東側は電子戦で勝ったことがない

 「アドルフ2世」氏のちょっと変わった角度からの日中対決の考察です。

http://adaofu2.blog.china.com/201209/10254560.html


釣魚島の戦いで、中国海空軍には1つ深刻な心理的障害がある

中日釣魚島の争いがゆっくりとエスカレートする中、釣魚島付近の海域に進入した中国の法執行船は16隻に達し、一方日本は海上保安庁の船とP-3C哨戒機を出動させている。これと同時に、中国の2隻の護衛艦が釣魚島に接近し、一方日本の海上自衛隊もまさに同様の動きをとっている。中国と日本という2つの巨大な戦争マシンはまさに危険な接近をしつつある。

中日海空大戦に対する私の感覚は自信はあるが確信はないというものだ。現代の海空大戦で主に戦われるのは電子戦で、これに対し中国海空軍に心理的障害があることは免れ難い。これは西側には電子戦においてすでに39年の不敗の歴史があるからである!

1973年10月6日から10月26日の第4次中東戦争では、18日間の戦争の中で、イスラエルの被撃墜機は114機で、80機余りはSA-6(頑住吉注:ソ連が開発した3連装自走対空ミサイル)が撃墜したものである。これは現在まで、西側世界の電子戦での最後の敗北であり、それ以後西側は電子戦でずっと不敗を保持している。

フォークランド戦争は、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなど西側の武器の間の勝負であり、東側の武器体系とは何の関係もなかった。

ベカー渓谷地空戦、防空戦(頑住吉注:1982年、レバノンのシリア軍陣地をイスラエルが攻撃)では、シリアは戦闘機80機が撃墜され、20余りのSAミサイル陣地が破壊され、イスラエルの損失は2機だけだった(それも小口径高射砲の功労である)。

イラン・イラク戦争では、イランのF-14戦闘機の威力が突出し、ソ連製のミグ-21、ミグ-23、ミグ-25を打ち破った。ある時などF-14がレーダーを作動させただけですぐにイラクのソ連製戦闘機を脅して逃走させることができたほどだった。イラクはフランスのミラージュF-1EQを導入し、やっとイラン空軍とのバランスを形成した。

湾岸戦争では、多国籍軍の損失は戦闘機、攻撃機38機、ヘリ31機で、イラクの3,847両の戦車、1,450両の装甲車、2,917門の火砲、107機の航空機、100隻余りの各種船艇を破壊した。イラク空軍と防空部隊は西側の連合軍の電子戦に直面するとなすすべがなかった。イラク海軍は「シルクワーム」式ミサイルを発射したが命中せず、逆にイギリス海軍が「シーウルフ」艦対空ミサイルをもって対艦ミサイルの迎撃に成功するのを助けることとなり、これは世界で初めて対艦ミサイルの迎撃に成功した戦例である。

コソボ戦争では、アメリカに相対してユーゴスラビア連邦は「石器時代に戻せ」の叫びを上げなければならず(頑住吉注:意味分かんないす)、南部連盟空軍部隊の6機のミグ-29が撃墜され、防空ミサイル部隊が1機のF/A-117を撃墜した。陸軍は複雑な地形、堅固な工作物、密に茂った植生に頼って実力を保ったが、アメリカおよびNATOが戦略目的を達成するのを阻止する力はなかった。

リビア戦争では、NATO空軍は航空機を10,000回出動させ、カダフィ軍の装甲目標5〜6,000を破壊し、アメリカのF-15が事故で1機墜落損壊しただけだった。さらに人をして驚きいぶからせたのは、彼らが何と正確な投擲で炸薬の水泥なしに爆弾により目標を破壊したことである(頑住吉注:たぶん全て命中し、地上に着弾することがなかった、ということでしょうが、言うまでもなく中にはそういう場面もあった、というだけのことに過ぎないはずです)。

一連の事実は、西側の電子戦方面における優勢がどんどんはっきりしていることを表している。以前は東西サイドの武器装備の電子戦対抗において、東側陣営はまだ戦術上の勝利を取得し得たが、現在に至り、戦略目的の達成は言うまでもなく、1機の敵機撃墜、1隻の敵艦撃沈であろうとも一種の過分の望みなのだ!

しかも、運も東側陣営サイドにはないようである。レバノンのヒズボラはかつて1発の対艦ミサイルを使ってイスラエルのザール5型護衛艦に命中弾を与えたが、惜しいことに命中部位は護衛艦のヘリ格納庫で、爆発のエネルギーは1層の艦内の隔壁を破壊した後排出されてしまい、護衛艦に対し致命的傷害を生じさせなかった。もし着弾点がもう2m低かったら、結果は完全に違っていた。

技術的にはるかに先んじ、さらに幸運の神に気に入られては、西側が電子戦の中で39年の不敗を保持していることも無理はない!

中国が日本と電子戦を行うには2点の不利がある。

第1に、日本の電子戦レベルはもしアメリカ、イギリス、フランス、ドイツより強くなかったにしても、彼らに劣ることもまたない。日本の多くの技術装備はアメリカ人の基礎の上に改良したもので、先進的作用メカニズムに日本人の電子部品に対する非常に優れた製作が加わり、多くの日本製技術装備をアメリカ製オリジナル装備の水準を超えるものにさえしている。

第2に、ロシア(旧ソ連)の技術装備は何度も惨敗してはいるが、彼らには少なくとも西側の技術装備と勝負する直接の材料がある。それは多くのロシアの飛行員、ミサイル技師が直接参戦していることである。一方中国には西側の技術装備と正面から勝負した経歴が全くない。

このため、中国のここ何年かにおける技術レベルの向上は非常に早いが、歴史の、そして現実の隔たりを考慮すれば、中国海空軍が日本と相対した時、一点の心理的障害もないというのはあまりありそうにないことである!

だが逆に言えば、心理的障害があることは良いことで、少なくとも敵を軽んじるという大タブーを犯すことはない。

毛沢東は抗米援朝(頑住吉注:朝鮮戦争)を指揮し、彭徳懐に第1戦は「傀儡軍をまず打撃」すべしと指示した(頑住吉注:文脈からして強力なアメリカ軍より弱い韓国軍をまず叩け、という意味でしょう)。ケ小平は対ベトナム自衛反撃戦を指揮し、「鶏を殺すのに牛刀を使うべし」と強調した。これらはいずれも軍事家の大所高所からの見通しというものである。剣を抜くことは無鉄砲なことをすることとイコールではないのである。

初戦慎重の原則に従い、中国はひとたび対日開戦を決心したら、第1戦で猛烈な力押しをためらうことは禁物である! 戦争はサッカーではない。あちらが11人ならこちらも11人しかダメという規則など何らないのであって、どんなフェアプレーも論外である! どんな残忍なことをしても必ず完全に制圧しなければならず、叩きすぎた後で謝る方がましで、叩かなすぎた後で抗議することはあってはならない。

技術上、私は3点をなす必要があると考える。

第1に、作戦プラットフォームの数量の増加、作戦プラットフォームあたりの機能の向上、相互の組み合わせ、リスクの分散である。

1隻の駆逐艦、1隻の護衛艦、1隻のミサイル艇の破壊には、いずれも1発のミサイルを必要とする。作戦プラットフォームが増加すれば、敵の火力を分散させることができる。もしそれぞれの作戦プラットフォームがいずれも多種の作戦能力を具備していれば、敵の重点攻撃の際、相互に組み合わせることができる。このため、もはや最近大量に建造されている056小型護衛艦を作ってはならない。それは火力が薄弱で、機能が単一で、敵の火力を引き付けることしできず、有効にその他の艦艇を支援することはできず、中国海軍艦艇の中のスーパー犬の糞そのものである!

第2に、防御能力の強化である。

防御力は軽視されやすい戦闘力の要素の1つである。黄海海戦中、北洋艦隊は定遠号、鎮遠号の厚い装甲に頼って全軍壊滅の結果を免れた。アメリカのF-15、F-16とヨーロッパの「タイフーン」はレーダー警告に頼ってF-22A奇襲の警報を獲得し、したがって迅速に措置を取り、空戦を近距離格闘に持ち込み、勝機を探し出した。

中国海空軍が自己の防御能力を向上させれば、それはすなわち戦闘力の向上である。これは電子戦の優勢の獲得に比べより早く、直接的である。海軍が1基の730砲(頑住吉注:バルカン形式の近接防御砲)を多く装備する、1基の海紅旗-10を多く装備すると、増加する費用は数千万かもしれないが、戦時においてこうした小さなものが十数億の大きな艦と数百人の生命を救うかもしれないのである。引き合うではないか! 空軍がもし機載レーダーより良いものにできないなら、レーダー警告システムを良くする努力をし、飛行員にできるだけ早くロックオンされたことを知らせれば、損失の大きな部分を避けることができる。

第3に、多種の技術手段の採用である。

単一の技術手段は明らかにダメで、各種の体制のレーダーがもう少し多く必要である。レーダーというものは後方勤務における弾薬の保障とは違う。弾薬の保障では品種が少ないほど良い。レーダーは型が多いほど良い。数日前テレビ制御誘導のC803Kを見たが、これは良いものだ! さらにロシア戦闘機上の光電探知計測システムがあり、いずれもアメリカの電子戦の優勢によって無理にひねり出されたものではないか? 技術の対抗と戦術の対抗は似ており、突き詰めれば兵に常勢なし、水に常形なしであるとも言える(頑住吉注:「孫子の兵法」の中の言葉で、水に定まった形がないように、敵に応じて変化する者が強い、というような意味らしいです)。

現代の海空戦では、交戦の結果は相当程度戦前にはもう決定している。このため、我々は充分な準備を整える必要がある。幸運の神も準備ある人を大事にするのである。


 この筆者の言う「電子戦」は通常の意味よりずっと広義のようです。で、日本も含む西側の力を非常に高く評価し、不利だからこそ全力を尽くし、また事前の準備を十分に行わねばならないと警告しているわけですね。

 しかし「中国と日本という2つの巨大な戦争マシン」というのにはそういう意識なのかとちょっとびっくりしました。日本の軍事に対する重視度、力の入れ方は中国とは比較にならないくらい低く、また私はそれでいいと思っていますが、「日本の軍拡、右傾化、軍国主義復活」といった情報ばかり注入されればそういう見方になるんでしょうね。








戻るボタン