ロシアの「アーマタ」戦車を分析

 ロシアの戦勝記念式典に登場するとされている未来戦車ですが。

http://www.hinews.cn/news/system/2015/04/01/017448213.shtml


技術派 「アーマタ」:ロシア軍が陸上の優勢を奪い返す未来戦車 (頑住吉注:「技術派」はこのシリーズものの記事のタイトルらしいです)

情報化戦争時代がすでに到来している今日、大規模な地上戦が勃発する確率は大いに下がり、第二次世界大戦時のソ連赤軍の猛烈な装甲の鉄流の時代は行きて帰らないのだろうか?

少なくとも、最近発生したウクライナ危機は某種の程度上否定の答案を出している。イギリスの国際戦略研究所(IISS)の言によれば、2014年6月以来、ロシアの主要な戦闘車両はウクライナ反体制派の手中に流入し続けている。分析者は、ひとたびこうした陸上戦力がウクライナやバルト海地域を震撼させたら、ロシアはその旧式化したが数が膨大なT-72やT-90型戦車を有効利用できる、と考える。

疑いなく大規模な装甲集群はNATO諸国に巨大な安全保障上の圧力をもたらしているが、NATO諸国にはすでにそれに対抗する充分な戦車はなく、討論して出した対応策の1つは現有の装甲車両の殺傷力を向上させることである。そこで対戦車ミサイルを装甲車両に集成する新型砲塔が時運に乗じて生まれた。もう1つの対応策はアメリカ陸軍からの増援で、2014年末、アメリカ陸軍は改めてヨーロッパ大陸に向け100両のM1エイブラムスメインバトルタンク(第3世代)を投入し、もってウクライナの不断にエスカレートする情勢に対応し、かつ2015年末までにさらにこの配備を増加する計画である。2016財務年度国防予算案の中でも、アメリカ陸軍は意外にも新たな資金の割り当てを獲得し、もって戦車の近代化戦略を支持する。

こうして見ると、陸上の鉄甲雄師の未来はまだ暗くなるには遠い。今期の「技術派」はロシア陸軍の未来戦車「アーマタ」に焦点を合わせ、かつ今後も持続して関心を注いでいくことになる。全体的に言って、この戦車は概念創新方面ですこぶる特筆に値するところがあり、戦車の三大性能(火力、防御、機動)を保証することを基礎に、制御誘導弾薬の破壊、対ヘリ、多目標打撃能力に対する関心を増加させている。この前のまだ事実確認を経ていない情報は、中国はロシア製新世代戦車に対し興味が濃厚であるとしていた。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「画像の説明:「アーマタ」戦車の特色はモジュール化設計思想を採用したことである。」)

国際的原油価格下落、ルーブルレートの動揺の影響を受けるロシア経済にとって、国防工業近代化プロセスの加速、軍隊の換装規模の積極的拡大は、一歩一歩迫り来る西側にロシアが現在対抗する数多くない魔法のアイテムの1つである。ロシア国防大臣ショイグは1月30日、軍事の優勢を継続して保持し、2020年までに軍隊の近代化を完成させる、とした。疑いなく、「アーマタ」戦車はロシア陸軍がこの優勢を奪取する重要中の重要兵器である。

長期にわたり外界が密接に関心を注いできたのは、すでに世界の覇者の地位を失ったロシア戦車がいかにして優勢を回復し得るか、である。だがそれにもかかわらずロシアの、この国の戦車工業の新たな進展を代表する「アーマタ」戦車に対する禁忌はすこぶる深い(頑住吉注:文脈上ここでは秘密保持が厳密なことを指しているようです)。だが、近年来の断片的情報をつなぎ合わせれば、それでもおよその輪郭を描き出すことができる。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「初めて明るみに出た『アーマタ』戦車の模型。この模型はアーマタ戦車が三人制の一体化戦闘室レイアウトを採用している可能性が高いことをはっきり示している。」)

2011年のニジニ・タギル武器展で、多くのメディアがプーチンの視察したT-90AM戦車に対しひとしきりの賛嘆の声を投げかけている時、真にこの大統領に関心を注がせたのは実際には「まだ名を知らぬ」戦車の模型だった。この大きな背景は、ロシア戦車工業が近年来衰退の趨勢が顕著で、T-90系列はインドというこの重要な顧客に供給されている他、充分な量での発注は少ない、というものである。またT-90戦車は先天的にサイズが大きくないため、後続の改良、発展の余地はすでに多くない。その他の世界の先進的なメインバトルタンクと比べると、T-90系列の性能はすでに国際競争に参加するには不足である。また、軍隊内部にはT-90AM戦車のコストパフォーマンスに対してもすこぶる不満があり、それは陸軍のT-72に対する更新世代交代の需要を満足させられないと考えている。このため、新たに看板を掛け直す新製品を登場させることがロシア戦車工業の重要な任務となっている。「アーマタ」戦車はまさにこの種の状況下で時運に乗じて生まれた。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「T-90AMは外形はSF的だが、ロシア軍のそれに対する評価は高くなく、動力システムの性能とシャーシの寸法の制限のため、性能向上の余地は大きくなく、未来に大任に当たり難い。」)

現在の「アーマタ」戦車の特色に対する描写は、「モジュール化設計思想を採用し、異なる作戦の需要に対応するのに用いる一連の戦闘プラットフォーム」である。モジュール化設計を用いることは多種の戦闘プラットフォーム間の技術成果の相互運用を実現し、現在国際的な新型戦車研究開発に流行するやり方である。コストも節約されるし、また効果の最大化が実現される。

すでに披露されている画像や3Dモデルから見て、「アーマタ」戦車は尾部キャビンレイアウト、無人砲塔の設計を採用し、かつ砲塔に125mm戦車砲、30mm機関砲、回転バレル機関銃を集成している。筆者は、尾部キャビンレイアウト、無人砲塔の設計は、現在のロシア戦車最大の性能上の弱点が防御力不足と安全性不充分であることを考慮したものであると考える。

以前の「黒鷹」戦車もT-90AMも向上に重点を置いたのはこの2方面だった。だが動力システムの性能と外形寸法の制限のため、ロシア式戦車はさらに装甲の厚さを増加する方法によって防御性能を向上させることが非常に難しく、このため操縦/乗員を一体化した乗員キャビンをシャーシ内に配置し、頂部に無人砲塔を置く全体レイアウトを採用して解決するのである。また、戦車の乗員を武器弾薬とを相互に隔絶することも戦車の安全性を向上させている。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「典型的な3人制車両クルー、無人砲塔レイアウト設計は、1980年代もうすでに出現していたが、人間工学およびシステムの信頼性などの問題に阻まれて、ずっと主流になり得ていない。20世紀に入った後、技術の進歩と戦車に対する軽量化の需要が、この種の設計方案をまた改めて人々の視野に戻ってこさせたのである。」)

戦車砲、機関砲、回転バレル機関銃を同一の砲塔に集成する設計に関しては、筆者はこれは単にロシアの戦車設計者がその多機能、多用途の設計思想を表現するのに用いる概念模型であって、最終的な完成品はあるいは必ずしもこうはならないかもしれないと考える。その原因の1つは、1つの決して広くない砲塔の中に同時に3種の異なる武器の給弾システムを置き、さらに砲塔の無人化を実現する必要があるのでは、システムの信頼性が保証し難いことである。

火力方面では、筆者は「アーマタ」戦車はロシアの新世代2A86型125mm戦車砲を使用するだろうと見る。旧式な2A46型に比べ、2A86型戦車砲の向上は、決して外界が推測するように火砲のチャンバープレッシャーの向上に体現されるのではなく、重点的に火砲の反後座システムのコンパクト化と火砲の後座力のシャーシへに対する影響の減少に体現されるのである。何故ならひとたびこのようになれば、戦車の戦闘システム全体の重量が軽減され、節約された重量は全体の防御性の向上に用いることができるからである。いかにして潜在的脅威に対し有効な威嚇を保持するかに関しては、筆者は戦車の徹甲弾方面における投資を拡大し、弾芯の製造技術レベルと発射薬の性能を重点的に向上させれば、現在の西側の第3世代および第3世代半戦車を貫通することが有効に達成できると考える。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ロシア戦車の徹甲弾はその性能に影響する弱点であるが、もし投資を拡大すれば、西側との隔たりを非常に大きく縮小することが有望である。」)

「アーマタ」戦車の前途の見通しに対する最大の憂慮は全車の自動化レベルが追いつき得るか否かである。以前ロシア製戦車砲のコントロールシステムの性能不足ゆえに、戦車が行進中に火砲安定システムを長時間ONにするとシステム加熱、損傷の問題が出現する可能性があった。このため以前のソ連およびロシア軍の戦車兵の養成訓練の中では、戦車兵は戦車を操縦して最短時間内に有利な射撃陣地を占めた後でさらに照準、射撃するすることが要求され、これはその他の第3世代戦車が安定して行進し、かつ行進間に随時敵に対し射撃が行えるのと非常に大きな差異があった。また、ロシア式戦車の自動装填装置は有効作動時間が短いため、戦闘室内に多すぎる予備弾薬を放置することが、戦車が命中弾を受けた時に砲弾の発射薬が燃焼して砲塔を吹き飛ばす問題をもたらした。このため、もし無人化され頂部に置かれた砲塔の中の自動給弾装置にひとたび故障が出現したら、戦闘中に遅れず修復することは非常に難しくなる。戦場で攻撃能力を失った戦車は、防御がどんなに良くてもまな板の上の鯉でしかないだろう。


 車体を大型化して多種の、また強力な武器を乗せ防御力をも強化することは比較的簡単でしょうが、砲の安定システムやいろいろな遠隔操作システムを高い信頼性をもって作動させるのはなかなか困難そうですね。















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