ロシアの戦車競技、ルールに問題あり?

 去年もすでに問題はあったんですけどね。

http://military.china.com/important/11132797/20150803/20123720.html


ロシアの戦車競技:ロシアは本当に中国に勝たせたくない

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「2015年8月1日の競技第1日目に登場したロシア代表チームのT-72B3戦車。注意に値するのは今年ロシアサイドがもはや去年の機動性が群を抜くT-72B3M戦車を使用していないことである」)

昨日ロシア戦車両項目競技の全面グレードアップ版である「2015国際軍事競技」がモスクワのアラビノ軍事基地で正式に開始した。この期間半月の競技の中で、十何カ国の代表チームが戦車、歩兵戦闘車、落下傘兵戦闘車、水陸両用戦車、自走砲、架橋戦車、工程車両、重搭載トラックなどの武器装備を操縦して同じ場で競技する。そして唯一自ら装備を携えてロシアに赴き競技に参加する中国チームは、当然各界の関心を集めている。中国チームの装備はロシア製装備を比べ、結局のところどんなレベルに到達しているのだろうか? これと同時に、今週中国海軍は東海と南海で大規模軍事演習を展開したが、それらが照準を定めるのは誰かに関しては、仔細な分析を要してやっと結局のところが見いだせる(頑住吉注:海軍演習に関してはこの記事の中に出てきませんが、別の記事になってますんで後で紹介する予定です)。

本当に中国に勝たせたくない

去年の「戦車両項目競技」から今年の「国際軍事競技」まで、ロシアは軍事分野の国際競技開催というこの件の上でマニアック化しているようだ。去年ロシアは戦車両項目競技の中で第一位の成績を取得した。このことはロシア軍の士気高揚、ロシア軍の戦闘意志の鼓舞に対し当然大いに助けになり、しかも世論の中にロシア軍の強大なイメージを作り出すのを助けることができた。外国軍と軍事交流を行うことを希望する中国にとって、自ら装備を携えて競技に参加することは、両国の友情を深化させると同時に本国装備の性能を検証する得難い機会でもある。

まさにこの考慮から、中国軍は今回各種現役装備を携えて遠くロシアに赴いて競技に参加する。去年の戦車両項目の中で、中国の96A式メインバトルタンクは競技ルートでの速度競争の中でのパフォーマンスは並だったが、出色の火力精度と中国装甲兵の身体能力競技の中での第一位のパフォーマンスに頼って、最終的にはそれでも団体第三位の成績を獲得した。今年中国は去年の競技の総括を基礎に、改良を経、動力を強化した96A1型戦車を派遣して競技に参加し、このため競技は今日開始されたばかりだが、少なからぬ中国人がすでに、中国チームの去年の成績を基礎に、「百尺竿頭、更進一歩」(頑住吉注:優秀な成績に満足せずさらに一歩先を狙う)と自信満々である。

だが待てしばし、今年の戦車両項目はルールを変えたのである。

中ロ両国メディアの言い方によれば、あらゆる競技の具体的ルールは今に至るも全部確定していないが、少なくとも「戦車両項目」というこの競技の上では、すでに多くの重大なルール変更がある。すなわち、1、身体能力競技が取り消された。2、射撃部分の占める点数の権利の比重が下げられた。3、各競技参加隊伍に統一して成形炸薬弾の使用を要求する。4、各競技参加チームの車両交換回数を2回に制限する。

このいくつかのルールは一見平等なように見えるが、以下のいくつかの事実を参考にすれば、ロシアサイドのルール改変の深い意味が難なく理解される。すなわち、中国チームは去年身体能力競技で優勝した。96A1戦車が装備する火力コントロールシステムはT-72B3より優れている。中国チームは去年唯一徹甲弾を使用した隊伍であり、その精度はロシア軍の手中の精度が比較的高い成形炸薬弾より顕著に高かった。中国チームは去年キャタピラとエンジンの損壊により予備車両への交換を迫られた。

同様に中国の軍事マニアに不満を感じさせるものにはさらに「砲兵射撃名手」競技がある。自走砲というこのような完全に射撃を主要な用途とする武器の試合をする時、ロシアサイドの競技設定は依然競争がメインなのである。ルールによれば、それぞれの競技に参加する砲兵チームは迫撃砲を搭載した軍用車両を操縦して5kmのルートを完走し、このルートの中には火砲陣地が配備されて競技参加車両チームが射撃を行うのに供する。だが射程が7kmを超える重迫撃砲に対し、今回の競技の目標距離はたった1,000〜1,500mであり、しかもそれぞれの目標の半径はいずれも15mにも達し、もし射撃した砲弾が標的を外しても、それに対応する懲罰は単にもう500m走るだけなのである。火力コントロールシステムで優位を占める中国の自走迫撃砲にとって、このような競争に重きを置き射撃を軽んじる競技では装備の真の性能を検証することは非常に難しい。

このことから、ロシアが開催する軍事競技では、競技の成分が実戦に対する再現よりはるかに大きいことが難なく見て取れる。もし実戦を模すならば、NATOのシルバートロフィーのように、戦車の並んでの進攻作戦を模し、戦車に行進中一連のあるいは固定、あるいは移動する戦車標的を撃破することを要求し、かつ射撃に高得点を賦与し、「敵を殲滅」することに重点を置いてこそ、より「実戦化の意味濃厚」が突出するのである。すでに競技性の試合であり、さらに毎年「特別の目的」からルールを変更し、ロシアを多く勝たせようとする、端の人は明らかに一目ですぐ分かる。

中国メディアの報道の中からも、難なく競技に参加する解放軍の不平に気付く。解放軍代表団団長は、「安全路線」種目の中で、中国サイドはずっと規定の幅に照らして「対戦車壕鎮圧」訓練を行ってきたが、競技場に到着した後で壕の長さと幅に、いずれも事前に確定した寸法と非常に大きな差異があることに気付いた、とする。しかもある競技種目は、中国の競技参加チームは現在になっても依然詳細な過程とルールを手にしていない。さらにまずいのは、中国代表チームと自ら携えた武器装備はとっくにロシアに到着しているのにもかかわらず、「主催者側の場所に限りがあるため個別の種目の中国の競技参加チームはロシア到着1週間後になってもまだ依然として競技場への進入許可を獲得できず、その他の種目の中国の競技参加チームも非常に短い体験訓練時間しか獲得していない」のである。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「去年ロシア代表チームが使用したT-72B3M戦車。その『頭上』の目立つ車長周視鏡に注意。またこの車両の動力室ハッチのディテールなどもT-72B3とは異なり、むしろT-90に近い。」です。)

種々の未知の要素により、我々は現在まだ競技の具体的状況に対し推測を行うことができないが、いくつかの主要な競技種目の中で、我々はそれでも中ロのいくつかの種類の既知の競技参加武器の関連の性能に対し簡単な比較を行うことはできる。

「戦車両項目」の中の96A1メインバトルタンクとT-72B3の比較は主に機動性と火力の上にある。T-72B3戦車のエンジンは出力840馬力のV-84型ディーゼルエンジンで、理論上中国の強化後の96A1型メインバトルタンクに比べやや小さいが、差は大きくない。加えて両者の戦闘重量は近く、実際の機動性でどちらがより良いか言うのは非常に難しい。だが96A1戦車の改良を経た機動性には去年に比べ少なからぬ向上があり、双方の今回の競争は素晴らしい対抗となる。火力コントロール方面では、制限は行われたが、96A1式戦車の火力コントロールシステムは依然T-72B3に比べずっと優秀で、もし中国サイドが火力コントロールシステムの性能を充分に発揮したら、競技の中で非凡なパフォーマンスがあるだろうと信じる。

火砲は口径と弾薬がいずれも同じだが、国産86A歩兵戦闘車に搭載される国産化された2A72機関砲は重量がより軽いので、砲身固定設備がないという状況下では、精度がBMP-2が使用する2A42歩兵戦闘車(頑住吉注:機関砲の間違いですかね)に比べやや劣るはずで、火力コントロール設備に関しては双方いずれも複雑とは評価されず、やはり基本的に伯仲している。

「航空降下小隊」競技の中では、中国のZBD03式落下傘兵戦闘車とロシアのBMD-2落下傘兵戦闘車の性能はやはり比較的近いが、データ上はロシア製航空降下戦闘車の性能が中国の落下傘兵戦闘車より良いようだ。

最も懸念に富むのは、逆に最も懸念がないと考えられている「カスピ海競馬」競技である。競技参加車両はそれぞれ中国のZBD-05水陸両用戦車とロシア製BTR-80装甲輸送車である。もし技術という角度から見るならば、ZBD-05水陸両用戦車はBTR-80装甲車を全面的に圧倒する。火力が猛烈、防御が強いだけでなく、しかも水上最大25kmの時速も水上速度時速10kmでしかないBTR-80を完全に圧倒し、しかも装軌式歩兵戦闘車であり、ZBD-05の通過能力にもBTR-80に比べ顕著な優勢がある。

だがこの2種の戦闘車両のパフォーマンスは、非常に大きな程度上競技のルールで決まる。一方において、装輪式車両であるBTR-80の路上機動性は明らかにZBD-05より優れているだろう。しかもロシアがBTR-80で競技に参加するつもりである以上、この車両のオフロード性能を超える障害を設置することはないだろう。このことは、ZBD-05のオフロード性能の優勢が発揮できない可能性が極めて高いことをも意味している。水上行進の中では、ZBD-05は路上行進状態から水上状態に向け「変形」してやっと速度の優勢が発揮できる。だが通常暗礁との衝突を防止するため、ZBD-05歩兵戦闘車は岸を1km以上離れた位置で陸上状態に戻る。この時この車両の速度は時速12km前後にまで低下することになり、BTR-80に比べ決して顕著な優勢はない。このためもし水上航行路程が充分長くなかったら、ZBD-05の水上の優勢も発揮できないのである。現在のニュース画面から見て、この競技の陸上競技段階は主に平坦な砂地上で行い、一方水上種目の折り返し航行距離も非常に長くはない。柔らかい砂地上の行進では理論上装軌車両がやや優勢を占めるが、現在我々は競技ルートの実際の詳細な状況を判断することができず、最終的には優勢を占めるのは逆に装輪車両であるBTR-80かもしれない。

去年の「戦車両項目」は最終的に中ロ両国のメインバトルタンクの性能に関する論争を引き起こし、双方のメディアの「口撃」はすぐに中ロ新世代戦車の性能の優劣という問題の上に延焼し、ロシアメディアは甚だしきに至っては「T-14は1両で10両の99式を叩ける」との世迷い言を口にし、この論争が真に中ロ両国間の複雑な感情のもつれを引き起こしたことが見て取れる。今年の国際軍事競技の結果いかんは、持続的に皆が感心を注ぐことになる。

(頑住吉注:3ページ目)去年の競技の中で大部分の競技参加国にT-72BVを使用させたやり方が強烈な不満を引き起こしたためかもしれないが、ロシアが今年提供する標準競技車両はT-72B3にグレードアップされ、一方ホスト国自らも同様にT-72B3を使用する。

(頑住吉注:4ページ目)装備の性能という角度から言えば、96A1戦車の単位出力はエンジン未換装のT-72B3より大きいだろう(T-72B3Mに比べればまだやや低いが)。もしロシアサイドが今回約束通りT-72B3戦車を使用して競技に参加したら、中国代表団の優勝奪取のチャンスは非常に大きく増加することになるだろう。


 まあロシアがホスト国の権利を存分に利用して自国を有利にしようとしているのは確かなようですが、この記述にも中国の成績が悪かった場合のショックを和らげようという意図が見え隠れします。最後の次世代戦車の論争に関する記述は明らかに事実と違い、あの論争は去年の結果から飛び火したわけではなく、最近中国側から「VT-4はアーマタに勝る」、といわば挑発したことによって引き起こされたものです。ちなみに私誤解してましたが、今年はロシアだけ高性能の改良型戦車を使用するわけではないんですね。











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