中国とベトナムがもし今再び戦車戦を行ったら

 コラムで何度か紹介した「熱狂的民族主義者」、「アドルフ2世」氏による、中越戦争における戦車戦と、現在の双方の実力に関する分析です。

http://adaofu2.blog.china.com/201208/9957127.html


ベトナムとの再戦:中国戦車部隊は前回の恨みを晴らし敵を打ち負かす!

1979年の対ベトナム自衛反撃戦では解放軍装甲兵も多くの連隊を編成して参戦し、これは解放軍の建軍以来唯一の大規模な装甲部隊を運用しての戦争だった。解放軍は東西両方向から戦車、自走砲、装甲車、牽引車などの装軌式車両全部で約700両を参戦させた。装甲兵部隊の戦果と戦損から見て、言えるのは標準的な「殺敵一千、自損八百」だということだ。

装甲兵部隊がベトナム軍戦車を撃破、鹵獲した数は1両、損傷を与えた敵戦車14両、装甲車2両、火砲108門、自動車56両、ロケットランチャー150門余り、破壊した火力ポイント1010か所、砲兵陣地9か所。

一方解放軍装甲兵部隊の戦損も深刻で、現場で救出できた戦損533両、後送可能な戦損32両、この他44両の戦車と装甲車が救出できず、あるいはベトナム軍によって完全に破壊され、処置後遺棄された(頑住吉注:処置というのはベトナム軍に再利用されないため重要部分を破壊したということでしょう)。第二段階の作戦になった時は、装甲部隊にはすでに基本的に突撃能力はなく、歩兵に随伴して火力支援を行うことができるだけだった。

とても鬱憤の晴れない、やや落ち込む戦いであった(頑住吉注:要するに惨敗であり、何で「殺敵一千、自損八百」なのか意味不明です。検索しても分かりませんが、あるいはこれは惨敗を糊塗する決まり文句か何かなんでしょうかね)。

このような結果がもたらされた原因は、主に4つの方面の問題だった。

第1に、ベトナム北部の地形が戦車の作戦に適さず、山高く、道険しく、森が密な地形はベトナム軍が展開する各種の戦術に良好な戦場条件を提供した。私はベトナム軍の戦術能力を過大評価する必要はないと考える。ベトナム軍をイラクの砂漠に配置したら、そのパフォーマンスは絶対にアラブ人に比べいくらもいいはずはない。

第2に、空中支援の欠乏である。空軍を戦車と組み合わせる作戦模式は、第二次大戦の時期にすでに出現していた。ドイツ軍がもし戦車だけに頼り「スツーカ」急降下爆撃機を持たなかったら、「電撃戦」の効果は大幅に削減されたはずである。実に遺憾なことに、それより30年後、中国の戦車部隊は空中打撃支援がないばかりか、空中偵察すらなかった。

第3に、戦車部隊と歩兵、砲兵の協同が良くなかった。当時の中国陸軍はモーター化の程度が全体的に高くなく、機械化は言うに及ばずだった。歩兵は戦車について行けず、歩兵が戦車に乗れば乗ったで敵の待ち伏せ攻撃に遭って死傷が悲惨、重大となった。当時の通信手段も遅れており、砲兵は前線部隊の突撃についていけず、もし遅れず位置についても有効な火力支援を行うのは難しかった。

第4に、戦車部隊の装備も強力ではなかった。1つ目の問題は防御が比較的弱く、ベトナム軍の対戦車兵器の打撃に耐えられなかったこと、2つ目の問題は移動中に正確な射撃ができなかったこと、3つ目の問題は山頂や高地の上の目標を打撃できなかったこと(火砲の仰角の制限を受けて)だった。

もし上述の問題が解決されていたら、中国戦車部隊はベトナムを打ち負かすはずである。それでは現状はどうか? 

地形は依然ベトナムにとって有利である。しかもベトナムサイドはきっと長期的な戦場建設を行っており、防御構築物体系は1979年当時に比べより堅固になり、完備され、これはベトナム軍の優位性である。

中国の優位性は装備レベルの向上にあり、「鳥銃を砲に換えた」と言ってよい(頑住吉注:状況や条件が大きく好転したことを指す一般的な慣用句だそうです)。

空中偵察能力は無人機、殲偵-8(頑住吉注:ミグ-21の発展型殲-8の偵察機版らしいですがあまり情報が見つかりません)、衛星から提供される。空中打撃能力は無人機、武装ヘリ、各種戦闘機により提供される。空中偵察、空中打撃はすでにベトナム軍の展開する戦術空間を極めて大きく圧縮した。もし戦車部隊が積極的に戦わなくとも、空中力量がNATOのユーゴスラビア空爆を見習った攻撃を行うことが完全にできる。

歩兵はすでに完全に機械化されている。1個歩兵分隊はすぐに砲2門の火力直接支援を獲得できる。考えてみれば、中国の歩兵は手にする小銃すらベトナム人に及ばなかったのだ! 何と変化の大きいことか(頑住吉注:1979年時点はベトナムも中国もAK47かそのコピーだったと思うんですが。中国の56式の方がグレードが低かったということですかね)。

砲兵は自走化、情報化、正確化、長射程化、弾種多様化した。人道主義の問題さえ考慮しなければ戦車に支援砲兵作戦を行わせることが完全にでき、ハノイは中国・ベトナム国境から距離300kmを超えず、戦車部隊を戦線から一定距離前進させるだけで、残った問題は直ちに砲兵によって解決できる。

ベトナムに関して言えば、中国の現役戦車の脅威は主に防御能力の向上から来ている。中国戦車の主砲はいかなる時でもベトナム戦車を打ち抜くのに足りる。このため、中国戦車の主砲の威力を深く検討することは、対ベトナムということで言えば意味がない。

ベトナムの対戦車能力を考慮するには、主にロシアの技術水準を見ることになる。ロシアの援助がなければ、ベトナム歩兵の破甲能力は300〜400mmに留まり、中国の現役戦車に対して基本的に打つ手がない。ロシアの現役対戦車ロケットランチャーの破甲能力は600mm余りで、対戦車ミサイルの破甲能力は1200mmに達する。これに対し、中国現役戦車の主装甲にさらに反応装甲あるいは増加装甲を加えれば、これですでに命中時に致命傷を受けるに至らないことが確保できる。この他、我々には近距離炸裂殺傷システム(頑住吉注:第二次大戦時のドイツ戦車の一部に、接近した歩兵を倒すためパチンコ状に「Sマイン」を空中発射して爆発させるシステムが搭載されていましたが、あれの現代版みたいな感じらしいです)、レーザー制圧システム、またアクティブ防御システムもあり、小型対戦車武器の機能を大きく削減できる。現在の問題はこれらの装備が高価すぎ、戦時にならなければ惜しいと思われる装備だということだ。ロシアの対戦車砲の穿甲能力は800mm以上で、中国戦車はこれに撃たれればリスクがあり、側面に命中弾を受ければ直ちに破壊される可能性がある。このため航空機、砲兵、戦車の組み合わせによって殲滅するのが最良である。

総合的に見て、中国・ベトナムはいずれも進歩しているが、中国の進歩の速度はベトナムが追いつけないものであり、このため双方の陸軍装備レベルには巨大な隔たりができている。中国・ベトナムが再戦すれば、中国戦車部隊がベトナムを打ち負かすことになる。


 中国が過去唯一行った大規模な近代的海戦である黄海海戦で惨敗したことがいまだに非常に悔しく思い出されるように、唯一行った大規模な戦車戦で惨敗したことも大きな心残りになっているようです。しかし総合的に中国の兵器の近代化がベトナムより大きいのは間違いないでしょう。問題はベトナムに味方する「地の利」と、基本的に実戦を経ていない中国の各種新兵器が実戦で思わぬ欠点を見せるかどうかだと思います。











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