10カ国での第二次世界大戦に関する意識調査

 いろいろ面白い結果が出てます。

http://www.hinews.cn/news/system/2015/09/05/017790827.shtml


10カ国調査:過半数が93閲兵に賛同 中国の第二次世界大戦に対する貢献、深刻に低く評価される

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「調査:中国の閲兵の目的は何か」 で、項目は上から順に「歴史をしのび、歴史を再演させない」、「勝利のため不朽の貢献をなした人に向け敬意を示す」、「中国の国力と軍威をはっきり示す」、「軍事的実力をひけらかす」、「青年世代にファシズムと軍国主義への反対を教育する」、「戦後の成果と国際秩序を維持保護する」、「世界の平和的発展を維持保護するというテーマを説明する」、「中国人民が中国の夢を実現するため奮闘するよう激励する」、「日本の右翼の気炎を制圧する」、「その他」です。)

第二次世界大戦の歴史に対する理解で、アジアはヨーロッパに及ばず、日本はドイツに及ばない

グローバル世論調査センターは5月26日から6月3日、オンラインサンプルバンクの方式をもってアンケート調査を展開し、全部で3大州10カ国をカバーした。すなわち、中国、日本、韓国、ベトナム、アメリカ、ロシア、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアである。調査対象は18歳以上の普通の住民で、全部で有効回答10,558件を回収し、各国でアンケートに成功した数はいずれも1,000件を超えた。

「あなたは第二次世界大戦の歴史を理解していますか?」 この問題に対し、10カ国の被調査者のうち55.9%が「理解している」とし、このうち「比較的理解している」との被調査者は42.3%の比率を占め、「非常に理解している」は13.6%を占めた。理解度が「並」との被調査者の比率は28.2%で、「理解していない」との被調査者は15.9%を占めた。全体的に、「理解している」者は「理解していない」者の3.5倍である。

国別で言うと、それぞれ7割以上のフランスとドイツの被調査者が第二次世界大戦の歴史に対し「理解している」とした。中国、ロシア、イギリス、アメリカの第二次世界大戦に対する理解は第2グループに属し、理解度はそれぞれ61.1%、60.1%、59.5%、56.1%だった。第3グループにいるイタリア、日本、ベトナムおよび韓国の理解度はそれぞれ49.8%、42.1%、40.2%、39.1%だった。また、10カ国中第二次世界大戦の歴史を「理解していない」とした被調査者が最も多かったのは日本だった。

1万名あまりの第二次世界大戦の歴史を認知している被調査者に対し、「あなたは主にどういった方式によって第二次世界大戦の歴史を理解しましたか」と追加質問して、被調査者が主に(56.0%)「書籍(歴史書、伝記、回想録)」によって理解し、50.0%の被調査者が「テレビニュース/テレビ番組」を選択し、その後は「映画、テレビドラマ」(47.0%)、学校の教科書」(45.7%)だということが分かった。10カ国中、アメリカ、イタリア、ベトナムの被調査者の「書籍」の選択が最も多く、中ロは「学校の教科書」を多く選択し、ドイツ人は「映画、テレビドラマ」を選択した。

ベルリンの国際政治学者であるフロリアン ルペイは「グローバル時報」のインタビューを受けた時、第二次世界大戦の歴史に対する理解について言えば、アジアの民衆は全体的にヨーロッパに及ばず、同じ敗戦国でもドイツは日本よりはるかに高い、と語った。彼は、第二次世界大戦後、ドイツはポーランド、イスラエルなどの国と共同で歴史教材を編集執筆し、ドイツはさらに例えば学校交流や友好都市など多くのプロジェクトを始動させた、と語る。ドイツ国内には第二次世界大戦の歴史に対し共通認識もあり、その核心は、ドイツはまず「加害国」であって「被害国」ではない、である。

中国社会科学院日本所の学者である盧昊は「グローバル時報」記者に対し、日本の被調査者の状況は、日本の第二次世界大戦の歴史ないし近代史に関する教育には間違いなく問題が存在することをはっきり示している、と語った。通常の日本の歴史教科書は重点を古代文明史に置き、近代史の比率は極めて低く、高校の歴史教科書の日本史の部分は明治維新に至るとすぐに終わりを告げ、大多数の学生がシステマチックに第二次世界大戦を含む近代史を学習できない結果をもたらしている。社会的にも歴史問題に関する深い検討では、意識的に「デリケートな近代史問題」を回避している(頑住吉注:日本人の読者には分かることですが事実に反する内容、あるいは著しい誇張がいくつも含まれていますね)。

中国の貢献は「無理解」により深刻に低く評価されている

第二次世界大戦のいくつかの重大事件の認知に対し、今回の調査は被調査者に得点分けを行わせた。5点制(1は「非常に理解していない」を表し、5は「非常に理解している」を表す)の中で、被調査者は「アメリカの原爆投下」に対し3.74、「日本の真珠湾奇襲」に3.36、「ノルマンディー上陸」に3.27、「スターリングラード防衛戦」に3.02、「南京大虐殺」に2.63、「七七事変」に2.30点をつけた。

被調査者の心中でのアメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランスの第二次世界大戦においてなした貢献を理解するため、今回の調査は関連の問題を提出した。その結果上位3位までにランクされるのがアメリカ、イギリス、ロシアであり、中国のなした貢献の総合的に挙げられた率は9.1%しかなく、ランキング最下位であることが分かった。貢献度の高いから低いの順に次の通りである。

アメリカの被調査者:アメリカ、イギリス、ロシア、フランス、中国

イギリスの被調査者:イギリス、アメリカ、ロシア、フランス、中国

中国の被調査者:中国、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス

日韓の被調査者:アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国

フランスの被調査者:アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国

ロシアの被調査者:ロシア、アメリカ、イギリス、中国、フランス

ベトナムの被調査者:ロシア、アメリカ、フランス、中国、イギリス

(頑住吉注:ちなみに私ならアメリカ、ロシアというかソ連、イギリス、中国、フランスですね)

「このような結果に対し私は決して驚かない」 牛津大学中国研究センターの主任ラナ ミートは語る。原因は西方の人は決してこの歴史を理解しておらず、英語世界で人々が中国の戦時の経歴を捜し当てることは非常に難しいのである。理解していること、知っていることはごく限られる。「中国の貢献は疑いなく深刻に低く評価されている」 中国人民大学国際関係学院副院長の金燦栄は、アメリカの被調査者について言えば、彼らは疑いなくイデオロギーの影響を受けている、と語る(頑住吉注:しかしロシアもベトナムも低く評価してますよね)。

10カ国中、ベトナムの被調査者の選択は他の国との差異が非常に大きい。北京大学外国語学院ベトナム問題専門家の咸蔓雪は「グローバル時報」に対し、「ロシアの貢献に対するベトナムの肯定は、非常に大きな程度上ベトナムの戦後国家建設の過程におけるソ連/ロシアとの友好関係を体現しており、同時にベトナム民衆のロシアというこの重要な軍事協力パートナーの強大な軍事的実力に対する尊敬を反映している。」と語る。咸蔓雪は、ベトナム民衆のフランスに対する肯定は、むしろ歴史的な「フランスコンプレックス」および近年来のベトナム・フランス友好関係にルーツがある、と語る。

調査はさらに、過半数の被調査者がアメリカ、イギリス、ロシアは主に戦勝国の役割を演じ、一方フランス、中国、韓国、ベトナムはむしろ被害国の役割を演じた、と考えていることをはっきり示している。だが、ラナ ミートは中国が単なる被害国との言い方に不同意である。「被害者にはいかなる選択権もない。中国は戦争中いくつかの非常に具体的な選択をなし、1938年、彼らは降伏ではなく戦闘継続を選択した。」 彼は、「その他の一部の国、例えばポーランドは真の被害国であり、政府と軍隊はナチスによって征服されるしかなく、他の選択はなかった。」と語る。

「我々は中国が戦勝国である連合国の1つで、四大重要同盟国の1つであることを覚えておくことが必須だ」 ラナ ミートは次のように語る。直面する必要がある現実は、当時の中国はイギリス、アメリカ、ソ連に比べずっと貧乏で、技術や能力も弱く、しかも中国政府は重慶に包囲されていた、というものである。このような状況下で、中国の貢献は人々の想像をはるかに超えた。「中国を同一レベル上に置いて比較を行うのは不公平だ。」

誰が真に歴史を反省しているか?

かつての同盟国の歴史問題の上での差異はずっと話題になっている。今回の調査は次のことをはっきり示している。55.8%の被調査者がドイツはすでに充分に謝罪したと考え、29.2%の被調査者はドイツが充分に謝罪していないと考えている。51.2%の被調査者は日本が充分に謝罪していないと考え、3割に満たない被調査者が日本はすでに充分に謝罪していると考えている。被調査者には、イタリアがすでに謝罪しているか否かに対してそれぞれの意見がある。

10カ国中、ドイツがすでに充分に謝罪していると考える国のランキング上位3位までは、韓国、ドイツ、中国である(頑住吉注:これも面白いですね。中国と韓国は「謝罪していない」日本とのコントラストを強めたいわけです)。日本がすでに充分に謝罪したと考えるのは、ベトナム、日本、アメリカがランキング上位3位までである。日本が充分に謝罪していないと考えるのは韓国、中国、ロシアがランキングで最も上位である。被調査者の「第二次世界大戦中、日本は深刻に他国の主権を侵犯し、また人権を踏みにじった」との言い方に対する認可度は最高で、「日本の歴史教科書改修および『慰安婦強制徴用』否認」などに対しては、53.2%にも達する被調査者が「歴史的責任からの逃避、歴史の歪曲」と考えている。

盧昊はこれに対し、調査結果は国際社会に「誰が一体真に歴史の反省を行っているか」に対しすでに公論があることを証明している、とする。日本が「充分に謝罪していない」と考えられるのは、決して日本が公式な謝罪を全く行ったことがないことを指すのではなく、日本政府が率直、持続的な態度をもって侵略の歴史を認め、反省の姿勢を堅持し、言行一致を実現できないことを指している(頑住吉注:でも中国の文章にはよく「日本は全く謝罪したことがない」との虚偽が書かれてますよ)。

「ドイツ人は自分でも、自分たちの歴史に対する態度は日本よりはるかに良いと考えている。」 ドイツの学者であるロリアン ルペイは、今年3月ドイツのメルケル首相が訪日した時、日本に歴史に直面するよう要求した、と語る。ドイツの民間でも、日本のやり方は充分にはほど遠いと皆考えている。イタリアは第二次世界大戦後の歴史的責任追及の上でずっと軽視されているが、彼らの第二次世界大戦の歴史問題に対する認識は統一されている。

ベトナムの被調査者による日本の謝罪に関する態度は解読に値する。咸蔓雪は、ベトナムの第二次世界大戦の記憶は本国の植民統治への反抗、民族独立を勝ち取った闘争の歴史に随伴している、と語る。ベトナム人は普遍的に、1940年9月に日本がベトナムに侵入してから、ベトナムはフランスの植民統治から離脱した、と考えている。1945年9月にホーチミンが読み上げた「独立宣言」の中では、「我々はフランス人の手中からでなく日本人からベトナムを奪回した」と指摘されている。ベトナムが日本の侵入に対し複雑な感情を抱いていることが見て取れる。戦後日本は東南アジアに対し大量の援助と投資を与え、東南アジアでは贖罪の現れと見なされており、ベトナムを含む東南アジア諸国の好感を獲得している。

55%の被調査者が中国大閲兵が「歴史をしのぶ」に賛同

今回のアンケートでは中国が行う盛大な閲兵活動に対しても調査が行われた。結果は、55.0%の被調査者が中国の閲兵の「歴史をしのび、歴史を再演させない」との目的に賛同し、総体として比較的ポジティブな認知の態度を持っていた。調査はさらに、4割を超える被調査者が、本国の第二次世界大戦勝利70周年記念活動に参加するだろう、としたことをはっきり示している。国別で見ると、ロシア、中国、ベトナムの被調査者の参加の希望が最強で、いずれも7割を超え、アメリカ、フランス、イギリスの参加者は3割あまりしかいなかった。

「このことはある事実を反映している。」 金燦栄は語る。もし69周年など普通の年にこの種の大型活動を行えば、皆はより相手に別の意図があると考える方に偏向するかもしれないが、70周年は全世界がこぞって非常に重視する年であり、記念に入れる熱の度合いは全世界どこでも非常に高く、「歴史をしのぶ」は各国共通の心情だと言うべきである。異なる国の民衆の参加の希望の差異に対し金燦栄は、全体的に西方の国は世界の指導階層で、各方面いずれも比較的先んじ、この種の大型活動をあまり必要としない、と語る。だが中国、ロシア、ベトナムは発言権の問題により、国際世論、社会的評価の上でずっといささかの冷遇を受け、西方の「けなし」に直面し、こうしたことで自身の価値と貢献を証明する必要がある。

今回の調査は最後に中日関係に関心を注いだ。中日両国の被調査者に対する調査は、両国関係は「正常化できない」と考えるグループの割合が最も高く、30.3%であることをはっきり示している。2割近い被調査者は中日関係正常化は長い曲折の過程であると考えている。18.1%の被調査者は「5〜10年」内に中日関係は正常化できると考えている。

また中国の被調査者の多くは両国関係の雪解けを実現するためには「日本が釣魚島は中国に属すると認める」および「日本が靖国神社参拝を停止する」ことを必要とする、と考えている。日本の被調査者は、「両国首脳会談」や「中日の民間組織の交流を強化し、両国の政治対話を促進する」べきであると考えている。

金燦栄は、被調査者の悲観は現実に符合しており、近い時期内に中日関係が好転するのは非常に難しいが、長期的には希望がある、と語る。彼は、日本のエリート層は全体的に中国の勃興に対し非常に受け入れ難く、両国の実力差の不断の拡大に直面し、彼らは最後のチャンスをつかんで中国と戦ってみたがっている、と語る。盧昊は、中日間は短期間内には現実の矛盾を解決できず、甚だしきに至っては立場の隔たりを埋め難い、と考える。両国の被調査者の考え方の筋道の差異は、中国サイドは歴史問題と領土問題が現在最も突出した現実の矛盾であると考え、一方日本は歴史問題で中国の信用を得られず、領土問題でもまた硬直した立場を堅持し、このため「障害を迂回」して問題を解決しようという傾向にある。日本サイドの考え方が双方の関係改善に対し「応急処置」の作用があることは全く疑いがないが、中国サイドの関心を注ぐポイントは疑いなくああした改善措置に「根本治癒」ができるか否かを決定付けている。


 やはり世界のどこの国でも自国に都合のいいように解釈する傾向があるものなんですね。例えば民主国家であるイギリスでも自国の第二次世界大戦勝利に対する貢献はアメリカより上だと考え、たぶん英連邦を除きこれに賛同する国は世界のどこにもないでしょう。中国の貢献が最大という国も中国以外どこにもないことはまず間違いなく、一方フランスはさすがに自国の貢献が最大とは思っていないわけですが、ロシアより上というのは無茶としか言えません。重要なのは、日本にも当然無意識のうちに自国に都合の良いように歴史を解釈しようとする傾向はあるはずだという意識をどこかに持ち続けることでしょう。





















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