インド空母に事故発生、引き渡し時期は?

 中国が旧ソ連時代の空母「ワリヤーグ」を入手して自力で改装しているのに対し、インドは旧ソ連の空母の改装をロシアに委託していますが、引き渡し時期は何度か遅延しています。最近この空母に事故が発生し、引き渡し時期がさらに遅れるという情報が流れました。関連の報道を3つ、流れに沿って紹介します。

 まずはこちら。

http://military.china.com/news2/569/20120917/17435049.html


インドの中古空母の航海試験で重大な故障発生 就役は少なくとも1年遅延

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「その運命に多くの不幸があるインドの中古空母ヴィックラマディヤ号」)

【グローバルネット総合報道】ロシアの「職業人報」9月17日の報道によれば、ロシアがインド海軍のために改装する中古空母「ヴィックラマディヤ」号の動力装置に、バレンツ海での試験航海の際に重大な故障が発生し、空母の引き渡し時期の再度の遅延がもたらされ、少なくとも1年前後延期されることになる。

ロシアサイドの消息筋の人物は、「ヴィックラマディヤ」号空母は航海試験期間に故障が発生し、8つの蒸気ボイラーのうち7つが麻痺した。現在セベロドビンスク市の北方機械製造企業の専門家たちの、損傷を受けた設備の状況の評価を必要とし、いかにして空母を運んでドックに戻すかを考慮している。その後故障の排除が開始されることになる。今回の事故は空母の引き渡し期日に必ず影響することになる。最も楽観的な見積もりによっても、インド海軍がこの空母を手にする時期は2013年10月より早くはならない。

あるロシア国防輸出社に近い消息筋の人物は、「ヴィックラマディヤ」号空母は航海期間に重大な故障が起きたという。7月8日、この空母は初めて北方機械製造企業のドックを航行して離れ、バレンツ海に入った。計画によれば本来定められた試験は124日だった。この中での優先任務の1つは空母の動力装置の試験だった。空母は北方機械製造企業を航行して離れた後、最初はいかなる大問題も起きず、中、低速をもって平穏に航行した。だが試験計画はさらに最大速度をもっての航行を必要とするとを規定しており、この時に問題が起きた。先週空母がまさに30ノットまで加速したばかりの時、事故警報システムが突然動力装置の故障信号を発し、空母は直ちにその場に停止した。後に動力装置を構成する8つの蒸気ボイラーのうち7つが麻痺していることが分かった。

ある「ヴィックラマディヤ」号空母の航海試験準備に参与するロシアサイドの消息筋の人物は次のように指摘する。今回の事故の問題は、インドサイドが蒸気ボイラーに伝統的断熱材である石綿の使用を拒絶したことにある。石綿は空母の乗員に比較的高い危害があるというのである(頑住吉注:そりゃ言うでしょ)。ボイラーの研究開発を行うロシアの特殊ボイラー製造設計局は類似の代替方案を探し出すことを迫られた。最終的にこの空母に使用されたのはKVG-ZD蒸気ボイラーに石綿の代替として耐火レンガ構造体を敷設する方案だった。ロシアのボアジスク造船工場は2005年には早くも空母用蒸気ボイラーをすでに直接製造していたが、専門家たちは動力装置自体を改装した時になってやっと深く切実に理解した。ボイラーに敷設した耐火レンガ体は高温を受け入れられず、直接脱落することを。事故が起こったボイラーの状況は空母が北方機械製造企業に戻った後にやっと判断できるのみだが、この空母に関する一切に変化が発生することになるとの心配は無根拠ではない。

(頑住吉注:これより2ページ目。)

今年12月4日はインドの海軍記念日で、「ヴィックラマディヤ」号空母は本来この前に引き渡されるべきだった。これまでにこの空母の引き渡し期日はすでに1度ならず遅延している。今再び遅延することは全く疑いない。たとえ必ずしも新たな蒸気ボイラーに交換せず、維持修繕を必要とするだけだったにせよである。北方機械製造企業の専門家はそれでも空母内部の隔壁を切り開き、ボイラーを取り出し、メーカーに引き渡すことを迫られることになる。ロシア造船業界のある消息筋の人物は指摘する。もし蒸気ボイラーが修理できなければ、改めて新たなボイラーを製造することが迫られることになり、その後まず造船台で試験が行われ、その後空母上に搭載され、最後に再度航海試験が行われる。こうなれば空母の引き渡し期日は大幅に遅延することになる。ロシア国防輸出社のある消息筋の人物は、ロシアサイドはすでにインド国防省にこのことを知らせた、とリークする。ひとまずの情報によれば、この中古空母の引き渡し期日は2013年10月より早くはならないという。だが、この空母のその他のパラメータ方面の完備率はすでに95%を超えている。ロシア戦略技術分析センター副主任マジエンコは(頑住吉注:まじにエンコしたという駄洒落ですか)、この局面は当然あまりよくはないが、空母全体の改装周期がすでに数年の長きに渡って持続している背景下では、再度1年遅延したことは何の大悲劇でもない、と指摘する。

だが、ロシアの専門家は現在さらにその他の問題に直面している。もし7つの損傷を受けたボイラーの一部が全く作動できなければ、「ヴィックラマディヤ」号空母は1つの完全なボイラーに頼ったのでは自主航行して北方機械製造企業の艦船検査修繕設備に戻ることは出来ない。そこで真っ先に問題となるのは、いかにして空母をドックに運んで戻すかである。消息筋の人物の分析によれば、最も可能性のある対応方案は、直接空母上で損傷を受けたボイラーを検査修理し、それを作動できる状態に持っていくことである。そして北方機械製造企業のドックに戻った後、専門家たちが再度ボイラーに対する全面的評価を行い、最終的にその運命が確定する。ボアジスク造船工場と特殊ボイラー製造設計局の代表団は今週にはもうセベロドビンスクに到着するはずで、関連の事柄を緊急に処理するとされる。

指摘すべきなのは、これは決してロシアとインドの造船領域での軍事技術協力の中で初めて起きた問題ではないということである。例えばインド海軍が賃借したロシアのK-152「ネルパ」号原子力潜水艦は、当初2007年8月15日に引き渡されるべきだったが、改装作業の複雑さ、そして2008年の潜水艦の消防システムの故障が引き起こした不幸な事故のため、この艦の引き渡し文書には2011年12月30日になってやっと正式に署名された。だが、ロシアとインドのその他の領域における軍事技術協力はずっと成功しているというべきで、特に航空装備領域ではそうである。専門家の見積もりによれば、ロシアの航空装備の70%近い輸出市場はインドに集中しており、去年ロシアとインドの軍事技術協力はロシアに、およそ36億アメリカドルの収入をもたらした。これは通年の総利潤135億アメリカドルの27%を占める。計画によれば、ロシア・インド第6回貿易・投資フォーラムが10月13日から15日までニューデリーで開催され、その時両国政府間の経済、貿易、科学技術、文化協力委員会の会議が開かれ、ロシアサイドの代表団は国防工業総合体事務の副責任者ロゴージンが率いる。その時双方が再度「ヴィックラマディヤ」号空母の運命に関する問題を談判するに至る可能性も排除されない。

ロシアがインドのために改装した中古空母の航海試験時に起きた重大な故障が引き渡し期日を再度遅延させたとの情報に関し、ロシアサイドのロゴージンの情報秘書ミハイロワは記者に、ロシア連邦軍事工業委員会に書面で質問するよう提案した。ロシア連合造船グループ社、ロシア国防輸出社、北方機械製造企業はこの発表を正式に論評することを拒絶している。ボアジスク造船工場と特殊ボイラー製造設計局はいかなる論評も発表しておらず、インドの駐モスクワ大使館も同様にこのことをタイムリーに評価していない。


 次はこれです。

http://military.china.com/news/568/20120918/17437315.html


ロシア、インドの「ヴィックラマディヤ」号空母は3つのボイラーが故障したのであって7つではない、とする

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「資料画像:改装が完成したインドの『ヴィックラマディヤ』号空母」)

[ロシア新社2012年9月17日の報道による] ロシア連合造船グループ社のスポークスマンは、ロシアがインドのために改装する「ヴィックラマディヤ」号空母の故障したボイラーの数は3つで、その前に報道された7つではない、とした。

前にあるメディアは故障に関して報道を行い、かつこの空母がインド海軍に引き渡される時期が、最も早くて来年10月まで遅延することになると指摘した。

このためスポークスマンは次のように発言した。「ボイラーには確かに故障が発生した。8つのボイラーのうち3つはフルパワーでの作動はできない。計画に従いこの空母は来週北方機械製造工場に到着し、全面的な検査と試験で発生した故障の排除を行うことになる。北方機械製造工場は最短の時間内に故障の検査を行うことになる。具体的な引き渡し時期に関しては私はまだ確定できない。メディアが報道する空母が独立して航行できないというのは事実と符合せず、この艦は自力航行できる。」

連合造船グループ社は専門委員会を設立して故障の検査、修繕を行い、引き渡し期日、維持修繕費用の問題を解決する。

スポークスマンは強調する。本来定められた「ヴィックラマディヤ」号空母の引き渡し時期は今年の12月4日であるが、現在少なくとも半年の遅延が必要となっている。このため、この空母が来年春より早く引き渡されることはない。この他、メディアの維持修繕費用に関し10億ルーブルを必要とするとの報道は「誇大に過ぎる」。


 最後にこれです。

http://military.china.com/news2/569/20120918/17437107.html


インド海軍、来年4月に「ヴィックラマディヤ」号空母の受領を予定

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「インドの中古空母ヴィックラマディヤ号」)

中新ネット9月20日電 中国国防科学技術情報ネットの報道によれば、インド海軍は2013年4月に「ヴィックラマディヤ」(INS Vikramaditya)号空母を受領する計画だと明らかにした。

動力装置に問題が起きたため、「ヴィックラマディヤ」号空母の航海試験は中断を迫られ、現在この空母はSevmash船工場に引き返し、故障が発生した蒸気ボイラーに対し検査と維持修繕が行われているところである。

ロシア・インド両国が2004年1月に署名した契約に基づき、ロシアはこの空母に対し近代化改装を行い、ロシア製航空機を配備し、同時にインド海軍の1,500名の船員に訓練を行う責任を負っている。インドメディアによれば、この契約の金額は23.3億アメリカドルである。

「ヴィックラマディヤ」号空母は1987年にロシアの北方艦隊に就役した。ロシアでの就役期間の名称は「ゴルシコフ」号だった。維持修繕と改装を経て、この空母の満載排水量は45,000トン、全長283.5m、全幅59.8m、「ミグ-29K」戦闘機とヘリを含む30機を収容でき、人員編成は1,924人である。


 最初は8つのボイラーのうち7つが故障し、自力航行できないという話だったのが、故障したのは3つで自力航行できる、ということになり、また引き渡し時期も最も早くて来年10月とされたのが4月に予定という話になりました。しかし最後の情報ではボイラーの断熱にどんな対策が取られるかなどの情報がなく、またロシアサイドの裏付けがあるかどうかにも触れられておらず、やや疑問を残す内容です。

 私はインドの空母自体にはさほど興味はなく、興味の中心はあくまで「ワリヤーグ」との比較です。「ワリヤーグ」は間もなく就役すると見られますが、空母を建造したソ連の流れをくみ経験豊富なロシアがこれだけ手こずっているのに、未経験で全体的には技術レベルが劣る中国による改装がそんなにスムーズに行くというのはちょっと信じ難い気がします。実際には多くの問題を残したまま、示威のために強引に就役するのではないかという疑いも捨てきれないんですが。








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