中国、サウジアラビアに東風-21ミサイルを輸出?

 トルコへの対空ミサイル輸出のような大問題に発展するんでしょうか。

http://military.china.com/zh_cn/jqsj/057/


「東風」-21はサウジアラビアに定住できるか否か?

「東風」ミサイルの背後に隠された地縁政治的ゲーム

イントロダクション:軍事専門メディア界で、中国がサウジアラビア向けに「東風」-21ミサイルを輸出することに関する噂はすでに流れ伝わって非常に長い時間になっており、そのニュース価値はとっくに大幅割引になっている。しかし最近あるロシア方面から来た関連の報道がやはり多くの人の関心を引き起こした。結局のところ、サウジアラビアとアメリカは同盟国であり、石油、ペルシャ湾、そして「東風」-21など、こうした観点が非常に強い「キーワード」として一緒に組み合わされることは、一部の人のひとしきりの「夢想」を引き起こすに足りるのである!

新聞ではない新聞 (頑住吉注:中国語では「新聞」はニュースという意味で、ここでは「新しく聞いたわけではない新聞」とかけているわけですが、このしゃれは翻訳不能ですね。)

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「アメリカメディア、サウジアラビアはすでに『東風』-21ミサイルを購入済みとする」)

2つの相互に矛盾した報道

2014年1月29日、アメリカの「週刊ニュース」は特約編集者ジェフ スタインの文章を独占的に掲載し、2007年には早くも、サウジアラビアはこれまで報道されたことがない交易の中で中国から「東風」-3型ミサイルの改良型である「東風」-21型中距離ミサイルを購入した、とした。しかし、この「東風」-21に関する報道がロシアに伝播した後、関係者の疑義を引き起こした。ロシア戦略・技術分析センターの専門家ワシーリ コーシンは、スタインの文章には多くの推敲に値する部分が存在する、と指摘した。コーシンは、中国とサウジアラビアは1980年代末、成功裏に「東風」-3型ミサイルの交易を達成させたが、あれは中国がまだミサイル技術統制制度(MTCR)に未加入だったことの産物であり、この制度は射程が300kmおよび有効負荷が500kg以上のミサイルの輸出を禁止している、と考える。後に中国は各種の原因の考慮から、この制度に加入し、かつ遵守することを決心した。現在、中国が本当にサウジアラビアに向け「東風」-21を提供し、アメリカはもまた長期にわたってこの事実の存在を無視すると仮定してみると、この双方の行為は明らかにロジックに符合しない。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「サウジアラビア国内の『東風』ミサイル陣地」)

サウジアラビア人の「東風コンプレックス」 (頑住吉注:ここでは「複雑な思い」程度の意味のようです)

ロシアサイドはアメリカのかの東風に関する報道に対し疑義を提出しているが、サウジアラビア人の心中に濃厚な「東風コンプレックス」があることは否認できない。。まさにこの心理が、間違いなく非常に多くの人に、いわゆるサウジアラビアが中国から「東風」-21を購入する件に対し深く信じて疑わなくさせている。当然、「東風」ミサイルが再度サウジアラビアの手に落ちることには、間違いなくそれなりの合理的な成分がある。まず、中距離弾道ミサイルを持つことは、すでにサウジアラビア軍近代化プロセスの中での重要な1ピースを構成しており、しかもサウジアラビア人の「東風」ミサイルに対するユーザー体験はすこぶる良いものである。さらに、「東風」-3ミサイルはサウジアラビア軍の中で確かにパフォーマンスが良好だが、結局のところあれは20年余り前の製品であり、グレードアップ、世代交代が必要とされている。だがアメリカ人はアメリカ・イスラエル関係の考慮に基づき、この件の上であまり積極的になることはなく、このため中国から「東風」-3を購入する選択は情と道理にかなっている。また、中国・サウジアラビア国交樹立後、両国の協力領域はとっくに安全保障業務の範疇を超えており、特にエネルギー源領域では、アメリカのシェールガス開発宣言以後、サウジアラビアというこの伝統的産油大国は中国からの発注を早急に必要としている。

サウジアラビアのミサイルは誰を照準しているのか?

この問題の提出は、サウジアラビアと中東地域のもう2つの強国であるイスラエルとイランとの間の複雑な関係を再度俎上に載せる。この世界の火薬庫と称するに堪える場所では、三者は互いに敵なのである。一方において、サウジアラビアとイスラエルは長期にわたって対立し、だがまたイランと相互に敵対している。異なる宗教間の衝突およびいわゆる「アラビアの大義」から、サウジアラビアがイスラエルを敵と見なして半世紀余りに達する。このため、ひとたびグレードアップ型の「東風」-21が本当にサウジアラビアに運び込まれたら、ごく当然にいくつかの西側メディアによってそれはイスラエルと関連付けられることになる。他方においては、イランにも「東風」ミサイルに対し緊張を感じる充分な理由がある。この両国のイデオロギー方面の差異の大きさは、イスラエルとの食い違いに劣らない。さらに言えば、リヤド(頑住吉注:サウジアラビアの首都)とテヘランの間にはムスリム世界の指導権争奪の問題もある。この中国とサウジアラビアとの間で発生するミサイル交易は、とっくに簡単な兵器売買の範疇を超えているのである。それは中東地域の3つの最重要国家の勝負を屈折して映し出しており、中東の混乱した局面を混沌に陥れもするし、アメリカにもサウジアラビアとイスラエルという2つの同盟国の異なる利益訴求に併せ配慮させる。

サウジアラビア軍の鼓動を高鳴らせる中国兵器

「東風」-3弾道ミサイル

PLZ45 155mm自走 榴弾砲

「梟竜」戦闘機

「東風」の背後のアメリカの役割

アメリカ人は介入して邪魔するか?

「東風」-21ミサイルのサウジアラビア輸出の件は依然噂に属するが、非常に多くの人が質問を禁じ得ないだろう。もしこの件が事実に属せば、アメリカ人は横から干渉を加えるだろうか? ちょうど少し前、中国の対空ミサイルがトルコの競争入札に参加した時にしたようにである! この角度から見ると、アメリカ人にはやはり間違いなくこのようにする動機がある。何故なら、サウジアラビア人が「東風」-21を用いてイランに対応するならまだいいが、これをもう1つの宿敵イスラエルへの対処に用いたら、これはアメリカ人が全く受け入れられないことである。さらに、本国の兵器製品の伝統的な投げ売りの地として、アメリカは外人がサウジアラビアに来てパイの分け前を手にすることを非常に恐れる。かのいわゆるミサイル制限協定に関しては、何のことはない、あれはアメリカ人が他人への対処に用いる道具に過ぎないのである(頑住吉注:だったら脱退しろよと思いますけど)。当然もう1つの可能性も排除されない。すなわちアメリカ人が有り得る中国とサウジアラビアの「東風」交易に対し見て見ぬ振りをする、というものである。結局のところ、自らの伝統的な盟友として、サウジアラビア人の「東風」ミサイルはテヘランに対し一種の実質的脅威を構成するのである。イスラエル側に関しては、まさにこの件を大げさに言って、本国の兵器メーカーのために販路を探してやるわけである。

サウジアラビア、「東風」によってアメリカに対する不満を表明することを欲する

当然、アメリカ人の「何もしない」はサウジアラビアの不満をさらにつのらせる結果を招く可能性がある。サウジアラビアが中国のミサイルを購入するという口振りを見せるのは、ホワイトハウスに不満を持っているからだ、と言う人はとっくにいる。第二次大戦以来、アメリカは苦心の経営を経て、すでに中東に強大な戦略的基盤を持っている。しかし、アメリカのアラブとイスラエルの衝突の中で長期的にイスラエルにえこひいきするやり方は、とっくにサウジアラビアに不快を感じさせている。最近、ワシントンとテヘランの関係改善につれ、さらにリヤドに大いにやきもちを焼かせている。さらに加えてアメリカ人の「アラブの春」の件での黒幕として手を出す作用があり、これもサウジアラビア人にとって忘れ難いことである。このため、「東風」ミサイル事件は決して孤立したものではなく、それはサウジアラビアのイラン、シリアなどの問題での反抗と相互に呼応しているのであって、目的と主旨はアメリカに、イランを孤立状態に戻し、シーア派同盟の政策が軌道に乗ることを打撃することを迫ることにある。この挙は、疑いなくアメリカの中東政策の調整に対し「頭への一撃」をもたらし、少なからぬアラブ諸国のサウジアラビアに対する支持は、アメリカのグローバルな地位の困った状況を突出させている。

各視点からの声

バンダル イブン スルタン:サウジアラビアはアメリカと「等距離外交」を保持することに

アメリカはシリア大統領アサドおよびイスラエル・パレスチナの衝突に対し積極的に行動を取ることができておらず、しかもアメリカ政府は日増しにイランと親しくなり、2011年にサウジアラビアがバーレーンを助けて反政府活動を打ち破った時もサウジアラビアを決して支持しなかった。

より多くの声

アメリカのサウジアラビアに対する300億の兵器販売は同国がイランを抑止することを希望してのもの

アメリカのサウジアラビアにおける無人機基地が暴露される

アメリカ、サウジアラビアに取って代わり全世界で最大の産油国となる

許勤華:中東は新たな地縁政治のゲーム期に入った

北米シェールガス革命の成功はアメリカのエネルギー源独立の可能性を生じさせた。アメリカの中東地域での利益の需要は総体として低下し、中東地域は新たな地縁政治のゲーム期に入った。

より多くの声

サウジアラビア、中国の石油不足を埋められると表明

サウジアラビアには中国・パキスタンの「梟竜」戦闘機研究開発計画への加入の意志あり

イギリスメディア、サウジアラビアも核兵器保有を考える、とする

ネット仲間の調査

あなたはサウジアラビアの「東風」-21購入の一件をどう見ますか?

根拠のないことである 27.24% 116票

とっくに買っているかもしれない 10.33% 44票

サウジアラビアの「東風」-3はグレードアップすべき状態になっている 22.54% 96票

イランとイスラエルに対応する利器である 4.47% 19票

アメリカ人はきっと横槍を入れてくる 31.93% 136票

はっきり言えない 3.53% 15票

総票数 426票

中国の「東風」サウジアラビア輸出のいきさつ

1987年後半、サウジアラビアは現金支払いの方式をもって一定数の「東風」-3ミサイルを購入することを決定した。この交易は中国の今までの金額最大の単一項目兵器輸出であり、総額は35億アメリカドルという巨額に達し、一方中国の外貨備蓄はやっと20.72億アメリカドルだったのである!

結びの言葉

まさにロシアの専門家が言うように、「東風」-21が最終的にサウジアラビアに定住できるか否かはまだ未知数である。だが「紅旗-9」のトルコでの競争入札事件同様に、この件の意義はとっくに普通の兵器貿易契約を超えている。あるいは、目下の契約は必ずしも希望通り達成できないかもしれない。だがこれは単なる始まりに過ぎないかもしれないのである。遠くない将来、どんどん多くの中国の軍事工業製品がこういった地域で成功裏に販路を開くことを想像するのは難しくない。当然、中国の武器自体の物が良く廉価というのも一大優勢である!


 アメリカのシェールガスの意外な影響など、個人的には非常に興味深く読んだんですが、ネット投票の数は少なく、いまいち中国での関心度は低いようです。イスラエルとサウジアラビアが共にアメリカの同盟国だといっても、私は後者のアメリカにとっての重要性は前者よりはるかに下ではないかと思いますが、あるいはその差はシェールガスによってさらに開くかもしれず、アメリカが中東における存在感を薄めればロシアや中国がそれに代わって影響力を強めるかもしれないですね。












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