中国の全翼ステルス無人機「利剣」その3

 この機に対する関心度は非常に高いようで、多くの記事が出てきており、今回は重複部分も少ないです。

http://tuku.military.china.com/military/html/2013-05-23/216075_2352655.htm


ステルス性が割引に! 中国の利剣無人機、止むを得ずロシア製エンジンを使用

今日、我が国の利剣ステルス作戦機が正式に公開されデビューした。関連の画像から見てこの機はすでに滑走試験を完成させ、初飛行は目前である。これは殲ー20、殲ー31と某型無人機に次ぐ、我が国が研究開発した第4種目のステルス機である。

利剣ステルス無人機の研究開発成功は、我が国の空軍作戦能力がまたしても新たなレベルに到達し、対地攻撃能力がより強大になったことを示し、我が国の航空工業がすでに全翼式ステルス機の技術を掌握したことも示す。

(頑住吉注:2ページ目)関連の画像から見て、利剣ステルス無人作戦機は全翼プラス機の背部の空気取り入れルートというレイアウトを採用し、これには何の懸念もないはずである。各国の研究は、全翼式レイアウトは比較的良好にステルス性、航続距離、搭載荷など多方面の性能を合わせ配慮することができることを明らかにしている。この点は各国の無人ステルス作戦機が全て全翼式レイアウトであることからすぐに見て取ることができる。全翼レイアウトのメリットは主に次のものを含む。ステルス性が良好であること。全翼レイアウトには垂直尾翼と水平尾翼がなく、通常レイアウトの飛行機にとってこれは主要なレーダー電波反射源である。同時に機体断面が翼の形に近く、上下の表面が主翼表面に向かって緩やかに移行し、明確な境界がなく、比較的良好に一体に融合し、全体表面が平滑、スムーズで、はっきりした突起、隙間などがなく、さらに一歩機のステルス性を高める。航続距離方面では、全翼式レイアウトの浸潤面積が比較的小さいため、およそ通常レイアウトの機の半分前後に相当するに過ぎず、このため亜音速条件下の抵抗が比較的小さく、同様のアスペクト比という状況下で、全翼式レイアウトの揚力:抵抗比は通常レイアウトの1.4倍である。このため航続性能が比較的よく、また垂直および水平尾翼がなく、同様の条件下で全翼式レイアウトの構造重量はより軽く、同時に主要設備コンパートメントが主翼の中心線に置かれ、このようにすると主翼の空力荷重の分布と一致し、このためさらに一歩構造重量を軽減することができる。こうして有利に機の燃料搭載係数が向上し、機の航続距離指標が確保され、同時に機の搭載荷が向上し、機が比較的強い攻撃能力を持つことが保証される(頑住吉注:難しすぎて分からない部分もありますが、要するに飛行機が飛ぶために胴体や尾翼は本来必須ではなく重量や抵抗を増すものであり、翼だけで飛ぶ全翼機はより有利で、重量や抵抗が減っている分航続距離は伸び、より多くのものを積むことができる、ということです)。

(頑住吉注:3ページ目)背負い式空気取り入れルートのメリットは機体の容積を増加させることができることで、構造効率も比較的高く、これは体積が限られた無人機にとって非常に重要と言える。同時に無人作戦機の多くは高空防御突破戦術を採用し、機体は地上レーダーに対する遮蔽を形成し、直接空気取り入れルートを照射できなくさせる。背負い式空気取り入れルートはさらにS字型処理および空気取り入れルートグリルなどの技術と組み合わされ、さらに一歩機のステルス能力を向上させることができる。まさに全翼式レイアウトと背負い式空気取り入れルートにこうした突出したメリットがあるからこそ、それは新世紀ステルス爆撃機および無人作戦機の標準的空力レイアウトの1つになっているのである。

(頑住吉注:4ページ目)今回の画像の最も価値ある部分は、利剣ステルス無人機のエンジン噴射口がクリアに見えることで、現在ではRD-93ターボファンエンジンであると確定できる。このことは、利剣のサイズがロシアの「レイ」ステルス無人機と大差ない可能性があることを意味しており、「レイ」は最大離陸重量10トン、全長10.25m、全幅11.5m、全高2.7m、エンジンはRB-5000Bターボファンエンジン1台で、これはRD-93エンジンを基礎にアフターバーナー燃料室を排除してできたもので、最大推力は5,000kg前後、「レイ」の最大速度はマッハ0.8、航続距離は4,000km、作戦半径は1,200km前後、搭載荷は2,000kg、主要な武器は機腹部下の弾薬コンパートメントの中に装備され、その内部には2つの搭載架があり、2発の500kgレーザー制御誘導爆弾が搭載できる。このため利剣のサイズ、航続距離、搭載荷は「レイ」と大同小異のはずだと推測することができる。

(頑住吉注:5ページ目)同等のエンジンを採用しているが、利剣と「レイ」は空気取り入れルートと噴射管方面ではっきり異なっている。利剣の空気取り入れ口は後方に傾斜し、しかも三角形を呈する。一方「レイ」の空気取り入れ口は機体に垂直で、四角形を呈する。筆者はこのような差異をもたらしたのは2種の機が採用した空気取り入れルートのレイアウト方式が異なるからではないかと推測する。「レイ」の空気取り入れルートの内部には中心錐形体があり、空気取り入れルートを左右に分け、空気取り入れルートを外部に湾曲させ、その後さらに機体内に引き込み、水平のS字型空気取り入れルートを形成し、したがってレーダー電波が直接エンジンのブレードと空気圧縮機を照射することが避けられる。そのメリットは空気取り入れルートが完全に機体上方を通過し、機体の下方の空間を占めず、空気取り入れルートの流場(頑住吉注:英語ではFlow Fieldというそうです)をコントロールし処理する助けになり、同時に発着架コンパートメントに比較的大きな空間を提供できることで、このことは内部空間が限られた無人作戦機にとって非常に有利だと言える。だがその欠点はステルス処理があまり理想的ではなく、空気取り入れルートと機体に垂直に接する面ができ、ステルス処理を行うことはできるが、やはりいくつかの状況下では無人機のRCSが増加する。

(頑住吉注:6ページ目)利剣無人機の空気取り入れルートははっきり後方に傾斜し、これは明らかに空気取り入れ口のステルス能力の向上のためである。その原理は主翼の後退角を大きくして反射波の強度を弱める理屈と同じである。また利剣無人機はその他のステルス作戦機、例えばフランスのニューロン無人作戦機と同じく、上下にS字型の空気取り入れルートを採用しており、つまり空気取り入れルートが下に向かって機体に入った後でさらにエンジンに入る。そのメリットはステルス性能が比較的よく、同時に機体内部の空間も節約されることである。だがその欠点は空気取り入れルートの湾曲度が比較的大きく、空気の流場の変化が比較的激烈で、空気取り入れルートの設計と研究開発に対する要求は比較的高く、また空気取り入れルートの下に向かっての伸びが多すぎ、機腹部の弾薬コンパートメントの寸法にも影響することで、このことは利剣のように寸法が比較的小さいステルス無人作戦機にとっては影響がより大きい。この設計は、設計者の機の前からのステルス性に対する要求が比較的高かったことも表している。

(頑住吉注:7ページ目)だが利剣の機体後部の設計は明らかに人を満足させない。まずそのエンジンの尾部噴射口はほとんど完全に外部に暴露し、非常に容易にレーダーによって探知計測される。実際に尾部噴射口は機のRCSの重要なソースであり、尾部噴射口自体のRCS以外に、さらに空洞反射やタービンの鏡面反射も生む。このため我々は新世代ステルスミサイルは全て円柱形の弾体を放棄し、多面体の設計を採用しているのを見る。このため多くのステルス機、特に機動性能に対する要求が比較的低いステルス爆撃機や攻撃機は全てステルス噴射口設計を採用している。例えば二元噴射口の採用で、幅と高さの比を下げ、同時に隔壁を採用し、噴射管がS字型を呈するなどの方法で処理を行い、このようにして照射されて入った電波が直接噴射管とタービンを照射できなくし、同時に出る時も遮られて、RCSを大幅に低下させるのである。

(頑住吉注:8ページ目)同時に噴射口の幅:高さ比を比較的大きくし、噴流と外部の空気を大面積で混合し、こうして噴流の温度を素早く低下させ、機の赤外線信号の強度を大きく低下させ、したがって機のステルス能力を向上させる。新世紀の戦闘機は普遍的に性能が比較的良好な赤外線捜索・追跡システムを配備しており、このため機の赤外線ステルス能力の向上も考慮することが必要な状況になっている。このため我々はステルス無人作戦機が普遍的にステルス設計の噴射口を採用し、もって機のRCSと赤外線信号の強度を低下させているのを見るのである。

(頑住吉注:9ページ目)この角度から言うと、利剣ステルス無人機の機体後部設計は相当に議論に値する設計と言うことができ、高度にステルス性を重視した機体前部と鮮明なコントラストを形成している。このためこれは決して設計者の最終的設計ではないと考えることができるようだ。では何故我々はこんな状態を見ているのか? 筆者はこれもやはりエンジンの問題かもしれないと推測する。我々は、利剣と「レイ」が使用するのはいずれもRD-93ターボファンエンジンだが、後者が使用するのはRD-93のアフターバーナー燃焼室なし型のRD5000Bであることに注意する。国外メディアも我が国がロシアからRD-5000Bを購入したとの報道をしていないようだ。このため、利剣が使用するのは標準のRD-93エンジンの配備であるはずだと推測できる。アフターバーナー燃焼室のエンジンの長さに対して占める割合は比較的大きく、B-2ステルス爆撃機のF118-GE-100はF110-GE-100のアフターバーナー燃焼室なし型であるが、前者の長さは2.5mしかないが、後者の長さは4.6mを超える。ステルス無人作戦機および爆撃機にとって、その飛行エンベロープは非常に狭窄で、基本的に高亜音速範囲内に限られる。だがアフターバーナー燃焼室は戦闘機が超音速のスパートをかけることを保証するのに用いるのであって、しかもこのようなスパートは大量の燃料を消耗し、機の航続距離を短縮する。だがステルス無人作戦機および爆撃機に対する基本的要求は比較的大きな航続距離、滞空時間、作戦時間があることで、アフターバーナー燃焼室の使用機会はない。当然このように大きなエンジンを使用する必要もなく、さらにこうしたものを使用すればエンジンが機体のスペースを占めすぎ、機の搭載荷を減少させ、機内部のレイアウトの難度を上げることになる。

(頑住吉注:10ページ目)このため利剣のこのような設計はエンジンに対する妥協である可能性がある。現在我が国にはまだ利剣ステルス無人作戦機の使用に適する中等推力のターボファンエンジンがない。手に入れられるのはRD-93しかなく、もしアフターバーナー燃焼室を取り去っても、一定の技術的リスクが存在する。これは新型機にとっては明らかに受け入れ不能と言える。このため我々は多くの新型戦闘機が試験飛行の時成熟したエンジンを採用しているのを見るのである。例えばラファールが初飛行の時に使用したのはアメリカのF404ターボファンエンジンであった。利剣も決して例外でないかもしれず、もしRD-5000Bのようなアフターバーナー燃焼室のないエンジンに換装したらエンジンの長さが短縮され、明らかに噴射管が機体内に引っ込む。さもないと機体の延長、機体の大きすぎという結果になり、機の発着性能に影響する。

(頑住吉注:11ページ目)また関連の画像から見て、利剣無人機の機体背部にははっきり灰色の区域があり、機体と鮮明なコントラストを形成している。筆者はこれはレーダー波透過材料かもしれないと推測する。内部にあるのは衛星通信システムであることがほとんど肯定できる。通常のマイクロウェーブデータリンクの欠点は通信距離が比較的短く、地形の制限を比較的多く受け、したがって機の活動範囲に影響することである。だがステルス無人機は往々にして距離が比較的遠い任務を執行する。このため衛星データリンクの支持を必要とする。我が国はすでに翼竜など多機種の対地攻撃能力を持つ無人機を研究開発している。翼竜の航続距離はすでに4,000kmを超え、作戦半径は1,500km前後である。このような距離はきっと衛星データリンクの支持を必要とする。珠海航空展で公開されたデータから見て、翼竜は2種のデータリンクを持ち、1つは視距離内マイクロウェーブ高速データリンクで、その速度は比較的速く、大容量の情報キャリアを伝送でき、これにはビデオ、画像などが含まれる。もし地上基地からの距離が比較的遠ければ、衛星データリンクが必要となり、つまりいわゆる「動中通」技術(頑住吉注:英語ではSatcom on the moveと言うそうです)で、アンテナは衛星の位置を根拠に向きの調整を行うことができ、したがって各種の飛行状態で正確に合うことが確保され、もって通信のスムーズさが保証される。

また珠海航空展の資料によれば、翼竜はさらに比較的高い自主飛行能力を持ち、自主発着、巡航、捜索、目標ロックオンの能力を持つ。例えば翼竜は飛行場の情報を根拠に適した進入ルートと下降角度を選択して降着できる。対地攻撃あるいは偵察任務執行時、事前に整えた任務プログラムを無人作戦機の制御コンピュータにインプットするだけで、機は自主的に離陸し、その後予定のルート通りに目標区域に到達し、自動的に探知計測設備をオンにし、プログラムされた捜索ルート通りに飛行し、目標キャッチ後自動的に探知計測と追跡を行い、その後データリンクによって関連の情報を地上基地に発送し、後方によって識別が行われ、攻撃指令が下される。

(頑住吉注:12ページ目)このため利剣無人作戦機はより強い自主作戦能力を持つ機であって、自主的に離陸し、戦区に到達し、目標を捜索し、その後目標の情報を後方に伝達し、指揮員による確認後攻撃を行える、と推測できる。質問する人がいるかもしれない。何故無人機に自主攻撃能力を付与しないのか? と。実際にはこの目標実現には技術的にはあまり大きな難度はない。だが問題の重要なカギは次のところにある。機械に殺人を行うか否か決定させる、これは現在ではまだ人に受け入れ難くさせると言える。またもし無人作戦機の権限が大きすぎたら、ひとたび故障あるいはコンピュータウィルスの感染が生じ、コントロールできなくなった場合、このようなステルス機は敵味方双方にとって比較的大きな脅威と言える。このため各国はまだステルス無人作戦機システムの中に人の介在する回路を加え、最高の決定権を持たせる傾向にあるのである。

(頑住吉注:13ページ目)だが人を介在させる回路も別の問題を発生させる。それはコントロール権の秘密漏洩である。ステルス無人作戦機の多くは相手方の防御縦深で活動する。もし情報交換が多すぎると、無線信号が過多になる結果がもたらされ、ステルス無人作戦機の行方が暴露し、甚だしきに至っては相手方が我が方のコントロール暗号の解読を利用し、ステルス無人機のコントロール権を奪取することになる。ニュース報道によれば、イランはかつて成功裏にアメリカのステルス無人偵察機のコントロール権を奪取し、コントロールしてこの機をイラン国内に降着させたことがある。このため各国にとって、ステルス無人作戦機システム無線ネットワークの安全強化も焦眉の急と言える。

(頑住吉注:14ページ目)このため我が国にとって、利剣の初飛行は万里の長征のうち第一歩が終わったに過ぎないのかもしれず、以後は相応のエンジンの研究開発にせよ、ステルス無人作戦機システムの能力と安全性向上にせよ、任重くして道遠しと言うべきである。ステルス無人作戦機が我が国空軍のもう1つの鋭利な剣となることを信じる。


 今回の記事はより詳しくこの機の問題点、課題に触れていました。やはりここでもエンジンが大きなネックになっているわけです。















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