「北斗」と「グロナス」、相互補完しGPSに対抗?

 もう何度か取り上げている話題ですが。

http://mil.news.sina.com.cn/2014-10-09/1723804720.html


中ロ、手を携えてアメリカに対し衛星ナビゲーション戦を開始 位置決定の精度大幅向上へ

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「北斗衛星ナビゲーションシステムの説明図」)

アメリカ軍が1990年代に全世界をカバーするGPSグローバル衛星位置決定システムを建設してから、このシステムは広範に軍事および国民経済領域に用いられている。人に制限を受けることを避けるため、ロシア、EUそして中国は相次いで自らの衛星位置決定システムを研究開発しまた建立した。最近、上海協力機構ドゥシャンベ(頑住吉注:タジキスタンの首都)サミットの期間伝えられた情報からすると、中ロ両国の衛星ナビゲーションシステムの協力はすでに始動している。専門家は、中ロが衛星位置決定システム方面の協力を展開することは、必ずや「北斗」、「グロナス」2大システムの信頼性とナビゲーション精度をさらに新たな段階に上げ、両国の戦略的安全保障協力のために新たなマイルストーンを樹立することになる、と考える。

2大システム、あるいは手を携えることになるか

ロシアの「情報報」は、今年9月には早くも、ロシア航空宇宙署長アオスタピェンコが北京を訪問した時、中国の同業者と航空宇宙領域の協力発展につき意見を交換し、「モスクワは年内に北京と関連の協議を成立させる計画で、両国は相手方の国内に互いに3つの(ナビゲーション衛星)地上コントロールステーションを設ける」、と報道した。

中ロはさらに今後統一したグローバル衛星ナビゲーション空間を建設することを考慮しており、今年の夏に行われた両国代表の協議の結果を根拠に、双方は「グロナス」、「北斗」衛星ナビゲーション設備の統一基準化につき協議を行う。ロシアの「グロナス」国際プロジェクト指導者バンダリェンコは、「ロシア・中国協力の考え方は大西洋から太平洋までの統一された衛星ナビゲーション空間を建設することだ。」と語る。彼は、協力開始実現のため、「中ロはいくつかの実験的プロジェクトを討論しているところで、これには国境をまたぐ輸送車のために合同でナビゲーションおよび情報サービスを提供することが含まれる。」とした。

ロシアの「グロナス」国際プロジェクト副総裁ベレンコは、「グロナス」と「北斗」システムには相互に互換性があり、互利互恵の考慮に基づいている、と強調する。例えば、ロシアの「グロナス」の位置決定サービスの範囲は極地や緯度の高い地域に重点が置かれ、中国の「北斗」のサービス範囲はやや緯度が低めの地域をカバーし(頑住吉注:アセアン諸国を重視してますからね)、もし合同でのナビゲーションが実現したら、世界で最も理想的なナビゲーション体系となる。

「ナビゲーション戦」は至る所で

ロシアの「視点報」は、中ロが巨資を投じて独立した衛星ナビゲーション位置決定システムを建立するのは、非常に大きな程度上国防安全保障の考慮から出ており、また今両国が衛星ナビゲーション位置決定方面で協力を深く検討するのは、民間用の価値の考慮の他、国家の安全保障の需要も軽視できない、と指摘する。

現在、衛星ナビゲーションシステムは海陸空交通プラットフォームのためにナビゲーションを提供するだけでなく、多くの軍事施設のために制御誘導サービスを提供しており、精度はm級に到達可能で、しかもほとんど天気の影響を受けない。もしある国が全ナビゲーション、位置決定および制御誘導システムを現在覇者の地位にいるアメリカのGPSシステムに依存していたら、非常に危険なことになる。

客観的には、アメリカが某国あるいは某地域に対しGPS信号サービスをシャットアウトする可能性はごくごく小さい。何故ならこれは「付帯殺傷」を生み出すことになるからである。GPS受信機は4つの衛星信号を受信する必要があるだけでもう位置決定でき、通常某大都市内では最多で10個余りの衛星の信号を受信でき、もしこの都市に充分なGPS信号を受信できなくさせようとすると(つまり4個)、GPS星座上の半数の衛星をシャットアウトしなくてはならず、これは必ずやその他の地域のナビゲーションサービスに影響する。このため、アメリカが軽々しくGPS信号サービスをシャットアウトすることはないだろう。

だがアメリカにはGPS信号を妨害、複製あるいは偽造し、ユーザーに非常に大きな面倒をもたらす能力がある。イスラエルの「国土報」は、最も早くこの手段を利用したのはアメリカではなく、イランである、と報道した。2011年12月アメリカの1機の「センチネル」ステルス無人機がイランによって鹵獲され、後にイランの技術者は、イランはまず無人機とコントロールシステムとの間の連絡を切断し、しかるのちに無人機に向け偽造されたGPS信号を送り、無人機はこの信号通りにそれが基地と思ったところに着陸したが、実際にはイランの領土に着陸したのだ、と明らかにした。

イランがこのようにできるのであって、GPSの「本家」アメリカも当然問題なくできる。ひとたびアメリカが重要目標付近に偽GPS信号発射器を設置したら、他国がそれを攻撃するGPS制御誘導武器は目標に命中することが不可能になり、甚だしきに至ってはカーブして打撃しに帰って行く。某種の程度上、アメリカは偽造GPS信号によって他国の武器をコントロールでき、このことは他国の実戦機が遠距離航行を行う時、GPS信号が改竄あるいは妨害され、間違った道に誤って入る可能性が高いことを意味している。報道によれば、2008年のロシア・グルジア戦争の期間、戦闘区域に投入されたロシア軍の一部の車両にGPS信号が失われる現象が発生し、アメリカの仕業と関係があると疑われる。

このことから見ると、位置決定ナビゲーション、特に軍用システムの位置決定ナビゲーションをアメリカのGPSシステムに完全に依存することは極めて危険である。このため、たとえアメリカの盟友であるヨーロッパ諸国であっても、むしろ巨費を投じて「ガリレオ」システムを建設したがるのである。

中ロ協力の意義は重大

専門家の説明によれば、現在の各種衛星位置決定ナビゲーションシステムは実際上全て2つに細分できる。その1は精度が比較的低い公開の民間用、その2は精度が比較的高い軍用である。中ロが未来においてもし衛星位置決定ナビゲーション方面で深い協力ができたら、戦略的相互信頼が相当な高さに達していることを体現するだけでなく、さらに各自の位置決定システムの精度と信頼度を大幅に向上させることができる。

専門家は、中ロに関して言えば、協力の第一歩は相互に地上コントロールステーションを建設することである、と考える。こうしたステーションポイントは衛星信号の修正に用いることができる。地上ステーションの大地座標を正確に計測し、しかるのちに受信した衛星信号の座標と対比し、信号の誤差を測定算出し、さらには衛星システムの修正にフィードバックする。ロシアの「導報」は、ロシアは中国国内に3つの「グロナス」地上ステーションを持つことを勝ち取る他、さらにカザフスタンに2つの地上ステーションを配備し、ベラルーシに1つの地上ステーションを配備する計画である、とする。もし既存の23の地上コントロールステーションを加えれば、その位置決定の精度は1mにまでアップすることが有望で、このことは「グロナス」の位置決定精度がアメリカのGPSと同等になることを意味している。

「北斗」に関しては、その中国の大部分の地域における位置決定の精度はすでに10m未満で、将来もしグローバル化された衛星星座が完成したら、国外に地上ステーションを建設することが必須であるが、ロシアの国土面積は広大であり、非常に修正ステーション建設に適している。

次に、中ロの衛星位置決定ナビゲーションシステムが相互に相手方の信号を共用することによって、信頼性を高めることができる。もしロシアの「グロナス」衛星信号が妨害されたら、ユーザーは中国の「北斗」衛星信号をキャッチでき、逆もまたしかりである。このことは、両国の位置決定ナビゲーションの安全に「ダブルの保険」が得られることを意味している。張亦馳 柳玉鵬 (新浪軍事)


 日本が独自にこうしたシステムを建設することは現実的ではないと思いますが、GPS、「北斗」、「グロナス」の信号を妨害したり偽の信号を出したりする研究は進めるべきでしょうね。





















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