インドの国防問題関連をまとめて

 中国とも深い関連があるインドの国防問題に関する比較的短い記事をまとめて紹介します。まずはこちら。

http://military.china.com/news2/569/20130209/17677272.html


インドの軍事費削減、武器装備購入をやる気に実力が追い付かない状態にする

ロシアの「視点報」2月7日の報道によれば、インド国防省は政府が軍事費予算を削減したため国防調達プロジェクトの資金が問題に遭遇し、今後何年かに実行を計画する武器装備調達のための公開入札プロジェクトに対しネガティブな影響が生じていることを認めた。

ロシア世界武器貿易分析センターのニュース部門は、インド財務省がいくつかの武器調達プロジェクトの資金割り当てを遅延させ、結果として連鎖反応を引き起こし、その後の武器装備調達のための公開入札に対しネガティブな影響が生じていることを指摘した。優先して調達される方向が不確定なため、ほとんどあらゆる新型武器システムと軍事装備調達プロジェクト全部の遅延がもたらされる。1月初め、インド財務省の消息筋の人物は「インド時報」に、宏観経済指標の悪化がインド政府に国防予算の削減を迫り、今財務年度(3月31日に終わる)の国防省調達予算は以前の計画の150億アメリカドルから18億アメリカドル減少し、減少幅は15%で、元々決まっていた126機のフランス製「ラファール」戦闘機、197機の小型偵察ヘリ、6機の多用途輸送・給油機、145門の155mm口径M-777軽量型榴弾砲の調達プロジェクトの遅延をもたらしている、と明らかにした。インド国防省は3月31にまでにこれらの契約を締結することを希望しているが、インド軍指導層がソースの最新情報は、政府の予算削減の決定は基本的にこの希望を水の泡にし、何故ならひとたび正式協議を成立させるとなれば15%の契約金の支払いが必須だからだ、ということを明らかにしている。

インド政府の国防予算削減はさらにその他の武器調達プロジェクトにも関わってくる可能性があり、これには22機のAH-64D「アパッチ」攻撃ヘリ、15機のCH-47F「チヌーク」輸送ヘリ、大量のカービン銃とアサルトライフルの調達プロジェクト(頑住吉注:去年12月5日のコラムで、「5つの有名銃器メーカー、インド陸軍の8億アメリカドルの大規模発注を争う」という記事を紹介したことがあります)、軍用輸送機と潜水艦の追加購入プロジェクト、およびメインバトルタンク改良プロジェクトなどが含まれる。中国、パキスタンとの関係が日増しに緊張する条件下で、インド政府が最終的に国防予算削減を決定したことは、この前宣言した国家の国防の実力を強化しようとする計画と相矛盾する。

ロシアの世界武器貿易センターは明確に指摘する。インド軍は本来、本財務年度に国防予算を2.4兆ルピー(およそ450億アメリカドルに相当、国内総生産の2.35%を占める)まで増加させることを計画していたが、最終的な結果はたった1.9兆ルピーにしか達しないというものだった(およそ360億アメリカドル、国内総生産の1.9%を占める)。財務省の圧力の下に、国防省は2012年11月から本財務年度の支出を減少させ、減少幅は15%で、このことは部隊の作戦訓練活動のはっきりした減少をもたらしている。実際、アメリカドルをもって計算するインド国防予算の減少は、主にインドの貨幣ルピーの購入力低下と関係があり、ルピー安の条件下では本財務年度の換算後のインド国防省予算は原計画の386億アメリカドルから現在の351億アメリカドルにまで減少している。

(頑住吉注:これより2ページ目)

インド国防省の消息筋の人物は、予算削減の背景の下に、国防大臣アンソニーは財政資金濫用に関する訴えに非常に敏感であり、これには不断に持続する匿名の報告も含まれ、毎回の報告ごとに必ず調査を行うよう要求し、しかも議員たちはしばしば国防大臣の多くの武器調達プロジェクトに対し質問状を送り、同様に関連のプロジェクトの実行を大幅に遅延させている、とする。国防省の資金問題によりプロジェクトのプロセスが停滞して進まない結果がもたらされている武器調達プロジェクトの中で、影響を受けること最も大なのは、200億アメリカドルと見積もられる126機のフランス、ダッソー社の「ラファール」戦闘機契約プロジェクト、および751プロジェクトの枠内の、総額約110億アメリカドルの通常潜水艦6隻の公開入札、調達プロジェクトである。後者のプロジェクトはプロセスの停滞のため、現在までにまだ価格問い合わせプロセスさえ始動しておらず、6隻の通常潜水艦調達プロジェクトが今後大幅に加速できても、インド海軍が最初の潜水艦を得る時期は最も速くて2023年まで遅延することになる。

フランス航空宇宙安全保障業務ネットが掌握した情報によれば、インド国防大臣アンソニーは「ラファール」交易の実行プロセスが明確に遅滞している現象につき説明する時、インド政府は全交易過程の中で職権乱用の現象が発生していないことを調査により確信することを希望しており、政府はフランス戦闘機を公開入札で選定した具体的過程を厳密に調査し、全部で7段階の公開入札活動に対し調査を行う必要がある、と指摘した。ロシアの世界武器貿易分析センターは、これは決してインド国防省が初めて調査する武器調達プロジェクトではなく、この前に2名の議員が質問を提出した後、国防省はスイスのPC-7Mk.2練習機の公開入札による調達プロジェクトの調査を開始し、正式な調達契約の締結期日がすでに遅延している、と指摘する。

ロシアメディアは、2011年にロシアのミグ-35戦闘機はインドの126機の戦闘機調達公開入札プロジェクトの中で敗北し、スウェーデンのJAS-39「グリペン」、ヨーロッパの「タイフーン」、アメリカのF/A-18およびF-16戦闘機と共にフランスの「ラファール」に負けたが、インドは依然ロシア軍事製品の最大の購入国であり、両国の現在の軍事技術協力プロジェクトは主に、スホーイ-30MKI戦闘機の調達と組み立てによる生産、ミグ-29をミグ-29UPGにグレードアップする近代化改装プロジェクト、T-90Sメインバトルタンクの調達、および一連の合同研究開発プロジェクトを含み、これは特にT-50を基礎とする第5世代戦闘機FGFAと「ブラームス」系列超音速巡航ミサイルの研究開発である、とする。


 予算不足により計画が遅延するのは困ったものですが、議員が汚職を徹底的に調査し排除しようとする、また内部告発が盛んに行われる、そして国防大臣もこれらに神経質すぎるくらいに応える、というのはある意味で民主的なチェック機能が働いているということでもあり、中国とは大きく違うところだとも言えるでしょう。

 続いてこちらを。

http://military.china.com/news2/569/20130205/17671611.html


インド、積極的に無人機編隊を拡大 中国・パキスタンの東西両ラインの脅威に対応

インド時報2月5日の報道は、それぞれ中国とパキスタンから来る東西両ラインの脅威に直面し、インド武装部隊は着実に強大な無人機武器庫を構築しているところであり、目標の監視、位置決定、および攻撃殺傷任務執行に用いる、とする。

報道は、インド海軍が海岸線に沿ってスパイ無人機基地を作り、またインド空軍が新たな無人機を導入する時、インド陸軍もイスラエルと別の2個「Heron」無人機編隊を購入する契約を締結した、とする。‥‥報道は各編隊は8機の無人機を含む、とする。

ある安全保障業務関連の高級当局者は、イスラエル航空工業社と締結したこの契約の額は120億ルピーだとする。契約の規定に基づき、インド陸軍は2014年1月からこの新たな「Heron」無人機の受領を開始する。これらの無人機は新たに組織される「監視・目標捕捉」無人機編隊に装備されることになる。これはインド陸軍総司令Bikram Singhが押し進める陸軍全体近代化プロジェクトの構成部分である。

あるインドの軍当局者は、インド陸軍は携帯しやすいミニスパイ無人機からミサイル同様に目標に命中できる無人機などまでの各種無人機を急速に導入することを希望している、とする。このことはインド陸軍の監視、武器投入、砲火位置決定能力を強化することになる(頑住吉注:着弾位置の観測機として無人機を使おうというわけですね)。

インド陸軍は、2010年代の終わりまでに、徐々に下は大隊に至るまでの部隊のために無人機を導入することを計画している。この計画を推進するため、インド陸軍はすでにジャムおよびカシミール地域のNagrotaおよびManasbalから、東北部のKumbhigramおよびLilabariに至るまでの広大な地域に新たな無人機基地を建設済みである。

Kochi (Kerala州)、Boles(Gujarat州)およびUchipuli(Tamil 州)にそれぞれ3個無人機中隊を編成した後、インド海軍も新たな無人機中隊を編成し、海上から来る目標の探知計測に用いるを希望している。

これに似て、インド空軍も電光センサーを装備した「Heron」無人機を導入中で、高価値軍事目標上空で、これが破壊されるまで旋回監視を行う。さらに既存の「Heron」無人機と「Searcher-II」無人機のために「付属品」を追加し、これに「攻撃殺傷」能力を備えさせているところである。

インド武装部隊は最終的に成熟した無人実戦機を獲得し得ることを希望している。‥‥アメリカがアフガニスタン・パキスタン地域で応用している「プレデター」および「Reaper」無人機のようにである。この種の無人機は基地に帰り、ミサイルを補充し、もって新たな任務を執行することができる。報道は、カーギルの衝突以来、インド武装部隊はすでに100機を超える無人機を導入済みであり、主にイスラエルから購入し、これはインドの「重要な戦力倍増器」である、とする。

インド国防研究・発展組織もこれに付随した行動を開始しており、一段と力を入れて無人機を研究開発している。これにはすでに配備されている「Nishant」無人機と、研究開発過程にあるRustom-IおよびRustom-II無人機が含まれる。以前インド時報は、インド国防研究・発展組織はすでに秘密のうちに自主的に無人操縦研究型飛行機(AURA)プロジェクトを始動させ、ミサイル、爆弾、正確制御誘導弾薬が発射できるステルス無人実戦機を開発している、と報道した。

この他、この組織はさらに野心的な太陽エネルギー高空長航続時間無人機プロジェクトを始動させた。構想によれば、この無人機は全天候で連続数日にわたって情報、監視、目標捕捉、偵察任務が執行できる。


 中国にこの分野でも対抗していますが、中国より世界の最新技術が導入しやすい立場にあるのは有利です。最後のは太陽光発電を行いながら飛ぶ無人機でしょうが、半永久的に飛ぶというわけにはいかないもんなんでしょうか。続いてこちらを。なお、この記事では「インドの〜というメディアがこう言っている」という部分が何故か抜けています。

http://mil.news.sina.com.cn/2013-01-30/1057714310.html


インドメディア、中国とインドの軍事力を対比 核兵器でははるかに後れを取っている、とする

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「資料画像:中国の東風31A大陸間弾道弾」)

国内総生産が急速に成長し、また地縁政治的影響力が不断に拡大するアジアの2つの勃興中の大国として、インドと中国はスーパー大国へと急ぐ競争の中で互いに強力な相手である。

我々は中国が、彼らが南チベット地区と呼ぶアルナチャル・パラデシュ州に目をつけていることを皆知っている。もしこの地域の争奪のために再び戦争が勃発したら、結果はどうなるか? インドは中国の攻撃を食い止められるのか?

現在はまだ双方が敵対する状態に入ったことをはっきり示す直接の兆候はない。だが中国国防部長は去年珍しくインドを訪問し、インドは動揺し不安定な周辺情勢の中で、軍事力で自分を防衛できるか否か、との人々の関心を引き起こした。独立以来、インドは隣国と5回戦争を勃発させている。中国の去年の軍事費支出は1064.1億アメリカドルと見積もられており、全世界でアメリカより低いだけである。だが推測によれば、中国の実際の軍事費支出はこの数字の倍である。彼らは戦略ミサイル、宇宙システム、空母、戦闘機、軍艦を用いてその戦争のための武器庫を充実させているところである。

インド当局が発表する軍事費支出は350.9億アメリカドルである。しかし、インドは中国のようにひた隠しにしてはいない。

北京の戦略的意図が不明確な際に、インドは双方に戦争が勃発する可能性を軽視してはいない。専門家たちは、もし突然この種の局面が出現したら、インドの戦略的核心はパキスタンを打ち破ることと中国を牽制することである、と語る。単に数字上から見ると、インドが中国を打ち破ることは非常に難しい。

インドの現役軍人は132.5万人を超えているが、中国の現役軍人は225.5万にも達する。報道によれば、中国人民解放軍空軍は3,500機を超える飛行機を持つ。これには多くの機種の旧式機が含まれてはいるが。だがこれに比べ、インド空軍は600機余りの実戦機しか持っていない(頑住吉注:少なくとも文章からすると「飛行機」と「実戦機」を比較しています)。

中国空軍は1960年代以来の時代遅れのプラットフォームを急速に淘汰しつつあり、スホーイー30やJF-17「雷電」(中国はFC-1「梟竜」と呼ぶ)のような戦闘機を装備した(頑住吉注:後者は輸出用で中国軍は装備していないはずです)。中国空軍の最も良い作戦機はロシアが製造したスホーイー30MKと自ら研究開発した殲ー10戦闘機である。一方インド空軍の最も良い戦闘機はフランスのダッソー社が製造した「ミラージュ」-2000とロシアが製造したスホーイー30MKIである。

中国海軍は数の上での優勢を占める。インド海軍は135隻の戦闘艦を持つが、中国が持つ戦闘艦は400隻近い。だが、中国海軍には海岸線を遠く離れて軍隊を配備する強力な遠洋作戦能力が欠乏している(頑住吉注:こういう評価は多いですが最近では相当に改善されてきているようです)。

インド海軍は世界第8位であり、ミサイル発射可能な戦闘艦、先進的な潜水艦、最新式の海軍機、1隻の空母を含む。だが400隻の艦艇を持つ中国海軍は、インド海軍に比べ数の上で優勢を占める。だが実際の経験と訓練の上では初級レベルに属す。戦略核防御と投射システム方面では、中国軍はインドをはるかに超える。

中国の核武器庫は1964年に建設され始め、持っている核弾頭は210発を超える。中国の核武器庫の中で最も威力を持つ核弾頭は4メガトン相当を超える。これに比べインドの戦略核力量の建設が始まったのは1998年のシャクティ核実験後であり、現在およそ50〜70発の弾頭がある。インドの威力最大の核弾頭は50キロトン相当でしかなく、中国と同列には論じられない。

インドの核投射システムには爆撃機、超音速巡航ミサイル、中距離弾道ミサイルが含まれる。これは中国と鮮明なコントラストを形成し、中国の核投射システムはずっと先進的である。中国の核兵器投射武器庫の中には、さらに潜水艦から発射される弾道ミサイル、例えば「巨浪」-1ミサイルがある。


 実際に使うことが困難な核兵器で劣勢なことは直接的には戦争の推移に影響しないでしょうが、やはり間接的には大きな影響があるんでしょう。













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