「翼竜」無人機に現在足りないのは

 普段の記事からは相当の自信を持っているように見えるんですが。

http://www.hinews.cn/news/system/2015/12/18/018010380.shtml


翼竜無人機にアメリカとの三大隔たりあり 改良型は全世界で最も先進的となることが有望

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「2012年11日14日、翼竜無人機が珠海航空展にお目見え。(資料画像) 王筝/撮影」)

国産軍用無人機の代表として、「翼竜」無人機の毎回の公開展示はいつも多くの視線を吸引する。この機が成功裏に国外に輸出される、およびその軍用タイプ「攻撃-1」型無人機が今年の「9.3」閲兵式でお目見えするのと共に、「翼竜」は世界で最もよく売れる無人機製品の1つとなるだけでなく、中国軍の重要な実戦化された装備ともなる。

世界の潮流の追跡の産物

1990年代、全く新しい安全環境が世界各国の非伝統脅威への対応能力に新たな要求を提出した。対テロ戦争の中で、テロ分子や過激組織メンバーは往々にして一般民と一体に混在し、こうしたデリケートな区域に対し長時間の追跡、探知計測、ロックオン、識別をすることを必要とし、それでやっと打撃が行える。このため、長航続時間無人偵察機が時運に乗じて生まれた。

しかし、単に偵察機能だけを持つ無人機は往々にして好機を逸する。アフガニスタン戦争の前、アメリカのRQ-1「プレデター」無人機がビン ラディンをはっきり示す画像を送り返してきたが、攻撃を実施する機載武器がなく、その後海軍によってトマホークミサイルを使用しての打撃が行われた。だがトマホークミサイルの到着を待っている時、目標はすでに消失していた。これにかんがみて、米軍は無人機に目標を識別させた後、即それに対し打撃を行える必要があると感じた。このため彼らはRQ-1「プレデター」のために空対地ミサイルを配備し、それを無人偵察攻撃機にグレードアップし、「プレデター」の機種名もMQ-1と改められた。

アフガニスタン戦争の期間、米軍は初めて「プレデター」無人機を使用してある駐車場に向け2発のミサイルを発射し、一挙にアルカイダNo.2の人物を殺害した。「プレデター」はさらにかつて成功裏にビン ラディンの手下の高級将校が身を隠している地点のリアルタイムのビデオ信号を送り返し、その後多数のF-15Eがこの地域を爆撃し、この将校を殺害した。また「プレデター」はさらに多くの戦争の中でミサイルを発射してタリバンの戦車、イラクの自走高射砲、リビアの多砲身ロケット発射装置などを破壊した。こうした行動は「プレデター」の名声を大いにとどろかせ、世界各国に極めて大きな震撼をももたらした。何故ならこのような行動は無人機の偵察と打撃という2つの機能を1つに合わせた偵察・打撃一体の新時代を開いたからである。国際市場におけるこうした無人機に対する需要は日増しに増加した。

国内外の安全形勢の変化および国外無人機の発展の趨勢を根拠に、中航工業成都飛行機設計研究所は情報化と工業化の深い融合を本線に、自身の研究、設計の優勢を結合させ、自己資金で2005年に「翼竜」無人機の自主研究開発を始動させた。この機は2007年に初飛行を実現し、2009年6月に国家の輸出許可を獲得した。2012年に初めて実物の機をもって珠海航空展にお目見えした。2014年に珠海航空展に出現した時にはすでに中国人民解放軍空軍の識別マークを持ち、このことは「翼竜」無人機がすでに部隊装備されていることを示した。

「翼竜」無人機は中低空、軍民両用、長航続時間多用途無人機で、我が国初の偵察・打撃一体無人機でもあり、この機は完全自主の車輪での発着および飛行能力を持ち、各種の偵察、レーザー照射/距離測定、電子対抗設備および小型空対地打撃武器が搭載できる。爆弾を空中投下することもできれば、小型ミサイルを発射することもでき、監視、偵察および対地攻撃などの任務が執行でき、中国無人機製造領域の「当家明星」と賞賛される(頑住吉注:「明星」はスターですがこの場合の「当家」の意味は不明です)。

より良く各種軍事行動および非軍事行動の需要を満足させるため、成都飛行機設計研究所は近年来また「翼竜」に対し改良とグレードアップを行い、改良型「翼竜」は「翼竜」-2と呼ばれる。「翼竜」-2は中高度、長航続時間、偵察・打撃一体多用途無人機で、現在依然設計、研究開発中である。人々は、この機が全世界で最も先進的な無人機の1つとなり、実戦運用の「振国神器」となると予測する。我々には、中国航空工業が無人機発展の大きな潮流の中で、「遠く及ばない」から「その背中を見る」の苦しい追跡を経た後、きっと「肩を並べて走る」を実現することができると信じる理由がある。

「翼竜」と「プレデター」の性能は同等

「翼竜」無人機は国際先進水準を持つハイエンド無人機で、その発展水準は無人機領域の「第1梯隊」にある。ユーザーから報告される状況から見て、「翼竜」の作戦指標はすでに元々の設計指標を超え、その全体性能はアメリカのMQ-1B「プレデター」無人機と大体同等で、中国版「プレデター」と呼ぶことができる。

「翼竜」の機体寸法は「プレデター」と非常に近く、全長9m、全幅14m前後で、主翼にはフラップとフラッペロンが付属する。この機は通常空力レイアウトを採用し、長時間巡航に有利なV字型尾翼を使用し、衛星受信装置などの通信設備や光電子「センシングヘッド」を装備した「大頭」を持つ。両側の主翼内側にはそれぞれ1つ外部武器搭載架を装備し、かつ前三点式発着架を採用し、もってより良い出し入れとブレーキに便としている。

「翼竜」と「プレデター」の最大離陸重量はそれぞれ1,200kgおよび1,043kgで、速度はそれぞれ280km/hおよび240km/h、搭載荷はそれぞれ200kgおよび136kg、航続距離はいずれも4,000km前後である。「翼竜」は「プレデター」と同じピストン式プロペラエンジンを採用し、経済性が良い、燃料に対する要求が低い、長い航続距離の需要を満足させられるなどのメリットを持つ。

また両者はいずれも前視赤外線センサー、ナビゲーション設備、偵察設備、攻撃武器システムを配備する。「翼竜」は国産KD-10レーザー制御誘導ミサイル、LS-6GPS制御誘導爆弾、「紅箭-10」対戦車ミサイルの専用改良型などの武器を搭載することができる。

「翼竜」と「プレデター」はいずれも主に低烈度戦争に対応するのに用い、低空および電子対抗のない条件下で作用を発揮し、いずれも敵サイドの目標に対し遠距離長航続時間偵察および正確打撃が行える。今年の年初、「翼竜」は成功裏に編隊試験飛行を行い、貴州の山地環境の中で正確に飛行場を捜し当て、かつプログラム通りに着陸を完成させた。このことは、「翼竜」の発展、特に通信や制御システムはすでに比較的成熟し、その遠距離遠隔操作問題はすでに基本的に解決していることを説明している。

「プレデター」に比べると、「翼竜」最大の優勢は価格にある。「翼竜」無人機の販売価格は100万アメリカドルに満たず、「プレデター」よりずっと低い。このことは非常に多くの国、特に途上国にとって非常に吸引力がある。現在「翼竜」のユーザーの範囲はすでにアフリカ、中央アジア、中東やその他のアジアの地域をカバーしている。「翼竜」がよく売れていることは国産武器装備の国際市場での競争能力を向上させる助けになる。ある人は、この種の発展の趨勢に照らし、中航工業社は2023年に世界最大の軍用無人機メーカーとなる、と予測する。

当然「翼竜」をアメリカなどの国の先進的な無人機と比べると、全体性能は依然はっきりと立ち後れている。これは主に3つの方面に表れる。1つ目は基礎領域の技術が比較的弱いこと。「翼竜」は材料、動力、機載設備などの方面で「プレデター」とではまだ一定の隔たりがある。例えば「翼竜」の機体構造にはアルミ合金材料が選択使用され、機首の衛星アンテナカバーには電波を透過する複合材料が採用されている。こうした材料のスタンダードは非常に高いが、依然「プレデター」が選択使用する材料に及ばない。2つ目は使用経験の欠陥である。アメリカ、イスラエルなどの国が無人機作戦領域で累積した経験は我々に比べ多い。3つ目は遠距離作戦能力が制限を受けること。衛星の支持なしに、無人機は遠距離作戦が行えない。「プレデター」は全世界で作戦に参加できるが、これは米軍の綿密な衛星ネットワークの功が不可欠である。

実際の用途は広範にして多様

有人操縦機と比べ、「翼竜」無人機には体積が小さい、重量が軽い、製造価格が低い、使用が便利、死傷がゼロ、人体の生理的条件の制限を受けない、滞空時間が長い、隠蔽性が高い、コストパフォーマンスが高いなどの突出した特徴を持ち、用途は非常に広範で、伝統的軍事領域、非伝統安全領域、民間用領域および科学研究などの領域で重要な作用を発揮することができる。

「翼竜」の偵察・打撃一体機能を利用すれば、それを国境線の上のパトロールに用いることができる。中国とベトナム、中国とミャンマーなどの境界の草原、ジャングル地域で、「翼竜」はその飛行速度が比較的遅い、滞空時間が長い特徴に頼り、非常に大きな程度上人力に取って代わり、こうした地域に対し監視、警戒を行うことができる。「翼竜」の捜索救援、環境監視コントロール機能を利用すれば、さらに釣魚島、台湾海および南海などの海域に対し監視コントロールが行え、中国軍に人間が現場に参与しない状況下で数百km離れた戦場管理コントロール能力を持たせ、甚だしきに至っては必要な時に敵の指揮部を破壊することができ、したがって我が国の領海や排他的経済水域に対する管理支配能力を向上させる。

また「翼竜」はさらに以下の3つの方面で特殊な作用を発揮できる。

1つ目は長時間偵察監視である。「翼竜」は特別に危険な状況下で、有人操縦機があえて執行しない偵察任務を執行することができる。この無人機は最高で5,000mの高空を飛ぶことができ、戦区偵察や捜索位置決定などの需要を満足させることができる。「翼竜」はまるで空中の狩鷹のように800kmの範囲内で、比較的低い速度と20時間の航続時間をもって、目標上空で長時間パトロールおよび捜索を行い、戦区監視コントロール、偵察任務を執行することができる。機載光電子設備によって地上の状況を視察し、カギとなる重要区域およびミサイル陣地、地上の飛行機、装甲車、戦車、中小型輸送車、小型の建物および小型掩体などの目標に対し持続した捜索、識別、位置決定および戦果の評価を行う。

某1つの区域における長時間パトロール偵察時、非常に容易に敵サイドのレーダーによる追跡を受けるので、「翼竜」はこの機を借りて敵サイドの電子信号情報を獲得し、したがって攻撃を必要とする敵、基地、軍事目標などを探し出し、さらには最低時速120kmの速度をもってこっそりと敵を追跡することができる。このためこの機は反分裂闘争と対テロ治安維持などの軍事行動の中の「暗箭殺手」とも呼ばれる。

2つ目は対輻射妨害攻撃である。「翼竜」は敵サイドの上空に飛行して近づき、機載設備により電磁波を発射する、妨害用チャフを放出するなどにより、敵の防空レーダー、火力コントロールレーダー、早期警戒システムなどの電子設備に対し妨害を実施し、欺瞞の方式をもって味方サイドの飛行機の防御突破や対地攻撃を援護することができる。「翼竜」無人機はさらに小型対輻射ミサイルに変じ、敵サイドのレーダー、無線電信センターなどの電磁目標に対し殺傷を実施することができる。

3つ目は戦術定点排除である。「翼竜」無人機の打撃火力は決して強大ではなく、大規模戦争には適さない。アメリカがイラク、アフガニスタン地域で「プレデター」を使用した効果が顕著だった原因は、相手が小火器を手にしたテロ分子だったことにあり、無人機は充分にその正確打撃機能を発揮し、地上部隊やその他の作戦手段が打撃し難いカギとなる重要目標を打撃したのである。

対テロの戦場で、「翼竜」は重点監視コントロール、リアルタイムコントロールによって目標に対する打撃ができ、さらに非常に便利に攻撃目標を変更できる。ビデオが後方のコントロールステーションに送り返されると、操縦手によって目標の脅威度を判断し、かつ「翼竜」を操縦して目標を攻撃できる。テロ分子が思い至らない時間、地点においてそれに対し「定点排除」を実現する。必要な時、敵のその他の重要高価値目標に対し有効な火力による破壊も実施できる。もし暫時攻撃を停止したら、随時任務を取り消すことができる。「人在回路」(頑住吉注:「Human-in-the-loop」の中国語訳だそうです)の人・機械相互コンビネーション方式を採用しているため、操縦人員および装備を作戦地域まで輸送する必要がない。このため「翼竜」は比較的良く戦場の誤傷を避けることができるだけでなく、さらに大量の時間、費用、精力を節約することができる。

(作者は張礼軍 李偉 機関:後方勤務国防大学)


 可能性が以前から指摘されながらも尖閣には出現していませんが、実際に出現した場合の対応策はできているんでしょうかね。またこれを読むと戦時においても同等の無人機を持たない相手には非常に有効にして意外な攻撃を仕掛けることができそうで不安になります。













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