北斗システムの今後は

 全国政治協商会議が開かれ、その参加者がインタビューを受けた、という記事が多く出ていますが、これのその1つです。

http://military.china.com/news/568/20140304/18373060.html


院士:北斗グローバルナビゲーションシステム、6年後に完成 GPSとの比較にはまだ遠い

全国政治協商委員、中科院院士楊元喜が明らかに

北斗グローバル位置決定システム6年前後で完成

現在アジア太平洋地域の精度GPSに劣らず


本報北京3月3日電(記者 于洋) 全国政治協商委員で中国科学院院士の楊元喜は3日インタビューを受けた時、我が国は現在すでに成功裏に4つの北斗ナビゲーション試験衛星と16の北斗ナビゲーション衛星を発射しており、北斗ナビゲーション工程建設の「スリーステップで行く」戦略の第2ステップの目標である北斗衛星ナビゲーション区域ネットワーク組織はすでにスムーズに実現され、北斗ナビゲーションシステムのアジア太平洋地域における精度とクラス別はGPSグローバル位置決定システムに劣らない、と語った。彼は、我が国は完備されたナビゲーション産業関連政策を加速して制定し、ナビゲーション産業の秩序ある発展を誘導すべきである、とした。

特徴

ナビゲーション位置決定が時報を告げる さらに通信機能あり


「我が国の北斗衛星ナビゲーションシステムの発展速度は非常に速い。」 楊元喜は説明し、2000年に北斗衛星ナビゲーション試験システムが完成してから、2012年末に北斗衛星ナビゲーションシステムが正式に区域サービスを提供し、アジア太平洋地域の大部分の地域に向け正式に連続パッシブ位置決定、ナビゲーション、時報などのサービスを提供するまで、我が国は十何年の時間しか使っておらず、もう世界4大衛星位置決定ナビゲーションシステムの1つとなった、とする。

計画によれば、2020年前後までに我が国は5つの静止衛星と30の非静止衛星によって組成される北斗グローバル衛星ナビゲーションシステムを完成させ、全地球をカバーする高精度、高い信頼性の位置決定、ナビゲーション、時報サービスを提供することになる。

ボトルネック

周波数資源の開拓展開 産業政策の完備


「北斗ナビゲーションシステムの急速な発展は、我が国のチップ技術と航空宇宙技術の急速な発展のおかげであるが、北斗が国を出てGPSと同等に優れたグローバルナビゲーションシステムを作り出すには、まだ非常に長い行かねばならない道がある。」と楊元喜は語る。

楊元喜は、現在北斗ナビゲーションシステムは技術的にまだ向上の余地がある、と考えている。「我々のチップのレベル、衛星の寿命、衛星時報のレベル、受信機の質などはいずれも北斗ナビゲーションシステムの発展を制約する要素であり、さらに一歩技術研究開発に入れる力の度合いを強化する必要がある。」と考える。

周波数資源と追跡ステーション建設上コントロール、制限を受けていることは、北斗が国外に出ることを制限する外的要素である。「国外のいくつかのグローバル衛星ナビゲーションシステムは建設が比較的早かったため、世界の衛星ナビゲーションに適合する周波数資源と衛星軌道の位置資源は大部分占領されている。中国が独立自主の衛星ナビゲーションシステムを発展させたければ、必ずや他国のシステムとの間に周波数の協調問題が存在する。このため、競争は必然的に長期的なものにもなる。」 楊元喜は語る。「しかも北斗の現在の追跡ステーションはいずれも国内に建設されており、真にグローバルな分布を実現するには、まだ長期にわたる談判と協調を必要とするかもしれない。」

「現在国際衛星ナビゲーション市場の競争は日増しに激烈になっており、2020年までに宇宙の使用可能な衛星は100以上に達すると見積もられる。中国の北斗が衛星ナビゲーション国際市場の競争の中で1つの席を占めるには、まずその他のシステムとの互換性と相互操作を可能にし、かつシステムの高い精度、高い安定性、高い信頼性を確保することが必須であり、さらに透明な政策があり、国際衛星ナビゲーション受信機メーカーと広大なユーザーの疑念を消し去ることが必須である。」と楊元喜は語る。

(頑住吉注:これより2ページ目)

同時に楊元喜はさらに、我が国のナビゲーション産業の政策はまだ完備されておらず、管理が比較的混乱し、国家がより詳細を尽くした産業発展計画を制定する必要がある、と指摘する。

「現在非常に多くの省都に大建北斗衛星ナビゲーション産業区域が建設され、ややもすれば百畝(頑住吉注:面積の単位)以上であるが、私は国外のどこかにGPS産業区域が建設されているのを全く見たことがない。全国に千以上の北斗衛星ナビゲーションサービス関連の企業がある。こうした北斗産業地域と社のうちどれくらいが真にナビゲーション産業発展のためにサービスしているのだろうか?」 楊元喜は語る。「我々はさらに一歩、ナビゲーション産業に関する政策、法規を完備させ、秩序ある競争を唱道し、ナビゲーション産業の発展に規範を持たせる必要がある。」

ニュースをもう一度

北斗は地球から非常に遠いが我々からはごく近い


「独自の絶技」:位置報告、ショートメール通信サービス。一般にナビゲーションはユーザーに自らがどこにいるかを知らせることができるだけである。だが北斗はさらにユーザーの位置情報を発信し、他人に自らがどこにいるか知らせることができ、他人がどこにいるか知ることもできる。

もしあなたが漁民だったら:あなたは北斗を用いて到達しようとする某ポイントの魚群を探すことができる。あなたの漁船は正確に魚群と合流し、このためあなたは大量の魚を捕ることができる。あなたが海上で危険に遭遇した時、北斗はリアルタイムであなたの位置をキャッチし、遅れず救援を組織することができる。

もしあなたが運転手だったら:あなたは北斗を用いてナビゲーションを行い、さらにこれを通じて道路渋滞の状況を知ることができ、あなたの通行ルートも家族あるいは機関によってキャッチされ得る。この特性はかつて広州政府によって公用車上に利用され、公用車の運転距離をそれまでに比べ20%以上減少させもした。

もしあなたが電力会社の責任者だったら:あなたは北斗を利用して時間伝達と時間同期を実現し、設備内部の時間の一致性を確保し、さらには発電所、変電所の設備の運転の同歩調での運転進行を確保することができ、電力の安全の保障が達成されることになる。この特性は金融領域に対しても非常に重要である。

もしあなたが地震災害救援人員だったら:その他の通信施設が全て破壊された時、北斗は位置決定と特有のショートメール通信能力を通じて、遅れず位置を災害救援指揮部に報告することができる。北斗が全世界においてシステムの分布、設置を完成させた後は、GPS、ロシアのグロナス、ヨーロッパのガリレオと共にグローバル衛星ナビゲーションシステムを形成し、地球のプレート運動の観測に参加するとされる。これは地震の発見と予測の1つの重要な手段である。

もしあなたがデジタル発信スタッフだったら:あなたは北斗によって電子図書、新聞、雑誌、多くのメディア体など各種の情報を直接末端のユーザーに伝達できる。

もしあなたが小学生だったら:ひとたびあなたのつけた校章の中に北斗のチップが加えられたら、あなたの家長はいつでもあなたがどこにいるか知ることができ、あなたの安全性はこれにより非常に大きく向上することになる。


 省政府の公用車に設置したら走行距離が20%以上短縮されたというのは不正が蔓延していたということでしょうが、それにしてもいろいろプライバシー上の問題がありそうです。「国際衛星ナビゲーション受信機メーカーと広大なユーザーの疑念を消し去ることが必須」と言ってますが、これを利用して動きが把握されるという問題があり、また万一アメリカとの衝突が起きた時にアメリカが中国の衛星を破壊したら使用不能になってしまうリスクもありますね。世界的な基地の分布は中国の国際的影響力が強まると共に問題なくなっていく可能性が高いですが。



















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