポイント。EFMJ=エクスパンディングフルメタルジャケット。TC=円錐の先端が平らになった形状。KSHS=円錐の先端が平らになった形状+ハイスピード。※のみリロード弾薬で発射薬Alliant 6.1grsおよびBlue Dot弾、Sellier&Bellot製有害物質フリースモールピストルスタンダードプライマーつき使用済みCBC薬莢を使用。それ以外はファクトリー弾薬。グルーピングはランサムレストシューティングマシンに固定した銃から25mの距離で計測。11発射撃し、それぞれマニュアルで閉鎖した後の最初の1発を除外。全てのロード表示は保証なし!
本家SIGザウエル公式サイトにおける紹介ページはここです。
http://www.sauer-waffen.de/index.php?id=490&lang=en
以前にも書きましたが、ドイツでは非常に人気のある6インチスライドターゲットオートピストルはアメリカでは人気がなく、アメリカの子会社SIGArmsの公式サイトではこの銃は紹介されていません。まあたぶん量産されている以上特別注文でもすれば入手できないことはないんだろうと思いますが、それだけ需要がないということでしょう。この理由はこれまでよく分かりませんでしたが、ここではアメリカで盛んなIPSCマッチのサイズ制限にひっかかり使用できないことが挙げられています。一方ドイツではこれでも使用できる競技が多いので人気が高いというわけです。前回紹介したX−Fiveのレポートと比較すればお分かりのように、別に6インチに伸びたからといってレストした場合の命中精度が上がっているわけではなく、これもアメリカで需要がないひとつの理由でしょう。。ただし、重量自体や重量バランス、照準長などの関係で静的な競技、つまり静止してじっくり精密射撃するような種目には有利ということらしいです。