ロシアのスナイパーライフル

 最近の事件とも絡めて、その誕生の経緯やその性格を決めた運用思想、弱点などについても語られています。

http://war.163.com/14/0320/13/9NPJ44IU00014J0G.html


クリミアの第1発目を響かせる

ソ連・ロシアのスナイパーライフルの秘密を解く


導入の言葉 神秘の狙撃手は情勢が緊張したクリミア事件の第1発目を響かせ、かつ初の軍人が死傷する事件をもたらした。ソ連からロシアまで、ソ連・ロシアの軍隊は主にSVDおよびSV98というこの2種のスナイパーライフルを使用している。そしてクリミアでの第1発目も基本的にこのスナイパーライフルの銃口から発射されたに違いない。

ソ連のスナイパーライフルに重要だったのは反応速度であり精度ではなかった

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「画像はクリミアに進入したロシア軍。右側のロシア軍兵士が携帯しているのはニューバージョンのSVDスナイパーライフルである。」)

クリミア事件で第1発目の銃声を響かせたのはスナイパーライフル

現地時間2014年3月18日、クリミアの首府シンフェローポリで銃撃事件が発生した。クリミアの内務省が事実確認するところによれば、銃撃事件はクリミア自衛隊の隊員とウクライナ駐クリミア兵士のそれぞれ死亡1、負傷1をもたらした。報道によれば、このうち1人の狙撃手はすでに逮捕され、もう1人は逃走中である。報道は、事件発生地点は現在すでに包囲され、かつ現場は比較的平静であるとしている。現地内政部門は、銃撃事件はシンフェローポリのウクライナ軍地形図作製センターで発生した、と事実確認する。

現地内政部門はある声明の中で、犯人の目標は自衛隊とウクライナ軍地形図作成センターだったとしている。彼らはさらに、銃撃はセンター向かい面の別のビルだった、としている。声明は、第1回目の銃撃発生後、自衛隊はこのビルを捜索しようとしたが、狙撃手らしき人員が発砲、射撃してきた。警察はさらに、弾丸は同一地点の2つの方向からやってきた、とする。このためクリミア事件の第1発目はスナイパーライフルから発射された可能性が高い。ソ連からロシアまで、ソ連・ロシアの軍隊は主にSVDおよびSV98というこの2種のスナイパーライフルを使用しており、今回の狙撃殺害事件の主役も逃れ難くこの2種のスナイパーライフルである。

第二次世界大戦の経験に基づきソ連は狙撃戦に対し非常に重視した

ソ連祖国防衛戦争の中での赤軍狙撃手とモシン・ナガンスナイパーライフルの出色のパフォーマンスは、ソ連が戦後ワンセットの全く新しい狙撃武器システムを真剣に研究開発することを促した。これは歴史上初めての狙撃用途専用に設計された小銃システムで、これには専用の弾薬、銃器、および距離測定能力を持つスコープが含まれた。その誕生は狙撃体系の近代から現代に向けての突破を象徴的に示していた。

第二次世界大戦中に獲得した戦果と経験に基づき、ソ連は1950〜60年代において狙撃の発展に対し比較的重視した。師団クラスに開設された狙撃手学校において、各連隊の狙撃手候補は200授業時間の養成訓練を受ける必要があった。

ソ連軍狙撃手は分隊に属する 半自動小銃に適合

狙撃手は全て狙撃手学校によって養成訓練され強化を経た分隊の正確な射手となっており、小隊クラスの編成の上で火力支援を提供した。ソ連軍のそれぞれの1個機動歩兵小隊と航空降下小隊の中では、全て1人の狙撃手と小隊長が共に第1分隊に組み込まれていた。これにより小隊長が最短時間で狙撃手が特定の目標に対し射撃を行うのを指揮することができた。この種の背景の下に、ソ連の狙撃手が必要とするスナイパーライフルは発砲と反応の速度をより偏重し、遠距離射撃の精度ではなかった。このため銃器の類型の上では半自動小銃の使用がより適し、精度の欠陥は銃器設計の最適化と高精度弾薬の使用によって埋め合わせることができた。

SVDスナイパーライフルは初の正確射撃のために生まれた小銃

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「SVDスナイパーライフルが1963年に大量装備されて以来、世界の非常に多くの国で実戦の試練を経た。画像はイラク民兵がSVDを使用して照準しているところ」)

SVDはもはや維持保護の簡単さではなく、より精度に重点を置いている

1958年、ソ連は新たなスナイパーライフルを研究開発してモシン・ナガンスナイパーライフルに取って代わらせることを決心した。重量が軽く、砂嵐や泥水に耐え、劣悪な環境下でも信頼性をもって使用できるなどの伝統的要求の他、この小銃は毎分10発前後の戦闘発射速度を持つことが必須で、また2〜3発の弾丸の中で1発は目標に命中できることが必須だった。SVD小銃は生産コストや維持保護の難度ではなくより射撃精度に重点を置いた製品であり、AK47のガス導入装置に対し大幅な改修を行った。

SVDのトリガープルはAK47小銃の半分しかない

狙撃手専用に設計した銃器として、SVD小銃の発射機構は同様に比較的軽い2ステージのトリガーを持つ。AK47小銃のセミオート状態下での1.5〜2.5kgのトリガープル範囲に比べ、SVD小銃のトリガープルは半分に軽減されており、0.8〜1.3kgしかない。

多くの方面の改良によって、最終的にドラグノフはAK47というこの著名だが射撃が正確でない小銃を基礎に、成功裏に当時に関して言えば精度のパフォーマンスが最上で、しかも軽くて精巧、信頼性の高い半自動小銃を設計して作り出した。SVD小銃はスコープが付属しない空虚重量が3.7kgしかなく、初期バージョンのAK47小銃と比べてさえさらに少なからず軽かった。セットになる7N1狙撃弾薬を使用すれば、当時としては相当に見るべきもののある精度上のパフォーマンスが獲得できた。だが設計師がいかに人一倍工夫を凝らしても、AK47の血統からは終始きれいには離脱し難かった。このためSVDは、初の正確射撃専門に生まれた軍用小銃とは呼べるが、設計の中には少なからぬ欠陥も留保されたのである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「SVDのトリガーガードは比較的大きく、兵士は綿や革の手袋をしても射撃できる。」)

SVDは無委託射撃に適さず、むしろスポーツ小銃のようである

7.62mmx54R弾薬のより多い発射薬に適応し、初速と精度を向上させるため、SVDのバレルはAK47小銃の415mmから620mmにまで延長された。銃器の重心を過度に前傾させないため、SVD小銃のバレルは止むを得ず比較的薄く設計された。このようにすると銃器の重量は比較的軽くなるが、冷銃状態を維持する能力は非常に弱く、何発か撃った後、弾丸の散布はもう顕著な変化と悪化を生じさせ始めるのである。

設計師の考え方から言えば、ドラグノフは戦場の条件の複雑性に対する見積もりが不足しており、これはおそらく彼がそれまで主にスポーツ小銃の設計に従事していた経歴とも関係がある。SVD小銃は射手に理想的スタイルでの銃器の構えが使用できず、依拠が欠乏しているなどの条件下での射撃の需要を決してあまり考慮していない。実際の経験について言えば、SVD小銃の操作コントロール性は比較的劣り、もし射手が身体の強壮さ、銃を構える時の特別強い力、射撃経験の豊富さ、多くの目的性を持った訓練などの基礎を持っていないと、不利な銃の構え、委託姿勢の下では、SVD小銃の射撃結果は往々にして人を受け入れ難くさせる。

ソ連式スコープは夜間において射手の射撃を誘導できる

SVD小銃は銃器としてはやはり完璧ではないと評価できるかもしれないが、全体レベルは巧妙にして最上と称するに堪える。それとセットになるPSO-1スコープは革命的創新設計という言葉を用いてしか形容できない。創新という角度から言うと、PSO-1は素早い距離測定能力と一定の精密距離測定能力を持ったレティクルの設計を採用し、狙撃手を距離測定が基本的に当てずっぽうに頼るというまずい局面から離脱させ、300〜400m内の目標に対し比較的正確な射撃を実施する基礎を持たせた。次にPSO-1スコープは内部に置かれた照明措置を採用し、電池、小型照明具によってレティクル板に対する照明を行い、この設計は狙撃手が黄昏、黎明、甚だしきに至っては夜間条件下での照準射撃を行うのを有効に助けた。

ソ連式スコープの製造は低劣 第二次世界大戦のドイツ製品に及ばず

一部の設計思想上の先進さに比べ、PSO-1スコープはエッチング技術に頼って作り出されたガラス製レティクルを除くと、その光学、機械的性能はむごたらしくて見ていられないとの言葉を用いて形容するしかない。対物レンズの直径は24mmしかなく、倍率を非常に低い4倍に設定しても、視野は依然極めて狭い6度しかない。近いところでは広い範囲が見えず、遠いところでははっきり見えないというこの点の上で、PSO-1スコープはドイツの第二次世界大戦時期の製品のパフォーマンスにも及ばない。さらにはいくつかのドイツが第二次世界大戦の時期にすでに実現していた機能、例えば焦点距離調節や光の屈折度調節も、PSO-1には全く欠けているのである。

ロシア軍、遠距離正確射撃のためにSV98スナイパーライフルを研究開発

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「画像は2月にウクライナ民衆がキエフでデモした時にビルの屋上で警戒するミリタリーポリス。プローンで照準するミリタリーポリスが使用するのはSV98スナイパーライフルらしい。」)

SVDの精度は人質救出などの種類の特殊行動を執行し難い

旧ソ連/ロシアの軍隊はSVDスナイパーライフルを装備して長年になるが、この銃は重量が軽く、堅固で耐用性があり、戦術支援火器としてはすこぶる有効と言えるが、SVDの中、遠距離での精度は劣り、遠距離の正確射撃には適さず、人質誘拐のたぐいに直面しての任務にも適さない。このような需要があるため、Izhmash社(イジェフスク兵器工場)は同社の既存のRecord系列スポーツ小銃をベースに、1998年にボルトアクション式スナイパーライフル、略称SV98(CB-98)を設計した。

SV98スナイパーライフルは非自動発射方式で、ボルトアクションを採用している。ボルトヘッドには円周に沿って均等に3つの閉鎖突起が分布し、レシーバー上の対応する閉鎖ミゾとかみ合い、開閉鎖の動作を完成する。ハンドガードと一体のストックの主体は複合板材によって作られ、通常緑色に塗装され、ユーザーの特殊な要求を根拠に迷彩色あるいはその他の色にも塗装され得る。

SV98の距離300mにおける射撃の散布面はたった5cm

SV98のレシーバーとバレルはいずれも冷鍛造で生産される。手動のボルトは前端での閉鎖で、ボルトヘッドには3つの対称の閉鎖突起がある。フローティング状態で設置されるヘビーバレルは炭素鋼で作られ、大多数の専用スナイパーライフル同様、SV98のボア内にもメッキはなく、メッキ層の不均一によって射撃精度に影響することが避けられている。ボア内には4条右回りのライフリングがあり、ピッチは320mmである。銃口部にはネジのインターフェイスが設けられ、円錐形のバードケイジ式銃口消炎/制退器あるいは消音器がねじ込みによって連結できるが、消音器使用時は専用弾薬を使用する必要がある(だが決して亜音速弾薬ではない)。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「スポーツ小銃を基礎に発展してできたSV98スナイパーライフルの構造設計は至る所で狙撃戦術の高い精度に対する要求に着眼し、非自動発射方式を採用している。画像はSV98式小銃。」)

レシーバー頂部には1本のピカティニーレールがあり、ロシアが生産する、あるいは外国のスコープが装着できる。SV98の標準装備スコープはロシア製のPKS-07式7倍固定倍率スコープだが、メーカーは1P69式3〜10x42可変倍率スコープも提供する。スコープ使用時、有効射程は1,000mに達し得る。SV98にはバックアップの機械照準具も配されており、フロントサイトには周囲を覆うガードが付属し、左右あるいは高低のゼロインが行える。リアサイトはノッチ式で、100〜600mの範囲内で調節できる(クリックごとに100m)。

SV98のトリガープルは調節でき、1.0〜1.5kgの間である。マニュアルセーフティはストックのボルトハンドル用ミゾの後方にあり、トリガーとボルトをロックできる。着脱可能なマガジンはプラスチック製で、装弾数は10発である。SV98はマッチ弾薬を発射する時、300mでの散布を5cm以内にできるとされる。

SV98小銃は精度のために生まれた ただ保護メンテナンスは煩雑

スポーツ銃を基礎に発展してできたSV98スナイパーライフルの構造設計は至る所で狙撃戦術の高い精度に対する要求に着眼している。すなわち、非自動発射方式を採用し、ボルトあるいはバレルの運動が射撃精度に対し生じさせる不利な影響をなくしている。比較的重い全体重量は跳ね上がる動きの減少に有利で、射撃安定性を向上させる。長さと高さが調節できるバットプレートと高さが調節できるチークピースは、射手の個体が必要とする差異を尊重し、射撃をより快適にさせる。多段階に調節可能なバイポッドとストック架は、異なる地形で安定して銃を保持する需要に適応するのに便利である。着脱可能な銃口消音器は、マズルの暴露源を減少することもできれば、また有効に後座を減少することもでき、一方反射光防止ベルトと銃口消音器上の遮蔽板の狙撃での使用中の意義も非常に大きく、敵に発見される確率を下げている。

SV98スナイパーライフルの射撃精度は同種の弾薬を発射するSVDスナイパーライフルより高いだけでなく、「精度天下一」とされるオーストリアのTPG-1スナイパーライフルと比べてさえ全く遜色ない。素晴らしい中での不足は使用寿命が比較的短いことで、保護メンテナンスも比較的煩雑である。だが現代の狙撃行動の高い精度に対する主要な需要に比べれば、この点も深刻と評価するまでには足りない。

結びの言葉

PSO-1スコープの前述の2つの突破性の機能に頼ってこそ、SVD小銃/弾薬システムの精度上の性能は発揮され得る。それは狙撃手が比較的確実に目標に対し正確射撃を実施できる距離を300〜400mにまで伸ばすだけでなく、しかも狙撃が精密化、遠距離化に向け発展する突破性のマーキングであり、第二次世界大戦時期の近代狙撃体系と現代の専業狙撃体系の間でのメタモルフォーゼの歴史的ターニングポイントである。今日まで、いかなる専業スナイパーライフルも、SVDが確立した基本射撃方式から離脱してはいない。SDVも後に登場したSV98も、良好なベンチマークを立てたのである。


 確かに非常に多くの軍用スナイパーライフル、特に1980年代頃までのそれは元々他の目的のボルトアクションライフルから発展してできたものですが、ドラグノフ以前にスナイパーライフル専用に設計されたものが皆無だったんでしょうか、ちょっと疑わしい気もしますが。

http://www.firearmsworld.net/russain/sr/sv98/sv98.htm

 SV98に関するページです。個人的にはロシアらしさがなくてつまらないデザインに感じますが。















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