F-35の問題が教えるものは

 久しぶりのまとまったF-35批判ですが‥‥。

http://military.china.com/important/11132797/20131013/18086813.html


F-35は中国に教える:ただ追いかけるだけでは出口はない!

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「第3世代および第3世代半戦闘機は現在依然中国空軍の主力である」)

事実として、事細かにF-35プロジェクト全体の発展過程を探究すると、その中の多くの経験と教訓は全て後発者が参考にする価値がある。

1つの機種・多タイプが矛盾を拡大

プロジェクト開始当初、F-35はずっとアメリカ空軍の未来の問題を解決する良薬と見なされ、このためことのほかペンタゴンや政府の特別の優待を受けた。しかし時間の推移と共に、湾岸戦争の後、アメリカ空軍のF-35プロジェクトに対する要求に変化が始まり、未来のこの新型戦闘機の作戦使命は空中にとどまらず、空中から地上までの全ての阻止任務を実現する必要があり、かつ充分廉価なことをもって大規模装備しやすい必要がある、と希望された。この種の需要上の変化がもたらした直接の結果は、本来制空任務がメインと定義された戦闘機が、逆に制空性能は二の次の位置に置き、さらには汎用性と多用途性がより強調される、というものだった。最終的に、この空軍にルーツを持つ新型戦闘機プロジェクトはどんどん膨大なものに変わり、その上に加えられる要求もどんどん多くなった。すなわち、1つの機種で多タイプ、価格は低廉で、高度の汎用性を持つ等々であり、これらが最終的にF-35プロジェクトの受け入れられない重荷となった。

1つの機種で多タイプ、高度の汎用性を持つという要求はF-35の設計を、通常発着型(CTOL)、艦載型(CV)、短距離離陸/垂直着陸型(STOVL)という3種の異なるタイプを含むことを必須とさせ、執行する必要のある任務の範囲は伝統的な制空から近距離空中支援、戦場遮蔽ないし縦深攻撃を全部包括し、しかもあらゆる機能を実現し、またまず価格の要求を満足させることも必須とされた。このような革命的要求は米軍にとって時代をまたぐ歴史的意義を持つものと言えるが、研究開発するメーカーにとっては、3つの軍種の共同の認可を同時に獲得することが必須との要求は極端に過酷なものと言える。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「F-35戦闘機が徐々に就役することは再度アメリカに軍事技術上の優勢を獲得させる」です。)

技術と戦術はどちらがどちらをリードするのか

アメリカ航空工業にはその他の国と比較できない規模と組織の優勢があり、巨大な経済的実力の支持の下、加えて政府と工業界の航空技術の前線における効果の高い協力があり、アメリカ政府にコストを惜しまず大金を費やし新型戦闘機を作り出させることが完全に可能である。だが、上述の1つの機種、多タイプ、高度の汎用性を総合考慮した結果は往々にして矛盾を意味し、特にF-35のような高度の汎用化、多用途化の達成を企図するプロジェクトに関して言えば、潜在的矛盾はプロジェクトが直面せざるを得ない巨大な障害に他ならないのである。

まさに制空と多用途の間のバランスを探し求めたがゆえに、F-35は空力外形設計上止むを得ず妥協を行い、このようにした直接の結果は、この機が制空性能上決して現役戦闘機を全面的に超越するわけではない技術特性を示す、というものであり、第5世代戦闘機の4S特性(超音速巡航・超機動性、ステルス性、超視距離作戦能力)はなおさら言うまでもない。

多用途性能の強調は必然的に元々設計の重点だった空戦能力の大幅な下降をもたらすが、攻撃機としてF-35は重任に耐えられるのか否か? 国際情勢の非常に大きな変化は、F-35のために当初設定された相手が決して出現せず、逆に制空能力が出色な新型戦闘機、性能が卓越した遠距離防空システムが不断に拡散するという結果をもたらし、F-35が攻撃者の役割を担当する時直面する脅威を非常に大きく増加させた。また、ステルス性能の要求という制約を受けて、その内部の弾薬搭載量は不足し、これはその攻撃性能の発揮を制限するまた1つの重要な原因であり、またこうした任務は急速に発展する無人攻撃機によってごく容易に取って代わられる。

上述の問題は、技術の方向は戦術と技術の有機的結合であるが、異なる時期においては、技術の方向にはしばしば異なる重点がある、ということを充分に説明している。平和な時期にあっては、しばしば技術が戦術をリードし、技術の発展は技術を方向付けする主要な動力である。戦争の時期にあっては、しばしば戦術が技術をリードし、戦術要求の上昇が技術を方向付けする主要な動力である。技術の誘導は戦術的需要を離脱する可能性があり、後を追いかけてやるなら簡単にできるが、技術の前線に立つと、しばしば眼前の種々のものによって惑わされ、最も明るい道が光明に通じる道とは限らない。これはずっと常にF-35プロジェクトの直面している困惑である。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「中国の新世代戦闘機も一段と力を入れて研究開発中である」です。)

高い技術はすなわち高性能なのか?

現在の状況から見て、F-35が直面する状況にはどのくらいのまずいことがあるのか。大量の高度な新技術を応用したが、この機は空戦性能上F-22にはるかに及ばず、両者の間の隔たりは甚だしきに至ってはF-15/F-16というこの組み合わせより大きい。一方多用途性能上は、F-35は成熟したF/A-18E/F、F-15E、F-16E/Fに比べて決してはっきりした優勢はなく、甚だしきに至っては縦深攻撃任務執行時の浸透能力でもこれが本職ではないF-22に及ばない。

アメリカ空軍を例にすると、F-35AはF-16に取って代わり制空と戦術武器投下、発射任務も執行する必要があるし、さらにA-10に代わって近距離空中支援任務も執行する必要がある。F-16に取って代わった後、F-35Aは米軍戦闘機の「ハイローミックス」策の中の低ランク飛行機となり、その高ランク飛行機にはF-15に取って代わるF-22が用いられる。A-10に代わる時、軍サイドはF-35AがA-10のように地上火力によって破壊されにくいことを希望するが、それは主に技術的手段に頼るべきであって、厚く重い装甲に頼ってこの目的を実現するのではない。また、F-35はさらにA-10に比べより長い航続距離を持つべきである。

アメリカ海軍に関して言えば、F-35CはF/A-18C/Dの制空と攻撃任務、および古いA-6が引き受ける戦術武器投下、発射と縦深攻撃任務を引き継ぐことになる。同時にF-35Cはさらに新たに就役したF/A-18E/Fと共に制空と攻撃のダブルの重大任務を引き受けるべきである。だが現在の艦載型F-35CとF/A-18E/Fの正確なミックス方式は依然最終決定していない。A-6に取って代わる時、F-35Cは夜間、低空防御突破の中型攻撃機として用いられることになり、この点はA-6の設計上の任務と同じである。だが、F-35Cはさらに白昼攻撃の能力も持つ必要がある。この種の任務執行時、F-35Cは厚く重い装甲に頼って戦闘中の損失を低下させるのではなく、先進的技術手段を利用することが必須である。このため、F-35Cはステルスおよび遠距離からミサイルを発射する能力を持つべきである。

(頑住吉注:これより4ページ目。画像のキャプションは「アメリカのF-35戦闘機の装備の歩みは加速」です。)

期間遅延と費用激増の悪循環

だが、科学技術密集型装備は必然的に経済密集型装備であり、高い技術の武器の開発と製造の費用はどんどん高くなる増長の態勢を呈している。F-15戦闘機の4,700万アメリカドルの1機あたり製造コストからF-22の1.3億アメリカドルの1機あたり講入金額まで、武器装備の更新、世代交代と同時にその費用も幾何級数的な増加を呈する。まさに高度技術武器装備の製造コストが高止まりしているからこそ、調達および使用の費用低下を主要な開発の重点としたJSF研究開発計画が誕生したのである(頑住吉注:F-35、ジョイント ストライク ファイター)。JSF計画は開始時には典型的な低コスト低リスク装備開発計画だった。アメリカ空軍は3,000万アメリカドルの単価で1,763機の通常発着型JSFを購入する見込みだった。またアメリカ海軍は1機あたり3,800万アメリカドル以下の価格で480機の多用途艦載型JSFを購入する見込みだった。アメリカ海兵隊は全部で609機の短距離離陸・垂直降着型JSFを購入する計画だった。だが、後の事実は我々に教える。米軍のこうした価格目標はひとりよがりの願望でしかあり得なかったことを。

プロジェクトの進行過程で、進度の遅延により、設計の中に大量の不成熟な新技術が採用され、調達数が減ってはさらに減ったことも最終的な価格に影響した。当初F-35が3,000〜5,000万アメリカドルの単価でしかないと決められたのは、実は合同研究開発と同盟国の大量購入という基礎の上に建立されたものだった。だが多くの同盟国がF-35の価格の暴騰、研究開発進度の深刻な遅延に対し不満を表明したため、将来さらに調達数が減少する可能性も排除されない。しかし調達数の減少は直ちに1機あたりの飛行機がより多くの研究開発経費を負担する必要があることを意味し、結果としてコストコントロールがより深刻な悪循環に陥っている。

現在まで、F-35の平均単価は依然1億アメリカドルを超えている。ロッキード・マーティン社が最近発表した情報は、このプロジェクトの総費用が本来予測された1兆アメリカドルから8,600億アメリカドルに低下し、したがって戦闘機の単価を非常に大きく下げられる可能性がある、としたが、現在F-35Aの単価が1兆アメリカドルより低いだけで、F-35BおよびF-35Cはいずれもこの価格より高いのである。

F-35プロジェクトは我々に、冷戦後の新たな安全環境がもたらす厳しい挑戦に直面し、またアメリカの安全戦略の全面的調整の駆動を受けて、アメリカ国防工業体制に顕著なこれに適応する性質の変化が発生し、この種の変化はアメリカにとって一挙手一投足が全局面に影響する重大なものであり、全世界の軍事工業の発展のためにも大体の方向を指し示し、参考に供することのできる模範例を提供したのだ、ということを教える。

(頑住吉注:これより5ページ目。画像のキャプションは4ページ目と同じですです。)

いくつかの啓示には深く考える価値がある

制空権至上主義の国として、アメリカは強大な空軍に頼って半世紀あまり覇を唱えてきたが、この領域のいかなる決策のミスも挽回し難い結果をもたらす。しかし、あらゆる先進技術および海、空軍の要求を1機の大きいとは評価できない単発機の上に集合させるというのは非常に困難なことである。ちょうどある赤ん坊が誕生するには、母親が10ヶ月の妊娠の苦労と努力をする必要があるようなものである。だが最終的にF-35は決して健康な赤ん坊ではなく、重量は超過し、コストは高すぎ、さらには人の頭を悩ませる大きな技術的問題がある。これらあらゆるものはさらに技術人員の知恵によって解決される必要がある。だがこの苦しみはただ単に飛行機自身から出るのではなく、さらにアメリカ議会やメディアの持続的関心からも来る。選択された請負商から実際に即していない高度の汎用性まで、生産計画の遅延から1機あたりのコストの暴騰まで、それぞれの方面いずれにも充分な理由があり、当然さらに議会内部の耳に痛い反対の声があり、公衆の激烈な反応はアメリカメディアに充満している。一方においてできる限りコストを抑制する、他方ではさらに新技術がもたらす困難を解決する必要があるというダブルの重い圧力に直面し、米軍もロッキード・マーティン社も非常に苦しい。現在まだプロジェクト全体の発展には危機が及んでいないが、この危機はかつて一度爆発に瀕した。アメリカ国防省が先進開発プロジェクトで部隊装備に接近した段階で停止を叫んだのは決して初めてではない。何年か前のDDG-1000「ズムウォルト」級駆逐艦、RAH-66「コマンチ」ヘリ、2008年のFCSシステムの大部分は中止された。F-35も一度多くの専門家からこのリストの中のまた1つのプロジェクトと見なされた(頑住吉注:ズムウォルトは中止されてないです)。

F-35プロジェクトの中に発生する一切は、実際上強烈な啓示の意味を持っている。特に我が国が依然世界先進レベルの航空工業を追いかけていることに関して言えば、アメリカのこうした経験はまさしく、もし適当な時期に果断に自らの道を行き、超越を実現することができず、追いかけるだけだったら、出口はないのだ、ということを示している。技術の起点がはるかに立ち後れている状況下では、潮流に従うことで技術上の回り道を避けることもできるかもしれない。もし前線に近い技術路線なら、迅速に戦闘力が形成できるかもしれない。だが追跡による発展と徐々の変更、プラス方向性を持った追いつき追い越しは過渡的な発展戦略である。もし長期の発展戦略なら、遅かれ早かれボトルネックに入る。盲目的な追いかけは受け身なだけでなく、他人につき従って間違った道に入る可能性がある。(常想)

(頑住吉注:6、7ページ目のキャプションは4ページ目と同じ。8ページ目)中国が未来に必要とするのは超越であって追いかけることではない


 難解な部分が多くて一部うまく訳せてないかもしれませんが、確かにF-35は多くのことを要求され過ぎてまずい状況に陥っているのではないかという気は私もします。日本にとっては少なくともF-35Aだけでも成功してもらわないと非常に困ったことになるわけですが。














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