中ロの輸送機関連2題

 最初は中国の輸送機、というより直接的には給油機関連です。ちなみに中国ではいちいち「空中給油機」と表記することが多いんですけど分かり切ってるんですから「空中」いらんでしょうにね。

http://military.china.com/important/11132797/20151012/20543106.html


運ー30:中国空軍未来の理想の給油機

国外軍事ウェブサイトrussianplanes3月25日最新発表の画像がはっきり示すところによれば、1機の中国空軍部隊が製造したイリューシン-78大型空中給油機らしきものが試験飛行中である。この画像の中で、1機の試験飛行中のイリューシン-78給油機には、中国空軍のイリューシン-76の新式塗装によく似た図案が塗装されている。この塗装には非常に特徴があり、上は青、下は白で、機体の前端には波浪状のエッジがある(頑住吉注:これタイトル写真のことだと思うんですが原文には「図案」とありますが実際には機体の塗装パターンのことで、「波浪状のエッジ」とは空色部分と白部分の境界線が波打っていることですね)。

現在中国空軍の空中給油能力を持つ戦闘力はどんどん多くなり、空中給油機の数、質に対しても要求がどんどん高くなっているが、中国空軍の空中給油機の数、質はいずれも不足し、強化が早急に必要である。

現在見たところ、中国空軍には空中給油機の搭載機としての大型輸送機が欠乏しており、ウクライナから導入した中古イリューシン-78空中給油機は少なすぎ、運ー20を利用した改良も遅くて急場に間に合わない。この種の状況下で現有の飛行機を利用して改良を行うのが結局のところ早道である。

現在中国空軍の比較的この改良に適する飛行機は運ー9戦術輸送機で、実際のところ大型ジェット式空中給油機の価格は非常に高く、ある国は価格がより安い戦術輸送機を選択して空中給油機として採用している。その中の比較的ポピュラーなものはC-130を基礎に改装されたKC-130空中給油機で、それを行っているものには米軍が含まれる。関連資料によれば、現在アメリカ海兵隊は50機前後のKC-130空中給油機を持ち、海軍と海兵隊の作戦機のために空中給油の支持を提供するのに用いている。もう1点ある比較的重要なことは、KC-130の低空低速性能で、この機はヘリに空中給油が行え、これは高速のジェット式飛行機とは比較できないものである。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「中国空軍は運ー9を基礎に空中給油機に改装することができる」です。)

中国空軍が1980年代に空中給油機を研究した時、かつてもう運ー8機の改装を考慮したことがある。だが運ー8原型機の出力重量比は比較的小さく、南方の熱帯の飛行場や西南の高原の飛行場から発進する時、燃料の搭載が少なすぎ、またその貨物室は非気密型で、人員の作業環境が比較的劣り、受油機たる殲ー8Dの低速操縦性は比較的劣り、運ー8空中給油機とのコンビネーションは比較的困難で、このため最終的に空軍は運ー8機を放棄し、轟ー6を選択した。だが轟ー6最大の欠点はターボジェットエンジンを採用していることで、エンジンの燃料消耗が大きすぎ、遠距離任務執行の性能に不利なことだった。

現在中国空軍はすでに運ー9戦術輸送機の装備を開始しており、この機はウォジャン(頑住吉注:日本語にない漢字を使用した語でターボプロップの意)-6Cターボシャフトエンジンと6枚羽の複合材料プロペラを採用し、離陸出力重量比が比較的増強されており、このため南方の熱帯飛行場や西南の高原飛行場からも最大離陸トン数に近い離陸が実現でき、またこの飛行機の貨物室は密封与圧を実現しており、人員の作業環境が改善され、こうしたことは全て運ー9を空中給油機に改装するために堅実な基礎を打ち立てた。

海外の資料によれば、運ー9の最大離陸重量は運ー8と同等で、やはり65トン前後、空虚重量はおよそ35トン、最大搭載燃料は20トン前後で、もし貨物室に補助燃料タンクを追加したら、その全体の搭載燃料は30トン前後に達し得る。この指標は轟ー6よりやや低いと言うべきで、轟ー6の空虚重量はおよそ38トン、最大離陸重量はおよそ76トンで、このような状態で燃料搭載はおよそ37トン前後である。だが運ー9が採用するのはターボプロップエンジンであり、その燃料消耗は轟油ー6が配備する第1世代ターボジェットエンジンよりはるかに低く、このため作戦半径が一定の状況下で(頑住吉注:原文なぜかここで切れてます)。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「我が軍、また給油部隊の写真を見せつける:轟油ー6の緊急空中燃料放出が明るみに」です。)

運ー9空中給油機の給油能力は轟油ー6と大差ないはずで、運ー9空中給油機のもう1つの優勢は貨物室の燃料タンクを除去できることで、このようにすれば空中給油を行わない時、さらに空輸に用いることができ、この点は轟油ー6が持てないものである。轟油ー6の優勢は巡航速度が高く、ジェット式戦闘機とのコンビネーションが比較的良いことだが、中国空軍はすでに普遍的に第3世代作戦機を装備しており、低空低速性能はすでに顕著な改善を得ていて、この優勢は実際にはすでに大きく割引になっている。一方中国陸軍航空隊は将来明らかにヘリの空中給油能力を開発する必要があり、このため運ー9の優勢はどんどん顕著になるだろう

だが運ー9空中給油機にも改良を必要とする部分がある。運ー9は運ー8/アントノフー12の「幅の狭い主翼」を留保しており、このため最大離陸重量がC-130より顕著に低い。C-130Jの最大離陸重量は79トンに達し得、このような状態でKC-130の最大搭載燃料は37トン前後に達し得る。これは轟油ー6との差がいくらもなく、甚だしきに至ってはやや超えさえする。このため中国空軍に関して言えば、運ー30の研究開発を契機に、新世代輸送機/空中給油機を改良すべきである。関連の説明から見て、運ー30の最大離陸重量は81トンに達し得、空虚重量37トンをもって計算すると、このようだとその最大燃料搭載量は40トン前後に達し得、KC-130Jを超越できる。その内部燃料がすでに27トンに達するので、運ー30は貨物室の補助燃料タンクを持たない状況下で、実戦機のために空中給油の支持が提供でき、同時に空輸任務が執行でき、中国空軍未来の比較的理想的な戦術輸送機/空中給油機と言うべきである。(作者の署名:鼎盛 小飛猪)


 運ー30は試作機すらまだないようですが、そんなに高い性能や今までにない大きなサイズを狙ったものではないので運ー20より実用化は早いはずということでしょうか。自衛力は爆撃機ベースの轟油ー6の方が高いと思われますが、実戦ではさほどの差にはならないのかもしれません。

 次はロシアの次世代輸送機関連です。

http://www.hinews.cn/news/system/2015/10/16/017869475.shtml


ロシアの未来のステルス輸送機が明るみに:亜音速 搭載荷90トン

最近のある情報は、ロシアが「大艦隊」戦車およびその弾薬を世界のいかなる場所にも輸送できる新概念輸送機を設計中であるとしており、このまだ設計段階の新概念輸送機のコードネームは「PAK-TA」で、超音速飛行を実現し(最高速度は2,000km/hに達し得る)、しかも200トンにも達する有効搭載荷を持ち、1回の給油で7,000km飛行でき、このことはロシアに全世界への軍事快速反応能力を実現させることになる。

ロシアメディアの報道によれば、現在ロシア軍用輸送機の主力は依然イリューシン-76であるが、すでに未来の軍事の需要を満足させ難い。しかもロシアとウクライナが共同開発するアントノフー70輸送機の計画もすでに水の泡となっている。この種の背景の下、ロシアは別の解決策を図り、自ら未来のスーパー輸送機を開発し、もって「大艦隊」メインバトルタンクなど大型軍事装備を輸送するのに便とすることが必須である。現在「PAK-TA」プロジェクトはすでに多くの機種を設計済みで、2024年に生産を開始し、最終的にロシア軍の現在就役する輸送機に取って代わることになる計画である。このことは、10年後ロシア軍が世界のいかなる場所にも重装備部隊を快速配備できるようになることを意味している。

現在ロシアはすでに亜音速型「PAK-TA」の概念模型とシミュレーションビデオを発表しているが、真の超音速の設計はまだ正式に発表されていない。亜音速型「PAK-TA」の巡航速度は900km/hで、有効搭載荷も90トンしかなく、200トンには決して到達しておらず、1回の給油での航続距離も4,500kmしかなく、7,000kmという指標には決して到達していない。

模型とビデオの中からは、新型輸送機の機体の外形がブレンデッドウィングボディの「全翼」レイアウトと通常レイアウトの混合体を採用しており、大アスペクト比の主翼を持ち、ワイドボディ化された流線型の機体と通常飛行機のV字型尾翼設計であることが見て取れる(頑住吉注:V字型尾翼はあんまり普通じゃないと思うんですけど無尾翼機ではないということですかね)。

機体背部のV字型尾翼に近い場所には1台の背負い式高バイパス比ターボファンエンジンが装備される。このエンジンは発電機能を兼ね備え、生み出された電力はエンジン空気取り入れルート前方の機体背部空間内のエネルギー貯蔵システムに貯蔵され、しかる後さらに電力は主翼付け根部分の2つの巨大な空洞内の2台の電力駆動ファンに分配され、それが生じさせる高速の気流は主翼後縁の鋸歯状噴出口から流出し、推力を形成し、主翼後縁はさらにたわみによりベクトル推力を生じさせることができる。V字型尾翼は機体の扁平な尾部の上方に位置し、傾斜角度が比較的大きい。

提示しておくに値するのは、「PAK-TA」はジェット式輸送機の高速度とターボプロップエンジンの燃料消耗が低いメリットを兼ね備えており、長い航続距離の需要を満足させることができ、しかもこの機の空力外形設計がさらにステルスに有利だということである。

説明によれば、「PAK-TA」の貨物室には大きなゲート、ワイドな貨物室、先進的な搭載荷管理システム、快速積み卸しシステムなど先進的な設計が採用される。この機の持ち上がった後部機体の底部には大型貨物室ゲートが1つあり、外側に向かって開く2つのクラムシェル式ハッチと下向きに開くハッチからなり、下向きに開くハッチは貨物用橋の使用を兼ねることができる。貨物室の横断面は四角型に近く、幅7m、高さ4mに達し、貨物室内の貨物輸送システムには動力ロールバー、動きを制限する遮断ネット、係留リング、ガイドレールなどの設備が装備され、貨物を積む装備にはさらに電動ウィンチ、貨物積み込み用スチールケーブル、支えの滑車、ビーム式クレーンなどが含まれる。係留リング、係留スチールケーブル、係留ネット、車両移動防止の分力車止めなどの設備は搭載される貨物をしっかりとキャビン内に固定させることができ、飛行機の飛行姿勢の変化時に移動、甚だしきに至ってはキャビンの壁にぶつかることはない。スライドレール、動力牽引装置、ベルトコンベア、ロールバー、牽引傘投下装置や牽引ロープは空中投下される貨物がスムーズにキャビンから出るのを助けることができる。

戦車、装甲車両などの大型武器装備の重圧を受け入れるため、「PAK-TA」の床板構造は特別な強化を経ており、縦向きの力を受け入れる骨組み、横向きの力を受け入れる骨組み、層状の床板を採用し、強度が非常に高い。搭載荷の分布バランスの合理性、飛行安定性に影響しないことを保証するため、「PAK-TA」はさらに貨物室のために関連の搭載荷管理システムを配備し、これは搭載荷の積み下ろし時に引き起こされる重心の変化を正確に測量し、かつ地上での積み下ろし段階でもう最も良い搭載位置を自動的に算出することができる。

条件が複雑な野戦飛行場あるいは臨時飛行場に適応するため、「PAK-TA」は搭載受け入れ能力が比較的良い多車輪「前三点式」発着架を採用している。前の発着架は並列ダブル車輪構造で、離陸後操縦室下方の機体内に収納される。メイン発着架はダブル車輪4列縦列構造で、8つの車輪は2つずつ1組で1本の横軸によって連結され、それぞれの車輪グループは1つの大ストローク独立揺りアーム減震支柱によって機体と連結される。メイン発着架は主翼付け根の2つの大型電動ファン下方に位置し、離陸後揺りアーム減震支柱が収縮し、メイン発着架は全体が上に向かって発着架コンパートメントに収納される。メイン発着架システムの車輪上にはいずれも炭素-炭素ブレーキディスクが装備され、機のブレーキング性能を向上させることができるだけでなく、さらに差動コントロールによって機が地上で方向転換するのを助けることができる。

「PAK-TA」輸送機の操縦室の設計は多くの成熟した技術と「ヒューマニゼーション」設計理念が採用され、正面、側面の巨大な風防は操縦員に広く開けた視野を持たせる。操縦員は座席の上でもう翼端を見ることができ、機の地上機動過程の中での操作効率と安全性を増強させている。機首のレドーム内のレーダーは多種の作戦模式を持ち、このうち地形回避模式は飛行機の低海抜飛行時の補助ナビゲーションができる。レーダーの作動が帯状模式と集束模式の時は、高い識別率と地上目標指示能力を持ち、かつ下方の地形に対し高い質のデジタル画像を生成する。航空電子システム方面では、「PAK-TA」は先進的なデジタル化総合航空電子システムを採用し、各システムのセンサーのデータとコントロール情報を多ブロック多機能カラー液晶スクリーン上に集中的に表示し、飛行員が見て調べるのに便利であり、飛行姿勢、飛行パラメータ、エンジンパラメータやナビゲーションパラメータなどを総合的に表示することができる。

超音速、長い航続距離、大きな搭載荷などの目標の実現のため、ロシアの未来の超音速輸送機はより強力なエンジンと超音速飛行に適応する空力外形設計を必要とし、同時に超音速で音の暴露を低くする技術を開発して超音速飛行時の機載乗員の搭乗環境を改善する必要もあると予測できる。


 給油機もそうですけど輸送機は制空権を握った空域で使うのが常道であって、マッハ2未満の速度が出てある程度のステルス性があっても戦闘機につかまったら逃げ延びるのは難しいと思われ、だとしたらここまでする意義が本当にあるのかなという疑問もありますが。

















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