中国の専門家、早期警戒の問題を語る

 中国はこの分野にまだ弱点を抱えているようです。

http://military.china.com/news/568/20130802/17979118.html


専門家:中国の対空早期警戒網は困難に直面 第4世代機を追跡し続けることが困難

情報化戦争時代の到来と共に、武器装備の正確度と防御突破能力は非常に大きく向上し、戦争の突然性に空前の増加をもたらしている。早期警戒監視システムは国の航空宇宙攻防作戦の最も主要な情報源であり、地位と作用は日増しに突出してきている。では、我が国の早期警戒・監視能力は近年来どんな進歩を取得したのか? なおどんな困難に直面しているのか? 筆者は空軍早期警戒学院の某早期警戒実験室主任のヤンシーチャン教授に特別インタビューを行った。

質問:早期警戒監視システムは一般にどのような部分から組成されるのですか?

ヤンシーチャン:目標が所在する空間的位置によって、早期警戒、監視は一般に防空早期警戒と対地および対海早期警戒という3つの部分から組成されます。

このうち、防空早期警戒は主に3万m以下の各種目標に照準を合わせた警戒、偵察で、その対象は作戦機、空対地ミサイルなどの戦術性の目標も含みますし、戦略爆撃機、巡航ミサイルなどの戦略性の目標も含みます。飛行機や巡航ミサイルなどの目標の高度が宇宙に近づくまでに上昇するにつれ(すなわち飛行高度が30〜100kmに達する)、これに対する早期警戒の範囲も連動して開拓展開されています。

対宇宙早期警戒は高度100km以上の弾道ミサイルと宇宙空間の目標に対する警戒、偵察です。このうち、弾道ミサイル目標に対する早期警戒は対ミサイル早期警戒とも言い、宇宙の目標に対する早期警戒は宇宙目標監視とも言います。

対地(海)早期警戒は地上、水上、水中の目標に対する警戒、偵察で、この対象にはミサイル発射サイロ(車両)や潜水艦などが含まれます。

質問:未来の戦争の中での早期警戒、監視システムの地位と作用はどのように見られますか?

ヤンシーチャン:早期警戒、監視システムは国家の安全を維持保護する重要な障壁です。それは戦略的早期警戒体系の重要な組成部分であり、空や宇宙から来襲する目標に対する全時間域、大区域の早期警戒、監視を行い、遅れず正確に来襲する目標の情報を提供し、有効な迎撃を行うこと、そして最大限度損失を減らすための条件を創造することができ、突然の襲撃を有効に防御する「第1の防御ライン」なのです。

早期警戒、監視システムは国家の戦略的威嚇の重要な力量です。情報化戦争時代に入り、威嚇の理論と方式は「核の傘」から「情報の傘」に発展しています。先進的早期警戒、監視システムがあれば、敵サイドの戦略的動向、特に宇宙空間の戦略的態勢を随時掌握し、敵サイドの勝利を獲得する能力と自信を削減し、あえて軽挙妄動させず、威嚇の目的を達成し、「戦わずして他人を屈服させる」完全勝利の兵法を実現することができるのです。

早期警戒監視システムは全体的作戦体系の中で支えとしての作用を果たします。未来の戦争はシステム対システム、システム対体系の全体的対抗が強調されます。武器装備の全体的機能の発揮は、非常に大きな程度上情報の獲得、伝達、精度、効率によって決定付けられます。早期警戒、監視システムは情報化戦争の中で情報の優勢を奪取する重要なカギです。各種の武器システムの重要な情報源として、それは正確武器などの迎撃、打撃システムのために情報と充分多くの早期警戒時間を提供し、指揮コントロールシステムのために正確な戦場の態勢を提供し、未来の戦争の中で戦略的主導権を奪取する重要な保障なのです。

質問:早期警戒、監視システムの重要性に基づき、ある人はレーダー部隊は作戦保障力量から情報作戦の主戦力量に発展変化した、と言っていますが?

ヤンシーチャン:その通りです。最近のいくつかの高度技術局地戦争には1つの共通点があります。勝利を獲得した者は全て戦場情報の優勢に頼り、戦争の様式、プロセス、結果を主導した、ということです。情報化戦争の中では、情報の作戦体系の中での地位は、これまでなかった勢力が突然現れた、といったもので、このためレーダー部隊を伝統的な保障型兵種から空軍ないし全軍の情報化作戦の主体たる力量へと上昇させたのです。

質問:近年我が軍の早期警戒、監視体系はどんな進歩を獲得したのですか?

ヤンシーチャン:我が軍の早期警戒、監視装備体系はすでにレーダーネットワーク技術の支えの下に対空連合早期警戒網を形成し、かつ現在宇宙、空、海、地が一体化した対ミサイル早期警戒網の構築が加速しています。システム建設の成功は主に次のいくつかの方面に体現されています。

1つ目はレーダー装備の技術戦術性能の顕著な向上です。第3世代および第3世代半レーダー装備が占める割合が非常に大きく向上しています。

2つ目はレーダー装備の構造の顕著な改善です。伝統的な体制のレーダーの他、パッシブレーダー、地上から宇宙まで到達する電波を使った超視距離レーダー、高機動レーダーなど新型レーダーが続々と部隊装備され、かつ戦備当番任務を担当しています。

3つ目は空中基地早期警戒探知計測システムがひとまずの規模を備えたことです。気球搭載レーダー、空警ー200/2000早期警戒機の使用への投入は、低空早期警戒探知計測の「ボトルネック」の問題を有効に解決し、早期警戒、監視システムの全体的機能を延長し拡張展開させました。

要するに、我が軍の早期警戒、監視システムは伝統的な通常の空中目標に対し比較的強い早期警戒、探知計測能力を備え、基本的に国土防空、安全の要求に適応できます。

(頑住吉注:これより2ページ目)

ですがアメリカ、ロシアなど世界の主要な軍事強国に対しては、我が早期警戒、監視システム建設は相対的に立ち後れており、システムが負う使命、任務に対する要求にはまだ一定の隔たりがあります。

1つ目は「一体化」建設が相対的に立ち後れていることです。「一体化」概念は主に「体系的対抗」戦争の軍事的需要の牽引の下に生まれたもので、「一体化」は主に多類型、多プラットフォームの早期警戒、監視システムがそれぞれ体系をなし、かつまた相互に協同し、有機的に結合し、全天候、全空域、遠距離の多層の防空、防宇宙早期警戒帯を形成し得る、ということに体現されます。

アメリカ、ロシアなどの国は日増しに深刻化する空、宇宙が一体化した脅威に対応するため、空、宇宙、海、地が一体化した早期警戒、監視システムを構築済みです。例えば北方の早期警戒システムとして、E-3機載早期警戒・コントロールレーダーシステムおよび超視距離レーダーシステムが主体となって構成されるアメリカの防空早期警戒システムは、来襲する爆撃機に対する3時間の早期警戒時間が提供でき、低空の巡航ミサイルに対する最大探知計測距離は270kmに達し、後方乱反射超視距離レーダーは来襲する爆撃機や巡航ミサイルに対し遠距離、大空域の戦略早期警戒が実施できます。

ロシアの防空早期警戒システムは地上防空早期警戒システムが主体であり、要地と区域が相結合した防空体制が採られています。地上防空早期警戒、監視システムの、中、近距離レーダーは主に全国のそれぞれの大都市が中心で、国境線に沿って展開し、順次交錯して配置され、相結合して配備され、綿密、多層の対空警戒システムを構成しています。その特徴は規模とカバー面積が大きく、各レーダー基地が重複してカバーし、しかも空中早期警戒機に頼って地上レーダーの低空目標を探知計測する能力の不足を補っていることです。

2つ目は弾道ミサイルに対する早期警戒システム建設が相対的に立ち後れていることです。1960年代には早くも、米ソは弾道ミサイル早期警戒システムの建設に着手し始めていました。現在アメリカとロシアはすでに先進的な弾道ミサイル早期警戒システムを建立しています。例えばアメリカは北方弾道ミサイル早期警戒システム、潜水艦から発射される弾道ミサイルに対する早期警戒システム、宇宙基地早期警戒衛星から組成される弾道ミサイル早期警戒システムを構築済みで、北部、東北部、西北方向から北アメリカ大陸を攻撃する大陸間弾道ミサイル、および大西洋や太平洋の水中の潜水艦から発射される弾道ミサイルに対し早期警戒が行えます。ロシアは地上早期警戒レーダーシステムと宇宙基地早期警戒衛星システムによって構成される弾道ミサイル早期警戒システムを構築済みで、重点的にモスクワを核心とする重要目標の安全保障を行っています。

質問:我が軍の早期警戒能力の建設はどんな困難に直面しているのですか?

ヤンシーチャン:主に作戦環境の深刻な変化がもたらす厳しい困難に直面しています。未来の情報化戦争の中で、早期警戒、監視システムが直面する作戦環境の主要な特徴は次のところに体現されます。

1つ目は早期警戒空間が非常に広いことです。未来の作戦では、相手は水中、地上、海上、超低空、低空、中高度、宇宙に近い高度から宇宙空間までにおいて遠距離火力打撃を発起する可能性があり、早期警戒監視システムは全方向、全高度、遠距離の早期警戒、探知計測能力を持つことが必須です。

2つ目は目標の多元性、特性の複雑化です。空中目標がステルス化、高速化に向かって発展する趨勢は日増しに突出し、極めて大きく早期警戒システムのそれに対する探知計測の難度を増加させています。外形の最適化、機体表面への電波吸収材料の採用、垂直尾翼とエンジンノズルの最適化などの技術手段により、先進的戦略爆撃機、戦闘機、巡航ミサイルのレーダー乱反射面積は顕著に低下しています。同時に、第4世代戦闘機はアフターバーナー不使用時に即超音速巡航でき、安定して探知計測し連続的に追跡することが困難です。

現代の空と宇宙の脅威たる目標の種類は非常に大きく増加し、目標の特性の差異は極めて大きく、特に宇宙の目標と宇宙に近い空間の目標の出現は、未来の防空早期警戒の重大な難点を「低い、遅い、小さい」目標に限られなくさせ、「高い、速い、ステルス」の目標も含めさせます。例えばX-37B宇宙飛行機、HTV-2極超音速飛行機、X-51A極超音速巡航ミサイルなどの「快速全地球打撃」武器は、そのレーダー反射面積が0.01平方mクラスでしかなく、速度はマッハ5〜20にも達し、飛行と作戦の高度は空中、宇宙に近い空間、大気圏外の空間をまたぎます。

3つ目は電磁環境の複雑さです。早期警戒、監視システムは、全周波数帯、全時間域、全空域の電子偵察環境と、幅広い周波数帯、高強度、セルフ適応能力が強い総合性電子妨害環境に直面します。例えば偵察妨害の周波数はシステムの全ての作動周波数帯をカバーし、妨害出力はメガヘルツあたり何キロワット、甚だしきに至ってはメガワットに達し得、偵察妨害プラットフォームには電子偵察衛星、電子戦機などが含まれます。複雑な電磁環境は早期警戒、監視システムの安定性と信頼性を極めて大きく低下させることができ、甚だしきに至っては麻痺させ、探知計測の威力と作動機能は大いに割引になります。

4つ目は生存環境が厳しいことです。早期警戒、監視システムは電子妨害などの「ソフト」殺傷手段の脅威に直面するだけでなく、さらに対輻射ミサイル、対輻射無人機など遠距離正確打撃武器の「ハード」破壊の脅威に直面することになります。また、コンピュータウィルスやネットワーク攻撃などの情報攻撃技術と戦法は日増しに成熟し、電磁パルス弾、高出力マイクロ波武器など各種の新たなメカニズムの武器が大量に出現しています。早期警戒、監視システムは機動作戦、多くの手段による防御、構造の調整、セルフ適応の再編などの総合的措置を採り、もって早期警戒、監視能力の安定と高い信頼性を保証することが必須です。

質問:元空軍レーダー学院は空軍早期警戒学院と改名されましたが、これと空軍戦略のモデルチェンジの関係をどう見ますか?

ヤンシーチャン:空軍の戦略攻防作戦の需要から見て、このことは戦術から戦略へ向かい、防空が空と宇宙の一体化に向かい、兵種が連合に向かい、単一が体系に向けモデルチェンジする必要性に符合しています。これは情報システムに基づく連合作戦の重要な基礎であり必要条件です。またこれは近代化された空軍建設が発展する始まりの信号です。


 読んだ印象ではアメリカとの差がそう簡単に縮まることはないという印象を受けますが。














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