艦載機飛行員の選抜方法

 他国の状況、現状の分析、今後の課題などです。

http://military.china.com/important/11132797/20130814/17996540.html


専門家:中国空母艦載機飛行員は優秀な中から優秀者が選ばれているが隠れたリスクが存在

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「艦載機飛行員の選抜は非常に厳しい」)

評論:どのように空母艦載機飛行員を養成するか

広義から言うと艦載機飛行員は固定翼艦載機飛行員も含むしヘリといった回転翼艦載機飛行員も含む。難度から言うと固定翼艦載機飛行員の養成がきっとヘリ飛行員のそれを超えるだろう。具体的難度に関しては、主に発進と降着という2つの部分にあり、そして降着の難度は発進の難度よりさらに大きいと思われる。

艦載機飛行員の養成訓練は、まず選抜過程である。米軍を例にすると、空母艦載機飛行員の選抜に参加するには少尉以上の将校であることが必須で、主にフロリダ州に位置する海軍航空学院と海軍航空隊士官候補生学校から来て、年齢は18〜32歳、身体条件は視力が0.5未満であってはならず、矯正視力が1.0未満でなく(頑住吉注:意外に緩いんですね。今は肉眼に頼る度合いが低いからでしょうが)、色盲であってはならず、深度視覚に欠陥があってはならない。身長は1.96mを超えてはならず、男性は1.58m未満であってはならず、女性は1.47m未満であってはならない(頑住吉注:ここで男女に差を設ける合理性があるのかちょっと疑問ですが)。第2ステップの候補者選択ではさらに一連の航空選抜系列試験にパスすることが必須で、数学や語学、機械教程、航空航海、立体空間認知および航空に対する興味など知識性の試験もあるし、生理試験もあって選択候補者の一連の生理、心理、背景が飛行に適するか否かテストされる。第3ステップでは、学員は海軍航空兵の知識教育と地上訓練、予備訓練を受ける必要があり、これには基本軍事科目、航空基礎理論、海上サバイバル、生き残りなどが含まれる。第4ステップでは事前訓練終了後、学員は海軍訓練航空連隊(訓練中隊)に派遣されて初級飛行訓練、基礎飛行訓練を受ける。第5ステップでは基礎飛行訓練後、学員がどんな機種の飛行に適するか教官が判断し、その後学員を異なる訓練中隊に編入して高級飛行訓練を行う。全部の課程をパスした者がやっと空母艦載機飛行員になり得るのである。このうち、飛行養成訓練は14〜18ヶ月の陸上基地訓練と6ヶ月の海上実艦訓練を含み、養成訓練の期間はおよそ陸上基地飛行員の2倍、それぞれの人にかかる平均コストは200万アメリカドルである。

単純に飛行員の選抜を比べると、中国海軍とアメリカ海軍の基準には決してあまり大きな差異はない。中国海軍の飛行官募集ウェブサイトからは、中米両軍の海軍航空隊募集基準の主要な差異が性別と身体条件にあることが見て取れる。中国海軍は現在まだ女性飛行員を募集、受け入れていないが、アメリカ海軍空母上にはすでに女性艦載機飛行員がいる。また中国海軍の飛行員募集の視力に対する要求はより厳しく、アメリカ海軍のようにレーシック手術を受けた選択候補者を受け入れることはない。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「アメリカ海軍飛行員の数は非常に多い」です。)

現段階から言うと、中米が育成する空母艦載機飛行員にまだ1つある最も顕著な差異は、中国海軍は多数の現役海軍航空隊飛行員の中から艦載機飛行員を選抜できる、ということである。これは一種の精鋭選抜模式で、現在の米軍のF-22飛行員選抜模式に似ている。中国軍ウェブサイトが明らかにするところによれば、我が軍の初の艦載機飛行員は年齢が35歳以下で、少なくとも5機種で飛んだことがあり、飛行時間が1,000時間を超え、このうち第3世代機の飛行時間が500時間を超え、かつ何度も軍の兵種合同演習、訓練、重大演習任務に参加したことがあり、所属部隊のシード飛行員であり重点的養成対象である。成熟した飛行員の中から選抜することは飛行員の前期養成訓練期間が省け、したがって中国空母戦力化の速度が加速する。

だが、艦載機飛行員養成の難度は空中で機を操縦する技巧にあるのではなく、主に空母上での発着にある。艦載機発着方式の差異に基づき、また2種の異なる養成訓練方式に分かれる。米軍艦載機はいずれもカタパルト発進であり、このことは実際上一定程度訓練内容を簡略化している。何故ならカタパルト発射段階で飛行員はほとんどいかなる動作もせず、エンジンに問題がなく、カタパルト発射される速度が基準に達していさえすれば、実戦機は基本的にもう成功裏に発進できるからである。米軍の主要な養成訓練の重点は降着部分にある。一般の学員は初級訓練完成後、すぐ艦載機の降着訓練を受ける必要がある。いくつかの文章は、米軍のニュージャージーにあるレイクハースト(Lakehurst)航空試験センターのカタパルトおよび制動ケーブル設備は飛行員の訓練に用いるものであるとしているが、これは実際には決して正確ではない。レイクハースト航空試験センターの主要な任務は現役のカタパルトの発射性能の改良と、新世代のカタパルトおよび制動設備の研究開発であって、初級学員を練習させるのでは決してないのである。アメリカ海軍航空隊の学員が空母での発着を訓練するには、まずアメリカ海軍キングズビル基地とミデリアン基地で空母着艦の地上模擬訓練を行い、いかにしてT-45C練習機の尾部フックを用いて制動ケーブルを引っかけるかを学習する。この段階の完成後、飛行員は直接現役空母上で降着訓練をすることになる。飛行員は14回の降着を行う必要があり、このうち10回以上成功裏に制動ケーブルを引っかけねばならず、それでやっと合格と評価されるのである。

これに比べ、ロシア式空母のスキージャンプ発進は飛行員の養成訓練に関し少しより複雑とならざるを得ない。何故なら大型および中型艦載戦闘機のスキージャンプ甲板での発進は、飛行員が正確にエンジンの推力とそれぞれの飛行舵面をコントロールする必要があるからで、カタパルト発進に比べ操作は複雑にならざるを得ないのである。しかもスキージャンプ式甲板は実戦機の高速滑走中、飛行員に「壁にぶつかる」という錯覚をもたらし、このためもあって適応過程が必要となる。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「フランス空母艦載機は規模が比較的小さい」です。)

ソ連は「クズネツォフ」空母の艦載機飛行員を訓練するため、1977年に空母を建造する黒海造船工場に近いウクライナのクリミア半島のサッキ基地に、特別に「ニトカ」地上訓練センターを建造した。米軍のレイクハースト航空試験センターに比べ、「ニトカ」は真に飛行員を集めて訓練を行い、空母発着技術を試験する基地である。基地全体には空母甲板を模した駐機場所、タキシングルート、滑走路、機格納庫などの施設があるだけでなく、さらに完全に実際の艦を模した「地上シミュレーション全スチール構造スキージャンプ発進」甲板がある。これは「クズネツォフ」空母の甲板、制動システム、着艦誘導システムを完全に陸上に運んできたものに他ならないと言える。この装置は液圧システムを装備し、空母の海上航行時に生じる横揺れをシミュレートすることさえできる(頑住吉注:この施設に関する記述はこれまでたびたび出てきましたがこれは初めて見る内容で驚きました)。また、当時のソ連はさらに「ニトカ」センターに1台のカタパルトを装備し、艦載機のカタパルト発進を試験しようとしていた。これは原子力空母「ウリヤノフスク」号でカタパルト発進を使用する準備だった。だがソ連解体によりこの計画は中止させられた。

現在、ロシア海軍航空隊を最もいまいましくさせることとして、「ニトカ」訓練センターがソ連解体後ウクライナの所有に帰したこと以上のことはない。1991年以後、ウクライナは「ニトカ」の一部の訓練実施を止め、ロシアサイドは毎年この地で6〜8週間の艦載機の訓練を行うことしかできない。2008年8月のロシア・グルジア戦争勃発後、ウクライナはロシア黒海艦隊がグルジアを攻撃したことを理由に、ロシア軍艦載機に「ニトカ」で訓練を行わせるのを拒絶した。当時ロシアサイドの機はすでにクリミア半島まで飛ぶ準備をし、ウクライナサイドに向け費用さえ支払い済みだったが、止むを得ず元々の基地に引き返し訓練は中止された。

この件の発生後、ウクライナサイドは2010年にまたロシアに「ニトカ」の使用を許したが、ロシアサイドはすでに自らの艦載機陸上訓練センターを建造する決心をしていた。あるロシアサイドのメディアは、2011年にロシアはすでにアゾフ海のタガンログ湾に近いイェイスク市に新たな艦載機訓練センターを建設していた、と明らかにする。2012年のある画像はロシアがすでにこの地でスキージャンプ式陸上滑走路と制動装置の建設を開始していたことをはっきり示している。ロシアサイドは2013年には自分たちの艦載機にイェイスク訓練センターでの初飛行を実現させられるよう計画し、しかも訓練センター全体の2015年の使用投入を勝ち取ろうとしている。

(頑住吉注:これより4ページ目。画像のキャプションは「アメリカは膨大な規模の海軍航空隊を持つ」です。)

ある評論は、ロシアサイドは自らの訓練施設を建造したが、本国の需要を満足させる必要があった他にもう1つあった考えは「秘密保持」だったと考える。何故ならウクライナはすでにいくつかの「国外ユーザー」向けに解放を行っていたからである。米日などのメディアは「ニトカ」内部の人物の情報を引用し、2006年10月、中国海軍の大型軍事代表団がウクライナを訪問し、詳細に旧ソ連が残した海軍航空隊訓練センターと「ニトカ」訓練施設を視察した、とする。中国・ウクライナ双方はさらに、ウクライナが中国海軍航空隊の空母飛行員訓練を助ける可能性を討論した。それ以後、中国の技術者、飛行員、海軍技術専門家がすぐ「ニトカ」訓練センターを頻繁に訪問し始めた。だがロシアサイドは、もしさらに「ニトカ」の使用を継続したら、その艦載機の実力が外部に漏れる可能性があると考えたのである。

だが、中国のずっと以前からの習慣によれば、この種の海軍の戦略性の発展に関わる重要な訓練任務を国外に置くことはない。米ロなど空母使用国の経験から見て、艦載機の降着こそ飛行員訓練の難点である。そして陸上訓練施設もまた、空母の海上を浮かんで移動する状態をシミュレートすることはごく難しい(頑住吉注:油圧で横揺れを再現するのは確かにすごいですけど動きはそれだけじゃないですからね)。このため、中国が将来遼寧艦1隻しか持たないことはあり得ないことを考慮すると、将来の飛行員の最終発着訓練、審査は、米軍の訓練同様遼寧艦上で完成させることが完全にできる。このようにこの艦の訓練、試験艦としての意義はより突出の度を加え、結果的に中国海軍空母戦力発展の最も重要な礎石となるのである。

艦載機飛行員の訓練に関し、必要な施設以外にさらに重要なのは専用の高級艦載練習機の開発である。いかなる大規模な飛行員の養成訓練作業であろうとも、非常に高価な現役艦載機を大量使用して訓練を行うことは不可能なのである。

艦載練習機の機能は、主力艦載機の発着性能を充分にシミュレートすることであり、まず艦上での発着の要求に適応し、次にできる限り主力艦載機の飛行の品質と作戦機能をシミュレートし、したがって飛行員ができる限り早く作戦装備に適応するための基礎を打ち立てるのである。アメリカ海軍が使用するのはT-45「ゴスホーク」高等練習機で、この機は著名なイギリスの「ホーク」式高級練習機を基礎に改装してできたものである。

(頑住吉注:これより5ページ目。画像のキャプションは「中国は充分に多い空母飛行員を必要とする」です。)

中国海軍に関して言えば、国外の練習機の選択はあまりありそうになく、つまりは国内でここ何年かに登場した「山鷹」、L-15「狩鷹」などの高等練習機を選択する必要がある。2011年、いくつかのテレビメディアは海軍型「山鷹」殲教ー9型機が試験飛行を行うテレビ画面を放送した。この機の後部に着艦フックが見えたため、普遍的に我が海軍艦載戦闘機飛行員の訓練に用いる練習機が初めて明るみに出た、と考えられている。中国海軍が「山鷹」練習機を調達するか否かは知り得ないが、L-15に比べ、「山鷹」は国産化レベルでも艦載改装に向けての進度でも、L-15を超えている。このため、「山鷹」が勝利する希望は間違いなく非常に大きい。

だが、「山鷹」はひとまず「有無」の問題を解決し得るに過ぎず、なお艦載高等練習機の機能を完全に実現することはできない。「山鷹」は依然殲教ー7の設計を換骨奪胎したものであるため、その低速飛行性能には限りがある。このためいくつかの視点は、「山鷹」の位置付けは「艦に搭載されない」艦載練習機であって、艦に搭載する改装の難度を減少し、艦載機飛行員の地上模擬施設での「飛行感覚」、スキージャンプ発進と尾部フックによる着陸の特徴を体験させることに専念し、一方現段階で真の艦上での訓練は複座型の殲ー15戦闘練習機で完成される、と考えている。これは現在の過渡的段階、中国艦載機飛行員養成訓練の数が比較的少ないことに着目して採られた一種の変則的方法でもある。

また、中国は「山鷹」あるいは「狩鷹」を基礎に、成熟した技術を利用し、より推力:重量比が高く、発着性能が優秀で、フライバイワイヤシステムを持つ艦載練習機を作り出し、実際の空母でのスキージャンプおよびカタパルト発進、そして制動による降着の必要性を同時に満足させる艦載練習機を作り出すこともできる。この種の「真の」空母艦載機は、飛行員に現有の遼寧艦での実際の発着を実現させることができるだけでなく、さらに将来のカタパルト使用のために伏線を張ることもできる。

(頑住吉注:これより6ページ目。画像のキャプションは「空母飛行員と艦載機は同様に重要」です。)

訓練施設と練習機以外で、外界がまだ注意を向けていないかもしれないのは、海軍が空母開発を開始した後は飛行員に対する需要がより大きくなることである。何故なら中国海軍の現有の空母艦載飛行員は皆現役飛行員の中から「優秀の中から優秀を選ぶ」ことをされたものだが、これは初期の便宜的な間に合わせの措置であり、空母プロジェクトのスムーズな始動のためでもあるからだ。だが後にはこのような方法では明らかにダメであり、何故ならこれは現有の海軍航空隊の戦闘力を希釈するだけでなく、さらに大多数の成熟した飛行員は飛行習慣がすでに養成された前提の下でさらに空母での発着に適応していくのは非常に困難でもあるからだ。このため現有の我が軍の艦載機飛行員は、艦載機の関連のテスト任務を完成させる必要があるだけでなく、さらにワンセットの我が軍の現実に符合した艦載機飛行員訓練養成の方法をも模索する必要もある。若い飛行員を最初から養成し、空母艦載機飛行員の充足した蓄えを提供するためにである。

ここ2年、海軍の飛行員募集はすでに規模を拡大しており、元々あった遼寧、山東、河南、河北の4省から、山東、安徽、河南、湖北、遼寧、河北の6省39都市にまで徐々に規模を拡大している。当然中国空軍の全国にあまねく及ぶ膨大な飛行員募集計画に比べれば、海軍航空隊の規模はずっと小さい。しかも女性飛行員の募集、受け入れ、北大、北航、清華大学の飛行国防生の募集、受け入れから見ても、海軍航空隊と空軍には隔たりが存在する。米軍の現状から見て、空軍の全ての飛行員の数は約13,000人前後であり、このうち戦闘機飛行員は約3,600人前後である。だが海軍の飛行員の数はさらに膨大であるようだ。中国空母の規模はアメリカの規模に達しないが、中国海軍航空隊がより多くの質の高い飛行員を必要とするのは避けられない趨勢であり、このことは必然的に海空軍飛行員資源の新たな分配と調整をも引き起こす。

飛行員というこの群体の他、中国海軍はさらに一定数の飛行将校を養成する必要がある。すなわち艦載早期警戒機、艦載電子戦機上で「非飛行」任務を執行する将校である。この種の将校は数は比較的少ないが、役割は非常に重要であり、空母全体の作戦に対し特殊な作用がある。総合的に見て、空母の出現は中国海軍が戦略という高度から人材養成を統一的に計画配案する必要があることを意味している。

(頑住吉注:7ページ目)アメリカ海軍飛行員の訓練レベルは比較的高い

(頑住吉注:8ページ目)中国はまず中小国の空母艦載機部隊を模倣してもよい


 いろいろなるほどと納得させられる内容が多かったですが、日本がF-35Bを艦上で運用する可能性が話題になってますけどこれは想像以上に大変なことのようですね。



















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