「THAAD」ミサイル防衛システムは中国にどんな脅威を与えるのか

 中国に不都合な面はまあおおよそ日本には都合がいいと考えていいでしょうが。

http://war.163.com/16/0215/08/BFRP0JOE00014OMD.html


専門家:THAADは中国の弾道ミサイルを監視下に置くことができる ステルス戦闘機を探知計測

【グローバル軍事報道】 韓国連合通信社2月11日の報道によれば、韓米両国は合同作業チームを組み、駐韓国米軍基地に向け「THAAD」システムを配備する件の討論に正式に着手する、とした。専門家は、もし「THAAD」システムが最終的に韓国に入り駐留したら、米軍初のアメリカ国外に配備される完備された「THAAD」システムとなる、と指摘する。アメリカは「THAAD」ミサイル防衛システムは防御システムだと言明するが、専門家はミサイル防衛システムである「THAAD」が打破するのは地域の戦略バランスであり、中国の国家の安全に対し重大な潜在的脅威を構成する、と考える。

米韓、3カ所の選択候補地を評価

韓国連合通信社の報道は、米軍が駐屯する京畿道平沢、全羅北道群山、慶尚北道大邱は「THAAD」システム配備の選択候補地と考えられる、とする。報道は、あるメディアが言う韓米両国は中国サイドの関心に配慮するがゆえに中国から相対的に遠く離れた慶尚北道に「THAAD」を配備することを研究するとの説に対し、韓国国防省スポークスマンの文尚均は、これは決して事実に属さず、一切は国家の安全と国益から出発して決定されるとした、とする。「THAAD」の場所選定問題は当然韓米によって共同で決定されるべきであるという。

ある中国の軍事専門家は次のように指摘する。専門的な角度から見て、米韓の「THAAD」システム配備の場所選定には三重の要素を考慮する必要がある。まずは戦略目標に対し有効な防護を形成することを考慮する。「THAAD」システムの防御範囲はおおよそ200kmで、韓国の重要な戦略目標はこの200kmの保護傘の下に位置するべきである。しかも、「THAAD」システムはできるかぎり重点的保護を必要とする目標に接近するべきで、このようにすれば迎撃成功の確率がより高くなり、かつ2回目の迎撃のチャンスを作り出すことができる。次に、配備地点の海抜が比較的高く、視野が大きく開けていることを考慮する。特にレーダーの配備で、このようにすればできるだけ早くミサイルの襲撃を発見することができる。第3に周辺環境および周辺住民に対する影響を考慮する。大出力のX周波数帯高周波レーダーは、一部の同じ周波数の電子設備を妨害し、かつ近距離の人員の身体に対し影響を生じさせる可能性がある。この憂慮を打ち消すため、韓国国防省スポークスマンの文尚均は定例記者会見で、「THAAD」システムは半径100m以遠の人体の健康に不利な影響をもたらさないだろう、とした。文尚均は、ある環境評価報告は、グアム島に配備される「THAAD」システムは周囲100m離れた人体、500m離れた電子設備、5.5km離れた飛行機に影響を生じさせないことをはっきり示している、と語った。

中国の軍事専門家は、もし韓国の角度から考慮すると、平沢に配備するのが比較的良い選択である、と考える。上述の地点の中で、群山は韓国中部西海岸地域に位置し、ソウルからの距離は180km前後で、ソウル北端からは200km近く離れることになり、ほとんど「THAAD」システムの防御の限界に到達する。平沢市はソウルからの距離が70km前後で、群山の東北部に位置する。大邱は韓国東南部に位置し、ソウルからの距離は約250kmである。平沢市に配備すると、防御の死角が比較的小さく、南端と東南部のおよそ100kmの縦深が保護できないことを除き、基本的に全韓国領土をカバーする。群山はその次で、それは西海岸に近いため、その保護傘は相当な部分が海上にカバーし、東部と北部の一部地域はカバーできない。最も劣るのは大邱で、ここに配備するとソウルがほとんど保護できない。だが「THAAD」システムの配備は同様に1つの政治問題でもある。平沢は中国から距離が最も近く、このようにすればそのレーダーの中国サイドの国境内に対する探知計測区域はより大きくなるだろう。

初めて国外に配備される「THAAD」

専門家は次のように指摘する。もし「THAAD」システムが最終的に韓国に配備されたら、米軍初の本国以外に配備する完備された「THAAD」システムとなり、これはアメリカの「アジア太平洋地域再バランス」の措置の1つでもある。2008年5月28日、アメリカ陸軍は第11対空砲兵旅団第4防空兵団のアルファ中隊を建設し、テキサス州のフォートブリスに配備し、この中隊は24発の「THAAD」迎撃ミサイルを配備し、当初は3基の発射架(標準は6基)、1セットの「THAAD」火力コントロールシステムおよびレーダーを配備し、2009年に戦闘力を形成する、と宣言した。2009年10月、アメリカ陸軍とミサイル防御局は第2の「THAAD」中隊を建設し、つまりフォートブリスに位置する第2対空砲連隊のアルファ中隊である。計画によれば、アメリカは2015年に5個「THAAD」中隊を建設する。

2009年6月、アメリカは初めてハワイに1セットの「THAAD」システムおよび海上基地X周波数帯レーダーを配備し、もって「北朝鮮のあり得る攻撃」を防御した。2013年4月、アメリカは第4の対空砲兵連隊のアルファ中隊をグアム島に配備すると宣言した。2014年3月、第2対空砲兵連隊のアルファ中隊がローテーションを組んでグアム島に配備された。今まで、米軍のフルセットの「THAAD」システムはいずれもまだ国外で配備が行われていない。当然、「THAAD」システムの核心的ユニットであるAN/TPY-2アクティブフェイズドアレイレーダーは多くの国に配備されており、これにはイスラエルのネゲブ砂漠、トルコのある空軍基地が含まれる。また、日本にも2セットのAN/TPY-2レーダーが配備されている。また、アメリカはさらにアラブ首長国連邦に向け2セットの「THAAD」システムを販売した。

中国に対し重大な脅威を構成

ロシア戦略・技術分析センターの専門家ワシーリ コーシンは次のように考える。東アジア地域にミサイル防衛システムを配備する「公式な原因」は北朝鮮の弾道ミサイルに防備するためだが、軽視してはならないのはこのシステムの開発のルーツは中国の弾道ミサイルの迎撃にあることである。「中距離弾道ミサイルは中国の戦略核武器庫の中で数が最多の兵器であることを知る必要がある。こうしたミサイルは中国にアメリカのアジア太平洋地域における基地に対し確実な打撃を実施できるようにさせることができ、しかも本国の数多くない大陸間弾道ミサイルを動員する必要がない。」 コーシンは、ロッキード・マーティン社は弾道ミサイルの超音速機動弾頭を迎撃する「THAAD」-ERプロジェクトを推進しつつある、とする。予見できる将来、北朝鮮はこの目標を実現できない。一方中国はこの種のミサイルを研究開発中である。

また「THAAD」システムのAN/TPY-2レーダーは、北朝鮮の弾道ミサイルの発射を監視できるだけでなく、さらに中国国内の弾道ミサイルの発射を監視下に置くことができる。中国の華北、東北部におけるミサイル発射は、基本的に大気圏を出ずにもう韓国国内のAN/TPY-2レーダーに正確にキャッチされるだろう。平時には飛行のパラメータを偵察することができ、戦時にはその他のミサイル防衛システムのために早く正確な早期警戒を提供し、中国の弾道ミサイルの打撃の突然性を大幅に下げることができる。AN/TPY-2は前線配備、早期警戒を行う他、さらに米軍の東アジア地域における「パトリオット」-3や「イージス」戦闘艦からなる陸海2層の対ミサイル網を整合することができる。

また、AN/TPY-2はさらに相当な対ステルス能力を持ち、500km離れてレーダー反射断面積0.01平方mのステルス目標が探知計測できる。米韓はそれを用いて中国のステルス戦闘機を探知計測できる。

ひとたび「THAAD」が韓国に配備されたら、中国サイドはいかに対応すべきなのか? ある専門家は、このシステムの非戦時の脅威は主に中国のミサイル発射に対する偵察であり、これに対しては決してあまり良い対応手段はない、と考える。戦時にはそれに対し電磁妨害を行うことができ、巡航ミサイル、極超音速滑空弾、ステルス戦闘機など多種の手段を採用してそれを打撃し排除することもできる。


 おそらく中国は戦時になればミサイルの飽和攻撃でTHAADの構成要素を破壊しようとするでしょうし、当然アメリカも防備し、その結果がどうなるのかは予測が困難でしょうね。

















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