中国国産空母の動力は?

 ここでは主に蒸気タービンかガスタービンかが論じられています。

http://military.china.com/important/11132797/20130808/17987295.html


専門家:中国初の国産空母が真っ先に選択するのは蒸気動力だがこの技術がない (頑住吉注:ちなみに私が翻訳のために文字列を印刷した段階では、「中国空母動力の迷い 蒸気タービンかガスタービンか」というタイトルでした。)

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「『キティホーク』級は米軍最後の機種の通常動力空母である。画像はこの艦の水兵が空母のボイラーに点火、始動しようとしているところ。蒸気タービンには少なからぬ欠点があるが、原子力空母上で依然非常に重要である。」)

新華ネット特別原稿(新華軍事評論員 鄭文浩) (頑住吉注:最初の一文に特殊な言い回しが使われていて全く意味不明です。検索しても無数に引用された同じ文しかヒットしません)何故なら空母の要求を満足させられる原子力動力を獲得できる前には、通常動力は必然の選択だからである。この中にある中国の選択には2つの道しかない。すなわち、大出力蒸気動力方案の道を行くか、西側を参考にガスタービンの路線を行くか、である。人をしてやや落胆を感じさせるのは、中国はこの2つの方面いずれにおいても技術的優勢を欠いており、長期にわたり世界先進レベルに立ち後れていることである。

原子力動力の誕生前、蒸気動力は海軍強国の空母を含む大、中型水上艦艇の中で絶対の覇者の地位を占めていた、と言える。アメリカが戦後開発したいくつかの型の通常動力空母は、「フライスーチェ」(頑住吉注:検索しても全くヒットせず、一般的な表記と違うんじゃないかと思います)級から「キティホーク」級まで、いずれも蒸気動力を採用していた。またソ連の空母も同様に蒸気動力を採用した。蒸気にはシステムが複雑、自動化システムの配置が比較的難しい、艦内に占める容積が大きい、施工期間が長い、維持メンテナンス作業量が多い、経済性が比較的劣るなどの欠陥があるが、その1基あたりの出力が大きい、技術が成熟している、寿命が長い、安全で信頼性が高い、燃料に対する要求が低いというメリットは空母というこのトン数が大きい水上艦艇に非常に適している。

しかし中国は建国以来長期にわたって大型水上艦艇を開発する実力がなく、最初期に導入したソ連の駆逐艦の蒸気動力のレベルが低かったため、中国海軍が中型以上の駆逐、護衛艦を大量建造する実力を持った時、多くはディーゼルエンジン+ガスタービンの混合動力を採用した。このため中国には単軸26.47MW(36,000馬力)の蒸気動力の生産能力しかなく、性能指標が世界先進レベルに近づきあるいは超越する50,000〜70,000馬力の蒸気動力を開発する技術が欠けている。しかし長期にわたって大型艦艇の建造の需要がなかったため、我が国には蒸気動力関連の研究も専業の設計隊伍も深刻に欠乏し、現在いくつかの工程学院にまだこの学科の設置が留保されているのを除き、元々蒸気動力専業を設けていた院、校はいずれもすでにこの学科をなくしている。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「ロールスロイス社のMT-30ガスタービンは現在世界で使用可能な出力最大の艦用ガスタービンである。現在建造中の6万トン級のイギリス『クイーンエリザベス』空母は、4台のこのタイプのガスタービンを使用する。」です。)

ガスタービンに関しては、我が国はごく早くからその近代化された水上艦艇に対する意義を重視するに至っていたが、全体的なタービンエンジン産業の立ち後れのため、長期にわたり連戦連敗の状態にあった。

1950〜70年代、中国は早くも以前のソ連技術を基礎に200〜25,000kwのガスタービンを自主設計、実験、製造した。1982年、西安航空エンジン社は国産渦扇ー9型(頑住吉注:ターボファンエンジン)を利用して410A型艦用ガスタービンを研究開発し、出力は13,000馬力だった。410Aの研究開発には8年がかかり、1988年元日に150時間持久試運転が完了し、運転は安全だったが、欠点はガスなどのエントロピー効率が設計計算値より約5%低く、出力が3.8%低いことで、国内ユーザーから否決された。1985年、中国はアメリカから4台のLM2500艦用ガスタービンを導入し、2隻の052型駆逐艦に用いた。だが1989年(頑住吉注:天安門事件)以後、中国海軍のLM2500の技術導入計画とFT-8ガスタービンの協力しての生産の計画は、いずれもアメリカサイドから一方的に取りやめられた。当時我が軍は一度、新型主力駆逐艦に使用可能な動力がないという危険な状態にさえ直面した。1993年になって中国はウクライナから1台あたりの出力33,000馬力のGT25000ガスタービンのフルセットの設計資料と加工技術を導入し、やっとこの危機は緩和された。現在GT25000の国産化率は90%に近づき、国内型はQC-280である。特に5年前からの「アデン湾」航路護衛で、中国の主力駆逐艦の国産ガスタービンは劣悪な条件、後方勤務保障が欠乏する困難を経て、依然比較的高い安定性と信頼性を保持した。

西側諸国はガスタービンをカギとなる重要な国防安全技術に含めているため、今に至るも中国向けにいかなる関連技術の移転も拒絶しているが、国内では軍用でも民間用でもガスタービンに対する需要は非常に強烈で、このためウクライナ技術の導入を基礎に、中国も一定の技術的基礎を備え、すでに大型ガスタービンの大型部品(超高温部品でないもの)の加工、エンジン全体の組立、試運転、システムのセット化の能力を備え、大型ガスタービンのスーパー合金精錬、超高温部品製造のひとまずの能力を備え、研究開発、設計、部品試験の基本的条件を建立している。中国航空工業第一集団社がウクライナの技術を採用して研究開発したRO110(110MW)ガスタービンは典型的代表である。だがRO110大型ガスタービンは主に発電領域に応用され、艦艇上での使用には船舶用に変える改造を経ることが必須である。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「中国のRO110大型ガスタービンは技術的には大、中型空母のメイン動力システムとすることができるが、現在これは主に発電に用いられている。専用の艦用型の研究開発は現在論証が行われているところである。」です。)

ウクライナの艦用ガスタービンは専用設計の路線を行っており、一方西側諸国が主に行くのは先進航空エンジンに頼って艦用ガスタービンを開発する路線である。ガスタービン技術に対する渇望ゆえに、この2種の路線は中国では平行して存在している。もしQC-280艦用ガスタービンを使ったら、4台を使用して最多で20,000トン前後の軽空母を駆動することになる。現在イギリスのインビンシブル級、イタリアの「ガリバルディ」号空母、スペインの「アストゥリアス王子」号といった軽空母はいずれも完全ガスタービン動力を採用している。「アストゥリアス王子」号が使用するのは2台のLM-2500ガスタービンである。

だが中国が中型以上の空母を建造したいなら、艦用の大出力ガスタービンの研究開発が必須となる。例えば60,000トンのイギリスのクイーンエリザベス級空母は4台のMT-30ガスタービンを使用する。このエンジンは現在使用可能な出力が最大の艦用ガスタービンで、1台あたりの出力は36MWに達し、すなわち50,000馬力であり、これはすでに大型蒸気動力のレベルに近づいている。中国は現有のQC-280のランクを飛び越え、国際レベルの先進ガスタービンを研究開発して初めて、国産空母の需要を満足させることができる。さもないと中国は蒸気動力に大きな力を注ぎ、このようにしてやっと中国空母の動力の需要を満足させられる。だが将来開発する大型ないし重空母では、蒸気動力は不可欠であり、ガスタービン動力の使用はすでに必要なく、しかももし原子力だったとしても蒸気タービンの関連技術は必要なのである(頑住吉注:何故ガスタービンを6台とか使用して大型の艦を駆動できないのか説明があると親切なんですがね)。

しかし現在の中国船舶の動力の中での主要な形勢はディーゼルエンジン動力の発展が力強い、というもので、ガスタービン動力技術はなお難関の攻略中である。だが蒸気動力は技術にも投資にもやや不足が目立つ。ディーゼルエンジン動力の発展と中国造船、輸出の背景は不可分である。中、低速のディーゼルエンジンは世界の民間船領域の絶対の主力であり、あるデータはディーゼルエンジンを動力とする船舶は世界の商船隊の95%以上を占めることをはっきり示している。また軍用領域では、中国はガスタービン動力に関する蓄えが不足のため、ディーゼル・ガスタービン連合動力に費やす技量が比較的大きく、獲得された見返りも大きい。国内で建造され国外に輸出されるF25T型護衛艦はディーゼル・ガスタービン連合動力を採用しており、そのパフォーマンスはいくつかの国外の同クラスの完全ガスタービン動力の護衛艦を超越さえしている。

(頑住吉注:これより4ページ目。画像のキャプションは「恐らく動力システムが難関を突破し、実際の環境での信頼性が検証されて、やっと中国の052Cなど新世代ミサイル駆逐艦は大量建造できたのである。」です。)

ガスタービン領域では、2002年7月に国家科学技術部が863計画「ガスタービン特別プロジェクト」を始動した。だがこの特別プロジェクトの研究開発の方向は大型ガスタービン(RO110)とミニタイプのガスタービンで、主に我が国の未来のエネルギー発展の重大核心装備を満足させるものだった。艦用ガスタービンがその中に含められなかったのは、西側の経験から見て、優秀な艦用ガスタービンは主に航空エンジンから発展してできたものだからである。現在中国ではすでに多種の航空エンジン改造ガスタービンが使用に投入され、あるいは研究開発が開始されている。例えば崑崙ターボジェットエンジン改造のQD128ガスタービンはすでに西のガスを東に輸送するプロジェクトの中で使用に投入されている。また太行ターボファンエンジン改造のガスタービンである7,000KW級のQD70ガスタービンはすでに中原油田でネットワークを組んで発電を行っている。だが航空エンジン改造の艦用ガスタービンに関してはまだ公開された報道はない。これは一方においては中国の航空エンジン自体の技術が薄弱だからであり、また艦用ガスタービンと陸上の使用環境には非常に大きな差異があり、艦艇自体が動揺し、海上の塩分が高く、湿度が高い環境も不利な要素だからである。

航空エンジンの中国の空中の安全に対する意義はすでに社会各界の公認を得ているため、特に政府上層部の重視をすでに引き起こしている。2012年末の情報によれば、各界が注目する航空エンジン重大科学技術特別プロジェクトは、先日すでに国務院に申告され、近い時期に実施されることが有望である。すでに出ている情報によれば、この特別プロジェクトは少なくとも1千億人民元の資金的支持が投入される国産航空エンジン自主研究開発および製造プロジェクトとなる見込みで、これは今までのあらゆる重大特別プロジェクト中でも投資規模が最大のものの1つである。この力の入れ方から見て、中国の艦用ガスタービンの未来は相当に明るい。

だが空母発展という角度から見ると、中国が完全ガスタービン動力を採用するのは結局のところまだ非現実的であり、蒸気動力がすでに主要な選択肢となっている。しかも蒸気動力空母は将来さらに蒸気カタパルトを使用でき、一方完全ガスタービン動力と蒸気カタパルトは両立せず、より先進的な電磁カタパルトを使用するしかないが、技術的ハードルがより大きい。だがガスタービンに比べ、我が国の蒸気タービンに関する全体的発展環境は決して理想的ではない。民間船でも軍用船領域でも、蒸気動力の応用は非常に狭い。過去民間船であるLNG大型液化ガス輸送船は蒸気動力を採用したが、近年ではこれも徐々に低速ディーゼルエンジンやディーゼル・電気連合動力によって取って代わられている。一方軍用船領域では、中、小型艦艇はすでにとっくに蒸気動力を排除し、空母のたぐいの大型艦艇と原子力艦艇だけが蒸気動力装備を装備している。このため中国が過去において蒸気動力の発展を軽視したのにも「情状酌量の余地がある」。だがまさに上で述べたように、中国が永遠に大型空母を研究開発するつもりがないのでない限り、「応用面は小さいが技術含有量は高い」蒸気動力技術を持つことは必須なのである。

(頑住吉注:5ページ目)051C艦は中国海軍最後の蒸気動力を採用したミサイル駆逐艦である。中国の現在の蒸気タービン技術の水準は、空母クラスの戦闘艦の需要を満足させるにはまだはるかに不足である。

(頑住吉注:6ページ目)052型ミサイル駆逐艦は中国海軍で最も早くガスタービンを採用した主力戦闘艦であるが、惜しいことに輸入に頼った。画像は近代化改装後の113青島艦で、その動力システムは今に至るも依然完備された状態で運転されている。

(頑住吉注:7ページ目)技術レベルから言うと、中国の通常船舶動力システムはすでにドック上陸艦といったクラスの大型戦闘艦の需要を満足させられる。だが空母の需要を満足させるにはまだ大股の躍進が必要である。

(頑住吉注:8ページ目は本文の一部を切り取ったものなので省略します。)


 こうしたテーマの文章はやたら楽観的で浮ついた予想を並べるものが多いんですが、「この力の入れ方から見て、中国の艦用ガスタービンの未来は相当に明るい。」という部分を除き過度に楽観的でない、現実を直視した内容だったと思います。
















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