中国と隣国の外交関係2題

 例によって直接の関係はない2つの記事を紹介します。まずは日中関係関連です。

http://military.china.com/news/568/20141020/18874229.html


専門家:中国には日本に対する充分な精神が欠けている 中日相互理解の促進が必須 (頑住吉注:中国語の「精神」は日本語より意味が広く、ここでは「熱意」、「本気度」みたいな意味ではないかと思います。)

目が中日の上層部だけ注視していると、あるいは錯覚が生じるかもしれない

劉迪

APECサミットが北京で行われることになり、外界は中日首脳が会談するか否かに関心を注いでいる。両国関係が改善し得るのか否かは、政治上の上層部の誠意も必要とするし、民間の関係の改善も必要とする。このため中日関係発展の回復は、希望を1回の上層部の対面に寄せてはならず、いかにして中日社会の普遍的な相互理解を促進するかに関心を持つべきである。

中日国交正常化以後40年余りだが、最も重要なのはいかにして適当に2国間関係の中の問題を管理するかである。当然、領土をめぐる争い、歴史認識がもたらす衝突は、いずれも複雑な管理コントロール技術を必要とする。最近の中日関係緊張のエスカレートは、まさに「適当」に両国関係の中の「宿痾」を管理コントロールしていないからである。当然、域外の力量の「アジア回帰」の要素を否定することはできないし、地域における民族主義勃興の事実を否定することもできないが、別の方面では、この地域の政治の中で、中国に充分な精神、技術的準備および対応方法が欠けていることも、問題拡大化の原因の1つなのである。

中日関係はすでに非常に広大で、深入りした段階に入っている。毎日2万人近くが中日間を往復し、彼らの非常に多くは会社員、学生、観光客である。70万人余りの華僑が日本に居住し、10万人近い日本人も長期的に中国に居住している。彼らのうち非常に多くの人は、すでに相手方の社会に溶け込んでいる。中日の交流がかくのごとく広範で、深入りしているのに、何故両国関係の冷却を抑止できないのか? と問う人がいるだろう。実は我々は、もしこうした人が両国間を往復していなかったら、交流、両国関係の促進は、今日の両国関係よりさらにまずいものになっていたかもしれない、とも言えるのである。

1990年代の国際構造の変化はそれまでの中日の共通の利益の喪失をもたらし、新たな共通の利益はそれにもかかわらずまだ形成されていない。またこの地域には「冷戦が残した構造」もあれば、民族主義の影響もあり、さらには日本の政治家が手中の資源を利用し(頑住吉注:中国語の「資源」も日本語より意味が広く、ここでは「材料」くらいの意味でしょうか)、不断に中国に照準を合わせた「議題設定」を形成してパニックを煽り、もって政権の安定を維持するということがある。地域の平和を要求する声は、世論の主導的地位を占めていない。

中日政府関係の現状は人を失望させるが、我々は依然非政府のルートを通じて中日の信頼の増量発展を促進することができる。両国は市民レベル、メディアレベル、学者レベルにおける対話で事実を提示し、道理を話し、相互に意志疎通し、両国関係の中の人為的な障害を突破することができる。最近、日本のある学者、メディアが日本政府の対中国政策の問題を考え直し始めている。両国の民間の高密度、高い質の交流、討論は、中日の下層の信頼を促進し高めることができる。我々は民間からの動力を掘り起こす必要がある。

歴史を回顧すると、「民をもって官を促す」は毎度毎度両国関係の発展を推し動かす力量に充当されている。今日中日関係の増量発展を提唱するにも、依然「民」の力量の重視が必須である。日本は中国に比べ、その社会組織の努力がより多い。例えば日本の「言論NPO」組織は、ここ10年間毎年中国サイドと協力し、中日世論調査を展開している。彼らの活動は、中日関係がこのような社会組織が両国の民意を調査し意志疎通することが必要であることを表している。当然、中国も社会力量を養成、発展させ、日本社会と対話、交流を展開する必要がある。

社会的力量は国家的力量に比べ大きい。当然この「大」は異なるレベルにある。たとえ政治的力量が社会に干渉したがっても、社会は広範であるがゆえに、政府があらゆる隙を狙うということは非常に難しい。しかも民間では、どんな問題も語ることができる。歴史問題でも領土問題でもである。非歴史、非領土の広範な領域では、社会の対話が存在する空間は極めて広い。こうした領域において、我々は中日の民間の信頼の増量発展を追求することができる。歴史問題、領土問題は一夜にして解決することはできないが、我々は未来において、相互信頼の増強を通じ、発展の中でこうした対立が解決されることに期待することができる。我々にできるのは、中日社会間に強固な結びつきを建立することである。これまでに少なからぬ日本の環境保護組織が中国にやって来て砂漠化を処置し、植樹を行っている。日本でも少なからぬ中国人がボランティア組織を組成して災害区域を支援している。

今日、歴史、領土問題の膠着状況の打開が非常に難しい時、我々は必ずしも目を上層部に釘付けにする必要はなく、目を民間、社会に向けるべきである。中日社会の対話、協力は、相互信頼を高め、中日共生の力量を促進することができるのである。(筆者は日本の杏林大学研究生院教授)


 私は民間の交流が直接的に関係改善につながるとは思いませんが、言論の自由のない中国の人が日本に来たり日本人と話すことによって別の視点が存在する可能性に触れるのは有意義だと思います。

 次は中国・ロシア・インド関係関連です。

http://military.china.com/important/11132797/20141020/18873859.html


スペインメディア:中ロ関係、日増しに緊密に インド、より大きな圧力に直面

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「外国メディアは、中ロのパートナーシップはインド・ロシア関係に比べはるかに深いものに変わり始めていると考える」)

スペインのヨーロッパ・アジア評論ネット10月18日の文章。原題:ロシア、中国を抱擁

ウクライナ危機およびロシアと西側との関係の緊張の激化は、インドの外交政策に重大な挑戦をもたらす可能性がある(頑住吉注:中国語の「挑戦」も日本語より意味が広く、ここでは困難くらいの意味でしょうか)。ロシアが中国を抱擁し、もって西側から来る圧力を緩和するのと共に、インドのアジアおよびそれ以外での地縁政治的活動空間は萎縮することが運命付けられている。

ここ半世紀近くの間、ニューデリーとモスクワの戦略的パートナーシップは種々の波風の試練を経てきた。中国・パキスタン関係と大差なく、インド・ロシア関係は全天候のパートナーシップに属するようだ。何十年来、インド・ロシア関係が安定している一大原因は、中国に対する共通の憂慮にあり、中国と両国はいずれも非常に長い境界線があり、いずれも限定的な国境戦争を行ったことがある。

1980年代、インドとロシアは中国との2国間関係正常化の実現を開始したが、ニューデリーとモスクワは依然として北京およびその戦略的意図に対し警戒を保持した。過去20年来、中国のロシアとインドに対する相対的実力は急速に上昇し、このことはインドとロシアがアジアの力量バランス確保という方面でより相互に必要とすることを意味した。

だが今、中ロの経済、安全保障および政治的関係の顕著な拡大はインドに問題をもたらし始めている。何故なら中ロのパートナーシップがインドとロシアの関係に比べはるかに深いものに変わり始めているからである。ロシアがかつてインドの安全保障業務領域を優待したとしても、北京もまさに迅速にモスクワの重要なパートナーになりつつある。なるほど好評を博するロシア・中国・インドという東方の戦略的三角の中で、ニューデリーの孤独ぶりが目立っているわけである。

今週、ロシア大統領はモスクワで来訪した中国の首相と会見した時、ロシアと中国は「天然のパートナー、盟友そして隣人である」とした。現実主義者はこれに対しあるいは同意せず、隣り合った大国は盟友には非常になり難いと考えるかもしれない。中ロ関係史を熟知する人はこの見方に同意するだろう。スターリンと毛沢東は当初軍事同盟結成を宣言したが、共通のイデオロギーと西側に対する敵意があるにもかかわらず、双方は1950年代末にそれぞれ異なった道を行った。中ソ決裂と中国・インド衝突は同時に発生し、したがってニューデリーとモスクワの戦略的パートナーシップをブーストした。

もし実力政策のロジックが現在の中ロパートナーシップの深さを制限するだろうというならば、アメリカやEUが決定的にモスクワを北京の抱擁に向け押したようだ。15年前モスクワは当初北京と同盟を結んだが、これは有利な立場を勝ち取るために過ぎなかった。だが現在西側がロシアを孤立させ懲罰しようと企図している際、これは見たところすでに戦略的選択になっている。

誰が、あるいは何がソ連後時代にロシアが西側から遠ざかり中国と親しくする結果をもたらしたのかは重要ではない。インドにとって重要なのはこの力量の転移がもたらす多くのマイナス面の影響であると言える。中国とロシアがより接近するにつれ、インドはきっとより大きな圧力を受けるだろう。ニューデリーは北京が今モスクワの大きなパートナーであり、ロシアとの同盟が最終的に中国のアメリカに対する談判の力を増強するだろうことを良く知っている。ニューデリーはモスクワに対する敵意に転じ、ワシントンと手を携えることもできないし、日増しに見せつけられる中ロ同盟の中で小さな従者でいることもできない。(筆者 C.ラージャ モハン 翻訳 喬恒)

(頑住吉注:2〜5ページ目のキャプションは本文の一部を切り取ったものなので省略します。6ページ目)インドがロシアから導入した戦闘機

(頑住吉注:7ページ目)中国とインドには現在依然国境をめぐる争いの問題が存在する

(頑住吉注:8ページ目)インドが中国・インド国境に配備する山地部隊


 中国の力が大きくなるほどロシアの中国に対する警戒感も増し、私はロシアがインドを極端にないがしろにするとは思いません。しかしこの人は何故インドが完全に「ワシントンと手を携えることもできない」と考えるのか、ちょっと分かりません。





















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