フィリピン、スペインから空母を購入か

 まさかと思ったんですが。

http://military.china.com/important/11132797/20130527/17855367.html


ロシアメディア:フィリピンにスペインの退役軽空母購入の意志あり

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「資料画像:『アストゥリアス親王』号軽空母」)

ロシアの「リンク」ネット5月24日の報道によれば、フィリピン国防省には、スペイン海軍が今年初めに退役させた「アストゥリアス親王」号軽空母を購入する意志がある。スペイン現地メディアの報道は、もしフィリピン・スペイン双方が最終的に空母購入契約を締結できれば、スペインのNavantia造船工場は購入側の要求に照らし空母に対し近代化グレードアップと改装を行うことになる、とする。

スペインメディアの報道によれば、現在すでに多くのアラブおよびアジアの国々が「アストゥリアス親王」号空母購入の希望を示している。だが、スペイン国防省は現在、具体的にどの国とは決して漏らしてはいない。この前、インドネシア国防省が「アストゥリアス親王」号空母に対し興味を示したことがあるが、その派遣した代表団がこの空母を見学した後、最終的に購入計画を放棄した。インドネシアサイドは購入放棄の原因を説明していない。

「アストゥリアス親王」号軽空母は今年2月初めにスペイン海軍から退役した。スペイン軍は当初この空母を解体する計画で、しかもすでに一部の設備は除去されている。スペイン軍は3月初め、すでに数カ国が購入希望を表明していることを考慮し、スペインは「アストゥリアス親王」号を他国に転売したい、とした。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「アストゥリアス親王号はスペイン海軍がすでに退役させた空母で、スペインの歴代3隻目の空母でもある」です。)

「アストゥリアス親王」号空母は1982年に建造が開始され、1988年に正式にスペイン海軍に編入された。この艦は全長195.9m、全幅24.3m、喫水9.4m、満載排水量17,200トン、全通式飛行甲板は長さ175.3m、幅29m、スキージャンプ滑走路前部の上昇角は12度である。その動力装置は2台のLM-2500ガスタービンで、総出力は46,400馬力、最大航行速度は25ノット、航続力は20ノットで6,500海里である。

スペイン海軍がこの前公開したデータによれば、「アストゥリアス親王」号の平時の搭載機は22機で、これには10機のAV-8B垂直/短距離離着陸戦闘機(頑住吉注:ハリアーII)、6機の「シーキング」ヘリ、2機の「シーキングAEW」早期警戒ヘリ、4機のAB-212ヘリが含まれる。緊急状況下では37機を搭載でき、このうち17機は機格納庫に置き、20機は甲板上に置く。この艦の艦員編成は600人で、別に230名の航空人員がいる。(範尭)

(頑住吉注:3ページ目)アストゥリアス親王号空母は前スペイン艦隊旗艦である。艦の名はスペイン皇太子の称号から来ている。

(頑住吉注:4ページ目)アストゥリアス親王号は12機のAV-8B/B+ハリアー式垂直/短距離離着陸戦闘機、12機のヘリを搭載し、通常6機のSH-3Hシーキング式対潜ヘリ、4機のAB-212汎用ヘリ、2機のSH-3 AEWシーキング式早期警戒ヘリである。

(頑住吉注:5ページ目)飛行甲板が長さ175.3mしかないので、艦首の滑走路末端に12度の仰角があるスキージャンプ甲板(長さ46.5m)が追加装備されている。

(頑住吉注:6ページ目)この艦の最高航行速度は27ノットで、20ノットの航行速度で6,500海里航行できる(頑住吉注:本文と最大速度が食い違ってますが)。

(頑住吉注:7ページ目)もしフィリピンが退役空母を獲得しても、海軍が立ち後れた局面が根本から変わることはない。

(頑住吉注:8ページ目)フィリピン海軍は南海諸国の中でほとんど最弱である。


 この艦に関しては確か「世界の21隻の現役空母」で初めて触れ、その後昨年12月2日のコラムの「強襲揚陸艦によって取って代わられる スペイン海軍唯一の空母、2013年に退役」、そして今年2月17日のコラムの「スペイン唯一の空母、解体へ!」で触れました。最後の記事には「メディアの分析は、軍艦の平均寿命は30年前後であり、しかも『ア号』の前のスペイン空母『デダロ号』の就役時間は45年の長きに渡った、と指摘する。このため、維持修繕経費の欠乏と非常に高いメンテナンス費用が、『ア号』が繰り上げて歴史の舞台に別れを告げる結果をもたらした真の原因である。」(アストゥリアス親王号空母は就役から25年しかたっていません)、「報道によれば、『ア号』は2003年に大規模維持修繕を行うことを必要とし、この時の維持修繕はこの艦の就役期間の延長を助けることができたが、維持修繕費用は4億ユーロにも達し、最終的に中止が迫られた。」とあるので、金と手をかければまだしばらく使えるのは確かなようです。ただし、「充分なメンテナンスが行えなかったため、『ア号』の老化は深刻で、しかもこの空母の維持には毎年3,000万ユーロにも上る費用を消耗する必要があり、スペイン軍全体が大規模緊縮を行っているのと同時に、このように非常に高い代価を払って加速して老化中の空母を維持するのは、明らかに持続できないことである。」ともあり、インドネシア代表団が現物を見た上で購入を断念したのは本来なら10年前に行うべきだった大規模維持修繕が行えなかったことが原因で老朽化が想像以上に深刻だったからかもしれません。

 マゼラン率いるスペイン艦隊がフィリピンを初めて訪れて以来(ちなみにマゼラン自身はポルトガル人で、セブ島における原住民との争いで死亡)、スペインとフィリピンには深いつながりがありますが、コラムで紹介した記事を読んだ時も、まさかこの空母がフィリピンに購入される可能性が生じるとは思ってもみませんでした。ただし、心情的にはフィリピンを応援したいものの、空母購入は賢いやり方ではないと思います。空母は単独で戦力を発揮できるものではなく、多数の護衛艦艇などを必要としますが、日本の巡視艇提供に期待するようなフィリピンにそうした大規模な艦隊を維持していける国力があるとは思えません。仮に将来この艦が最も理想的な力を発揮したとしても、その時点の中国艦隊に対抗できるとも思えません。中古空母はそう長く使えるものではないでしょうし、一時の感情にかられて「衝動買い」するのは危ういと思います。たぶんアメリカも支持はしないのでは。

直接関係ありませんがもう1つフィリピン関連の記事を紹介します。

http://military.china.com/news/568/20130527/17856031.html


フィリピン海上警察、台湾漁民射殺が過度の武力使用であることを否認 結論を出すには時期尚早であるとする

【本報駐フィリピン特約記者 黄棟星】 「フィリピン星報」は26日、フィリピン沿岸警備隊スポークスマンであるバリロの話を引用し、フィリピンメディアのいわゆる「フィリピン国家調査局の初歩的調査で、沿岸警備隊人員が台湾漁船を掃射したことは過度の武器使用であり、交戦の原則に違反していることが疑われる、と考えられた」との報道は「なお憶測に属し」、「現在沿岸警備隊人員に法執行上の過失があったと認定するのはまだ時期尚早である。何故なら正式な調査報告がまだ未完成だからである。」と語った。これと同時に、どんどん多くなるフィリピン政界の人物の、アキノ三世非難の行列への加入は、台湾サイドが提出した司法的協力の要求に政府が素早く回答し、漁民射殺問題を適切に解決することをアピールしている。ある議員は次のように疑問を呈する。「台湾サイドはすでに合同調査での調停の姿勢を見せており、我々には同意しない理由はない。我々が何かを隠しているのでない限りは。」

「フィリピン星報」は25日、この調査に近い消息筋の人物の話を引用し、フィリピンサイドの沿岸警備隊による台湾の「広大興28号」漁民射殺案件に対する初歩的調査は、案件に関わった沿岸警備隊人員に過度の武力使用があり、交戦規則に違反した疑いがあることを発見した、とした。この匿名の人物は、交戦規則によれば、海上法執行人員は随意に空に向かって発砲してはならず、もし「広大興28号」漁船の船体にある50余りの弾痕がフィリピン沿岸警備隊の発砲によるものなら、関係した人員には「過度の武力使用」の疑いがあり、また沿岸警備隊人員が発砲後にその場を離れ、船に乗り込んで発砲を受けた者を調べなかったら職務怠慢にあたり、刑事および行政訴訟に直面する可能性がある、と語る。報道は、フィリピンサイドの最終報告には台湾サイドの調査の完成を待つ必要があり、それでやっと発表できる、とする。

これに対しフィリピン海上警察スポークスマンであるバリロは、26日「フィリピン星報」を通じ次のように主張した。「関連のメディアの報道は依然憶測であり、我々は国家調査局の最終報告完成を待つべきである。我々は国家調査局がどんなものを根拠として引用するか理解することが必須である。」、「もし国家調査局が我々の行為は職務上の失策であるとするならば、理由を説明することが必須である。我々は調査局の見つけたものを尊重し、適した時間と場合に回答することになる。」

「中央社」26日の報道によれば、いずれも8人からなる台湾調査団とフィリピン調査グループは27日それぞれ相手方の地に行き、平行しての調査を展開している。フィリピン調査団は「「広大興28号」漁船を調査し、目撃者を訪問し、もし家族の同意が得られれば、さらに射殺された台湾漁民洪石成の遺体を検証し、解剖報告と全案件の関連ビデオを点検する。台湾調査グループは船への搭乗、銃の調査の他、事件発生の録画データを検査し、案件に関わった人員の尋問に協力し、調書、航程記録などを検査することができる。


 この件でもフィリピンがあまり不利な立場に追い込まれないことを願いますが、中国の立場からの報道とはいえこれを読むとフィリピン側の旗色が悪いような印象を受けます。












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