中国国産空母建造の困難とは

 この文章、記述されたのは「遼寧艦」初航海前と少し古いですが、このテーマで良くまとまっていて、だからこそ最近になって再び取り上げられたようです。

http://military.china.com/critical3/27/20140226/18362511.html


呼び声だけ聞こえて動きは見えず 中国が国産空母を建造する困難はどこにあるか

最近ワリヤーグ号空母はまさに鳴り物入りで施工され、見たところ海に出るのは間もなくである。2003年に中国にやって来てから、これに次ぐ改造はずっと公開されたことがなく、我々軍事マニアをやきもきさせずにはおかない。今海軍入りして就役することはすでに定まっており、我々の7年のむずむずをある日すっきりさせる。外部から空母を購入するという問題の解決後、次の一歩の発展は疑いなく国産空母を自ら建造することである。中国が空母を開発するのは恐らく最も苦難なことだろう。技術的に多くの難題があり、しかも外部の非難があり、内部に邪魔があり、今日まで至ってもこの一歩は間違いなく易しいことではない。以下最初から最後まで技術的問題を語ってみよう。

建造を行うには、まず場所と施工設備が必要である。数万トンクラスの国産空母は疑いなく大型ドックと大型ガントリークレーンを必要とする。現在中国は世界公認の造船大国であり、20万トンクラスの民間船が建造でき、とっくに大型ドックと大型ガントリークレーンを持っており、このためこの方面には何の問題も決してない。空母建造は材料から開始される。空母の艦体は高強度で大寸法の鋼板から作られる。駆逐艦の鋼板の寸法の標準は3mで、一方アメリカの空母を建造する鋼板の寸法の標準は10mだとされる。これは長時間の投資の大きい研究によってやっと解決されることでもある。大寸法の鋼板は溶接作業の量を減らすことができ、重量と施工速度のコントロールに対し決定的意義を持つ。中国は鋼鉄大国だが、決して技術に長けているわけではない。生産量は大きいが、依然外国の質の優れた鋼材を輸入する必要がある。そのレベルはアメリカとでは隔たりがあると言うべきであり、思えばアメリカの現在の10mの標準は中国はまだ達成できない。アメリカが1世代前の空母を建造した時の鋼板の寸法の標準はすでに8mに達していた。重工業の基礎ある国家として、中国がこのレベルに到達するのは問題ないようだ。国防技術上確かにアメリカに比べ立ち後れているが、アメリカの30年前の能力にも到達しないほどではない。鋼材の問題も、明らかに解決可能である。

動力システムは中国の装備の弱点たる項目であり、飛行機、戦車、軍艦、全てこれに妨げられている。これは空母建造技術の中で最も不確定なものでもある。現有の軍艦の動力システムは明らかに空母に用いることはできず、空母専用にオーダーメイドすることが必須である。ディーゼルエンジンはその作動の特徴ゆえに、大型軍艦の高速航行の要求を満足させることはできない。航行速度の要求が高くない大型軍補助船と上陸艦の上でやっとメインエンジンとなり、空母に用いられたことは全くない。ゆえに考慮しない。イギリスのドレッドノート艦進水から、蒸気タービンがすでに大型軍艦の動力システムの上で絶対の優勢を取得している。その最大の優勢は発生させる出力が極めて大きく、大型軍艦の高速航行の要求を満足させられることにあり、大型空母に用いる最も成熟した動力システムである。一方原子力動力システムも本質的には蒸気タービンであり、核反応炉を用いて過去の油燃料ボイラーに取って代わらせているに過ぎない。

現在蒸気タービンに挑戦し得る者としてガスタービン以上のものはない。初期のガスタービンは出力が比較的小さく、蒸気タービンと比較できなかったが、近年来新型ガスタービンの出力は非常に大きく向上し、すでに対抗する能力を持っている。イギリスはすでに次世代空母においてこれをメインエンジンとする決定をしており、これはガスタービンを大型空母に用いることの成功の印である。国産空母がもしガスタービンを使用するなら、ウクライナと合同で開発するRO110型ガスタービンが真っ先に選択される対象である。だがアメリカの空母のメインエンジンの総出力は26万馬力、ロシアの空母のメインエンジンの総出力は20万馬力であるが、もしRO110型ガスタービンを2台用いると総出力は30万馬力で、過剰のきらいがあるようだ。だが動力不足よりはいい。伝動システムに関しては、機械伝動は大型ギアボックスの精密加工技術があることが必要で、もし中国がすでにこの項目の難関を攻略していたら、自ずと機械伝動の採用が可能で、もししばらくは要求が達成できなかったら、アメリカの初期の空母のやり方に学び、電力推進方式を採用することができる。現在国際的にまさに勃興しつつあるAzipod式電力推進は、中国の技術的基礎がまだごく脆弱であり、この方面の応用の記録もなく、ゆえに伝統的電力推進の採用がより実行可能性があるし、何の技術的難関攻略の必要もない。

ワリヤーグ号は中国に来た時メインエンジンを装備していなかった。ならば現在のメインエンジンは国産か、それともウクライナから導入したのか。個人的には導入の可能性がより大きいと推測する。ウクライナはソ連から継承した大型蒸気タービンの技術を持つが、本国に需要はなく、中国向け輸出に用いて外貨を獲得するのは有利なことである。完成品を販売するのも技術を輸出するのもいずれもあり得る。艦用ガスタービンという先例がすでにある。もし中国の導入が阻害を受けたら、当然自主開発の必要がある。中国の大型蒸気タービン技術は劣っていないと言うべきで、陸上の発電所の中には百万馬力級の自ら製造した製品がある。十万馬力級の艦用型の製造は問題ではない。難度はいかに寸法と重量をコントロールするかにある。ワリヤーグ号にすでにメインエンジンがある以上、国産空母はまとめて同じものを用いることができる。見たところ動力システムに困難はあるが、いくつかの種類の選択項目はどれも実行可能である。

艦体の建造が完成した後は当然武器システムと電子設備である。この方面には最も疑問がないと言うべきである。国産駆逐・護衛艦上にはすでに多くの現有のシステムがあり、直接空母に用いることができる。ワリヤーグ上にはすでに大背板(頑住吉注:意味不明)とイージス(頑住吉注:システム相当の中華システム)、730火砲、FN3000システム、対潜ロケット発射器もすでに装備され、現時点で唯一の懸念は対空ミサイルの機種である。国産の海紅旗-9と海紅旗-16が選択可能なものとしてあり、個人的には海紅旗-16がより実用的であると考える。だが懸念の解消にはまだワリヤーグが海に出るのを待つことが必須であり、その時になって制御誘導レーダーの外形を見れば、すぐどんな種類の対空ミサイルか分かる。国産空母に関しては、同類の設計を使用すれば即可であり、改変の必要はない。武器システムと電子設備はここに至り円満に解決され得る。

(頑住吉注:これより2ページ目)

国産空母に関する論争の最大のものとして、カタパルトを使用するか否か以上のものはない。ワリヤーグ号が使用するのはスキージャンプ甲板で、しかも衛星画像から見て、決してカタパルトが追加装備された形跡はない。明らかにスキージャンプ甲板しか使用できない。ならば国産空母はこの設計をそのまま用いるのか、それともカタパルトを装備するのか? 現在まだ信頼できる答案はない。このため今回は同時に分析を行う。スキージャンプ甲板は構造が簡単であり、建造に関して言うといかなる工程上の問題もない。真の難点は艦載機がスキージャンプ発進を必要とするとその重量が制限を受け、飛行性能と搭載重量に影響する、というところにある。今回空母自体の建造問題だけを討論することにかんがみ、ひとまず艦載機の問題は討論しない。スキージャンプ甲板だけについて言えば、建造に決して困難はない。カタパルト発進は実はより理想的である。何故ならスキージャンプが頼るのは完全に艦載機自体の力量であるが、カタパルト発進は艦載機の力量+カタパルトの力量であり、どちらがより強いかは実はごく簡単である。空母の戦闘力は艦載機によって決定される。このため艦載機の能力を向上させるためにはむしろ空母自体が犠牲を払っても惜しくはない。カタパルトは構造的に非常に大きく複雑だが、使用すべきでもある。現在世界でアメリカだけがカタパルト技術を持ち、言うまでもなく中国に輸入されることはない。このため中国は輸入に頼って問題を解決することは不可能であり、自主研究開発するしかない。電磁カタパルトはアメリカが1960年代からもう事前研究開発を開始していたが、現在に至るも実験段階に入っただけで、まだ装備については語れない。中国がこの方面においてすでにアメリカを超える立場にいることはあり得ず、ゆえに国産空母が現時点で電磁カタパルトを使用することは不可能である。蒸気カタパルトは現在成熟した技術であり、その技術的難点は1950年代にもうすでに克服されており、国産カタパルト必然の選択である。中国人が蒸気カタパルト開発に対し恐れを感じるその根本原因は、ソ連の蒸気カタパルト研究開発が挫折したためである。ソ連の当時の軍事工業の実力は今日の中国をはるかに超えていたことを知る必要がある。この角度から見ると、中国が蒸気カタパルトを開発するのは非常に困難のようだ。だが最近公表されたいくつかの資料から見て、ソ連の蒸気カタパルト研究開発が挫折したことに関しては、その政治的原因が技術的原因より大きく、さらにむしろ長官の意志の結果だったようだ。ソ連の空母は緯度の高い地域で使用する必要があるため、蒸気カタパルトに氷結が出現し、ゆえに使用できなかったのだ、と言う人がいる。だがこの点は疑わしい。結局のところ加熱装置を追加装備すれば即氷結は防止できるのである。アメリカの空母に冬季あるいは高い緯度の地域で蒸気カタパルトの故障が出現したとの噂を聞いたことがないからなおさらのことである。ソ連空母がスキージャンプ甲板を使用したのはむしろ人にミスディレクションされたせいのようである。事実としてスキージャンプ甲板出現後、大きな力を入れて宣伝した者はまさしくアメリカだった。だがアメリカは空母設計の上で全くスキージャンプ甲板を用いたことは全くない。蒸気カタパルトは伝統的技術であり、構造上すでに秘密と言うべきものもない。アメリカの現在の蒸気カタパルトは1970年代に研究開発されたもので、中国の技術が現在アメリカの40年余り前よりも低いはずはなく、同類の設備の研究開発に困難があるはずはない。特に以前中国が購入した廃品のメルボルン号空母には蒸気カタパルトが完備された状態で保持されていたとされる。詳細な研究を加え、その技術を充分に飲み込んだか否かは知られていないが。蒸気カタパルト使用の真の難点は、中国にこの方面の経験が全くないというところにある。一方アメリカはすでに長年使用し、かつ小型から大型まで徐々に発展させ、その収穫は明らかに他に伝えない秘密である。ゆえに国産蒸気カタパルトが製造できた後、必然的に故障が頻発するが、これは不可避なことでもある。中国は時間に頼って経験を累積するしかなく、いかなる近道も決してないのである。

今どうにか国産空母建造の中で遭遇する可能性のある技術的困難を1つ1つ分析した結論は、困難は非常に大きいが前途には光明があり、国産空母は現在すでに某所の船台で秘密のうちに建造されているかもしれず、いつ衛星写真が秘密を漏らすかは分からないが、その時軍事マニアは喜びを禁じ得ず、きっとほしいままに慶祝するのは当然である。空母艦載機問題がいかに解決されるのかに関しては、次回の分析をお待ちいただきたい。


 ソ連が蒸気カタパルトを使わなかったのは氷結の可能性があるため、という記述は以前出てきたことがありますが、確かにアメリカはアラスカ周辺でも空母を運用することはあるでしょうからいまいち説得力を欠くかもしれません。しかし陰謀論はどうかと思います。オーストラリアの「メルボルン」空母の蒸気カタパルトが完備された状態で中国の手に落ちたという記述は今まで見たことがなく、これもちょっと信じられません。


















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