遼寧艦隊の5大弱点とは

 他との重複部分も多いですが、これまでで一番まとまった記事に感じます。

http://military.china.com/important/11132797/20131206/18199431.html


国防大学教授:遼寧号空母戦闘群に五大弱点あり

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「遼寧艦隊は将来比較的強い防空作戦能力を具備することになる」)

原題:南中国海に遼寧号空母戦闘群がやって来た

咼中安 李偉

11月26日、中国初の空母遼寧艦は青島港から抜錨して出航し、ミサイル駆逐艦とミサイル護衛艦の随伴の下南海にまっしぐらに赴き、科研試験と軍事訓練活動を展開する。これは遼寧艦就役以来初めて組織された海区をまたいでの長時間航行訓練であり、初の空母艦隊の形式をもって行われる遠距離航行訓練でもある。

遼寧艦を核心とする空母戦闘群が南海に赴いて初の訓練を行うことは、遼寧艦の戦闘力と威嚇力に新たな向上があったことを示す。これは我が国の長期にわたる南海に海があって防備がない局面を改変することができ、必ずや南海情勢に対し重大な影響を生じさせることになる。これは疑いなく中国南海海防史上の1つの大きな突破である。

遼寧艦の南海に赴いての試験訓練の意義は重大

遠海航行訓練を行うことはある空母の定型と作戦能力実現が必ず経る必要のある道である。依然科研試験および訓練段階にある遼寧艦にとって、今回の管轄区をまたいでの長時間航行は年度の正常な訓練課目である。

南海行きは、空母の遠海航行の状況に対し、飛行機の発着などを含む各方面の全面的テストを行い、各種装備の性能を検証し、もって後続の装備試験と訓練任務のために良好な基礎を打ち立てることができる。その目的は主に3つの方面に体現される。

1つ目は連続作動条件下での全艦の装備の性能に試練を与え、後続の科研訓練任務のためにデータを提供し、経験を積むこと。

2つ目は異なる気象水文条件下で装備の性能を試験すること。我が国の北方海域と南方海域の気象水文条件には非常に大きな差異がある。異なる環境の武器装備の性能、特にレーダー、ソナーの探知計測方面の性能に対する影響は非常に大きく、空母の各装備の適応性に対しテストを行う必要がある。

過去遼寧艦は常に青島をメインとする北方海域で訓練を行い、艦上の将兵はこの海域の海の状況に対し比較的熟知している。今回海域が非常に広く、水文気象条件が相対的に複雑な南海海域に到達して訓練と試験を行うことは、装備の性能をより全面的に検証することができる。

同時に、未来の作戦上の必要性という角度から見て、南海の水深の深い海域は中国海軍の未来の大型戦闘艦が主に活動する海域であり、この海域を熟知することは遼寧艦にとって非常に重要なだけでなく、その他の艦艇にとっても大いに必要なことであると言える。

3つ目は部隊の全体的訓練レベルに試練を与え鍛錬すること。空母を中心とした各課目の訓練を通じて、艦隊の各作戦艦艇の協同、マッチング性を増強することができ、さらにこれを契機に多数の素質の高い空母人員を養成することもできる。これは強大で近代化された海軍建設に必然の要求である。

遼寧艦が黄海から南海に進入する最も便利な航行ルートは2本ある。1つは黄海から東海に進入し、さらに台湾海峡を経て南海に進入するもの。もう1つは黄海から東海に進入し、さらに宮古海峡、あるいは与那国島付近の海域を経て、台湾とフィリピンの間のバシー海峡を通過して南海に進入するもの。遼寧艦は今回第1のルートを選択し、しかも海峡の中心線以西に沿って、すなわち大陸東南沿岸にぴったり沿って航行した。

第1のルートの選択は、遼寧艦が現在依然訓練と科学実験の段階にあることを表明している。同時に、防空識別圏設定によって引き起こされた緊張した情勢も避け、このことは中国が決して1、2件の戦略武器で他国を威嚇することを望んでいないことを説明している。また、中国はさらに事前に遼寧艦が南海に行くという情報を発表しており、これは善意を体現し、南海周辺国の懸念を低下させた。

現在、実戦機の航続距離が限られていることは我が国が南沙水域で軍事的プレゼンスを保持することの重要な制約である。このことは我々が南海で長期の戦闘機巡航と威嚇を保持することを非常に難しくしている。特に最南端の曾母暗沙一線の海域に対しては、ひとたび有事になれば、我々が遅れず迅速に事件の発生した海域に到達することは非常に難しい。だが遼寧艦の南海到達はこの形勢を完全に逆転させることになる。

空母上から随時発進できる殲ー15戦闘機であるから、半径800km〜900kmの範囲内の目標に対し監視と威嚇が行える。これは中国海軍の軍事行動範囲を極めて大きく広げることになり、中国海軍がまさに近海防御から遠洋防御に向かいつつあることを示している。例えば、移動する空母上から発進すると、殲ー15の作戦半径は黄岩島を含む中沙群島をカバーできるだけでなく、南沙群島全体および南海周辺の陸上目標がカバーでき、その中にはフィリピンの首都マニラが含まれる。

国家戦略レベルから見ると、遼寧艦の南海行きは我が国の総合的実力の向上を集中的に体現しているだけでなく、中国空母が有効に国家の安全と海洋の利益を維持保護することができ、国家の平和的発展のために有力な戦略的支えを提供し得ることを説明している。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「殲ー15戦闘機は遼寧艦のために外層の防護を提供できる」です。)

「駆逐艦2護衛艦2」の空母艦隊の5大弱点

今回の遼寧艦の遠距離航行訓練は、初めて空母戦闘群の形式をもって出現した。この空母戦闘群の中には2隻の051C型駆逐艦、艦ナンバー115沈陽艦と116石家庄艦、そして2隻の054A型護衛艦538烟台艦、550ウェイファン艦が含まれる。この4隻の航路護衛水上艦艇はいずれも新型艦で、汎用性がよく、かつ比較的高い航続力を持ち、長時間空母のために航路護衛できる。

2隻の駆逐艦は比較的強い区域防空および対艦能力を持ち、対空警戒哨戒艦を担当し、空母自体に早期警戒機がなく早期警戒ヘリのみに頼って探知計測、捜索、監視等を行う能力の不足を補い、空母の対空防御探知計測能力を強化することができる。駆逐艦上の艦載ヘリは防空と対潜の任務を遂行できるだけでなく、さらに艦艇の防御範囲を拡大、延伸できる(頑住吉注:駆逐艦搭載のヘリは防空の役にはあんまり立たないんじゃないですかね)。

2隻の護衛艦も一定の防空能力を持ち、かつ対艦対潜の総合作戦能力がいずれも比較的強い。駆逐艦と護衛艦ははるかに離れて相呼応し、内側と外側の2つの異なる海域から共同で空母戦闘群の対空、対艦、対潜作戦を担当する。

防空任務の分業では、遼寧艦上の殲ー15戦闘機は主に遠距離防空を担当し、2隻の駆逐艦は主に中距離防空を担当し、HHQ-16を配備する2隻の護衛艦は主に近距離防空を担当する。対艦作戦に関して言えば、空母自体の艦載機が主要な打撃力量であり、護衛艦上に装備されるYJ-83対艦ミサイルも比較的強い攻撃力を持つ。

遼寧艦が「駆逐艦2護衛艦2」を引き連れて南海に到達したのは、主に艦隊の訓練を強化するためである。訓練を通じ、空母艦隊の主戦艦種を試験し、空母艦隊内部の各艦艇の間の協同能力を検証、鍛錬することができる。これは空母戦闘群が戦闘力を形成する過程でマイルストーンとしての意義がある。

空母の作戦はいつも艦隊の形式で出現する。空母自体が単独であらゆる作戦任務を完成させることは不可能であり、艦隊の中のその他の艦艇が空母のために保護、航路護衛をすることが必須である。このため、遼寧艦は艦隊協同、単一機、複数機の発着、対潜および防空など多くの課目の科研訓練を設定し、かつこれにより遠洋航行の特徴、規律を熟知し、艦艇間の協同動作を理解する。

だが我々は、空母の数の上でも、空母の総合作戦能力の上でも、中国とアメリカにはまだ非常に大きな隔たりがあることをはっきり認識することが必須である。専門家たちは普遍的に、世界の範囲で見て、アメリカ空母の実力は最強で、ロシア、イギリスがその次だと考えている。今遼寧艦の実力はロシア、イギリスの空母と大差なく、第2グループに属する。だが遼寧艦の現在の「駆逐艦2護衛艦2」の艦隊から見て、それにはまだ少なからぬ弱点がある。

第1に、遼寧艦の核心装備はロシアの技術を採用しており、航続能力が不足、遠洋作戦能力が限られているという問題が存在する。

第2に、アメリカ空母は現在すでに200海里〜300海里飛行できる無人作戦機を配備しているが、遼寧艦は現在まだこのレベルに到達していない。

第3に、艦載装備の性能から見て、遼寧艦上の戦闘機には電子システムや武器装備などの方面においてまだアメリカのF/A-18E/F「スーパーホーネット」艦載機に比べ遜色がある。殲ー15はスキージャンプ発進ができるが、一般に中、近距離の制空格闘にしか適せず、空中で有効な滞空時間を保持できない。一方アメリカ空母艦載機はC-13蒸気カタパルトを用いて射出され、重搭載発進ができる。殲ー15は一般に2発のYJ-83対艦ミサイルを搭載して近距離対艦任務しか遂行できないが、F-18は4発の遠距離「ハープーン」対艦ミサイルを搭載することができる。

第4に、米軍の空母は強大な早期警戒偵察能力を持つ。そのE-2「ホークアイ」早期警戒機は偵察高度でも偵察距離でも、遼寧艦が現在装備するKa-31早期警戒ヘリに勝っている。

第5に、空母は通常大型の戦闘群を形成する必要があり、それでやっと強大な作戦能力を持つのである。大型空母戦闘群の中には各種の類型の艦艇を配備し、かつ各艦艇の間で有機的に協同できるべきである。中国空母艦隊は現在まだこの点を達成していない。

人々は遼寧艦の今回の遠距離航行に潜水艦と補給艦の随伴がないことに注意を向けている。だがこれは初めて空母艦隊訓練を行う遼寧艦にとっては非常に正常なことと言える。何故なら空母艦隊の訓練は不断の試験と模索を行う必要があり、順を追って一歩一歩進める過程であり、今回の任務は主に水上艦艇との共同訓練を行うことなのである。

だが、作戦機能を持つ空母艦隊は、潜水艦および補給艦の随伴と切り離せない。現在の空母戦闘群は多種の作戦任務を執行できることを特に重視しており、遼寧艦がこの実力を具備するにはまだより多くの、総合作戦能力のより強い戦闘艦を配備する必要がある。

アメリカの基準に照らせば、1つの空母戦闘群は少なくとも1隻の空母、1隻の巡洋艦、1〜2隻の駆逐艦、および総合補給艦、潜水艦などを包括すべきである。大型空母戦闘群は作戦時通常数十隻の艦艇を配備する。このため、今回遼寧艦が組成した空母艦隊は、まだ真の意味で完全な作戦機能を持つ空母艦隊ではなく、空母艦隊の「雛形」と呼べるに過ぎない。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「殲ー15は同時に中国空母艦隊の打撃のための腕でもある」です。)

今後の試験訓練任務は依然非常に重要

2012年9月25日の就役以来、遼寧艦の各項目の試験および訓練活動は着実に推進され、相次いで100回余りの訓練と試験を行い、艦載戦闘機制動着艦、スキージャンプ発進、駐艦飛行、短距離スキージャンプ発進、艦載機最大重量発着、弾薬搭載試験、複雑な気象条件下での連続発着、艦載戦闘機飛行員上艦飛行、着艦指揮員の成功裏の空母資格認証パスなどの試験と訓練を完成させた。こうした訓練は遼寧艦の戦闘力形成に対し基礎的な作用を持ち、かつこの艦に一定の作戦能力を持たせた。

遼寧艦就役後2ヶ月で、即成功裏に艦載機の初の着艦訓練が行われた。2013年2月、遼寧艦は休養整備3ヶ月近くの後に大連造船工場の埠頭を離れ、関連の武器装備実験を行った後、青島某軍港に停泊し、空母軍港がすでに停泊保障能力を具備していることを示した。4ヶ月後、遼寧艦は初めて新母港を離れ、海に出て科研試験と訓練を展開した。2013年9月になって、遼寧艦は今年3回目の海に出ての試験任務を首尾よく完成させた。11月29日、またスムーズに三亜某軍港に停泊した。

1年余りのうちに、反復しての試験、訓練、すり合わせを経て、遼寧艦はすでに艦載機、水上戦闘艦とセットで戦闘群を組成し、かつ早期警戒能力、艦と艦載機のマッチング、人と武器の結合、各システムの協同能力などの方面で重大な進展を取得した。現在、すでに初の空母艦隊が組成され、遠距離訓練が行える。

1年来の訓練と実験は、遼寧艦の武器装備、各種後方勤務補給、装備技術保障、組織管理に何度もの実際の検証を得させ、艦員の心理的素質も何度もの航行と海上漂泊の中で試練を受けた。この種の総合的全面訓練と検証は、我が軍の海戦理念の昇華の促進、海戦模式の変革に対し深遠な影響を生じさせ、海軍近代化レベルの向上、海上防衛作戦能力の増強、海洋の平和と安定の維持保護に対し重大な意義を持つ。

訓練成績は立派だが、結局のところ遼寧艦は就役からやっと1年余りなのであり、まだ多くの訓練課目が完成されていない。現在、遼寧艦自体の戦闘能力はなお不完全であり、増してや遠海作戦を行うのは難しい。遼寧艦は真に総合化、一体化された全体作戦能力を形成する必要があり、空母を核心とし、駆逐艦、護衛艦、潜水艦、補給観など異なる機能の航路護衛艦艇によって組成される空母戦闘群を形成することが必須である。このような目標を実現するには、まだ非常に長い行かねばならない道があり、まだ何年かの時間のたゆまぬ努力を必要とする。

国際慣例によれば、空母が就役から真に戦闘力を形成するまで通常5〜8年を必要とし、最も早くても3年前後を必要とする。この過程の中で、空中実戦機、水上艦艇との間の協同訓練を行う他、さらに空母艦隊と衛星など宇宙基地システム、各種早期警戒偵察システムとの密接な協調、艦隊の中の潜水艦や各艦艇との間の密接なマッチングを確保し、各システムが通信、指揮統制、データリンクの情報伝達などの方面のシームレスな連結を確保することが必須である。同時に、空母戦闘群の作戦編成、作戦方法、作戦思想、戦術運用、補給方式など多くの問題を完備したものにすることが必須である。

この基準に照らせば、遼寧艦はまだ非常に多くの訓練任務が完成されておらず、今後の訓練任務は依然非常に重要である。将来訓練課目の不断の深化と共に、遼寧艦を核心とする空母戦闘群は必然的に再編され、潜水艦、総合補給艦などが配備されて遠海訓練が行われる。より遠い海域に行くだけでなく、さらに異なる作戦対象に照準を合わせ、多種の艦隊方式を探索する。この過程はまさに遼寧艦の不断の改良と向上、戦闘力形勢の過程なのである。(文章を作成した組織:国防大学)

(頑住吉注:4ページ目)051Cミサイル駆逐艦は遼寧艦隊の防空の支柱である

(頑住吉注:5ページ目)054Aミサイル護衛艦は空母艦隊の防空を助けることができる

(頑住吉注:6ページ目)アメリカ空母艦隊の全体的作戦能力は非常に強大である

(頑住吉注:7ページ目)中国空母艦隊は充分多い航路護衛艦艇を必要とする

(頑住吉注:8ページ目は1ページ目と同一です。)


 「今遼寧艦の実力はロシア、イギリスの空母と大差なく、第2グループに属する」と言ってますが、それは空母のカタログデータ上のことで、何十年もの運用経験を持つ国とたった1年余りの国が総合的に同列の実力を持つとは信じられません。「空母が就役から真に戦闘力を形成するまで通常5〜8年を必要とし、最も早くても3年前後を必要とする」に関してもそれは空母の運用経験を持つ国にとってはそうだ、ということであり、全く初めての国なら当然もっと時間がかかる可能性が高いでしょう。

















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