T-50戦闘機の進展は

 ロシアのT-50戦闘機に関するページを再び紹介します。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-12-24/211429_2287964.htm


第4機目のTー50、試験飛行を開始 キャノピーは依然非常に悲劇的

第4機目のT-50、試験飛行を開始。キャノピーは依然として一体設計ではない。

現在、ロシアは第5世代戦闘機Tー50の試験飛行、定型に一段と力を入れているところである。ロシア軍の戦闘機の平均経過年数はすでにすでに25年を越え、ロシア国防省はこれに対する大規模な更新を準備している。ロシア空軍の20年来のナンバーワン「重点プロジェクト」として、T-50は将来深刻に老化しているスホーイー27やミグー29戦闘機に取って代わり、ロシア空軍の主力戦闘機となり、F-22およびF-35に対抗する重任を担うことになる。このため、できるだけ早くT-50を部隊に装備することをロシア空軍は切迫して必要としている。

だが初の試験飛行以来、T-50のロシア空軍への装備計画は再三遅延している。2010年、プーチンは誠実で信頼できる調子で2013年にT-50がロシア空軍に引き渡されると言明した。現在見たところではこの願望が期日通り実現することは難しい。今年8月6日、ロシア空軍総司令ボンダレフは次のように指摘した。T-50は5年近く継続する試験を経て、2015年以後大量生産に入り、空軍に編入されて飛行作戦試験が行われる。2020年までに少なくとも350機が調達され、最終的に450〜600機が調達される計画である、と。

現在T-50はまさに「試験飛行ー定型ー装備」という部隊への道を行っているところで、試験の中での改良、発展、完備を必要とする。これは困難、危険、そしてチャレンジに満ちた道となることが予見できる。ロシアの現役主力戦闘機スホーイー27は1977年に初飛行に成功した後、さらに6〜7年の試験飛行を経て、やっと大量に部隊に装備された。Tー50は現在まだ最も基本的な状態の飛行機に過ぎず、新型航空電子システム、新型エンジンの性能がどうかはいずれも機の戦闘力に影響する。同時に、新型空母を作り出すため、ロシアはさらにT-50の艦載型の製造を計画している。

ロシアの研究開発資金の投入状況もT-50の発展と装備に重要な影響をもたらす。エンジンを担当するサターン設計局はかつて経費問題ゆえに一度研究開発を停止し、Tー50の研究開発の進度に非常に大きく影響した。現在、いくつかのメーカーはすでに研究開発予算の追加を希望し、さもないと非常に多くの技術指標が設計上の要求に到達し難い、と明確に表明している。T-50はお金を飲み込むブラックホールに変わり始めている。ロシアの現在の経済発展状況からすれば、経費の増加は小さくない問題である。多くの専門家は、T-50が戦闘力を形成するのは少なくとも2018年以後に違いないと考えている。

(頑住吉注:2ページ目)T-50はロシアの軍事工業が全面的に復興した印と見られている 

T-50はF-22の初試験飛行から20年後になってやっとのんびりと遅れてやって来たが、「後にやって来た者が上に立つ」かどうかはまだ疑問である。実は1983年には早くもソ連は各設計局を召集して未来の戦闘機の発展を研究し、ミグ設計局が第5世代戦闘機を研究開発することが確定した。ソ連の突然の解体はロシアに長期にわたる経済的困難を経験させ、ロシア航空工業の発展に深刻な打撃をもたらした。開始したばかりの第5世代戦闘機プロジェクトは計画調整と経済的困難のスパイラルに深く陥った。

近年アメリカは相次いで第5世代戦闘機Fー22およびF-35を装備し、率先してステルス時代に入り、このことはロシア空軍に対し巨大な圧力を形成している。ロシアも第5世代戦闘機研究開発の歩調を加速した。

ロシアの第5世代戦闘機を設計、生産する機関は主に2つある。すなわちミグおよびスホーイ設計局(生産連合体)である。ここ15年内、この2つの設計局はいずれもロシア政府と空軍の装備発展の必要性に基づき、多くの異なる新型戦闘機開発プロジェクトを提出した。このうち、ミグ設計局が設計した1.44原型機は作り出された後、無理を押して2000年2月29日に初飛行し、かつ対外的に明らかにされた。だが最終的に継続困難ゆえにこのプロジェクトの発展は終了した。

この時、ロシアはまた新たに「新世代前線戦闘機」PAK-FAの技術指標を確定した。PAKはロシア語の「未来航空システム」を略したもので、FAは前線航空隊を指す。ミグおよびスホーイ設計局はロシア空軍が確定したPAK-FA戦闘機の性能指標に基づき、それぞれ各自の双発戦闘機方案を提出しロシア空軍の対比選択に供した。ロシア空軍は全面的評価後最終的にスホーイ設計局を第5世代戦闘機研究開発、生産任務のための機関に確定した。この設計局のPAK-FAに対する内部的な設計のコードナンバーはT-50であり、Tは三角翼を意味し、一方前進翼あるいは後退翼の内部でのコードはSである。

ロシアがスホーイ設計局を最終的に選択したのはその市場における認知度がより高かったからである。ロシアは冷戦後の国際戦闘機市場における製品と技術の主要な輸出国であり、主力製品はスホーイー27とミグー29である。だがスホーイー27系列の国際市場における輸出規模および評判は、ミグー29というこの冷戦のスターに比べはるかに良好である。ミグ設計局に比べスホーイ設計局はより多くの固定顧客を持ち、市場における認知度上より優勢で、スホーイはスホーイー27効果を利用してT-50の輸出による外貨獲得の競争力を増強することができる。

(頑住吉注:3ページ目は何故か2ページ目と内容が重複しています。4ページ目)T-50の総合性能はアメリカの第5世代戦闘機にやや劣る

T-50は単座、双発、双垂直尾翼の多用途重戦闘機で、全長22m、全幅14.2m、全高6.05m、最大離陸重量34トンである。これはロシア唯一の冷戦後に研究開発、製造された戦闘機で、「ロシア航空製造業の全ての神髄の結晶」と呼ばれる。
この機はアメリカの第5世代戦闘機Fー22、F-35に比べ、優れたところもあるし、不足のところもある。

両国の第5世代戦闘機を比較するには、まずそれらの設計の目標をよく知る必要がある。T-50が主に担うのは防御性の任務で、一方F-22、F-35は逆に非常に強い進攻的色彩を持つ。T-50は多くの場合「自分の家の門前」で作戦行動する。国土の防空を依託される迎撃機は素早く作戦区域に到達する能力を持つ必要があり、もって迅速に侵入する目標を殲滅するのに便とする。このため、T-50はもしその他の性能指標を犠牲にしても、優秀な超音速巡航能力を優先して保障することが必須である。このことはT-50が以下の長所を持つことを決定した。

1つ目は機動性能が良好なこと。ロシアは推力ベクトル技術の研究の上でアメリカに比べ一段勝っている。このためT-50は推力ベクトルコントロール技術の大推力エンジンを採用し、その3Dノズルは良好な作動特性を備え、エンジンの尾噴流の方向を改変することにより機首の上げ下げ、方向の変更、回転モメント、反推力を提供し、空力により行う飛行コントロールの補充、あるいはそれに取って代わらせるのに用いることができる。

(頑住吉注:5ページ目)機動性能向上のため、T-50の空力レイアウト設計は2つの大きな新しいものの創造を実現した。1つは「一体化エンテ翼」である。「一体化エンテ翼」を利用してコントロール渦揚力の作用を起こすことができるが、ステルス性も失わない。もう1つは傾斜した全体が動く垂直尾翼である。T-50の水平尾翼と垂直尾翼はいずれも尋常でなく小さく、このことはロシアの推力転向能力がすでに比較的高いレベルに達していることを示している。T-50は継続して腹部からの空気取り入れレイアウトを採用しており、さらに加えてその翼面荷重はF-22より小さく、このことはT-50に大きな仰角の際の比較的良好な安定性と操縦性を持たせ、機動性能はF-22より優れている。

2つ目は離着陸距離が短く、弾薬搭載量が大きいこと。T-50は400mの距離内で離着陸でき、Fー22の距離は450〜916mである(頑住吉注:離陸が450mで着陸が916mということですかね)。T-50の弾薬搭載量はF-22より大きいと思われ、その戦闘負荷は6トンに達し得る。内部に3つの武器コンパートメントが置かれ、弾薬搭載コンパートメントは機全体の1/3を占め、機体内部以外にさらに外部に武器を吊り下げ搭載することもできる。この機は極超音速状態でミサイルの始動と発射ができ、一方アメリカの第5世代機はまず減速してその後ミサイルを発射する必要がある。

3つ目はコストがより低いこと。Tー50は過多なコントロール面を採用して機の構造をより複雑にすることを避けており、その部品点数は大幅に減少し、機の重量を非常に大きく軽減した。T-50は一定のステルス性能を放棄し、技術的維持メンテナンスコストがより低く、機の製造コストも下がった。T-50の将来の大量生産時の製造コストは8,000万から1億アメリカドルの間と見積もられ、F-22の製造コストの60%である。価格が相対的に安いため、インドは250機の購入を計画している。

(頑住吉注:6ページ目)この他、Tー50はコックピットの設計上も独特のところがある。新型の射出座席と生命維持システムの配備により、高重力の飛行員に対する衝撃が減少し、飛行員の快適性を非常に高く向上させ、飛行員を戦術任務執行に専念させることができる。

T-50の研究開発と試験飛行はアメリカの第5世代機より遅く、一定の「後発の優勢」があるが、多くの方面において依然アメリカの第5世代戦闘機より遅れている。

1つ目は航空電子設備に遜色があること。航空電子設備はずっとロシア製戦闘機の弱点である。T-50は先進的レーダーシステムを採用し、400km離れた目標を発見でき、同時に60個の空中目標を追跡し、かつこのうち16個を打撃できる。機には新型の無線電子偵察・対抗システムが装備され自己を暴露しない状況下で敵を発見し、かつ妨害が実施できる。飛行員の機に対する指揮コントロールも完全なデジタル化が実現している。だがTー50にはまだ第5世代機に要求される高度スマート化総合情報システム、自動抗妨害装置、自動コントロールシステムなどが欠けている。アメリカのF-35の「多機能総合RFシステム」に比べ、T-50にはフルスペクトル自衛能力も欠けている。

2つ目はステルス能力の不足。対レーダーステルス能力は第5世代戦闘機が具備すべき基本性能であるが、T-50はこの特性を部分的に実現しているだけである。この機はプラズマステルス技術を採用し、機首、機コンパートメント、主翼、空気取り入れ管などに全て独特の形状設計を採用し、武器コンパートメントも機体内部に置く方式が採られ、そのレーダー乱反射断面を0.5平方mしかないものにしている。だがそのステルス能力は依然明確にFー22に劣る。同一のレーダーに対し、T-50が暴露する距離はF-22のおよそ2倍である。

3つ目はエンジンのレベルが低いこと。T-50は現在依然117Sエンジンを採用しており、その性能はF-22に装備されるF119より低い。現在の指標から見て、その中間推力とアフターバーナーによる最大推力という2つの指標はいずれもF-22が採用するF119ターボファンエンジンより低い。このためT-50は推力:重量比方面でFー22より劣ると思われる。ロシアの言い方によれば、真にT-50に装備されるのはコードナンバー129のターボファンエンジンであるべきで、その性能はF119に近く、ただしこのエンジンはまだ研究開発中である。

(頑住吉注:7ページ目)4つ目は技術の成熟度の欠陥。新型戦闘機の成熟は充分に長い時間を必要とする。F-22の初飛行はT-50に比べ20年早く、アメリカはこの20年の時間を利用して起きた問題を発見し、解決した。このようにしても、F-22は依然酸素関連装置の故障発生のため飛行停止を迫られた。F-35「ライトニングII」も動力システムの故障ゆえにかつて全面的に飛行が停止された。これに比べT-50の技術の成熟度はさらに劣る。2011年の試験飛行デモンストレーションの中で、この機はエンジンから火を噴いたため飛行停止を迫られ、このことはロシアに相当耐え難い思いをさせた。

5つ目は装備規模が比較的小さいこと。F-22の高いコストはアメリカ軍に大量調達を難しくさせた。だがFー35は全く新しい研究開発模式を採用し、全部で8つの同盟国が研究開発に参与し、市場には4,000機この機を求める意向があると見積もられている。だがTー50の現在予見できる装備数量は合計600機である。

このため、T-50はいくつかの性能方面でF-22、F-35などの機を超えているかもしれないが、総合性能指標から見ればアメリカ軍の第5世代戦闘機を全面的に超越することは大変難しい。

(頑住吉注:8ページ目)インドはTー50共同生産を通じての軍事工業の科学技術レベルの飛躍的向上を希望

長期間にわたりロシアとインドの軍事協力は非常に密接で、ロシアの武器はインドの輸入武器の総量の71%を占める。ロシアがインド向けに提供する武器装備の種類は多く、量は多く、技術移転条件は好待遇である。インド・ロシア2011〜2012年軍事技術協力計画によれば、今後何年か、ロシアは依然インド最大の武器装備の供給者であり、T-50はこの中の重要な装備の1つである。

ロシアとインドは2000年にはすでに初めて第5世代戦闘機合同研究開発に関する接触を開始していた。スホーイ社の指導者ボゲヤンはかつて、インドに対しロシアサイドが研究開発する新世代戦闘機の性能はアメリカのF-22「ラプター」に相当すると請け合った。インドは独立して大型戦闘機を研究開発する実力を持たないが、ロシアの経済的困難と技術的実力を利用し、出資を通じて第5世代戦闘機およびその技術を獲得し、これによりインド軍事工業の科学技術レベルの躍進を実現することを願っている。

以前、スホーイはインドとのスホーイー30MKIに関する協力の中で、すでに国際協力のメリットを味わっている。このため、両国はすぐに新世代戦闘機共同研究開発問題で都合良く協議を成立させた。2010年12月に双方が署名した契約によれば、ロシアとインドは250〜300機のT-50を協力して研究開発し、必要とされる研究開発費用は両国で均等に分担される。インドはT-50を用いて現役のミグー29およびスホーイー30MKIに取って代わらせることを渇望している。ロシアにとってインドをこの協力のパートナーに引き留めることは、ロシアのできるだけ早いT-50の部隊装備の助けにもなり得ると言える。

(頑住吉注:9ページ目)しかし、ロシアとインドの協力は決して想像の中のようにスムーズではない。双方にはここ何年か、武器装備交易の価格、技術品質、引き渡し期日、アフターサービスなどの方面において論争が頻発し、甚だしきに至っては大規模プロジェクトが暗礁に乗り上げる事態がもたらされた。特に「ゴルシコフ海軍上将」号空母の交易が最も代表的である。具体的にロシアとインドのTー50戦闘機合同研究開発の状況を見ると、やはり道は平坦ではない。これは次の理由による。

第1に、ロシア空軍が必要とするのは単座戦闘機であり、一方インド空軍は複座機を開発し、もって訓練と特殊任務に用いることを希望している。この他インド軍はさらに40機の核攻撃が実施可能な戦闘機を配備し、もってインド空軍の核威嚇力を増強することを計画している。単座型Tー50の設計時、すでに重量、空力設計などの方面から、複座型のための考慮がなされているが、2つのバージョンの機種および核攻撃能力を持つ機の研究開発はロシアサイドに枠外の作業量を負担させ、研究開発コストを上げる。かつてロシアが研究開発した戦闘機の経験からすれば、T-50プロジェクト全ての研究開発費用は50〜70億アメリカドルにも達する可能性があり、しかも「研究すればするほど高価になる」趨勢も見せている。現在、インドメディアはすでにこのインドの軍事費をむさぼるかもしれないもう1つの底なし沼に恨み言を漏らし始めている。

第2に、T-50の技術的主導権と進度は完全にスホーイの手中でコントロールされ、インドは実際上キャッシュディスペンサーとなっている。インドのスタン航空有限会社はT-50の設計と製造に参与し、複合材料部品および航空電子システム、電子戦システムおよびコックピットディスプレイなど電子設備の設計を担当すると思われるが、それでも双方にひとたび矛盾が発生すれば、やはりインドには技術の上で発言権はない。現在、インドサイドはロシア製電子システムの性能に決して満足しておらず、これは逆にインドが力を持っていない最も良い証拠でもある。

(頑住吉注:10ページ目)この他、ロシアはその他の国と協力して新世代戦闘機を研究開発する時も必然的に技術上一定の留保を必要としている。このため、インドはスホーイ設計局から真の先進的核心技術を手に入れることはできない。このことはインドとロシアのT-50プロジェクトにおける協力の初志に違反していることを免れない。

第3に、インドの兵器市場争奪のため、アメリカも最近インドに第5世代戦闘機販売の「誘い餌」を投げ、インドに艦載型F-35購入を提案している。このことは必ずやロシアとインドの間のT-50に関する協力に暗い影を生じさせることになる。


 キャノピーが一体型でないためステルス性が劣る、という内容が出てくるのかと思ったらとうとう出てきませんでした。それはさておきインドの動きは多くの方面に大きな影響を与えそうです。








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