オスプレイと中国軍用輸送ヘリの今後


 「オスプレイ」に関連して中国の輸送ヘリが今後どうあるべきか、という論です。

http://military.china.com/top01/11053250/20120804/17355940.html


韓国メディア:中国が島を奪取するには大型ヘリで南海におけるパワーの真空を解決する必要がある

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「資料画像:アメリカ軍の『オスプレイ』ティルトローター機」)

韓国の軍事ウェブサイト「新羅空軍フォーラム」2012年7月24日発表の文章は、アメリカが日本の沖縄に「オスプレイ」ティルトローター機を配備することの中国に対する啓示について分析を行っている。文章は、「オスプレイ」は新時代の装備ではあるが、アメリカが日本にこの種の装備を配備する戦術的用途は、依然アメリカの西太平洋地域におけるヘリ機動能力の向上である、と考えている。これに比べ中国には類似の装備を発展させる必要はないが、アメリカ式の大型ヘリを大いに力を入れて発展させ、本国にアメリカ軍が持っているものに似た比較的大規模な海上ヘリ機動力量を建立し、さらには島々の数が比較的多い海域において有効にヘリ航空降下および輸送能力を獲得する必要がある。これは中国が西太平洋と南海でコントロール権を獲得したければ具備することが必須な基本条件である。

7月23日、日本の沖縄に配備されるアメリカの「オスプレイ」ティルトローター機12機が日本の岩国基地まで輸送され、最終的には10月に普天間空軍基地に正式に配備されることになる。アメリカ軍が「オスプレイ」を配備する意味は、すでに老朽化した「スタリオン」(頑住吉注:CH53シースタリオン)系列大型ヘリとの交換にある。この出来事を解読するに当たり多くの視点は、ティルトローター機のヘリと比べての技術的な革命はあるいはアメリカのアジア太平洋地域におけるこれまでの軍事配備および作戦方式を改変することになるかもしれない、と考えている。だが、「オスプレイ」はまだ完全に成熟していない装備であり、このタイミングで沖縄に配備する意味からはアメリカのアジア重視、特に日本重視の態度をより多く見て取ることができる。具体的技術から言えば、「オスプレイ」の革命的技術はアメリカのこの地域における既存の軍事力配備と作戦方式を変えることはない。アメリカ軍が沖縄の「オスプレイ」を配備する目的は、依然伝統的軍事思想の指導下にあり、さらに一歩アメリカのアジア太平洋地域におけるヘリ機動能力を強化することにある。

周知のように、イラク全面撤退が示すようにアメリカは戦略の重心を、中東からアジア太平洋へ、相手を、殺し尽くすことが難しいテロリズムから平和的に台頭する中国へと転じている。だが注意に値するのは、アメリカが今回アジア太平洋に回帰する気勢は凄いが、虚勢を張っている傾向が大きいということだ。10年間の対テロ戦争でアメリカはすでにあまりにも多くの力量を消耗し、このためアメリカは極力アジアに回帰するが、アジア太平洋地域内において新たに増やされる軍事力は多くはない。アメリカがアジア太平洋地域内の軍事力を大きく増加させることが難しい状況下では、「オスプレイ」のような全く新しい高機動空中プラットフォームの配備を通じて、限られた作戦力量により迅速、柔軟に各ホットポイント地域での機動が行えるようにさせ、機動の優勢をもって力量の劣勢を補うしかないのである。だが無数の歴史的事件の教訓は、数量が限られた高技術装備の単純な配備は、大局に対する根本的影響を及ぼすことが難しい、ということを示している。一方別のサイドである中国は、短期内に「オスプレイ」に類似したものを発展させる必要はないが、アメリカ式の大型ヘリの発展を通じて、本国の武装力量のヘリ機動能力を向上させることは必須である。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは、「中国空軍が導入したMi-26ヘリ」です)

2008年の四川大地震は中国の軍備、特にヘリの発展、生産に非常に大きな影響を与えた。この自然災害の中で、中国は自身のヘリ領域の限界を認識しただけではなく、ロシアから借りた3機のMi-26大型ヘリの災害救援におけるずば抜けたパフォーマンスが中国に後日におけるヘリ発展の方向を見せたようである。すなわち独立した研究開発あるいはロシアとの協力によるMi-26に類似した大型ヘリの生産である。だが中国の全体的なヘリの機動能力に対する必要性、およびアメリカ、ロシアの2種類のヘリ発展スタイルの技術的差異から見て、アメリカの大型ヘリが中国ヘリ発展の核心的方向としてより適している。そして最も直接的な技術的参考はアメリカの「チヌーク」(頑住吉注:CH-47。タンデムローターの大型輸送ヘリで初飛行から50年以上経過するも後継機なし。ベトナム戦争で活躍し、また自衛隊でも使用)ヘリに他ならない。

もしアメリカ、ロシア両国のこれまでのヘリ領域における新しいものを作り出す行動を比較すれば、ロシアが主に既存のヘリの模式内に新技術を加えることによって全体的ヘリ技術の飛躍の実現を試みてきたことに気付くのは難しくない。この方面の代表的装備はまさに共通軸反転技術を採用した「カモフ」系列ヘリである。一方アメリカは伝統的概念のヘリ発展の手を緩めないのと同時に、新概念ヘリの研究開発により自身のヘリの全体的レベルを向上させてきた。代表的装備はタンデムローターを採用した「チヌーク」系列ヘリに他ならない。伝統的ヘリに比べ、「チヌーク」の優勢は相当はっきりしたものである。「チヌーク」独特の車のボディー型レイアウトはその貨物コンパートメントの長さをほとんど機体の全長から操縦室を引いたものにし、伝統的ヘリの尾部ブームという「無用の長さ」(輸送に関して言えば)をなくした。したがってこの種の類型のヘリは伝統的ヘリに比べずっと小さい機体の体積と重量で同じ重量と体積の貨物が輸送できるのである。

中国の現在ある装備研究開発と更新計画の中では、ほとんどあらゆる領域内の装備がグレードアップ、更新を獲得し得るが、陸海軍の精鋭部隊がヘリ機動を行う時だけは依然、性能がすでに明らかに古くなっている国産の直-8とロシア製のMi-17系列中型ヘリを使う必要がある。2度のイラク戦争とアフガン戦争の経験では、非対称の(頑住吉注:双方に大きな力の差がある、という意味らしいです)局地戦争では部隊のヘリ機動能力はすでに戦争の勝敗を決定するカギとなる重要な要素になっていることがはっきり示された。しかもこの場合の部隊のヘリ機動の定義は、すでに以前の単純な人員と軽装備の輸送をはるかに超えている。アメリカの新世代装備研究開発の中で、ヘリ機動部隊のほとんどあらゆる装備可能な装備は、いずれもヘリに吊り下げ装備して輸送される機動能力が考慮されている。これにかんがみれば、中国はできるだけ早く大量の兵員を輸送し、比較的遠距離のヘリ機動を行う能力と、比較的重い装備を吊り下げて輸送する能力を併せ持った大型ヘリを研究開発する必要がある。Mi-26に代表されるロシア式大型ヘリは研究開発成功(1977年初飛行)から今に至るまで、いかなる大規模な技術的グレードアップもまだ行われておらず、全体的技術レベルはすでに陳腐化、旧式化している。これに比べ「チヌーク」に代表される非通常アメリカ製大型ヘリは技術的に充分先進的なだけでなく、中国の大型ヘリに対する全ての必要性を満足させられる。しかも1980年代の中米「蜜月期」に、中国は「チヌーク」ヘリの技術を深く理解してもおり、ロシア製大型ヘリに比べ、コピー生産と改良を行う難易度がより低い。(頑住吉注:後のページはヘリの画像があるだけで、3、4ページ目は「オスプレイ」、5、6ページ目は「チヌーク」、7ページ目はMi-26です。)


 配備が始まった時期からすれば「チヌーク」の方がMi-26より古いんですが、もちろん新しい方が優秀という保証はなく、「チヌーク」は特に大きな不満なく使用されているからこそ後継機が出現しないんでしょうし、参考にする対象としては適切かもしれません。しかし武装戦闘ヘリのエンジンがまともに作れない中国に大型ヘリのエンジンは作れるんでしょうか。また「災害救助ヘリ用」とか称して輸入するつもりでしょうか。「アメリカがオスプレイを配備するのは戦力の劣勢を補うためにはそれしか方法がないから。中国は当面類似の機を開発する必要はない。」というのも何だか負け惜しみっぽく感じられます。本音は「本当は欲しいが当面無理」ではないのかという気がします。













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