インドは何故「垂直離着陸版殲ー31」を意識するのか
以前から噂はあるんですがね。
http://military.china.com/important/11132797/20160517/22665119.html
疑心暗鬼! インドメディア、殲ー31に垂直離着陸型ができると騒ぎ立てる
(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「資料画像:殲ー31ステルス戦闘機」)
最近、中国の垂直離着陸戦闘機に関する噂がずっと絶えたことがなく、インドメディアも落伍に甘んじていない。「インド安全保障業務」ウェブサイトは先日アジアのステルス戦闘機の研究の進展状況を報道した時、再度殲ー31艦載垂直離着陸型戦闘機に言及し、かつこの機は殲ー31ステルス戦闘機を基礎に研究開発されるもので、殲ー31のステルス、高速、火力が強いなどの優勢を持つ他、さらに有効に固定翼艦載戦闘機の空母での発着の安全性と高い効率を向上させており、したがって中国国産空母の総合作戦能力向上のために基礎を固めた、と言明した。また、インドメディアはさらに習慣的に「中国の脅威」に対する憂慮を表明している(頑住吉注:ちなみにこの記事は以前「インドメディア、全世界の8大第4世代機を総ざらい 中国、ランキングの内3つを独占」として紹介したやつですね)。
ニューバージョンの殲ー31の性能は「天馬行空」 (頑住吉注:自由で躍動的みたいな意味の慣用句です。)
中航工業公式サイトの説明によれば、殲ー31ステルス戦闘機は中航の沈陽飛行機集団が研究開発する第4世代双発中型ステルス戦闘機で、高い生存力、低いレーダー探知計測可能性、ずば抜けた総合保障能力および高いコストパフォーマンスなどの優勢を持つ。垂直離着陸型殲ー31に対し、中国国内で公開の報道があったことは全くない。だがインドメディアは垂直離着陸型殲ー31の性能などの内容に関する報道は、基本的に中国の当局メディアや企業の公式サイトの片言隻句の紹介、および各種玉石混交のフォーラムの情報の勝手な推測に基づいている。整理すると、おおよそ2つの傾向があり、すなわち親米型と親ロ型である。
報道の中で「インド安全保障業務」ウェブサイトは次のように考えている。中国のここ何年かの垂直離着陸技術の迅速な発展、特に某いくつかの技術は見たところアメリカと幾分似たところがある。このため、垂直離着陸型殲ー31の発展はあるいはアメリカのF-35B垂直離着陸戦闘機に類似したものになるかもしれない。すぐに続けて「インド安全保障業務」ウェブサイトは話の方向性をすぐに一転させる。だが垂直短距離離着陸技術は非常に複雑で、ハードルが比較的高く、アメリカのF-35B垂直短距離離着陸戦闘機はすでに研究開発されて20年で、就役はまもなくだが、その技術の成熟度、信頼性などの難題は終始消し去られてはおらず、いくつかの問題は今に至るも依然米軍の頭を痛めさせて止まない。例えば、F-35はいくつかの発着場所で正常に垂直離着陸機能を使用できない。さらに例えば、そのエンジンの尾部からのガスの温度は高すぎ、甲板の下層構造の変形をもたらす。2008年に始まり、米軍はもう非常に苦しんで解決方法を探求しているが、今に至るも依然米軍を満足させる解決の道は捜し当てられていない。インドメディアはこれを根拠に、垂直離着陸型殲ー31がアメリカの道を行くことは決して平坦ではない、と考える。
アメリカの道は行けないということで、インドメディアはまたロシア軍の道を行くことを推測し始めた。「インド安全保障業務」ウェブサイトは次のように分析する。ロシアと中国の伝統的な軍用品貿易関係に基づけば、中国はロシアのYak-141垂直離着陸戦闘機研究開発の経験を参考にし、かつロシアと合同でこれとセットになる新型エンジンを研究開発する可能性がある。自らの分析を証拠づけるため、インドメディアは国内軍事フォーラムのマニアの熱烈な討論さえ持ち出す。彼らはこれをもって、現在研究開発されている技術の制限を受けて、中国は現在ロシア製垂直離着陸戦闘機の設計と研究開発の考え方の筋道を全面的に受け入れ、結果的に艦載垂直離着陸戦闘機の短時間内の「ゼロの突破」を実現する可能性が極めて高い、と考える(頑住吉注:よく使われる「有無の問題を解決しただけ」に近い意味でしょう)。
インドメディアの「酸っぱい葡萄」の心理
まさにいわゆる「食べずに葡萄を酸っぱいと言う」という奴である。自らは食べず、他人のものに対し四の五の言い、中国の垂直離着陸型殲ー31というこの件の上で勝手に推測する、インドメディアは明らかに「酸っぱい葡萄」の心理を帯びている。
理解されているところによれば、まもなく就役する新たな空母とコンビネーションするため、インドも現在一段と力を入れて自らの艦載垂直離着陸戦闘機を研究開発しており、AMCAと命名されている。AMCAは単座、双発ステルス戦闘機で、このプロジェクトは2015年末に正式にプロジェクトが立ち上げられた。同時に、この戦闘機のエンジン配置に関しても、インドは積極的にアメリカとF414エンジンの導入を談判しており、フランスのダッソー社もインドに対しオリーブの枝を投げ、「ラファール」戦闘機の技術を分かち合いたいとしている。だがこれらの動きには現在まだ実質的性質の進展はなく、AMCAの研究開発は再三遅延するしかない。比較すると、殲ー31戦闘機の出現後、インドメディアは自らがすでに立ち後れたことを深く感じ、特に垂直離着陸型殲ー31の登場を推測した後は、いささか居ても立ってもいられない不安を持っている。
インドメディアがいかに推測しようとも、事実は常に事実に帰し、隔たりは常に隔たりに帰する。国内のある軍事専門家は殲ー31が垂直離着陸戦闘機に改装するのに不適合であることに対し理性的客観的な分析をした。彼は公開されている画像により、この機は全長16〜17m前後、全幅は10m前後、双発中型戦闘機に属し、機体全体の体積はF-15とミグー29の間で、主翼面積は約40平方m、将来は国産中等推力ターボファンエンジンに換装される可能性があるが、垂直離着陸に改められようとしているとは全く聞いたことがない、と推断する。同時に、殲ー31は現在機腹部の弾薬庫しかなく、側面の弾薬庫がなく、このこともこの機が大型爆弾、空対地ミサイルなどを搭載できないことを決定づけている。この意味から画定すると、この機は典型的な制空戦闘機に属し、対地打撃を併せ配慮する必要がある艦載機ではない。
何故「インド安全保障業務」ウェブサイトはありがちな間違いを犯すのだろうか? ある評論は、現在インド方面は中国の勃興に対し疑心暗鬼である、と指摘する。この種の心的態度に迎合するため、インドメディアはわざと中国がほしいままに先進武器を研究開発するという「中国脅威論」を宣伝する。このため、某種の程度上から言って、インドメディアが中国が先進武器を研究開発することを宣揚するのは、インド軍事工業およびインド自ら武器を研究開発するために勢いづけをしている嫌疑がある。まさに中国国防部スポークスマンが言うように、中国がどんな種類の新型武器装備を開発しようとも、全て国家戦略に服従しまた奉仕する必要がある。ニューバージョン殲ー31が開発されるか否か、いかに発展するか、どんな程度まで発展するかは、一方においては国家戦略によって決まり、もう一方においては現有の技術の向上によって決まる。このため、垂直離着陸版殲ー31が研究開発されるか否かは、中国自らのことであってインドや他のメディアが自擾する必要はない。
最後の語は古典由来らしく、検索すると意味を説明しているページはあるんですが説明自体が非常に難解でさっぱり分かりません。たぶん余計なお世話くらいの意味では。それはさておきアメリカでも手を焼いている垂直離着陸戦闘機、しかもその肝はエンジンで、中国はこの分野が遅れているわけですからそう簡単に実用化できるとは確かに思えません。しかし中国と地理的に近い日本にとって、通常の空母と艦載機を持っている中国にさらに垂直離着陸戦闘機があろうがなかろうがそう大きな差はないような気もしますが。