何故中国はスホーイー35を買う必要があるのか その2

新たなスホーイー35は西側の材料、工程を使用し、寿命が非常に大きく伸びている

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「F-18Gグラウラー電子戦機。スーパーホーネットというプラットフォームの航続性能は本来もうあまり理想的ではなく、航程の長い任務では翼の下と腹部に3つのサブタンクをいっぱいに搭載することが必須である。画像のは腹部の吊り下げポイントを航続距離か、あるいは作戦機能かで、性能の取捨選択をするしかなかった結果である。」)

中国のスホーイー27系列の寿命は末期に近づき更新が必要

皆周知の原因により、我が国とロシアはスホーイー27ファミリー導入など重大兵器貿易方面で一度十数年の長きに渡って中断した。この期間に我が国の現有のスホーイー27ファミリーの機の寿命はいずれもすでに末期に近づき始め、甚だしきに至ってはすでに比較的大規模な寿命が終わって廃棄されるという現象が出現し始めている。特に安全保障業務への圧力が最大である東南の沿海地域では、機の使用強度が非常に高い。またスホーイー27ファミリーの初期型、特にスホーイー27SKの当初設計は高温、高い湿度、高い塩分を含んだ霧という使用環境を考慮しておらず、構造の腐蝕現象が深刻で、しかもいくつかの交換できないカギとなる重要構造部位の上で多発し、実際の寿命は事前に見積もったのよりさらにずっと短いだろう。

スホーイはスホーイー27の空力および構造の欠陥に照準を合わせ、非常に早くからもう多くの異なる方向の平行しての計画を手配した。そしてТ10С、Т10М、Т10К、Т10У、Т10ИБという5つの本流の検証、原型機の系列が形成され、総数は数十機に達した。派生した支流、T系列の機種の系列の分流を算入すると15本を超える。非常に困難なロシア時代にもスホーイはこうした改良作業を放棄したことはなく、かつ最終的に新たなスホーイー35に集大成した。

スホーイー35に西側基準のシステムを用いる 寿命6,000時間に達す

西側の全く新しい設計基準の体系導入、および材料、工程の大幅向上、特に超大型の寸法のチタン合金部品の加工能力向上により、スホーイー27の現有のいくつかの、数個のチタン合金部品を溶接することに頼っていた核心的構造に一体成形を実現させ得た。例えばスホーイー27は、全飛行機構造(エンジンコンパートメント、メインの脚、主翼と機体の連結構造等々)が全て機体中部の2号燃料タンク下の壁板に頼って展開されていると言える。この部品の強度、剛性や寿命のカギとなる重要な突破は、全体的飛行機構造性能が換骨奪胎するのに不可欠の堅実な基礎である。

新たなスホーイー35は全機体構造を設計し直す時に非常に高い技術的起点があっただけでなく、過去の構造改良作業が累積した多くの経験、特にスホーイー34爆撃機の大きな搭載重量、長い寿命が要求される構造に対する研究開発、探索の経験は、新たなスホーイー35の構造に対しても極めて重要な作用を果たした。新たなスホーイー35は6,000時間の寿命を持つだけでなく、しかもその金属含有量もかつてのタイプに比べより高い。このことはより多く、より長時間の極限状態の飛行、および搭載重量が大きい状態の下での離陸、飛行、着陸を許すことができる。

国内ではまだスホーイー35の強度寿命と似た材料を用意することはできない

一方我が国のスホーイー27ファミリーに照準を合わせたコピー生産、改良機種の中では、現有の公開されている資料が明確に言及している内容によれば、関連の機関が殲ー11Bなどの機種の構造の上で採用してるのは依然、剛性等代設計の原則である。剛性とは材料が力を受けた時に弾性変形に抵抗する能力を指し、剛性特性は構造部品の各種条件下での変形特性を代表する。このためある部品の剛性の高い低いはそれ、および周囲の構造、ないし機全体構造のマッチング性に直接影響するだろう。剛性等代原則の応用は、殲ー11Bなどの機種の構造設計が、コピー生産される機種の当初設計の範囲内にしっかりと制限されていることを説明している(頑住吉注:「等代」の意味が分からんのですが)。

事実スホーイー27ファミリー内部に関して言うと、スホーイー27SKに始まって新たなスホーイー35まで、構造の発展変化、増強はすでに3世代に到達している。だが我が国がコピー生産、改良したスホーイー27ファミリーの機種の中で、殲ー15が手本とする対象のスホーイー33は、第1段階の構造強化の産物でしかない。我が国のスホーイー27コピー生産を担当する関連の機関が10〜20年内に新たなスホーイー35の構造レベルと同等の機種を出してみせることに希望を寄せるのは、歴史の表れと技術的規律から見て非現実的というべきである。

新たなスホーイー35は空戦能力がより良く、エンジンの意義が重大

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「スホーイー34は新たなスホーイー35の構造との間の血縁関係が最も濃厚である。」)

スホーイー27の低空で音速を超える性能は比較的劣る あるいは直接的に解体するか

低い抵抗レベルと重量増加の統制を保証し、もって機の航続距離のパフォーマンスを高めるため、新たなスホーイー35はスホーイー27ファミリーの中の三翼面レイアウトの改良設計を決して継続して採用せず、オリジナルスホーイー27の空力外形を基本的に保持した。改変は主に機首の直径の拡大と翼幅の拡大である。このため新たなスホーイー35はより重いが、それにもかかわらず3,600kmの航続距離が保証でき、スホーイー27SKと非常に近い(頑住吉注:機首の直径の拡大はより大きなレーダーを収納するためでしょうね)。

スホーイー27のレイアウトが三翼面設計を採用した最大の原因は、スホーイー27の当初の空力設計の中で、ストレーキと後退翼のコンビネーションが非常に大きなコントロールに関する隠れたリスクをもたらしたからである。ひとたびスホーイー27が頭を上げて仰角を大きくすると、超過失速仰角に到達した時、渦状の流れによる揚力が仰角増大と共に激烈に増強される非直線的な特性が、後退翼が失速以後に機の猛烈な機首上げを促す現象と合わさって、機を猛烈で制御できないよう上向きに持ち上げひっくり返させる。コブラ機動はこれを基礎にさらに一歩研究してできた特技動作に他ならない。

この問題は同様に、スホーイー27の空力特性が非常に不安定な遷音速、超音速段階をもたらし、かつあらゆる機動性能を発揮できなくさせている。マッハ0.85に始まり、スホーイー27の使用可能な過負荷は9Gから6.5Gに低下する。さもないと揚力の中心の激烈な移動によって、スホーイー27の主翼の揚力が形成する機首上げモメントは深刻に水平尾翼のバランス能力の範囲を超え、機が持ち上げひっくり返されてコントロールを失う結果がもたらされる。もし空気の密度が高い低空だと、これは直接スホーイー27を解体させるに足りる。

音速を超える時の欠陥はスホーイー27の当初設計の欠陥によってもたらされた

こうした大仰角コントロールの欠陥、音速を超える時の欠陥はいずれもスホーイー27の当初における空力設計のトリム設計の欠陥によってもたらされたものであり、スホーイー27の設計上、航続性能を保証するために払われた犠牲である。単純に飛行コントロールをちょっと改め、構造を強化すればすぐ解決できるという問題では全くない。真相は1つしかない。スホーイー27は追加の機首下げをコントロールするモメントを導入することが必須で、これこそ何故スホーイー27ファミリーにあんなに多くの三翼面レイアウトの改良型があるのかの理由である。

全体が動くエンテ翼の俯仰コントロール能力は極めて強く、何故ならその下向きに回転する角度の範囲が非常に大きいからである。このようにすればもし機が非常に大きな仰角で機首上げ飛行している時でも、エンテ翼は確実で強力な機首下げモメントを形成して飛行姿勢の安定を維持し、しかも必要な時は機を下向きに引っ張って水平にできる。当然俯仰コントロール能力の強化は同様にロールのコントロール能力の改善をもたらすだろう。何故ならスホーイー27の主翼の剛性は非常に劣り、一方翼の付け根のところのフラッペロンは、モメントが充分に長くなく、しかも空力効率が非常に低いため、ロールの操作は水平尾翼の非対称の回転に非常に依存している。エンテ翼が俯仰コントロール機能を分担して以後、水平尾翼がより大きな差動角度でロール能力を改善することを許す。

新たなスホーイー35のベクトル推力は機動コントロールに参与する

後退翼設計を使用し、それ自体にもう非常に強い大仰角でコントロールを失う傾向が存在するスホーイー27にとって、そのエンテ翼の選択は機種下げコントロール能力の強化がメインで、渦状の流れによる揚力増加能力向上は比較的低い範囲内に制限することが必須である。水平尾翼に比べ、スホーイー27ファミリーのエンテ翼の全幅、面積はいずれも大きくなく、しかも上に偏向する幅は非常に小さく、一方下に偏向する幅は非常に大きい。例えばスホーイー27ファミリーの水平尾翼の幅は9.8m、面積は12.2平方mに達し、回転角度は上向きがプラス15度、下向きがマイナス20度に達し得る。一方そのエンテ翼の全幅は6.43m、面積は2.99平方mで、上への回転角度はたったプラス3.5度だが、下向きの回転角度はマイナス51.5度に達する。

三翼面レイアウトの問題は機体の全長と重量、抵抗の増加から来る。古い三翼面レイアウトのスホーイー35の空虚重量はスホーイ-27SKの16,870sから18,400sにまで増加し、もし対地攻撃、爆撃、構造寿命延長などの要素ゆえにもたらされた構造強化重量を差し引いても、スホーイ-30を参照すると、単純にエンテ翼の増設ゆえにもたらされた重量増加は少なくとも700sを超える。加えて抵抗の問題があり、三翼面レイアウトの古いスホーイー35は内部最大燃料が9,400リットルから10,250リットルに増加しているものの、それでも航続距離は3,200kmにまで大幅に短縮した。

スホーイー35がベクトルエンジンを配したことは空戦性能を高め欠陥を緩和する

新たなスホーイー35は117Sエンジンの一定の範囲内でノズルの方向を自由に調整できるベクトル推力機能により、エンジンの推力を用いて枠外の俯仰コントロール能力を実現した。三翼面レイアウトの優勢を基本的に留保し、スホーイー27に元々あった空戦性能の欠陥を大幅に緩和するのと同時に、航続距離と音速を超える速度をまたいでの加速の上での性能の損失を避けている。この機種はスホーイ-27ファミリーの頂点たる作で、スホーイ-27ファミリーの基本空力設計を保持するという状況下では、この機にはすでにさらに一歩ポテンシャルを発展させることができるものは何もない。

特に117Sエンジンはそれ自体も我が国にとって非常に重要である。我が国には渦扇15エンジンが研究開発中であるが、今後の進度と性能に関する前途の見通しにはまだ変数が充満している。(頑住吉注:辞書になく検索してもヒットしない単語が使われ意味不明ですが「これを放棄して別の道を選んでも」?)恐らく太行エンジンの困った状況の轍を踏むことは免れ難い。実際上117Sエンジンは我が国の今後10年内の、唯一獲得できる比較的信頼できる14トン以上の推力のエンジンである。しかもベクトル推力の機能を持つ。殲ー20にとっての117Sの重要性は、当時における殲ー10にとってのAL-31Fに決して劣らない。

結びの言葉

殲ー20が大量に就役する前、我が国は後継機種で現有のスホーイ-27ファミリーの機群を維持することを切迫して必要とする。特に我が国空軍の装備体系は決して健全ではなく、専業の高機動電子戦戦術飛行機、対輻射飛行機は現在まだ空白である。スホーイー35というこの種の寿命が長く高機動でしかもこの種の改装用途に特別に適する作戦プラットフォームの、我が国空軍が完備された作戦体系能力を建立することに対する価値は、いかに高く評価してもオーバーではない。


 従来の機の欠点が指摘されましたが、殲ー15を含め中国がアレンジした機種にも当然あてはまることになるんでしょうね。またこの筆者は比較的国産エンジンの見通しについて悲観的です。















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