北朝鮮の閲兵に出現した兵器から見えてくるものは

 北朝鮮の閲兵に関する記事は中国の閲兵に関する記事よりずっと少なかったですが、これは結構興味深い内容を含んでました。

http://military.china.com/news2/569/20151012/20543121.html


北朝鮮大閲兵のハイライトを解読:戦略ミサイル技術方案、あるいは調整か

北京時間10月10日午後、北朝鮮は首都平壌で規模が非常に大きい閲兵式を行い朝鮮労働党建党70周年を記念した。北朝鮮の指導者である金正恩はこの活動の前の演説の中で、「先軍政治は北朝鮮を世界の軍事強国にする」と提示した。長時間先軍政治を実行する北朝鮮において、閲兵は永遠にこの種の記念活動の重要中の重要事である。澎湃防務はあなたのために独占的に今回の規模が空前の閲兵の中にどういったハイライトがあったのかプレイバックする。

徒歩スクエアチーム:「復古」スクエアチーム+圧巻の少先隊 (頑住吉注:「少年先鋒隊」の略だそうです)

北朝鮮閲兵の一大特色である、その身に朝鮮抗日革命戦争時期の軍服を着た騎兵スクエアチームが先導し、現役軍人がその身に以前の各時期の朝鮮人民軍軍服を着て組成された大規模な「復古」スクエアチームの中に、今回は何両かのかつて朝鮮戦争に参加したT34/85戦車が追加され、この点は今年5月のロシアの赤の広場の閲兵と非常に似ていた。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「検閲を受けるT34/85戦車」)

すぐその次に続いた何十もの検閲を受ける徒歩スクエアチームは基本的に朝鮮人民軍三軍および工農赤衛隊の各主要兵種を包括していた。その中で以前はトラックに乗ってお目見えした、人の注目を引く「核背嚢」スクエアチームは今回徒歩でのお目見えに改められ、この放射装置のマーキングがある「核背嚢」の中に入っているのは何なのか、ずっと諸説紛々で、普遍的に人に受け入れられている説は、放射性汚染を生じさせる「汚い爆弾」のたぐいの武器だというものである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「『核背嚢』スクエアチーム」)

人を驚愕させるのは、最後に観衆の視野の中に出現したのが男女の少先隊員からなるスクエアチームだったことで、こうした十一、二歳でしかない児童は成年の男女兵士たちと全く同じ歩調を取り、その身には北朝鮮の伝統的な青白の配色の校服と赤いスカーフをつけていた。北朝鮮というこの国はしばしば人に「国民皆兵」の印象を与えるが、少先隊員が閲兵スクエアチームの中に出現したのはそれでも近年来初のことに属する。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「少先隊員スクエアチーム」)

装備スクエアチーム:最新型ロケット砲を展示、防空作戦能力を強化

絶え間なく現れるそれぞれの徒歩スクエアチームに対し、その装備スクエアチームの展示規模はやや小さかった。やはり一隊の騎兵によって始まり、すぐ続いたのは北朝鮮陸軍が誇る制圧砲兵で、特に遠距離ロケット砲兵火力は、朝鮮人民軍が騾馬化からモーター化ないし機械化に向かっている意味を含んでいた。我々が熟知するM1985式152mm自走カノン榴弾砲、「谷山」170mm自走遠距離カノン砲や各種の122mm、240mmロケット砲の他、北朝鮮は初めてKN-09(KNはノースコリアの略で、韓米方面の北朝鮮新型ミサイル武器に対する命名の序列である)型8本バレル300mm遠距離ロケット砲を展示した。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「KN-09型遠距離ロケット砲」です。)

このロケット砲は寸法の上でロシア製BM-30「竜巻風」ロケット砲に似ているが、バレルが8本にまで減少しており(モジュール化装填を採用した可能性がある)、より軽便な6輪トラックシャーシを使用している。BM-30の性能を参照すると、KN-09の射程も70km以上に達することが有望で、朝鮮人民軍の遠距離火砲と短距離戦術ミサイルの間の火力の空白を埋めた。だがそのシステムのマッチングの程度は「竜巻風」とまだ隔たりがある。さらにセットされる弾種(特に自己鍛造弾)が欠けていることを考慮すれば、その総合打撃機能はまだBM-30に比肩し得るには不足である。

その後は北朝鮮陸軍の機械化部隊で、種類は多いがその中の絶大部分の戦車、装甲車両は「暴風虎」戦車を含め前から知っているもので、新機種のお目見えは決してなく、その全体的技術は依然旧ソ連陸軍の1960〜70年代の水準にある。その後展示された「白頭山-1」型無人機とKN-01型地対艦ミサイル(我が国の海鷹-2に相当)も以前からの閲兵の常連客である。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「KN-06対空ミサイルのディテール」)

その後に出現した北朝鮮の地対空ミサイル部隊のKN-06型遠距離対空ミサイルの展示は圧巻だった。今回が初お目見えではないが、それにもかかわらずそれは最も実戦配備に近い状態のお目見えだった。ミサイルの発射筒表面には迷彩が塗装され、発射筒上の強化リングの配置はS-300P系列の初期型、例えばS-300PTに非常に似ている。非常に多くの西側の情報ソースは、KN-06の技術の出所はすでにS-300PTのコピー生産に成功し、かつ2014年末に装備したイランの「信仰-373」型地対空ミサイルで、北朝鮮がイランに弾道ミサイルを供給したことに対する見返りとしてのものだ、と指摘する。

空中スクエアチーム:手元不如意で戦闘機は多くない 隊形のレイアウトには新アイデアあり

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「スホーイー25編隊の『向上開花』」)

以前各方は揃って国防工業の全体レベルに対する要求が最も高い航空領域において、北朝鮮はより多くの成就を展示し難く、ミグー29など少数の機種を派遣してデモンストレーションを行うだけだろう、と予測していた。だが今回は燃料などの要素の制限を受けてのこととみられるが北朝鮮空軍ジェット式戦闘機部隊は集団で今回の盛大な閲兵を欠席し、5機のスホーイー25攻撃機だけが閲兵部分の最後に「向上開花」の煙を引くデモンストレーションを行っただけで、全記念活動のムードを最高潮に押し上げた。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「労働党のマークと「70」の図案」)

だが今回の閲兵の中で北朝鮮空軍はそれでも2種の旧式機を派遣して独特の方式をもって「搶戯」した(頑住吉注:意味を説明しているページはありますが説明が理解できないです)。中ロ両国が今年の閲兵の中で見せた「70」の図案に似たものの他(だがこの15機の運ー5/アントノフー2複葉輸送機からなる図案は労働党建党70周年を記念するためである)、北朝鮮空軍の28機の初教-6練習機からなる朝鮮労働党のマークの大編隊も非常に目を引き、この規模が非常に大きく図案の複雑な編隊を保持する難度は相当に高い(頑住吉注:まあ複葉機や初等練習機ならそれでも難度はある程度下がるんでしょうが)。

(頑住吉注:これより3ページ目)

戦略ロケット軍:KN-08ミサイルの技術「ダウングレード」の背後

空軍だけでなく、封鎖を受けているため長期の技術的累積を必要とする通常兵器領域において、北朝鮮の軍事工業にできるのは基本的に小規模な改修だけである。このため北朝鮮は長期にわたり弾道ミサイルというこの「非対称」の切り札を重視し、金正恩が北朝鮮の政権を掌握した後、正式に総参謀ミサイル指導局から戦略ロケット軍に改編された北朝鮮弾道ミサイル力量は毎回必ず閲兵の中の最も人の関心を集める焦点となり得るのである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「KN-08改良型ミサイルが検閲を受ける」)

今回の閲兵では北朝鮮弾道ミサイル領域の最も新しく公開された成果である、2015年5月に水中試射の画像が発表された「北極星」-1型潜水艦発射中距離弾道ミサイルの公開は決してなかった。これまでの何回かの閲兵同様、北朝鮮が自ら改良を行った「スカッド」短距離弾道ミサイルである「火星」-5/6型、中距離弾道ミサイル「ノドン」、中距離弾道ミサイル「テポドン」、および最も人の関心を集める「火星」-13改良型(アメリカなど西側諸国はKN-08型と称する)遠距離弾道ミサイルが順に展示されただけだった。

この最も早くは2012年の「太陽節」閲兵の中でお目見えしたミサイルは今回で第3回目の公開展示で、依然8軸オフロード機動発射車を採用しているが、今回検閲を受けたKN-08の外形に顕著な変化があることははっきり見て取れた。そのミサイル本体の長さはより短く、ミサイルのノーズコーンと補助屹立装置の先端にははっきり距離があり、しかも前に展示されたKN-08のように直径約1.3mの第3段ロケットエンジンを使用しておらず、ミサイル本体上半分に顕著な収縮を呈させているため(東風-31のミサイル本体の外形に似ている)、その弾頭の直径もこれにつれミサイル本体の直径と同じ1.8〜2mにまで拡大している。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「KN-08の外形の変化。下の図は最新版で、そのミサイル本体の長さが顕著に短縮されていることが見て取れる」)

画面から総合的に分析すると、今回展示されたKN-08のミサイル本体は短縮され、第3段エンジンが取り除かれた可能性がある。もしKN-08が研究開発成功からの距離がまだ非常に遠ければ、この期間の改修設計はあまりとがめられない。だがすでに少なくとも公開されて3年の全体方案の上にこのように大きな「引き算」をすることは明らかに迫られて止むを得ずのことであり、ミサイルの技術戦術指標にもこれにより非常に大きな改変が発生することになる。

KN-08の原設計の第3段エンジンが固体燃料だろうと液体燃料推進だろうと、この種の「引き算」は少なくとも北朝鮮がまだ3段推進弾道ミサイル技術の難関を攻略していないことを説明する。北朝鮮が「光明星-3号」衛星を発射するのに用いた「銀河-3号」運搬ロケットに第3段の推力不足、燃焼時間が長すぎて軍用化し難い問題が存在することを結合し、筆者はKN-08の第3段目に克服し難い重大な技術的難題が出現した可能性が非常に高いと考える。

一部メディアはこの東風-5Bに似た弾頭の外形をKN-08改良型は分離誘導式多弾頭技術を採用した大陸間弾道ミサイルだと解読している。だが北朝鮮の燃料およびロケットエンジンの技術をもってすれば、長さが16〜17mに過ぎない二段液体燃料推進弾道ミサイルが「大陸間」クラスの射程を獲得することは非常に難しい。「テポドン」ミサイルの技術を参照すれば、KN-08は二段推進に改造して戻された後、加えて決してダブル円錐体収縮設計の弾頭を設計しておらずより大きくより重く、その射程の「テポドン」に比べての延長も非常に限られ、射程が5,000kmに達する中、遠距離ミサイルに過ぎない。

(頑住吉注:これより4ページ目)

筆者は、KN-08の本来の方案は確かにアメリカ西海岸の目標を照準、打撃するというもので、射程が8,000kmに達する3段推進遠距離弾道ミサイルだった可能性があると推測する。だが技術上克服し難いボトルネックに遭遇するのと共に、北朝鮮の戦略ロケット軍は止むを得ずKN-08の技術戦術指標に対し重大な調整をなした、と推測する。すなわち、3段推進技術の難関攻略を放棄し、比較的成熟した二段のミサイル本体上により大きな弾頭を搭載したのである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「KN-08の弾頭部分と元々の方案の対比」)

この大きな弾頭の中は伝説の中の分離誘導式多弾頭なのか否か? まだ「一箭多星」、甚だしきに至っては帰還式衛星技術さえ掌握していない北朝鮮にとって、多弾頭技術は3段ロケット推進に比べさらに大きな絵に描いた餅かもしれない。その弾頭の大型化は、北朝鮮の核弾頭小型化技術の水準がまだ充分先進的でない結果やむを得ずのことである可能性がよりある。当然より多くの追加のスペースは、より多くのデコイを搭載して防御突破能力を高めることもできる。

KN-08は疑いなく北朝鮮の「鎮国重器」であり、その生存力を高めるため、この中、遠距離液体燃料弾道ミサイルのために特殊なルートから民間用林業伐採特殊車両の名目をもって固体燃料大陸間弾道ミサイルクラスの8軸TEL発射車を購入することを惜しまなかったことは、まさにその明らかな証拠である。朝鮮人民軍戦略ロケット軍の需要について言えば、「降格」後のKN-08は依然グアム島の米軍基地、甚だしきに至ってはハワイ、アラスカなどのアメリカ本土基地を打撃でき、しかもその防御突破能力はそれにもかかわらずKN-08の元々の方案に比べより強いのである。ひとたび北朝鮮の核兵器がKN-08の弾頭に搭載できるようになったら、この組み合わせはアメリカに対し実際の脅威を構成することが有望である。

西側の以前の分析は、リビアが核保有を放棄する結末を目撃した後、北朝鮮にはイランに似た談判で核を放棄する路線はなく、継続してミサイル、核兵器領域への投資を拡大することを選択する、と考えた。今年9月に北朝鮮の原子力研究院は公然と、遼辺の核施設はすでに運転再開されていると言明し、このことは北朝鮮が実際の核威嚇能力を獲得してのみ、やっと真に談判のテーブルについて大国と語る条件が持てるのだとの考えの筋道により傾いていることを説明する。

KN-08の後続の技術改良は、それが決して完全な「戦略的欺瞞」の産物ではないことを説明しており、北朝鮮戦略ロケット軍には確実に雄大な志があることを説明している。常に技術水準の制約を受けることは免れ難いものの。戦略ロケット軍の発展は金正恩が政権について以来継続して堅持する先軍思想、軍備建設に対し全く手をゆるめないことの縮図でもある。だがこれが「軍事大国」に向かう道の足がかり、ないし「強盛大国」の門を開ける鍵なのか否か、読者各位によって見方が異なる。(ソース:澎湃新聞)


 確かに性能低下をしのんでダウングレードしたということはそこまでのことなら何とかできることを示す可能性が高く、また弾頭を大きくしたのはその程度ハードルを下げれば核兵器が収納できなくもないかという段階に少なくとも近づいていることを示す可能性が高く、単に実現不可能な案をハリボテで見せているのではなさそうな感じがしますね。しかしこの大規模な閲兵に飛行機をあまり出せなかったことから内情が相当に苦しいことも確かなはずです。
















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