中国空母、無人艦載戦闘機を搭載か

 現在中国は無人機開発に非常に力を入れていますが、中国無人戦闘機が空母に搭載される可能性に関する考察です。

http://mil.eastday.com/m/20120608/u1a6611851.html


アメリカのシンクタンク情報:中国空母は将来「戦鷹」無人戦闘機を装備するかもしれない

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「資料画像:アメリカ海軍のX-47B艦載ステルス無人機、空母からの発進の想像図。これはあるいは将来解放軍の学習対象になるかも知れない。」 続いて2枚目。「資料画像:戦鷹無人攻撃機」 ‥‥というかその模型でしょ)

無人機はもうすぐ空母の主要武器になる

以下「世界報」の文章より:ロシアの週刊「軍工信使」(頑住吉注:「軍需産業のメッセンジャー」といった意味のようです)最近の報道によれば、「ワリヤーグ」号空母は改装過程で各種の困難を経てきた。中国サイドはかつてロシアから制動ケーブルを輸入して艦載機の着艦を保証することを望んだが、意外にもロシアはおそらくアメリカの圧力下で輸出を拒否した。後に中国はスウェーデンから制動ケーブルを購入することに成功し(頑住吉注:スウェーデンが中立国だったのは過去のことで、1995年にEUに加盟しています)、かつ西側の技術を利用して蒸気カタパルトとの交換に用いる国産電磁カタパルトを研究開発した、という。この情報が信頼できるものなら、国産電磁カタパルトは中国空母のために質的飛躍をもたらすだろう。何故なら電磁カタパルトは無人機の空母搭載の必要条件だからである。アメリカはすでに次世代空母のために電磁カタパルトを装備済みである。電磁カタパルトの出現につれ、中国は無人機空母の時代に入っていく。

空母は「電磁カタパルト」時代へ

過去40年間、アメリカ空母はずっと蒸気動力のカタパルトを艦載機に対する発射補助に使用し続けてきた。目下最新の「ニミッツ」級空母の艦上に装備されている蒸気動力カタパルトは、60秒以内ごとに1機の飛行機を射出することができる。「ニミッツ」級空母は全部で4基のカタパルトを装備しており、全体では平均20秒ごとに1機の飛行機を発進させることができる計算になる(頑住吉注:単純計算なら15秒以内ごとということになるはずですが、隣のカタパルトと微妙に時間差を置く必要があるということでしょうか)。

アメリカ海軍の使用状況から見て、現在採用されている蒸気動力カタパルトは非常に信頼性が高い。使用期間中、それぞれのカタパルトの有効性は平均74%である(頑住吉注:え、そんなに低いの?)。戦時において保持する4基のカタパルトの中で少なくとも1基が正常に作動する可能性は99.5%にも達する。蒸気動力カタパルトは非常に安全なことも証明されている。最近の10年の期間内に80万機を発進させた記録の中で、たった30回しかミスの状況が生じなかった(頑住吉注:ん? それなら成功率99%をはるかに超えるのでは)。またこの30回のミス中、1回だけ1機の飛行機の損失がもたらされただけだった。

蒸気カタパルトは非常に信頼性が高く安全であるが、やはりそれには不足のところが存在する。現在採用されている蒸気カタパルトは、発射される飛行機の最大重量が7万ポンド(頑住吉注:約31.8トン)を超えることはできない。発進時の飛行機の最大重量に制限がある以外に、蒸気動力カタパルトには低エネルギーレベル下での発射にも不足がある。このため、より軽い飛行機はかえってより発射が難しい。事実、蒸気動力カタパルトはまだ、現在アメリカ軍が使用する無人機を発進させることができない。何故なら発射過程でカタパルトが飛行機の推力に頻繁に変化を発生させ、機体に非常に大きな圧力をもたらすからである。有人飛行機に関して言えばこうした圧力は低減される。だが無人機に関してはより堅固な機体構造が必要になる(頑住吉注:直接無人有人の問題ではなく、蒸気カタパルトはパワーダウンして発射することができないので軽い飛行機だと無理が生じる、そして一般に無人機には小型軽量のものが多い、ということでしょう)。

用途が日増しに広がる無人機に関して言えば、空母上で使用できないというのは非常に深刻な欠陥である。情報技術が不断に飛躍的進歩を成し遂げたため、より軽便、敏捷な武器を発展させることがより威嚇力を持った戦争手段であると考えられ、大量に採用されることになる。

まさに電磁カタパルトの出現は蒸気動力カタパルトの欠陥を大きく埋め合わせることになる。この種の技術はカタパルトに電磁波を発生させ、電磁波がカタパルトの長さを変える。飛行機用カタパルトの往復軌道上に電機子(頑住吉注:armature)を付属装備させ、この電機子が電磁波をコントロールして発射に必要な動力と速度を提供する。この種の技術システムは、少し前に頻繁に使用されていた近代化設備、特に一部の都市の運輸システムの中のものといくらか類似している(頑住吉注:リニアモーターカーのことですね。中国では一時盛んだったものの、いろいろな事情であまり多用されなくなっているようです)。

電磁カタパルト装置は蒸気カタパルトに比べ、よりいろいろに変わる動力操作を提供することができる。その発射は蒸気カタパルトに比べエネルギーがより大きく、効率がより高い。発射過程でより良好に加速度をコントロールすることによって、放出されるエネルギーのレベルを無視すれば、理論上空母は将来現在よりさらに重い、あるいはより軽い飛行機を発射できる。このため、無人機は空母艦載機にもなり得るのである。

無人機の外形寸法と重量の縮小を考慮すれば、「ワリヤーグ」号空母は完全に60機以上にも及ぶ無人機を搭載し、いかなる時でも作戦任務を執行できる能力を持つことができる。

アメリカ、ヨーロッパ、ロシア同様、中国も先進的無人戦闘機を発展させているところである。アメリカのシンクタンクである国際戦略評価センターの副主任リチャード フィッシャーは次のように記述した。2008年珠海航空展で、中国航空第一集団社は「戦鷹」亜音速前進翼無人戦闘機を公開した。この戦闘機はサイズや性能方面において他国が発展させた無人戦闘機と似ている。例えばヨーロッパの「ニューロン」無人戦闘機(頑住吉注:ダッソー社他)やイギリスの「Taranis」無人戦闘機(頑住吉注:BAEシステムズ社)、ロシアの「Skat」無人戦闘機(頑住吉注:ミグ)、アメリカのノースロップ・グラマン社のX-47B無人戦闘機とである。現在までにX-47B型無人戦闘機のみが空母の行動に参与するのに用いるよう設計されている。だがその他の国も将来空母艦載無人戦闘機の製造を少なくとも考慮するだろう。何故なら彼らはすでに、あるいはすぐ、新たな空母の建造を開始するからである。

中国軍部の意思決定者たちはアメリカおよびヨーロッパ諸国の無人機と無人戦闘機の発展状況をよく理解し、アメリカ海軍が使用するX-47B無人戦闘機にまさに関心を向け、もって遠距離攻撃および偵察能力を獲得しようとしているところである公算が高い。中国の軍事技術文献も次のように指摘している。解放軍はすでに無人機の海上任務、例えば対艦行動としての火力打撃からの防御あるいはその支援を考慮し始めており、こうした任務は艦載無人機でも執行できるのである。

リチャード フィッシャーは次のように考える。過去10年内に、中国の無人機の設計および生産部門は急速な発展を成し遂げ、多くの研究、開発機構を設立した。また多くの中国企業が新たな設計力量を投入し、しかも先進的小型コンピュータコントロールシステム、先進的材料、衛星ナビゲーションシステム、先進的電気光学装置、小型レーダー、精密兵器を開発した。そしてこれをもって一連の高性能な無人機および無人戦闘機推進のプラットフォームとしている。中国は艦載機自動着陸技術に対し関心を持っており、加えて中国の北斗衛星ナビゲーションシステムの発展があり、これらはいずれも解放軍海軍艦載無人戦闘機の発展のために貢献をなすかもしれない。

各種情報を総合すれば次のように推測できる。中国の潜在的艦載無人戦闘機は中国航空第一設計集団社が発展させた「戦鷹」無人戦闘機である公算が高い。「戦鷹」は亜音速前進翼無人戦闘機で、空気取り入れ口は背面に置かれている。現在見たところでは無人機に前進翼を採用する技術は前例がなく、航空国防技術が最も発達したアメリカやヨーロッパでも前進翼を採用した無人機の計画や模型が公開されたりデビューしたことはない。中国航空工業集団はこの無人攻撃機に関する文字による説明の中で次のように紹介している。「戦鷹」は無人攻撃機であり、主に制圧/破壊、防空、縦深打撃、高脅威地域の戦場偵察、目標打撃などの任務を執行する。

前進翼技術の採用以外の「戦鷹」無人攻撃機の目を引く特徴は、外形上アメリカ軍の最も先進的なB-2ステルス戦略爆撃機に酷似していることである。このため、「戦鷹」無人攻撃機のステルス効果は非常に良好であることが見て取れる(頑住吉注:そんな簡単なもんじゃないと思うんですが)。

「戦鷹」無人攻撃機は空力性能が良好、外形設計がステルス化されているという2大メリットを持ち、ひとたび対地攻撃兵器を吊り下げ装備すれば、極めて強い殺傷能力を持つことになる。

事実として、この戦闘機は直線翼あるいは後退翼無人戦闘機に改装されることも可能で、初始攻撃(頑住吉注:その戦闘における第1撃?)、空中給油、電子およびレーダー偵察から対潜などまでの一連の任務執行に用いることができる。解放軍は無人作戦システムに巨費を投じているところなので、解放軍が2010年代末、あるいは2020年代初期に艦載能力を持つ無人戦闘機を配備する可能性があることを想像することは難しくない。

100機の無人機が同時に敵に襲いかかる

もし電磁カタパルトと艦載無人機が両方備えられたら、無人機空母はどんな威力を発揮することになるのだろうか?

アメリカのジェームスタウン基金会の報告は次のように述べている。無人機の寸法、空間、経済性が結合すれば、無人機が海軍空中作戦戦力の重要な組成部分になる可能性が非常に高いことが見て取れる。例えば、アメリカのノースロップ・グラマン社のX-47B型無人戦闘機が空母の上で占める空間は、現役のF-18E「スーパーホーネット」艦載戦闘機に比べ少なくとも1/3にまで減少する。もし翼の折りたたみが実現すれば、X-47B無人戦闘機が占める空間はさらに一歩縮小する。X-47Bは水平断面上より小さいだけでなく、垂直断面上もF-18E「スーパーホーネット」艦載戦闘機に比べ縮小されている。

もし無人機の重量の縮減をその占める空間の縮減に追いつかせることができれば、「ワリヤーグ」号空母の飛行甲板上あるいは航空機収納庫に多数の柱状の設備を採用し、ヘリあるいは固定翼無人機を積み重ねて置くことさえできる。ひとたびこのようにすれば、艦載無人機の総数が非常に大きくなり、したがって空母の作戦能力と打撃能力が向上する。

「クズネツォフ」級空母として、「ワリヤーグ」号空母は目下最多で総数41機のヘリあるいは固定翼機が搭載できる。もし無人機の外形寸法と重量の上での縮小を考慮すれば、「ワリヤーグ」号空母は完全に60機以上もの無人機が搭載でき、いかなる時にも作戦任務を執行できる能力を具備する。無人機に関して言えば、飛行時間と飛行距離にも多種の変化が存在する。無人機の機能を評価する時、コストの考慮はきっと1つの決定的要素である。1機のF-18E型「スーパーホーネット」の価格は5500万アメリカドル前後であり、一方比較的先進的な無人機1機はこれに比べずっと安いに違いない。このため、潜在的コスト節約も非常に人を引き付ける。

全て無人機を使用して艦載機とする空母は、上述のあらゆるメリットを一身に集めることになる。もし中国が無人艦載機と有人操縦艦載機を同時に選択候補の方案にできたとしても、依然解放軍海軍に「全部に無人艦載機を使用、全部に有人操縦艦載機を使用、無人および有人艦載機の同時混在編成とする」という方案の中から選ばせる複数の選択肢を持っていることになる。外界は目下こうした方案の直接のデータが表示されていることに気付いていないが、打撃能力を具備した艦載無人機の登場は艦載航空方面および解放軍の海軍能力上、大きな戦略的意義を持つ革命的な出来事である。無人機技術は中国の兵器研究開発者に非常に大きな飛躍を実現させ、現在の技術から未来の兵器技術の領域に直接足を踏み入れさせるのである。

だが、「ワリヤーグ」号空母が完全武装の艦載無人機を搭載して海上に出現する前に、まだいくつかの技術発展の中での重大な難題を克服する必要がある。

第1に、解放軍は自分たちの指揮、統制、通信、コンピュータ、情報、監視および偵察(C4ISR)能力方面においてより大きな向上を勝ち取る必要がある。2つ目の解決を要する問題は艦載無人機、その武器、スペアパーツ、兵站が全面生産状態に入る必要があることだ。だが目下まだこの種の無人機の大量生産がすでに行われているのを見ることはできないようだ。第3に、「ワリヤーグ」号空母がもし無人艦載機を搭載したら、各種の異なる操縦員、甲板乗員、支持システムに全て創造と訓練が必要になる。こうした問題の中では、有人操縦艦載機部隊にも多くの解決を必要とする問題がある。

戦略上、1艘の中国の無人機空母は伝統的海上戦争のために1つの新しい手段を提供できる。もし中国が空母の方式に関しより伝統的な「アメリカ方式」とはっきり異なる取り扱いをすれば、解放軍海軍はコストも気にせずリスクも心配せず、同時に品質ではなく数量をより重視し、1艘の無人機空母は1つの実行可能な不対称作戦設備となるだろう。1艘の数十機あるいは百機以上の艦載無人機を有する「蜂の巣」が猛然と同時に複数の目標に襲いかかるのを想像することは難しくない。それはどんな驚天動地の光景となることだろうか。

現在まで、まだ「ワリヤーグ」号空母が無人機空母に改造されることは最終的なデータによって明らかにされていない。だが、艦載無人機技術と技巧が1艘の作戦能力を具備した空母の上に結合される、このことは遠からぬ将来非常に強大な海軍能力を有するだろうことを意味している。将来、1艘の普通空母(有人操縦艦載戦闘機を搭載)が解放軍海軍に配備されても、アメリカ海軍はそれを重大な脅威とはみなさない。だがもしこれが1艘の無人機空母ならば、アメリカ海軍は高度の警戒態勢に変わるだろう。


 これも、中国の無人機が大発展し、世界で初めて無人機のみを搭載する空母が装備されて世界最強の戦力になったらいいなーというあまり根拠のない願望に押し動かされて書いた文章という感じで(小説版「海底軍艦」みたいな)、ストレートに受け止める必要はないと思いますが、一定の警戒はやはり必要でしょう。

 国民党政権下でですが、中国初のオリジナル戦闘機「研駆一」は前進翼を採用していました。私はあのページを紹介した時、「戦闘機設計で実績のない設計者が航空技術の遅れた中国で作るのに何でこんなラジカルな形式にしたの」〜、「後退翼とか前進翼は基本的に高速飛行のためのもの。580km/hしか出ない飛行機に何のために前進翼を採用したの」〜、「事故で死人が出てから研究機関に設計の鑑定を依頼するくらいなら初めからやっときゃ貴重な熟練パイロットを死なさずにすんだはずでしょ」とか突っ込みましたが、それはある意味、何とかして一刻も早く先進的な戦闘機を作らねばならないというあせりが生んだことだったんでしょう。中国初の攻撃型無人機が前進翼だというのを見ると、まあ亜音速なら無意味なわけじゃないはずなので同じとは言えませんが、やはり何としても先進的で世界を驚かせるようなものを作りたいと、ちょっと無理をしてあせりすぎていることの表れであるような危なっかしさを感じます。研駆一の時は状況からしてあせってもやむを得なかったでしょうが、今は果たしてそうでしょうか。もう少し落ち着いて発展の道を歩んでほしいものです。











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