ロシアの次世代空母

 中国の記事では別の部分に着目してタイトルつけてますが。ちなみに優先順位の関係で紹介が遅くなりましたが2月の記事です。

http://military.china.com/important/11132797/20150215/19310672.html


ロシアメディア:遼寧艦は進攻に適さず 中国の次の空母はカタパルトを装備

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「遼寧艦が大連造船工場で改造を行っている」)

ロシアの「視点報」ウェブサイト2月11日の報道によれば、ロシアのサンクトペテルブルグ市のクルイロフ国家科学センター設計局は2月9日将来空母の事前設計方案を展示し、直ちに関心を引き起こした。ロシアが空母研究開発の初期作業を展開していることに関する情報は、基本的に毎年必ず一度は出現する。今回クルイロフ設計局が添加した話題には不可解さしかなく、何故なら多くの概念がいずれも非常に模糊としているからである。

ロシア海軍が新たな空母の建造を計画していることに関する情報は、最も早くは2004年に出現した。当時ロシア海軍総司令クライェドフは、2017年までにロシアは新たな空母1隻を建造すべきだ、とした。1年後に彼はこの話題を繰り返す時やや明確に、設計作業は2005年から開始され、2010年以後建造が開始されることになる、と指摘した。現在見たところ、こうした声明は明らかにやや無邪気だった。

その後ロシア海軍のそれぞれの新任司令は皆、次世代空母建造計画をちょっと語る義務があると考えた。2007年5月、マソーリン司令は特別に、現在科学および工業界の参与の下に未来の空母の外形を研究しているところだ、と指摘した。だが現在すでに、それは原子力動力空母で、排水量は5万トン、およそ30機の飛行機とヘリを駐機させる見込みだということが非常にはっきりしている。ロシア軍は米軍のように100〜130機の飛行機を駐機させる独活の大木を建造することはないだろう。各方面の状況から見て、当時ロシア海軍の空母プロジェクトの技術任務に対し関連の要求を制定する作業はすでに完成し、海軍の各研究所、造船工業部所属企業、海軍指導者は当時サンクトペテルブルグで会合し、新たな空母の戦術技術性能を討論し、当時ロシア海軍は3から4隻の新たな空母を必要とすることが提示された。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「大連造船工場内の遼寧艦」です。)

2008年4月、ロシア海軍の新任総司令ウェイソツキーは、2017年までに5〜6個空母戦闘群を配備する計画である、とした。空母建造作業は2012年以後開始されるとされた。1年後、彼は伝統的な空母の建造はすでに徒労無益と考えられ、このため海上の航空武器システム、すなわち海上艦載システムを作り出すことを計画する、と指摘した。新たな空母の戦術技術性能に対する要求もこのために改変された可能性がある。またロシア海軍はセベロドビンスク市の北方機械製造企業あるいはサンクトペテルブルグ市のバルト海造船工場が空母を建造する可能性がある、と言明した。当時メディアは討論し、ロシア海軍は北方艦隊と太平洋艦隊のために3隻の空母を建造し、空母の総数は将来の見通しの中で10隻まで増える可能性がある、とした。

2010年2月末のメディア報道は、ロシア海軍将来空母技術方案は年末までにネバ設計局で完成される、とした。同年の年末にタス通信社は国防省の消息筋の人物の話を引用して、海軍は2020年までに4隻の空母の建造を計画しているとした。だがこの情報はその後国防大臣によって否認された。当時副首相の任にあったイワノフは、2011〜2020年国家武器綱要に空母建造計画は提出されていない、とした。

2012年末、サンクトペテルブルグのクルイロフ中央研究所とネバ設計局が合同で制定した新空母方案は海軍本部によって突き返されて補充改良されたことが分かった。「情報報」は海軍本部の消息筋の人物の話を引用して、今回提出された方案は6万トン級の空母と位置づけられ、1980年代の技術を基礎とする、と指摘した。2020年になってロシア海軍が第1隻目の新たな空母を計画通り海に出した時、アメリカは「ジェラルド フォード」級最新型空母を持つことになり、そのサイズはほとんどサンクトペテルブルグの設計師が提案するロシア新空母の2倍である。ロシア海軍は空母上の過度に大きな上層建築に対しあまり満足せず、それは敵サイドのレーダーにとって過度に顕著で、しかも電磁カタパルトがない、とした。新空母方案は依然として伝統的な蒸気カタパルトの使用を提案し、作動効率が低すぎた。また空母艦載機の中に現代空母戦闘群の必需品である早期警戒機がなかった。

今年2月、クルイロフ国家科学センターはまたサンクトペテルブルグで自らが設計した将来空母概念模型を展示したが、結果的により多くの疑問の声を引き起こした。飛行甲板上の容易にレーダーによって発見される艦橋式上層建築を好まない? いいだろう、それを取り外し、2本の丸裸のマストだけを残そう! 早期警戒機が欲しいのか? なら甲板上に2つの早期警戒機のプラスチック製模型を置こう。だがこの設計局が2013年に展示した模型上にはこの配置はなかった。また空母作戦情報指揮システムの多くのレーダーアンテナアレイは随意に置かれている。空母上にカタパルトがなく、標準型の早期警戒機はスキージャンプ発進が全くできない等々に関しては、こうしたことは全て重要ではない。対潜機がない? ならばヘリを少し多く置こう。最も重要なのは戦闘機だ。しかも第5世代戦闘機T-50の艦載版であることが必須だ。だがT-50には現在艦載版はない。将来できるのか否か、現在まだはっきりしない。要するに、将来空母の新たな模型が伝える情報は非常に混乱し、非常に理解し難いのである。

最も重要なのは、現在ロシア海軍は空母を必要とするのか否か? 一体どのような空母を必要とするのか? である。ロシアは南方海域あるいは西大西洋にしばらくのところ重大な地縁政治的利益はない。地理的位置の関係ゆえに、ロシアは北方海上航路を除く貿易航路あるいは非常に長い海上交通輸送線を保護する必要はない。しかも、北方海上航路の大部分の区域は水上艦艇の攻撃を受けないだろうし、地上あるいは氷上の飛行場から非常に便利に空中からの航路の保護ができる。対潜方面では、航空機搭載原子力砕氷船が非常に使用に適し、しかもあらゆるこうした砕氷船、例えば「北極」級は動員後沿岸防御巡洋艦に変え、大量の武器や作戦ヘリを搭載できるのである。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「遼寧艦内部の施工画面」です。)

他の方面では、ロシアは極東に非常に長い海上境界線を持ち、しかもここの岸辺の地形は通常地上に飛行場を建設するのに不利である。また極東のインフラの発展は不均衡で、陸地を経て辺鄙で遠い航空基地に対し供給保障を行うのは比較的困難である。このためこの地域は空母を持って海軍戦闘群強化の手段とすることを必要とする。空母は北方海上航路の東シベリアおよびベーリング海域のルートを援護し、オホーツク海と日本海の大部分の水域の有効なコントロールを確保することができるからなおさらである。最後に、強大な海上の浮かぶ飛行場の極東地域におけるプレゼンスは、敵サイドの航空装備を迎撃する空中の境界を前進させ、それをウラジオストック、ナホトカ、マガダン、ユジノサハリンスク、アムール河畔共青城などの戦略の要地から遠く離させることができる。強大な戦闘力を持つ空母戦闘群はさらにアメリカのアラスカや日本の空軍基地に対する圧力を強化し、同時に日本列島を直接制圧することができる。現在ロシア軍はこうした方面の上でしばらくのところ遠距離航空兵の戦略飛行機と潜水艦しか有効な行動ができない。

空母はさらに潜水艦隊戦闘群の安定性を増加させることができることを忘れてはならない。特に配備展開段階と基地の間の移動段階であり、この時潜水艦は非常に容易に致命的攻撃に遭い、このため毎回の行動の時運用する潜水艦の数は限られ、しかも同じ航行ラインを遵守することが必須で、遅かれ早かれ敵サイドに発見されるだろう。この要素は北方艦隊にとって同様に比較的現実的で、そこにはロシア軍の大多数の戦略ミサイル潜水艦や多用途攻撃原潜が配備されている。また空母はさらに有効に行動を展開し、敵サイドの空母戦闘群の展開や牽制に防備することができる。当然空母戦闘群が北方海域で展開できる地域は多くない。現在ロシア軍は北方で主に遠距離戦略ミサイル爆撃機を使用し、攻撃潜水艦とコンビネーションして敵サイドの空母戦闘群に対応している。この状況下で、攻撃する航空隊には重大な損失があるだろうと予測され、攻撃効率は主に敵艦に向け発射される特殊弾薬によって実現される。だがもし限定的に核兵器を使用しても、衝突の過度なエスカレートをもたらし、複雑な政治的ゲームがどんどん先に進む結果をもたらすだろう。もし空母上の戦闘機を使用して援護ができれば、空戦を発動して敵サイドの艦載迎撃機の手足を束縛し、味方サイドの損失を減らし、航空攻撃兵器の使用効果を高めることができる。

要するに、ロシアは明らかに空母を必要とする。しかしもはや「クズネツォフ」号およびその姉妹艦であるインドの「ヴィックラマディヤ」号および中国の「遼寧艦」のような空母は必要としない。こうした空母の構造は当初からもう欠陥がある航空機搭載大型巡洋艦に基づいており、すなわち多用途戦闘艦概念である。航空装備はこの種の軍艦の上では補助的作用しか果たさず、空母戦闘群の対空防御強化の手段、および比較的低い程度上の対潜手段であって、結果的に凡庸な巡洋艦と軟弱な空母の複合体が得られる。後に「ゴルシコフ」号をインド海軍のために「ヴィックラマディヤ」号に改装し、「ワリヤーグ」号を中国空母「遼寧艦」に改装する時、きっぱりと巡洋艦の性能は犠牲にし、空母搭載機の性能を重点的に向上させたが、これにより得られた新たな改造型空母は過去「艦隊防空空母」と呼ばれたかもしれないもので、すなわち純粋な防御艦で、主に空母戦闘群が空中からの攻撃に対抗する機能を保障するが、積極的な進攻行動にはあまり適さない。カタパルトが欠けているため、この空母の攻撃力は相当にお寒いもので、飛行機の発進重量が限られることの影響を受け、空対面(頑住吉注:空対地、空対艦を合わせた表現のようです)大型ミサイルからなる戦闘搭載荷を満載してスキージャンプ甲板から発進することはできない。

この種の空母にとって、真に要求に符合する早期警戒機は同様に重すぎる。艦載機上に大出力全方向スキャンレーダーや大量の特殊設備を搭載するためには、少なくとも寸法上地域支線旅客機と同じ双発機を必要とする。この条件下で飛行機のあるべき航続時間を保証するためには、経済型ターボプロップエンジンの配備が必要で、艦載偵察機はオールタイムで空中に留まることができる必要がある。だがこのようなエンジンの動力学的性能は急激な推力アップを許さず、一方このことは艦載機が甲板を離脱して発進する段階で極めて重要なのである(頑住吉注:ロケットブースターをいちいち使うのにも問題があるでしょうね)。

ソ連はかつてKa-31早期警戒ヘリを製造することによって早期警戒機がない欠陥を埋め合わせることを企図したが、この解決方案はうわべの解決であって根本的解決にはならず、何故ならヘリは必要な航続距離も持たなければ、航続時間も不足だからである。実際には艦載レーダーをできる限り甲板より高くし、これにより探知計測範囲を拡大することを企図するだけだった。

(頑住吉注:これより4ページ目。画像のキャプションは「ワリヤーグ空母が中国に来たばかりの時の状況」です。)

インドは自らの方式をもってこうした問題を解決しつつある。攻撃ポテンシャルの不足という欠陥を補うため、インドは甲板上により多くの国産「敏捷」小型戦闘攻撃機を配備することを企図している。空母の「目」として、Ka-31艦載早期警戒ヘリの他、さらに購入が計画されるアメリカのグラマン社のE-2D「アドバンスドホークアイ」陸上早期警戒機を使用することになる。2009年アメリカ政府はすでにインド向けにこの飛行機を販売することを批准している。インド海軍の主要な相手はパキスタン海軍であるため、インド空母の主要な使用地域はアラビア海である。マドラス空軍基地から発進する「ハリアー」式戦闘機の航続距離は基本的に空母の活動区域を全部カバーできる。ベンガル湾も同様である。一方インドの次の空母である「ヴィクラント」号は、真に要求に符合するカタパルトを配備することになる。

中国も自らの空母に対し類似の視点を持っている。何故なら現在中国は海軍の上陸作戦力量のために空中の援護を提供できるのに必要な手段を必要としているからである。各種ルートの情報から見て、こうした手段は中国でいまだかつてなかった発展を得ており、北京の軍事閲兵の画面を見さえすればすぐこの点を確信するに足りる。陸上基地飛行機も完全に最初の時に中近距離の目標指示を保証できる。だが話は戻るが、中国の第2隻目の空母は再度伝統的カタパルトを持つことになるだろう。

明らかに、ロシアにとって小型空母は全く適さないと言える。現在の世界情勢は、ロシア海軍の相手が今後もはや地域大国の艦隊ではないことを決定付けている。国家の最高軍事指導層は、ひとたび深刻な対抗が勃発したら、沿岸でしか活動できない2〜3万トン級の小型空母は実際上、非常に高価な玩具でしかないことをごくはっきり分かっている。設計師がどんなことを請け負おうとも、小型空母はやはり非常に高価な玩具である。結局のところこの種の小型空母に対しても、排水量6.5万トンクラスの標準型空母に対しても、同様にシリアスな強大な武器システムを必要とする。6隻の戦闘力を疑うに値する空母の上にも、同様に6台の真に要求に符合するレーダー、6セットのソナーシステム、6セットの発着システムが必要になるのであって、適当に空母の寸法や建造コストを低下させることは全くない。この方面において、2から4隻のその名に恥じない空母こそ、見たところやっとより魅力ある投資で、しかも大型空母の就役期間は相当長くなり、戦闘・生存力も同様に非常に強いだろう。

去年2月、ネバ設計局の社長ブラソフはタス通信のインタビューを受け、ロシアの未来の空母はどのようになるのかの問題に関し回答する時、次のように指摘した。実際上方案は2つしかない。原子力動力か通常動力かである。原子力動力空母はより高価で、通常動力空母はわずかに小さく、やや安いだろう。2種の方案の空母はいずれも設計を準備している。少し前、アメリカの1隻の空母は価格が110億アメリカドルで、3,300億ルーブルに相当した。現在アメリカ空母の建造価格はすでに140億アメリカドルまで増加している。ロシア軍空母はやや安くなり、1,000億〜2,500億ルーブルの間だろう。もし各種の武器を配備したら、価格は急激に増加することになるだろう。もし防空システムだけを配置したら、コストはやや低くなるだろう。

(頑住吉注:これより5ページ目。画像のキャプションは4ページ目と同じです。)

異なる武器の飽和配置に言及した時ブラソフは明確に、空母をソ連海軍将官が寵愛した大型空母+スーパー巡洋艦の「航空機搭載大型巡洋艦」式空母に変えてはならない、と警告した。もし新たな空母が原子力動力装置を使用したら、排水量は8から8.5万トンとなり、もし通常動力を採用したら、5.5〜6.5万トン級である。もう1つ次第に一般化した規則があり、排水量1,000トンごとに1機の飛行機が収容できる。ここから出発すると、もし6.5万トン級空母ならば50〜55機の飛行機とヘリが駐機できる。もし8.5万トン級ならば、およそ70機の異なる類型の飛行機が駐機できる。レーダースキャン早期警戒機はスキージャンプ甲板から発進できない。これは相当に重い飛行機で、スホーイやミグ戦闘機のような推力:重量比を持つことは不可能である。もしその名に恥じない空母を建造するなら、レーダースキャン早期警戒機を搭載する必要があり、このためカタパルト発進装置が必要となる。

間違いなく、空母のカタパルトは大問題である。それはもはや熊の子が手中でもてあそぶボーガンやパチンコではなく、極めて複雑な技術施設であり、しかも最高程度の信頼性を持つ必要がある。ロシアはほとんど蒸気カタパルトを設計した経験がなく、増してや電磁カタパルトは言うまでもない。アメリカで建造されるCVN-78「ジェラルド フォード」号大型空母の話であっても、ゼネラルエレクトリック社が生産するEMALS電磁カタパルトは明らかにすぐには搭載が整えられない。だがブラソフはこれに対し依然として楽観的で、彼は去年のインド航空展で、もしロシア軍が新たな空母を建造したら、およそ10年の建造期間を必要とし、この期間にカタパルトを製造する可能性もある、とした。

だがロシア空母の潜在的研究開発商はより長い時間を待つ必要があるかもしれない。2014年10月にロシア副首相ロゴージンは、しばらくのところ新たな空母建造の任務は全くない、とした。2020年までの国家武器綱要には空母建造は規定されていない。空母を建造するか否かは地縁政治の決策に属し、軍事領域の決策ではない。

事実、ロシアが真に要求に符合する空母の建造という方面ですでに25〜30年立ち後れていることは認めることが必須である。今日の地縁政治的危機の状況下で、ロシアがこのプロジェクトを遅延させるか否か、資金を集中して陸軍および空軍装備の開発と交換に用い、「アーマタ」新世代メインバトルタンク、スホーイーT-50新世代戦闘機、新型潜水艦、弾道ミサイル、防空システムに重点的に投資するべきか否かは非常に言い難い。だが現在の危機が去った後、空母問題は必ずや再度議事日程に上がることになるだろう。


 客観的に見て現時点で空母の優先順位は相対的に低いでしょう。原子力空母やカタパルトの経験がないためおそらくある程度の障害にも直面するでしょうし、実現は相当先になる、しかもアメリカ最新型空母に匹敵するようなものにはならないと見るべきでしょうね。

















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